老薬剤師 [<薬のこと、ダメ薬剤師のこと、家のこと>]
学校の話が続いたので、いささか食傷気味の方々に、たまには父母の話でもしてみよう。 ( ^-^)
父は、言っては悪いが私と同様若い頃からダメ薬剤師だった。ただ、彼の場合、市会議員という本職があったので、家にいることはほとんどなく、ダメ薬剤師でも困ることはなかった。
どんな職種でも、政治家は有用と見えて、父の政治力は何かと重宝され、長野県薬剤師会長までおおせつかった。
九子なら、恥ずかしくて固辞するところである・・・。(^^;
母、偉大なる九子の母が、長い間薬局を支えていた。雲切目薬を一人でつくり、薬局をきりもりし、その上祖父の介護までして・・・・。
若い頃、といってもほんの5年ほど前まで、母はスーパーウーマンだった。母の真似は決して出来ない。そもそも体力が違う。小さい頃おてんば娘で男の子相手に遊び回っていた母は、昔からじっとしているのが苦手である。身体が動いてしまうんだそうだ。
信じられないよね・・・。その娘が九子だなんて・・・・。(^^;
父は80歳まで現役の市会議員で通した。幸せだったと思う。
現役の頃から、父が店に出ても役に立たないのはわかっていた。
まずベルが鳴ると「はあい」と声は出す。その時すでに腰がひけているのだ。(^^;
誰か出てくれないかなあと周りを見渡す。見渡すだけではすまずに「お~い」と呼ぶ。母がどこにいようと、母が来るのをひたすら待つ。
いよいよ待ちきれないと踏むと、重い腰をあげて自分で出ていく。軽く3分は経っている。(^^;
出た以上一応お客さんの訴えは聞く。
聞くだけである。(^^;
薬の名前も、何がどこに並んでいるかも、値段すらわからない。値段は値札を付けていれば良いのだが、当時母はほとんどの薬の値段をそらで覚えていたので、値札をつけるなどという面倒なことをするのを嫌がった。
「ああ、そうですか。ちょっとお待ちください。」父はおもむろにそう言って、母を呼びにもどるのである。
お客さんにすればいい迷惑である。父が細かい話まで母に取り次ぐはずはないのだから、哀れお客さんは同じ話をまたすることになる。
実は人事のように書いたが、九子もある時期まで、母を頼りにしている事においては、父と五十歩百歩だった。(^^;
「ねえ、ママ~!」という言葉は、打出の小鎚だった。
片付け下手で、物を無くす名人の九子は、見つける方も下手だった。確かに良く探したはずなのに、九子が探した時は全然出てこなかった同じ場所から、母が探すと忽然と出てくるのは、全く合点がいかなかった。
合点は行かなかったが、有り難かった。( ^-^)
母は商売もうまかった。こう言っちゃなんだが、母が言うと、うそでも本当に聞こえた。(^^;
説得力があると言うのだろうか、母が薦める薬は、いかにも効きそうな気がした。
それにとても薦め上手で、母の薦めで、結構高い品物を二品三品と買ってくれるお客さんがたくさんいた。
あ~あ、今思えば母の最盛期、我が家は豊かであった。
それにひきかえ・・・・・・・・(^^;
九子は、どうも商売には向いていないらしい。正直すぎて、押しが弱い。その上、お金に対する執着がいまいち弱い。何より、怠け者だ。
そんなわけで、かつて雲切目薬でそこそこ豊かに暮らしていた我が家は、もちろん20年前の元祖雲切目薬製造中止以来、衰退の一途をたどっていた。
その後長い間、M氏の細いすねをかじってどうにか生き延びてきた当薬局である。
廃業しちゃった方がいいと税理士さんに言われていたが、突然雲切目薬がマスコミに取り上げられ、少しづつだがお客様がついた。本当に有り難い。
お先祖様、お喜び下さい。( ^-^)
母は5年前大病をして、以来体力が三分の一になってしまった。風邪も引きやすく無理も出来ない。
父とて高齢で、実はこの正月突然歩けなくなり入院した。
幸い手術が成功して痛みは軽くなったが、車いすの生活が待っている。
人間というのは、つくづくうまく出来ていると思う。
あれほど母をあてにしていた九子だが、いつの間にか子供達に「ねえ、ママ~!あれ無いんだけどどこにある~?」と当てにされているうちに、当時の母には追いつけないが、そこそこ探し物も出てくるようになった。
母が動けないとなると、いつも「奥さん」に用事を取次ぐばかりの「若奥さん」であったのが、いつのまにか「奥さ~ん」と呼ばれて、平気な顔をして出ていくようになった。
あの、何も出来なかった九子が・・・・と思うと、つくづく不思議な気がする。
(^^;
若いママさ~ん、大丈夫ですよ~。人間長くやってると、出来なかったものもなんとなあく出来るようになって来るもんです。心配なんて要りませんって。へっちゃら、へっちゃら。( ^-^)
九子がそう言っても、まだ自分に自信がもてない新米ママさんは、どうか近くのお寺で坐禅を習ってね。
信じられないだろうけど、九子も昔はおろおろびくびく人間で、人生暗くて悩んでました。
母にいくら、「そのうち出来るようになるさ。ハッ、ハッ、ハッ。」と言われても、他の人は出来るかもしれないけど、九子だけは特別で、絶対に出来ないと信じこんでました。
でもさあ、本当になんとかなるもんよ。
坐禅をすると、自然に人生否定型から人生肯定型に変われちゃうんだって。自信もつくし、何より毎日が幸せな気分で過ごせますよ。( ^-^)
