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銀杏談義 [<九子の万華鏡>]

たまには旬の話題をひとつ・・・と思いつつ、九子流にいつの間にやら日が経って、しばし遅れてしまったが、まだ日本中のどこかには季節の真っ只中の地方もあるやもしれない。(^^;

今年も友人から銀杏が届いた。80歳を超えられた御高齢の御両親が拾って、丹念にこさえて下さったと聞いて、大切に一年間頂くつもりでいる。

なんと言っても初ものだから、少々たっぷりと、友人に教わった通りのやりかたで頂くことにした。
まず、金槌で殻にひびを入れる。それをむいて、甘皮は残したものを、サラダ油で香ばしく炒り付ける。上からぱらぱらと塩をして出来あがり。シンプルだが一番うまいよ、との事である。

まずは店に続く石の通路で、銀杏を叩く。この叩くのが結構難しい。力任せにすると、実が傷ついて割れてしまう。かといって、日頃の九子のしとやかさでは(^^;、鎚がはじかれて殻が割れない。

ここで九子はふと考える。どうしたら効率良く銀杏が割れるのか・・。たてに割る?横に割る?斜めに割ってみる?

考えるとは、すなわちその度手が止まることを意味する。九子はここで重大な過ちに気づかずにいる。

昔からよく言うではないか。下手な考え休むに似たり・・・・。考えることそれ自体が、九子の仕事能率を大きく阻む壁なのだということを・・・。(^^;

乳色をした果汁が時にはじけて、とりあえずは殻が割れた。思いのほかたっぷりの量だ。ちょっと割りすぎだったかな?

これを甘皮だけにするのも結構手間だ。もう6時はとうに回っている。娘たちの「ご飯まあだあ?」という声がそろそろする頃だ。と思うまもなく、娘たちと今日はおばあちゃんまで、そろって台所に現れた。山盛りの銀杏のボールに、誰からとも無く手が伸びる。そして、黙って皮を剥き始める。

決して頼んだわけではない。「このままだと、夕食は7時を回るな・・。」という事位はちらと彼女らの脳裏をかすめたのかもしれない。

頭を付き合わせて黙々と銀杏の殻を剥きつづける3人を見て、九子はふと考えた。(こんな時、ふと考えずに手を動かしさえしていたら、九子の仕事はぐっとはかどるはずなのだが・・・(^^;)

女というもの、生来単純労働に向いている生き物なのではあるまいか。その証拠に、隣にいる三男はさっきからテレビの画面に見入ったまま、手を出すそぶりすら見せない。こうやって、古代より脈々と、まじめにひたすら、嫌だとも言わずに、いつ果てるとも知れない作業を連面と続ける女たちがいてこそ、歴史が紡がれて来たのではあるまいか?

う~ん、我ながらなんと九子の考えはいつも高尚なのだろう。(^^;

「ねえ、ママってば~、銀杏もうむき終わったよ~。ご飯いつになったら食べられるの~。」

哲学的なるもの、凡人の胃袋を満たすことはないこともまた、歴史が証明しているのである。(^^;
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N.E

[銀杏は家族の絆を深めるか・・・]
九子さん

>山盛りの銀杏のボールに、誰からとも無く手が伸びる。そして、黙って皮を剥き始める。
・・ああこれこそ今日本の家庭に必要な家族の絆では有りませんか。
と言うほど大げさな事では有りませんがカニを食べる時の雰囲気に似ていますね。
美味しい手打ち蕎麦を食べるとき待たされる時間にも似た間合いですね。
銀杏割るための専用ペンチ売っています、驚くほど簡単に割れます(笑)
by N.E (2003-11-17 22:24) 

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