Forget me not ! [<介護生活、そして父母の事>]
忘れ名草のことを、英語で’forget-me-not ’と言うと始めて聞いた時、なんだかおかしいなと思った。普通に考えたら”Don't forget me!”である。
それまでの九子の知識では、動詞を否定する語は必ず動詞の前に来た。
notでもneverでも、動詞の後に来るなんぞと言うことは考えられなかった。
そのうえ”Forget me”と言い切って、その上でのnotである。
以来そういうもんだと無理やり納得させて、この年齢(^^;まで来てしまった。
どなたか、文法的に上手に説明してくださる方、いらっしゃったらお願いします。( ^-^)
父は今や、病室で一番の古株である。
気位の高い彼のことであるから、今までの入院はすべて個室で通した。
ところが今回、どうしても個室が取れないということで、とりあえず入った4人部屋が、入ってみたら結構居心地がよさそうで、結局最後まで居すわることになりそうである。
母が入院した時の事を考えるまでも無く、女性の4人部屋というのは大変にぎやかである。
当然似たような病歴の人が一緒の部屋になるわけだから、自分の症状をお互いに披露しあい、プライベートな話にもそこそこみんな通じている。
まあ、同じ病気と戦っている者同志の連帯感みたいなもんだろうか。
それが、男性の4人部屋というのは、がらりと雰囲気が違う。
単に同じ部屋に一緒にいるというだけで、カーテンを閉ざせばひとつひとつはセルである。
一日24時間を共有しても、会話の一つも無いらしい。
男の人って、あんなもんかねえ・・・と、九子と母は顔を見合わせる。
ところが彼らも、実はお互いを良く観察しあっているらしいということが、次第に判明してきた。
最初4人部屋を嫌がった父ではあるが、そのうち「ここにいる方がいろんな人が通るから、見ていればにぎやかで、寂しくなくていい。」と言い出した。
父のベットは、入り口のすぐそばである。( ^-^)
父の対面(といめん)のAさんは、口がきけない。
父の病棟は外科病棟だから、「手術」をキーワードにさまざまな病気の人がいっしょくたに病室に詰めこまれている。
Aさんはどうやら喉頭ガンの術後で、のどに開いた丸い穴を首に巻いたガーゼで隠している。
その日、父の従兄弟夫妻がお見舞いに来てくださった時、父は寝ていたそうである。
仕方なく帰ろうとしたら、Aさんに手招きをされたそうである。
Aさんは、いつも手元に置いているホワイトボードにこう書いてくださった。
「寝てるように見えるけど、寝てないよ!」
果たして父はすぐに目を開け、従兄弟と話ができたそうだ。( ^-^)
父の斜め向かいのベットのBさん。父の次に入院歴が長かったが、先日退院された。
父がまだ「入院ボケ」が始まらず、好きなテレビや新聞を見ていた頃のことだ。
「社会の窓」の特等席の父のベットからは、日がな一日病室をふらりと飛び出ては、あちこち探索に出歩いているBさんの姿が良く見えたのであろう。
「あの人いったいなんの病気かなあ。一日中ふらふらしているよ。」と言っていたものだ。
ある日、見舞いに来ていたBさんのご家族が、看護婦さんに
「Bさんったら、看護師詰所にまで遊びに来て、看護師が迷惑してます。おうちの方に、もう少し気を付けていて頂かないと・・・。」と叱られているのを見た。
あの位元気になればと皆が羨望の目で見ていたBさんであったが、ああやってしょっちゅうふらふらしてるのが、Bさんの病気なのかもしれなかった。
退院された今になっても、彼がいったい何の病気だったのかは定かでない。
しかし何と言っても、退屈な病室の日常で、事件らしい事件はCさんの一件だった。
残念ながら、その日九子はその場に居合わせなかった。
一部始終は、噂話が大好きなM氏からの嬉しげな報告による。(^^;
Cさんというのは、パンチパーマの威勢の良さそうないでたちとは対象的に、物静かに話す人である。年のころは九子と同じ位・・・かな?。
