読書力 [<九子の万華鏡>]
前回せっかく集中力の「ある」話だったのに、また「無い」方へと逆戻りだ。
九子は昔から、とても読書家とは言い難い。
「笠原十子の証言」に書いた通り、高校時代、ただの一冊も本を読まなくても、国語の点数が良かったことだけを自慢にしていた人間である。
それが大学へ入って、劣等感のとりこになってから、少しは本を読み出した。本に向き合っていれば、その時だけは、何も出来ない自分を忘れられたから・・・・。
はじめて一人の作家に惹かれた。森茉莉さん。ご存知、文豪森鴎外の娘さんである。
漢字と旧かなづかいが美しい格調高い文体というものを生まれて始めて目の当たりにして、彼女が描く、生活の匂いのしない上流階級の暮らしを夢見た。
彼女の筆にかかると、単純な卵料理が、五つ星ホテルの厨房で有名シェフが作ったそれのような芳醇な香りがしてくるのである。
彼女が、父鴎外に溺愛されて育ち、社会的な適応能力はゼロの女性だと言うのも、自分の生い立ちと重ね合わせて親近感を覚えた。
しかし、彼女の本を何冊か読んだ程度が、九子の読書遍歴(?)の頂点くらいなもんである。
とにかく、ただいまの九子のとりあえずの目標は、一冊の本をなんとか早く最後まで読みたいとその一点に尽きる。
本をたくさん読んでいると、自然に本を読むスピードが早くなるそうだ。
そういう人は、本当に凄い。
そういう人はたぶん、頭の回転も凄いのだ。
世にあふれる「速読法」なるものも、一応九子は試してみた。
そうしたら何と!最初にやることは、腹式呼吸の訓練だった。
「なあんだ!坐禅の呼吸じゃない!」
導入部が、九子にしたらいつもやってるものだったことが災いして、それ以上先に進む意欲がなんだか失せた。
あ~あ、生まれて以来、何十回、何百回、途中で挫折する体験を繰り返していることだろう。
そもそも、坐禅をするとド根性がつくはずなのである。挫折などとは無縁の生活を送れるようになるはずなのである。
それが!その坐禅そのものまでもが、やり方がいいかげんなせいで、そして、そもそも高みを極めたいという欲求が明らかに不足しているせいで、いつまでたっても初心者の域を出ない。
でもまあ、それが九子らしさか・・・(^^;
そう言う訳で、読書によるさしたる知識の集積もないままに、書く作業の方が多い半生を送ってきたような気がする。
九子は話しベタである。
筋道立てて話すことは、割合嫌いではないのだが、どちらかというと自分は寡黙な人間だと思っている。
要するに、のべつまくなく話していると言うことが出来ないのだ。
もちろん体力ゼロ人間だから、しゃべりっぱなしは疲れて出来ないという事情の他に、やっぱり、「いいかっこしい」なのかもしれない。
ばかな話はしたくない・・みたいな意識がどこかにあって、
頭の中で、これからしようとする話を選り好みしている。
結果、沈黙が多くなる。
そして、この沈黙が怖いのである。
その点、M氏はいいなあ。
世間話が大好きで、よくもまあそんなしょうも無い話、みたいなのも臆面もなく出来て・・・(^^;
そして、誰とでも盛りあがって話している。
要するに話好きなのである。
そんな九子だから、当然電話は嫌いだ。
よほどのことがない限り、九子は自分から電話をしない主義だ。
そして、話す事の代替が、書くという作業だったというわけだ。
そんな訳で、九子はずっと手紙を書くのが好きだった。
自分で言うのも変だが、手紙は結構真面目に書いた。
どんな短い手紙でも、書くのにかなりの手間をかけた。
もともと手がのろいのと一緒で、頭の回転も似たり寄ったりであったという事情は否めないが・・・(^^;
そのうち手紙がメールという手段にとってかわられて、余計気楽になった分だけ、よりたくさんのメールを書いた。
そのうち薬局のホームページを作ったら、掲示板というものも良いかなあと思い始めた。
最初は来て下さる方とてまばらであったが、そのうち自ら他の掲示板へ出かけていくうち、来て下さる方々も増え、書き込む返事もなかなか大変になった。
