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ケータイ音痴・・・その1 ケータイ事件 [<正統、明るいダメ母編>]

どうやっても、ケータイ電話というものに慣れない。

あれは2年前だったろうか。一応持ち始めは早く、買ってから数年経っていた頃と記憶するが、日常生活には全く無用の長物で、出かけるときは忘れる。たまに持っていっても、電源が入っていなくて「全然通じなかったわよ。」と叱られる。たまに電話をかけようとすると、バッテリーが切れている・・・・てなわけで、開かずの踏み切りならぬ、開かずのケータイ状態・・・。(そうか、当時はケータイはまだ二つ折れのはあんまりなかったかも・・・(^^;)

ところが、とにかくどんなケータイでもいいから、「ケータイ持ってる人はみんな持ってきて!」とお呼びがかかったのが、長野の夏の風物詩「びんずる祭り」の夜のことであった。

このお祭り、今は8月7日の旧暦の七夕と同じ頃、長野市総出のイベントとして定着した。まあ、盆踊りである。百五十を超える連と呼ばれるグループが、中心市街地を練り歩く。もちろん最終的に、どこの連が優勝とかいう審査があるから、踊り方や奇抜な衣装などで、人目を引こうとみんな必死だ。

子供たちが通っている中学校も、毎年三年生の各クラスが、連を作って参加するのが恒例となっていた。

その年、PTAの役をまだ3年間承っていなかったという理由で、「びんずる実行委員」とやらにさせられた。そんなことでもなければ、3時間も子供の踊りのあとをくっついて、一緒に町を練り歩くなどというかったるい事に、この九子が参加するわけがない。(^^;

とにかく、一応曲がりなりにも3時間、子供たちの列に加わって踊った。いや正確には、半分以上は疲れてただ足を引きずりながら付いてまわった。(^^;

ああ、どうにか終わったね。まあこうやって子供たちに混ざって動くのも、たまには悪くないね。ダイエットにもなるし・・・。母親たちが口々にそんな話をしていた頃、どうやら集合場所になっていたところへ、集まっている子供の数が絶対的に足りないことがわかった。みんなどうしたんだろう!母親たちは、色を失った。

「そうだ、学級代表のお母さんとこへ、急いで電話を入れなくちゃ!」とびんずる実行委員長のお母さんが言った。

「そうだ!電話だ!」九子は駆け出した。と言っても、普段体を動かすことの極端に少ない九子のことだ。すぐに息が、ゼーゼー荒くなる。 しかし!なのだ。今は危急の時!九子と言えども走るのをやめるわけにはいかない。

ところで、もちろん九子が目指していたのは公衆電話。後ろから、ほかのお母さんも一人二人、九子の剣幕に押されて着いて来た。

ないわねえ、こんなときに限って。なんでこんなにないんだろう、公衆電話って。長野市長に訴えてやろうか。観光の町長野の名が泣くぞ!

はっ!
突然気が付いた。そういえば,このポシェットのふくらみ・・・何だっけ?財布でしょ、ハンカチでしょ、ソレト・・・ケータイ電話!!

「あっ、バッカだあ。あたしったらケータイ持ってたんだ!」

何しろ九子は正直の権化である。その場の空気など読む前に、言葉が勝手に口からとび出た。

「えっ・・・・・!!!」

委員長さんの目つきが鋭い!「もう、まったく九子さん、持ってるなら持ってるって最初から言ってくれれば・・・・。」

「あのう、そのう・・・・・・・・・・・・。」

急を要するのは、公衆電話が少ないことを長野市長に陳上する事などではなく、ケータイ電話を一刻も早く使いこなすことであった。 

あれから2年・・・。さすがに公衆電話を探すことはなくなった。ただ、九子の電話は、いつも電源が入っているにも関わらず、なぜか電話が鳴るのに気付かずに、つながったためしがないそうである。・・・(^^;
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