いつも、小柄な奥さんと、はたち位の息子さんがお見舞いにやってくる。
その日、毎晩なぜか同じくらいの時間に行きあう、その小柄な奥さんの声が病室にけたたましく響き渡ったそうである。
「ねえ『僕を忘れないで!』って一体どういう意味なの?何でこんな手紙、どういうつもりで書いたの?」
「そんな良い人がいるんだったら、あたしなんかより、その人に面倒見てもらったらいいじゃないの!」
隣にいたM氏が、にわかに聞き耳を立てたことは、想像に難くない。(^^;
奥さんの追求は、30分も続いたそうである。
その間、Cさんの方は、煮え切らない返事に終始していたという。
そのうち、哀れ、息子は嫌気がさして、こっそり病室を抜け出してしまった。
(そうだよねえ。)
Cさんにとって幸運だったのは、隣りの3人が、口のきけないAさんであり、放浪癖のあるBさんであり、入院ボケの父であったことだ。
しかし、M氏という伏兵に見まわれるとは、思ってもいなかったに違いない。
(^^;
M氏が言うには「『僕を忘れないでって、一体どういう事なのよ。』って何度も何度も言ってるんだもの。聞いちゃ悪いと思うから、聞かないようにしてたって、嫌でも耳に入ってくるんだぜえ。今でも耳に残ってるよ、あの声・・・。あの奥さん、きっと年上かもな。(M氏、なぜか嬉しそう・・(^^;)」
そういえば、結構感情を押し殺したような話し方をする奥さんだったなあ。あの人に30分も追求されるんじゃ、Cさんだってきついかもなあ・・・と九子も少々同情気味。
次の日、九子は期待して病院へ行ったものだが(^^;、Cさんの奥さんと息子はいつもどおりにCさんと会話をしていて、そんな騒ぎがあったなどとは思えない雰囲気であった。
そっちの方がむしろ怖いけど・・・・(^^;
男性の諸氏、病院へ入院される際は、くれぐれも身辺をきれいにしてからになさいませ!
隣の人と一言も話をしなくても、こういうふうにプライバシーが暴かれることだってあるのですよ。(^^;
それまでの九子の知識では、動詞を否定する語は必ず動詞の前に来た。
notでもneverでも、動詞の後に来るなんぞと言うことは考えられなかった。
そのうえ”Forget me”と言い切って、その上でのnotである。
以来そういうもんだと無理やり納得させて、この年齢(^^;まで来てしまった。
どなたか、文法的に上手に説明してくださる方、いらっしゃったらお願いします。( ^-^)
父は今や、病室で一番の古株である。
気位の高い彼のことであるから、今までの入院はすべて個室で通した。
ところが今回、どうしても個室が取れないということで、とりあえず入った4人部屋が、入ってみたら結構居心地がよさそうで、結局最後まで居すわることになりそうである。
母が入院した時の事を考えるまでも無く、女性の4人部屋というのは大変にぎやかである。
当然似たような病歴の人が一緒の部屋になるわけだから、自分の症状をお互いに披露しあい、プライベートな話にもそこそこみんな通じている。
まあ、同じ病気と戦っている者同志の連帯感みたいなもんだろうか。
それが、男性の4人部屋というのは、がらりと雰囲気が違う。
単に同じ部屋に一緒にいるというだけで、カーテンを閉ざせばひとつひとつはセルである。
一日24時間を共有しても、会話の一つも無いらしい。
男の人って、あんなもんかねえ・・・と、九子と母は顔を見合わせる。
ところが彼らも、実はお互いを良く観察しあっているらしいということが、次第に判明してきた。
最初4人部屋を嫌がった父ではあるが、そのうち「ここにいる方がいろんな人が通るから、見ていればにぎやかで、寂しくなくていい。」と言い出した。
父のベットは、入り口のすぐそばである。( ^-^)
父の対面(といめん)のAさんは、口がきけない。
父の病棟は外科病棟だから、「手術」をキーワードにさまざまな病気の人がいっしょくたに病室に詰めこまれている。