その上たぶん日本人独特の「お礼参り」というやつで、書きこみして下さった方々の掲示板にも書き込まなければ失礼である・・・みたいな意識が芽生えて、ますます一日のかなりの時間を、掲示板の書きこみに費やすようになった。
もちろん、皆さんが来て下さるのが本当に嬉しかったのは言うまでも無い。
しかしうつ病が軽く再発して、大好きだった掲示板を閉じた。
閉じてみたら「こんなに楽だったの?」と思うくらい、書きこみをしない怠惰な日々を満喫してしまった。
禁断の木の実を食べてしまった訳である。
そんなわけで「朝原九子の明るい掲示板」は、まったく勝手な事情によりおしまいになった。
再開する日は、たぶん来ないと思う。
聡明な読者の皆様、もうわかって頂けましたでしょうか。
ここで九子は何が言いたいかというと・・・・(^^;
「九子のダメ母の証(あかし)日記の掲示板に来てくださった方々、本当に有難うございました。心より感謝いたします。
本来でしたらあなた様の掲示板にも伺って、お礼のひとつも述べなければならないところでございますが、そちらの掲示板に書きこみに伺うという芸当が、なかなか出来ないでおります。
実は九子は、掲示板というものから逃げてきた人間なのです。
思いがけない理由により九子の脳味噌が活性化されて、書きこみをすばやくこなせるようになりましたら、必ずや皆様のところへお伺いいたしますが、それにはかなりの時間がかかると存じます。
それまではどうぞご無沙汰をお許し下さい。そして、お察し下さい。
その代わり・・と言ってはなんですが、掲示板に来て頂いたお客様には、失礼の無い様、万全のおもてなしをさせて頂く所存であります。
またその場合、もしかして書きこみが遅れることがありましても、どうか長い目でごらん下さい。必ずお返事いたします。
こんな虫の良いお願いをしながら、九子はあなたが掲示板にいらっしゃるのを首を長くして待ち望んでおります。
これからもどうか九子の日記を御愛読賜りますように・・・・・。」
読書の話から始めて、落としどころはここだったなんて・・・・・。
九子も結構、技巧派だわねえ。(^^;
それにずいぶん図々しいわねえ。(^^;(^^;
九子は昔から、とても読書家とは言い難い。
「笠原十子の証言」に書いた通り、高校時代、ただの一冊も本を読まなくても、国語の点数が良かったことだけを自慢にしていた人間である。
それが大学へ入って、劣等感のとりこになってから、少しは本を読み出した。本に向き合っていれば、その時だけは、何も出来ない自分を忘れられたから・・・・。
はじめて一人の作家に惹かれた。森茉莉さん。ご存知、文豪森鴎外の娘さんである。
漢字と旧かなづかいが美しい格調高い文体というものを生まれて始めて目の当たりにして、彼女が描く、生活の匂いのしない上流階級の暮らしを夢見た。
彼女の筆にかかると、単純な卵料理が、五つ星ホテルの厨房で有名シェフが作ったそれのような芳醇な香りがしてくるのである。
彼女が、父鴎外に溺愛されて育ち、社会的な適応能力はゼロの女性だと言うのも、自分の生い立ちと重ね合わせて親近感を覚えた。
しかし、彼女の本を何冊か読んだ程度が、九子の読書遍歴(?)の頂点くらいなもんである。
とにかく、ただいまの九子のとりあえずの目標は、一冊の本をなんとか早く最後まで読みたいとその一点に尽きる。
本をたくさん読んでいると、自然に本を読むスピードが早くなるそうだ。
そういう人は、本当に凄い。
そういう人はたぶん、頭の回転も凄いのだ。
世にあふれる「速読法」なるものも、一応九子は試してみた。
そうしたら何と!最初にやることは、腹式呼吸の訓練だった。
「なあんだ!坐禅の呼吸じゃない!」
導入部が、九子にしたらいつもやってるものだったことが災いして、それ以上先に進む意欲がなんだか失せた。
あ~あ、生まれて以来、何十回、何百回、途中で挫折する体験を繰り返していることだろう。
そもそも、坐禅をするとド根性がつくはずなのである。挫折などとは無縁の生活を送れるようになるはずなのである。
それが!その坐禅そのものまでもが、やり方がいいかげんなせいで、そして、そもそも高みを極めたいという欲求が明らかに不足しているせいで、いつまでたっても初心者の域を出ない。
