SSブログ

フレクシブル

ある時、いつもお世話になっている精神科で薬をもらうのに、受診表も保険証も忘れたことに気が付いた。一応もう4年以上もお世話になってるところだから、面通しだけすめばそれでOK!みたいな気がするが、そう言うわけにはいかないらしい。

「柔軟な・・・・」そうそう、英語で言えば「フレクシブルな・・・」である。九子の頭は大変フレクシブルに出来ている。まあ、いいかげんな、テキトーなという言いかたも出来ようか・・・・。(^^;

しかしなんだね、日本人は本当に横文字に弱い。フレクシブルなどという、日本語なら、ふられくすぶるを連想させる否定的な単語が、カタカナで書くだけでいとも知的で繊細な響きを帯びる・・・・・・気がしてくる。

とにかく、フレクシブルを絵に書いたような(^^;九子の頭は、ここで名案を思いついた。
要するに、私が九子であるという証明があれば良いわけでしょ?

そして、脱兎のごとく駐車場に止めてある車に突進した。

九子はふだん、ほとんど走ると言うことをしない。もちろん、体力がないからだ。くれぐれも言っておくが、もう若くないから・・・ではない。(^^; 

そして、九子がたまに走る時、それは良からぬことが起きる前兆なのだ。ケータイ事件でもバスケットボール事件でも、九子が走って騒ぎが起こった。

九子が慌てて車から取って来て手にしているもの、それは、運転免許証である。なあるほど。名前と住所と生年月日と顔写真が付いているねえ。

九子は、免許証をうやうやしく差し出しながら、受付のメガネの優しい女性に言った。「保険証も受診表も忘れてきたので、これで薬出して下さい!」

彼女の困惑した顔が、今でも脳裏に浮かぶ。

「九子さんあのねえ、せっかくですが、これじゃダメなんですよ。」

これがわけのわからぬおじいさんおばあさんなら仕方が無い。しかし、思い出して欲しい。
九子は、一応薬剤師なのである。(^^;

薬局で保険証の代わりに運転免許証を出されたとしたら・・・・。
(ここで申し上げておきますが、薬局では普段、お客様の健康保険証を御提示頂くことはありません。処方箋に保険番号が漏れていたりした時にだけ、お見せ頂くことがございます。( ^-^))

やっぱり非常に困るであろう。(^^;

「あっ、そうでしたね。ホントだ。九子ってどうかしてる・・・えへへへ。」と笑ってごまかせばまだしもだったのに、九子はなおも往生際悪くこう言った。

「でも、私が私だと言う証明が出来れば良いんですよねエ。他の人が薬を取りに来たのではなく、九子が取りに来たのだと言う・・・。」

「ホホホホ、そういう訳にはいかないのよ。この次は気を付けて下さいねえ。」
彼女の温情で、九子は処方箋を受け取った。

九子のフレクシブルな頭の中で、彼女のホホホホという笑い声が何回もこだましていた。

「みんな全く頭が固いわ。小泉さんだってそうよ。規制緩和、規制緩和って騒ぐんだったら、まず運転免許証で薬がもらえるようにすべきだわ。」

九子みたいな人間のことを、きっとみんなは「時代を間違えて生まれた人」・・と呼ぶのであろう。(^^;
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。