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番外編・・・ウツ病あれこれ・・・その3 医者を選ぶと言うこと② [<番外 うつ病編>]

カウンセラーさんの云う通り、薬を倍にしてもらった途端、うつ状態は嘘のように良くなった。

先生に紹介状を書いて頂き、素晴らしいカウンセラーさんのいらっしゃるその女医先生のところへ通うことになった。

ここで紹介状の事だが、やはり紹介状がないと新しい先生に診て頂けないケースが多いようだ。

逆に言えば、紹介状も無しに転院する患者を診るという医者の中には、いかがわしい医者もいるような気がする。

いかがわしいと思われる医者を実は一人、間接的に知っている。

料金がやたら高いのだ。

たぶん精神科の基本的な料金は、最初の面接の時を除き、先生に受診した時は1600円前後、薬だけの時は700円前後ではあるまいか。(長野市の場合だが・・)

それが、そこでは毎回数千円を請求するというのだ。

医者を代える決意を告げることは、ただでさえいろいろな思いを伝えられないうつ状態の患者にとっては辛いことかもしれない。

しかし、ここは勇気を持って告げるべきだと思う。

紹介状がないと、また同じ薬が使われたりして、時間的にも金銭的にも無駄をする事になる。

医者に対する不満が募っていれば、結構気持ち良く言えたりする。


だから実は、女医先生のところへ伺った時には、うつ状態はすっかり良くなってしまっていた。

最初例のカウンセラーさんが丁寧に対応して下さり、彼女にすべてを話した上で、彼女が書き上げた報告書をもとに、女医先生が診断して下さるという感じだった。

実はT先生のところでは、最初から最後までT先生が話を聞いて下さる。

その時は気づかなかったが、やはり医者がすべてを聞いてくれる方が、自分の言葉が直接伝わるから安心感がある。

「う~ん。そううつ病。うんと軽いけどね・・。」女医先生は事も無げにおっしゃった。

薬が効かない神経症ではなくて、薬の効くうつ病だったか・・という安堵とともに、覚悟は出来ていたつもりだったが、いざ告げられてみるとショックでなかったといえば嘘になる。


出された薬は、以前の先生のところで倍量にしてもらったデジレルだった。
もう今はSSRIに押されて、使う人も少ないだろうが、当時はセロトニン受容体に作用する唯一の薬というので脚光を浴びていた。

これでやっとうつの苦しみから開放されたと思ったが、わずかそれから3ヶ月でまた再発した。

デジレルがもう効かない事はわかっていた。

その時女医先生が出してくれたのが、坑精神薬だった。
なんで?なんで他の坑うつ薬を出してくれないの?

まだSSRIは公式には発売されていなかったとはいえ、ほかに選択肢はいくらでもあるはずだった。

坑精神薬は、まったく効かなかった。
その上、坐禅をするのに邪魔になった。

はじめてお読みの方にはおわかりにならないだろうが、私は自分の生まれつきの、そして生い立ちに由来する情けない未熟な性格を、坐禅によって矯正できたと信じている。

小心であったり、人づきあいに不安感があったり、消極的であったり、意思が弱かったり、何より悲観的で暗い性格だったのが、びくびくおどおどしない、明るい前向きな性格に生まれ変われたのは、ひとえに坐禅のお陰なのだ。

その何より大事な坐禅が、薬を飲んでいると集中して出来なくなってしまう感じがした。

ここでもうひとつ大事なことを言わなければならない。

坐禅は素晴らしいものであるが、うつ病には効かない。

もちろん私の坐禅が未熟であるせいかもしれないのだが、私よりずっと修行を積まれた和尚さんがうつ病になられて「坐禅で少しは楽にはなるが、薬以外はこの病気には効かない。」とおっしゃった事が、何よりの証拠と思う。

「坐禅が良く出来なくなるので、他の坑うつ薬を出してくれませんか?」と切り出す私に、女医先生はこう言った。

「坐禅なんてやめちゃいなさいよ。」
そして、自分の言うことを聞けないのであれば、薬無しにやってごらんと言うのだった。

一ヶ月、薬無しで我慢した。

もちろん家は薬局だから、坑うつ薬を勝手に問屋から取り寄せることは可能だった。トフラニール辺りなら、そこらへんに転がっていた。
今思うと、どうしてそうして勝手に飲まなかったのだろう?

自分で言うのも変だが、やっぱり私は真面目な融通の効かない性格なんだろうと思う。

我慢も限界に来たところで、以前T先生に通ってうつ病が治ったという人から、偶然電話をもらった。
「行ってみたら?T先生のところ・・・」

わらにもすがる思いで電話をかけた。

大学生みたいな感じの若い声の男性が電話に出られた。
カウンセラーさんかしら?

それがなんと、T先生その人だったのだ。

そう言えば、T先生に通う時、女医先生からの紹介状はなかった。
T先生がたまたま電話を取って下さったので、紹介状を頂き難い事情を考慮して下さったのかもしれない。

先生が直接電話口にお出になるということは、Tクリニックでも稀なようだった。
たまたまその日は土曜日の1時過ぎだったと思う。
先生だけがクリニックに残っておられたのかもしれない。
そう言う意味で、私は大変幸運だった。

T先生の対応を見ていると、先生のところへ転院希望の患者があった場合、先生が判断されて以前の先生と同様の治療方針の時は、もとの先生のところへ戻るように患者を諭していらっしゃるようだ。

これは、私も知人をT先生に紹介した時経験した。

それはともかく、ひとしきり話を聞いて下さったあと、「そう言うことなら、なんとか他のやり方がありそうですね。予約入れておきますから、おいで下さい。」と電話を切られた。

T先生の面接は大変効率の良いものだった。初診時のしかも30~40分という時間の間に全てを聞き、肝心のことを聞き逃さない。

これはひとえに先生の経験が生んだ職人技だと思う。

そして私はまだ公式発売の前だったルボックスを、試供品だからとただでもらい、それこそあっという間にうつ病から開放されたのだ。

先生は一緒にリーマスも処方して下さった。
「これはね、あなたのようにうつ病の波が頻繁に来るのを抑える薬なんですよ。塩でもなめてるつもりで、ずっと飲みつづけるのがいいと思います。」

その言葉どおり、T先生に通い始めてから4年半もの間、うつ状態は来なかった。

もちろんそのこと自体が大変嬉しいことであったが、T先生がはじめての面接で言って下さった言葉が忘れられない。

「薬はまだまだたくさんありますから、ひとつひとつためして行きましょう。万が一どれも効かなかったら、その時はまた、坐禅一本でやりましょう。」

ああ、この先生なら必ず私を救って下さると、そう確信した。

カテゴリー健康・メンタルヘルスから始めていらっしゃたお客様、どうもお越し頂き有難うございました。 いつも明るい「九子のダメ母の証(あかし)日記」を書いております九子ですが、体調不良のためお休みさせて頂いて、しばらくの間このカテゴリーで書かせて頂くつもりです。 以前の日記はほとんど全て、もしかしたらウツ状態にあるあなたがお読みになるには、明る過ぎて不適当だと思います。 本当に元気になられて、明るい話題が欲しくなった時に、覚えておいて読んで頂けたら嬉しいです。 あなたが一日も早く元気を取り戻されますように・・・・。
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