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人を動かす秘訣 [<正統、明るいダメ母編>]

ゴールデンウイーク中、九子の家では世にも珍しい光景が繰り広げられていた。

九子が寝室の片付けをし、長男Rと三男Yとが、おばあちゃんに頼まれて裏の畑の土起こしにいそしんでいたのである。

片付けられない症候群を書いたところ、もしかした自分もADDなのかと本気で心配になったりもしたが、これ以上病気を抱えたくない一念で、あえてNo!と叫んだ。(びわこさん、そんな訳です。)

No!を叫んだ以上、やれば出来るってとこ見せなくちゃ。

九子の寝室は薬局のある建物の裏にある。
M氏と結婚した当初、建ててもらった新居だった。

最初のうちこそ、みんなで食事をしたりして、台所も居間もお風呂も、しっかりと使われていたのだが、子供が一人増え二人増えしているうちに、生活の場である薬局の建物を離れるなんてそんな暢気なことも出来なくなって、九子とM氏が寝る時だけ使う家になってしまった。

あっ、あとたまに長男Rが帰って来た時使う。それと、子供の友達の仮寝の宿。
もちろん「散らかってるけど、ごめんねえ。」の言い訳付きである。(^^;

いったい何を片付けるかと言うと、衣類である。
母屋で洗濯して、裏に運ぶべく袋に入ったままの洗濯物が、そのままタンスに運ばれることなく、おびただしい数溜まっている。

実はアコーディオンドアで隔てられた隣の部屋は、もっと悲惨なのだ。(^^;

ご存知の通り、九子の母は捨てる名人である。
その母の魔の手(^^;から、九子が守りぬいた数々の古本たち・・・。
それがこの部屋の主な住人である。

ある時は「これさあ、古本屋に売れば良いお金になるんだよ。」と言い、
(出来すぎ母は、お金に弱い。(^^;)
またある時は、「これ一応取っといて、後で片付けるからさあ。」などと言いながら、数年間そのまま放置されていた。

もちろんこの部屋にまで手を付ける気はさらさら無い。(^^;
でもせめて、この衣類の山だけは何とかしなくっちゃなあ・・・・。(ため息)

今更驚く事でもないが、M氏は本当に我慢強い。

我が家のタンスは、当時最先端の二重式で、奥の引きだしに要らない夏物冬物をしまえる様になっている。

今ごろ達人主婦なら、しっかりと冬物を奥の引きだしにしまい、夏物が前に出されているはずである。

達人主婦なら・・・・・。(^^;

M氏は余程のことが無い限り、どんなに暑かろうと寒かろうと、前の引きだしにあるものだけを着ている。お腹があんまり丈夫じゃないので、どちらかと言うと厚着である。

だから・・・と言う訳でもないが、あの4月の長野で30度を記録したうだるような暑さの日にも、ウール100%のカーディガンを着て行った。(^^;

先日、こんなこともあった。
たぶん30度の次の日、山沿いで雪が降った寒い夜だ。

いかにもすまなそうにM氏が言う。

「九子さあ、毎晩毎晩電気敷布いっしょうけんめいスイッチ入れといてもらってて悪いんだけどさあ、もう2ヶ月も前から、コードが本体から外れてんだよ。だから、赤々とスイッチの電気は点いてて、いかにもあったかそうなんだけど、入るとすっげー冷たいんだよ・・・。」

九子は、M氏が寒そうにパジャマに着替えながら話すこの言葉を聞くたびに、なんだかおかしくなって笑ってしまう。

ただ、それだけである。(^^;

それに・・・・。
この言葉を聞くたびにって、前にも聞いたことあったの?

そうそう、あったよねえ。たしか一月前と、ひょっとすると二ヶ月前も・・・。
つまり一ヶ月間隔で、二三度同じ事言われていたような・・・。(^^;

どうしてその時直してあげなかったのって?
思う?やっぱり・・・・。(^^;

だってさあ、M氏って間が悪いんだもの。
九子はもう寝てる訳だしイ、せっかくぬくぬくベッドにいるのを抜け出してまでやりたくないしイ・・。(^^;

それにさあ、九子に物を頼む時は、忘れないように毎日毎日言い続けなきゃ。
5日も立て続けて言われてたら、きっとやってた。(いや、一週間かな・・?)
(^^;
とにかく一ヶ月に一度じゃ、言われないのと同じ。

そんな事ならさあ、いっそのこと、自分でやっちゃえば!!
その方が早いじゃん!

結果M氏は、早々と電気敷布を片付けてしまった。
これからまだ、寒い日だってあるのにねえ。(^^;

M氏はなぜかストーブの前で着替えることをしない。
九子はいつも、ぬくぬくストーブの前の特等席である。(^^;

たまにM氏と着替えがかち合うので、そんな時は優しい妻として(えっ?)
「Mさん!こっちで着替えたらあ?」と一応(^^;水を向けるのだが、彼は頑として拒む。

「大丈夫、大丈夫。ワシはここでいいんじゃ!。どうせ稼ぎが悪いんだから、そんなとこで着替える資格はないんだから・・・。(トホホ)」(彼はTPOでオレ、ワシ、ボク、私を使い分ける。)

そんなとこで無理することないじゃん!と思いながら、九子は、特等席を開け渡さずに済んだことにほっとする。( ^-^)

そう言えば、ベッドの位置だって、九子の方がストーブに近い。
最初はそうではなかった気がするが、こうなってから、途方も無く長い年月が経っているような気もする。

ふとした拍子に、九子が「そう言えば、ベッドの位置だけど・・・」と言いかけても、たいていは「いいんじゃ、いいんじゃ。所詮ワシは養子の身。こういう所が、ワシには似合っているんじゃ・・・。」みたいな事で、ちょん、である。(^^;

そんな訳で、怠け者九子と頑固者M氏を動かすことは、事ほど左様に難しいのである。

(ほらほら、また余計なこと考えてるうちに、手が全然動いてないよ、九子さん!)

窓の外をふと見ると、おばあちゃんに言われた通り、土を耕す長男Rと三男Yの姿が・・・。

ほ~お、やってるね。感心、感心!
(また、しばし手を休め、窓の外の様子に見入っている九子。)

そして、はた!とひらめいた。
そうか!それだったか!

出来すぎ母は、人使いもうまい。(荒い!というべきか・・・。(^^;)
その秘訣を見つけたり!

「やって見せて、言って聞かせて、させてみて、誉めてやらねば人は動かじ。」と名言を残したのは山本五十六元帥だそうだが、わが出来すぎ母には、もう一つ大事なポイントがあった!

母が子供達の脇に、ぴったりとくっついているのだ!

人を動かす秘訣。我が家の子供達の場合。
「やって見せて、言って聞かせて、させてみて、逃げないように見張っていなけりゃ、子らは動かじ・・。」(^^;

その後ちゃんと、お駄賃もやってるから、山本元帥よりも母のほうが鋭い!
さすがだねえ。( ^-^)


(ふっと我に返る九子・・・)
あ~あ!そんな事より、まずはここの片付けだよ・・・・。(^^;
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