Aさんはどうやら喉頭ガンの術後で、のどに開いた丸い穴を首に巻いたガーゼで隠している。
その日、父の従兄弟夫妻がお見舞いに来てくださった時、父は寝ていたそうである。
仕方なく帰ろうとしたら、Aさんに手招きをされたそうである。
Aさんは、いつも手元に置いているホワイトボードにこう書いてくださった。
「寝てるように見えるけど、寝てないよ!」
果たして父はすぐに目を開け、従兄弟と話ができたそうだ。( ^-^)
父の斜め向かいのベットのBさん。父の次に入院歴が長かったが、先日退院された。
父がまだ「入院ボケ」が始まらず、好きなテレビや新聞を見ていた頃のことだ。
「社会の窓」の特等席の父のベットからは、日がな一日病室をふらりと飛び出ては、あちこち探索に出歩いているBさんの姿が良く見えたのであろう。
「あの人いったいなんの病気かなあ。一日中ふらふらしているよ。」と言っていたものだ。
ある日、見舞いに来ていたBさんのご家族が、看護婦さんに
「Bさんったら、看護師詰所にまで遊びに来て、看護師が迷惑してます。おうちの方に、もう少し気を付けていて頂かないと・・・。」と叱られているのを見た。
あの位元気になればと皆が羨望の目で見ていたBさんであったが、ああやってしょっちゅうふらふらしてるのが、Bさんの病気なのかもしれなかった。
退院された今になっても、彼がいったい何の病気だったのかは定かでない。
しかし何と言っても、退屈な病室の日常で、事件らしい事件はCさんの一件だった。
残念ながら、その日九子はその場に居合わせなかった。
一部始終は、噂話が大好きなM氏からの嬉しげな報告による。(^^;
Cさんというのは、パンチパーマの威勢の良さそうないでたちとは対象的に、物静かに話す人である。年のころは九子と同じ位・・・かな?。
いつも、小柄な奥さんと、はたち位の息子さんがお見舞いにやってくる。
その日、毎晩なぜか同じくらいの時間に行きあう、その小柄な奥さんの声が病室にけたたましく響き渡ったそうである。
「ねえ『僕を忘れないで!』って一体どういう意味なの?何でこんな手紙、どういうつもりで書いたの?」
「そんな良い人がいるんだったら、あたしなんかより、その人に面倒見てもらったらいいじゃないの!」
隣にいたM氏が、にわかに聞き耳を立てたことは、想像に難くない。(^^;
奥さんの追求は、30分も続いたそうである。
その間、Cさんの方は、煮え切らない返事に終始していたという。
そのうち、哀れ、息子は嫌気がさして、こっそり病室を抜け出してしまった。
(そうだよねえ。)
Cさんにとって幸運だったのは、隣りの3人が、口のきけないAさんであり、放浪癖のあるBさんであり、入院ボケの父であったことだ。
しかし、M氏という伏兵に見まわれるとは、思ってもいなかったに違いない。
(^^;
M氏が言うには「『僕を忘れないでって、一体どういう事なのよ。』って何度も何度も言ってるんだもの。聞いちゃ悪いと思うから、聞かないようにしてたって、嫌でも耳に入ってくるんだぜえ。今でも耳に残ってるよ、あの声・・・。あの奥さん、きっと年上かもな。(M氏、なぜか嬉しそう・・(^^;)」
そういえば、結構感情を押し殺したような話し方をする奥さんだったなあ。あの人に30分も追求されるんじゃ、Cさんだってきついかもなあ・・・と九子も少々同情気味。
次の日、九子は期待して病院へ行ったものだが(^^;、Cさんの奥さんと息子はいつもどおりにCさんと会話をしていて、そんな騒ぎがあったなどとは思えない雰囲気であった。
そっちの方がむしろ怖いけど・・・・(^^;
男性の諸氏、病院へ入院される際は、くれぐれも身辺をきれいにしてからになさいませ!
隣の人と一言も話をしなくても、こういうふうにプライバシーが暴かれることだってあるのですよ。(^^;
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