父は、言っては悪いが私と同様若い頃からダメ薬剤師だった。ただ、彼の場合、市会議員という本職があったので、家にいることはほとんどなく、ダメ薬剤師でも困ることはなかった。
どんな職種でも、政治家は有用と見えて、父の政治力は何かと重宝され、長野県薬剤師会長までおおせつかった。
九子なら、恥ずかしくて固辞するところである・・・。(^^;
母、偉大なる九子の母が、長い間薬局を支えていた。雲切目薬を一人でつくり、薬局をきりもりし、その上祖父の介護までして・・・・。
若い頃、といってもほんの5年ほど前まで、母はスーパーウーマンだった。母の真似は決して出来ない。そもそも体力が違う。小さい頃おてんば娘で男の子相手に遊び回っていた母は、昔からじっとしているのが苦手である。身体が動いてしまうんだそうだ。
信じられないよね・・・。その娘が九子だなんて・・・・。(^^;
父は80歳まで現役の市会議員で通した。幸せだったと思う。
現役の頃から、父が店に出ても役に立たないのはわかっていた。
まずベルが鳴ると「はあい」と声は出す。その時すでに腰がひけているのだ。(^^;
誰か出てくれないかなあと周りを見渡す。見渡すだけではすまずに「お~い」と呼ぶ。母がどこにいようと、母が来るのをひたすら待つ。
いよいよ待ちきれないと踏むと、重い腰をあげて自分で出ていく。軽く3分は経っている。(^^;
出た以上一応お客さんの訴えは聞く。
聞くだけである。(^^;
薬の名前も、何がどこに並んでいるかも、値段すらわからない。値段は値札を付けていれば良いのだが、当時母はほとんどの薬の値段をそらで覚えていたので、値札をつけるなどという面倒なことをするのを嫌がった。
「ああ、そうですか。ちょっとお待ちください。」父はおもむろにそう言って、母を呼びにもどるのである。
お客さんにすればいい迷惑である。父が細かい話まで母に取り次ぐはずはないのだから、哀れお客さんは同じ話をまたすることになる。
実は人事のように書いたが、九子もある時期まで、母を頼りにしている事においては、父と五十歩百歩だった。(^^;
「ねえ、ママ~!」という言葉は、打出の小鎚だった。
片付け下手で、物を無くす名人の九子は、見つける方も下手だった。確かに良く探したはずなのに、九子が探した時は全然出てこなかった同じ場所から、母が探すと忽然と出てくるのは、全く合点がいかなかった。
合点は行かなかったが、有り難かった。( ^-^)
母は商売もうまかった。こう言っちゃなんだが、母が言うと、うそでも本当に聞こえた。(^^;
説得力があると言うのだろうか、母が薦める薬は、いかにも効きそうな気がした。
それにとても薦め上手で、母の薦めで、結構高い品物を二品三品と買ってくれるお客さんがたくさんいた。
あ~あ、今思えば母の最盛期、我が家は豊かであった。
それにひきかえ・・・・・・・・(^^;
九子は、どうも商売には向いていないらしい。正直すぎて、押しが弱い。その上、お金に対する執着がいまいち弱い。何より、怠け者だ。
そんなわけで、かつて雲切目薬でそこそこ豊かに暮らしていた我が家は、もちろん20年前の元祖雲切目薬製造中止以来、衰退の一途をたどっていた。
その後長い間、M氏の細いすねをかじってどうにか生き延びてきた当薬局である。
廃業しちゃった方がいいと税理士さんに言われていたが、突然雲切目薬がマスコミに取り上げられ、少しづつだがお客様がついた。本当に有り難い。
お先祖様、お喜び下さい。( ^-^)
母は5年前大病をして、以来体力が三分の一になってしまった。風邪も引きやすく無理も出来ない。
父とて高齢で、実はこの正月突然歩けなくなり入院した。
幸い手術が成功して痛みは軽くなったが、車いすの生活が待っている。
人間というのは、つくづくうまく出来ていると思う。
あれほど母をあてにしていた九子だが、いつの間にか子供達に「ねえ、ママ~!あれ無いんだけどどこにある~?」と当てにされているうちに、当時の母には追いつけないが、そこそこ探し物も出てくるようになった。
母が動けないとなると、いつも「奥さん」に用事を取次ぐばかりの「若奥さん」であったのが、いつのまにか「奥さ~ん」と呼ばれて、平気な顔をして出ていくようになった。
あの、何も出来なかった九子が・・・・と思うと、つくづく不思議な気がする。
(^^;
若いママさ~ん、大丈夫ですよ~。人間長くやってると、出来なかったものもなんとなあく出来るようになって来るもんです。心配なんて要りませんって。へっちゃら、へっちゃら。( ^-^)
九子がそう言っても、まだ自分に自信がもてない新米ママさんは、どうか近くのお寺で坐禅を習ってね。
信じられないだろうけど、九子も昔はおろおろびくびく人間で、人生暗くて悩んでました。
母にいくら、「そのうち出来るようになるさ。ハッ、ハッ、ハッ。」と言われても、他の人は出来るかもしれないけど、九子だけは特別で、絶対に出来ないと信じこんでました。
でもさあ、本当になんとかなるもんよ。
坐禅をすると、自然に人生否定型から人生肯定型に変われちゃうんだって。自信もつくし、何より毎日が幸せな気分で過ごせますよ。( ^-^)
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