でもまあ、それが九子らしさか・・・(^^;
そう言う訳で、読書によるさしたる知識の集積もないままに、書く作業の方が多い半生を送ってきたような気がする。
九子は話しベタである。
筋道立てて話すことは、割合嫌いではないのだが、どちらかというと自分は寡黙な人間だと思っている。
要するに、のべつまくなく話していると言うことが出来ないのだ。
もちろん体力ゼロ人間だから、しゃべりっぱなしは疲れて出来ないという事情の他に、やっぱり、「いいかっこしい」なのかもしれない。
ばかな話はしたくない・・みたいな意識がどこかにあって、
頭の中で、これからしようとする話を選り好みしている。
結果、沈黙が多くなる。
そして、この沈黙が怖いのである。
その点、M氏はいいなあ。
世間話が大好きで、よくもまあそんなしょうも無い話、みたいなのも臆面もなく出来て・・・(^^;
そして、誰とでも盛りあがって話している。
要するに話好きなのである。
そんな九子だから、当然電話は嫌いだ。
よほどのことがない限り、九子は自分から電話をしない主義だ。
そして、話す事の代替が、書くという作業だったというわけだ。
そんな訳で、九子はずっと手紙を書くのが好きだった。
自分で言うのも変だが、手紙は結構真面目に書いた。
どんな短い手紙でも、書くのにかなりの手間をかけた。
もともと手がのろいのと一緒で、頭の回転も似たり寄ったりであったという事情は否めないが・・・(^^;
そのうち手紙がメールという手段にとってかわられて、余計気楽になった分だけ、よりたくさんのメールを書いた。
そのうち薬局のホームページを作ったら、掲示板というものも良いかなあと思い始めた。
最初は来て下さる方とてまばらであったが、そのうち自ら他の掲示板へ出かけていくうち、来て下さる方々も増え、書き込む返事もなかなか大変になった。
その上たぶん日本人独特の「お礼参り」というやつで、書きこみして下さった方々の掲示板にも書き込まなければ失礼である・・・みたいな意識が芽生えて、ますます一日のかなりの時間を、掲示板の書きこみに費やすようになった。
もちろん、皆さんが来て下さるのが本当に嬉しかったのは言うまでも無い。
しかしうつ病が軽く再発して、大好きだった掲示板を閉じた。
閉じてみたら「こんなに楽だったの?」と思うくらい、書きこみをしない怠惰な日々を満喫してしまった。
禁断の木の実を食べてしまった訳である。
そんなわけで「朝原九子の明るい掲示板」は、まったく勝手な事情によりおしまいになった。
再開する日は、たぶん来ないと思う。
聡明な読者の皆様、もうわかって頂けましたでしょうか。
ここで九子は何が言いたいかというと・・・・(^^;
「九子のダメ母の証(あかし)日記の掲示板に来てくださった方々、本当に有難うございました。心より感謝いたします。
本来でしたらあなた様の掲示板にも伺って、お礼のひとつも述べなければならないところでございますが、そちらの掲示板に書きこみに伺うという芸当が、なかなか出来ないでおります。
実は九子は、掲示板というものから逃げてきた人間なのです。
思いがけない理由により九子の脳味噌が活性化されて、書きこみをすばやくこなせるようになりましたら、必ずや皆様のところへお伺いいたしますが、それにはかなりの時間がかかると存じます。
それまではどうぞご無沙汰をお許し下さい。そして、お察し下さい。
その代わり・・と言ってはなんですが、掲示板に来て頂いたお客様には、失礼の無い様、万全のおもてなしをさせて頂く所存であります。
またその場合、もしかして書きこみが遅れることがありましても、どうか長い目でごらん下さい。必ずお返事いたします。
こんな虫の良いお願いをしながら、九子はあなたが掲示板にいらっしゃるのを首を長くして待ち望んでおります。
これからもどうか九子の日記を御愛読賜りますように・・・・・。」
読書の話から始めて、落としどころはここだったなんて・・・・・。
九子も結構、技巧派だわねえ。(^^;
それにずいぶん図々しいわねえ。(^^;(^^;
コメント 0