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S先生と I 先生  前編 [<学校の話、子供たちの話>]

カメラ目線という言葉がある。カメラを、つまり視聴者を意識した目つきという意味であろうか。

でも相手を意識するあまり、ついつい自分を忘れるということは、日常生活の中で良く起こる気がする。



九子はとりわけ自意識過剰型人間なので(^^;、相手にどう見られるかを必要以上に気にする傾向がある。それが自分であんまり好きではないものだから、そうでない人に惹かれるのかもしれない。



次男Sの小学校時代の担任S先生は、子供達が習った多くの先生の中でとりわけ九子の記憶に残っている素晴らしい先生だ。そして、S先生こそが九子が惹かれる自分が相手にどう映っているかなど気にも留めず、ひたすら子供たちの事だけを見てくれていた類稀な先生だった。



前任高が我が家のすぐ近くのJ小学校だったから、「角の肉屋」のお子さんもS先生に習ったそうだ。そのお母さんが言っていた。



「S先生みたいな良い先生、見たことないよね。うちの子供が足を骨折して遠足へ行けなくなったとき、先生がおんぶして一緒に連れていって下さったんですよ。本当にあの真似はできないと思う。S先生にはほんと感謝してるわあ。」



一年生のとき、次男Sのクラスは、先生が規律を重んじるタイプだったので、「小学校一きちんと整列出来るクラス」ということで有名だった。次男Sは、実は今でも少し猫背なのだが、いつも背中が曲がっていると叱られてばかりいた。



それが!である。担任がS先生に変わったとたん、整列の時たぶん一番お行儀の悪いクラスになり果ててしまった。一年生の時の先生には申し訳無いが、子供と言うのはそんなもんである。(^^;

そして、それが子供らしさなのではあるまいか。



S先生はとにかくそんな風に、やかましい事は一切おっしゃらず、たぶんほとんど叱らず、誉めて子供達を育ててくださった。



今でもS先生の影響で、合唱や楽器を続けている子も多い。次男Sも、実は当時少々音痴なのでは?と親は気にしていたのだが、先生に「S君は本当に良い声ですねえ。」と誉められて、以来歌が大好きになった。



次男Sが四年生の時、それはS先生に教えて頂いた最後の学年だったように思うが、S先生の授業で、次男のクラスが「初研」にあたった。



たぶん全国どこの附属小学校もそうであると思うが、一年に一度全国から大勢の先生方が集まる研究会があり、一学年に一もしくはニクラスが、代表で参観クラスになる。



附属にいる平均3年間くらいの在職期間の間に、少なくても一度はどの先生もこの授業参観が当たるような仕組みになっている。



信州大学教育学部の場合は初等教育が専門だから、「初等教育研究会」略して「初研」と言われるこの研究会に、一般のお母さんたちが参加する事は、ある時期までまれであった。



しかしその年、S先生は「お母さん方もお気軽にどうぞ。」と言われて、九子も含め多くのお母さん方がS先生と子どもたちの授業を見に行った。



S先生はお気の毒な位、あがっておられた。そう思ったのは、たぶん九子一人ではないと思う。



ただびっくりしたのは、授業が終わって反省会みたいなのがあった時、S先生は一人一人の子供達がいつ何をどうやり、どう言ったのかを、つぶさに覚えていらっしゃったことだ。



傍目には緊張しまくって我を忘れていらっしゃるように見えたS先生だが、子供達のことはちゃんと見ておられたのであった。



先生の視線の先にあるものは、参観に来ている先生方でも母親でもなく、ましてや自分自身でもなく、いつも子供達であったという事実が、九子をいたく感動させた。



九子がたまにお便りを書くと、必ず丁寧にお返事を下さるS先生だが、次男と同学年だったお嬢さんは保母さんになられると聞く。



先生の子供というものは、いつも必ずお勉強が出来て(無理やりやらされて?)、どこそこの有名大学へ行くのが相場だが、S先生に温かくほんわり育てられたお嬢さんは、さぞや愛情深い幼稚園の先生になられるんだろうと、ほほえましく、いかにもS先生らしいと感心した。



そのデビューの鮮烈さも手伝って(^^;、もう一人、S先生と同じくらい九子の記憶に鮮明なのはI先生である。



I先生は、S先生をひきついで、次男の担任になってくださったのだが、実はI先生はこの後、先生方が「監獄」と呼ぶ、激務の信大附属小学校に5年も残られて、我が家の5人の子供達のうち、長男Rから長女N子までの4人に、社会科を教えてくださった。



実は信大附属小学校は、御多分にもれず「お母さん方が派手」という風評を得ている。よそを知らないから九子には良くわからないが、まあ確かに医者や、弁護士や、教授や社長の子弟がそこここにいる。



卒業謝恩会も、入学祝賀会も、一応長野の一流ホテルで行われ、お母さん方は皆、いつも着飾って美しい。(九子もまたそのお母さんの一人であるという事実を、どうか忘れないで欲しい。(^^;)



PTA役員の関係でその年の謝恩会に出席した時、I先生の席は、たまたま九子の隣であったと記憶している。



たぶん始めて出席なさったI先生は、最初から極度に緊張しておられ、終始頬を紅潮させておられた。



まあ、ただでさえ美しいお母様方に囲まれ、しかもとなりが美人(?!?)のほまれ高い九子だからして、それも致し方ないと今になれば、思うのであるが・・・。(^^;



乾杯の合図でみんな立ちあがった時、I先生のグラスが倒れて、ワインがこぼれ落ちた。先生は慌てまくって、みんなのワインを一人で飲み干したように真っ赤になって、消え入りたいような表情をされていた。



その後もI先生は、誰に話しかけられてももじもじしていらしたような気がする。



正直、「次男の次の担任、この先生にはならないで欲しい!」と九子が思っても、それは仕方が無かったのではあるまいか。(^^;



そして新学期が始まり、あのI先生が、なんと次男の担任になったと知って、「え~!大はっずれ~!」と失望した九子ではあったが(^^;、そのI先生が、実は偉大な先生だったのであった。( ^-^)



次回へ続く)
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