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ノルウェイの森・・・村上春樹 [<九子の読書ドラマ映画音楽日記>]

ノルウェイの森 上の画像

いよいよ九子が、村上春樹の世界に突入である。



はじめて手に取った村上春樹が「ノルウェイの森」であったのは幸運な事だったのか、それとも、村上春樹の本はどれでも、読者に満ち足りた読後感を与えるものであるのか、とにかくこれ一冊っきりしか知らない九子にはわかりようがない。



とりあえず今九子は、他の村上春樹の本をたくさん読みたくてたまらない。





「ノルウェイの森」に描かれる学生生活は、九子のそれとわずか重なる。

ところは、学生運動華やかなりし頃の東京。



主人公の「ワタナベ」は、自殺した親友の彼女であった「直子」とつきあっている。

直子はその後、京都にある精神科の作業療法のための施設に入所し、二人は頻繁に手紙を書くことで気持ちを伝え合っている。



そのうちワタナベは、大学で同じ講義を受けている「緑」と親しくなる。



ワタナベの住む寮でひときわ目立つエリートの「永沢さん」、永沢の彼女の「ハツミさん」、そして、施設で直子と同室の「レイコさん」らが主な登場人物だが、彼らがとても生き生きと描かれている。



特に小悪魔的な魅力をふりまく緑に至っては、こういう女の子が居たら、きっと男は誰でも振り舞わされるだろうし、見ていて小気味良いくらいだ。



そうそう、「突撃隊」というあだ名の、清潔好きで少々どもるワタナベと同室の男の子は、誰をも笑いに誘いこむ愛すべき人物として描かれているが、たぶん「突撃隊」氏は学習障害

(LD)に違いないと九子は思う。



地図の事しか頭に無い彼は、地図を作る仕事がしたいと大学に入ったが、途中で寮を出てしまう。



長い物語をあっという間に読せてしまう村上マジックには脱帽だが、少々違和感を感ずるところがあるとすれば、その性描写の多さである。



昭和40年代。

女学生たちはそんなにも簡単に相手に身体を投げ出したのだろうか。

セックスは彼らにとってもう単なるゲームに過ぎなかったのだろうか。

九子の知ってる地味な薬学部と、村上氏がいた派手な文学部の違いなのだろうか?



それともう一つ。

自分で命を絶つ登場人物が余りにも多い。

その上、自殺する誰もが、そうせねばならない切実な理由が見当らない事も気になると言えば、気になる。



でもまあそんな堅い話は置いといて(^^;、村上春樹が海外でも根強い人気を保っていると言われるが、今回読んでその意味が良くわかった気がした。



もちろん洋楽や洋書、洋画の話題が多い事は当然であるが、タイトルが使われるのみならず、西洋人ならハハ~ンと思うであろう表現が随所に出てくるのだ。



例えば、緑が「人生はビスケットの缶みたい。」と言う場面があるが、これはきっと映画「フォレストガンプ」の主人公の母親の「人生はチョコレートの箱みたい。」と言う言葉を念頭に置いて書かれたものだと思う。



えっ?九子の記憶力が凄いって?

何しろ1年に映画を1~2本しか見ない人なので、間違えようがないわけよ。(^^;



フォレストの母親は、人生はチョコレートの箱と同じく、紙を剥くまで中に何が入っているかわからないと例えているが、緑の論法によると、人生の幸せはみんな同じ量だから、缶の中のビスケットを、好きなものだけ先に食べてしまうと、後に嫌なのばかりが残る・・・と言う事になる。



どちらの例えも、それなりに面白い。



そう言えば、先日九子が日記に書いた「車輪の下」も、読書家のワタナベが暇つぶしに緑の親がやっている小林書店の店先で見つけた本として出てくるのだ。



この本は比較的新しいドイツの古典だろうから、ヨーロッパ圏の人々には大いに馴染みのある本だろう。



「どのくらい私を愛している?」と緑に聞かれて、「世界中のトラがみんなバターになっちゃうくらい。」と答えるワタナベ。



もちろんこれを読んだ人は、すぐに「ちびくろさんぼ」の話を思い出す訳だ。ちびくろ・さんぼの画像



トラのバター。ヤシの木の周りをぐるぐる回りすぎて溶けてバターになってしまったトラ。これでホットケーキを作ったら、さんぼならずとも何皿だって食べられそうな気がする。



もっともこの本は残念なことに大部前に黒人差別の本であると言われて絶版になってしまったので、知ってる人は、かなり古い人ではあろうけれど・・・。

(^^;



とにかく日本人の作家ではあっても、馴染みの有る西洋の文化が所狭しと並べられている本と言うのは、欧米人の心を捉えるには充分なのではないだろうか。(その上英語でコミュニケーションも出来るとなれば・・・)



アメリカのサイトで見た村上春樹氏の写真は、思ってたよりもずっとたくましく、精力的な感じがする。事実、常にトレーニングを欠かさない体育会系の人らしい。



それより何より、ネット上にあまたある村上春樹関連サイトの充実ぶりを見ると、彼が並の作家ではない事が良くわかる。



たとえば
「村上春樹中毒者のためのインターネット情報源」
では、彼の小説のタイトル毎に、出てきた固有名詞について調べてリンクを張っている。



また、「ノルウエイの森の風景」では、そのものズバリ、例の「寮」の写真があり、どこにあって、どんな名前で・・と言った細かい情報が出ている。



あ~あ、村上春樹を極めるには、九子には時間がなさ過ぎる!



言うまでも無いが、九子は充分若いから時間は有り余るほどある!

あるにはあるのだが・・・。



決して外せないお昼寝時間を差っ引くと・・・・。

やっぱ、少うしだけ若いあなたと同じほどには無いのよねえ。 (^^;

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コメント 7

moko♪

[九子さんおひさです]
村上ワールド、はまりましたか?
私もですo(^-^)o
まだ新しい物は読んでませんが
ねじまき鳥クロニクルとか羊をめぐる冒険は
大好きです

昭和40年代の女子学生は云々・・・の話ですが
今は進学校へ行っている高校生でも同じですよ
ええ、我が子もそうらしい
びっくりしましたけどね

まだ40年代は知っている者同士という感じですが
今はネットなどで知り合ってすぐみたいな子もいて
余計に怖いですね・・・

こんな話を書いている人なので
さぞかし変な人かと思ったら
意外に堅い人みたいですね
by moko♪ (2004-11-30 20:20) 

九子

[mokoさあん!!( ^-^)]
こちらこそ、ご無沙汰しておりましてごめんなさい。

それにしてもいい味の日記を書いてらっしゃるmokoさんは、やっぱり読書家でしたね。( ^-^)

題名だけはなんとなく聞いたことのある村上小説。それにしても、ネジ巻ドリとか、別の名前だったらもうちっと早くに読んでいたかも知れません。「ねじ巻どりクロニクル」なんて、意味わかりませんもん。
意味のわからないタイトルは、どうしても敬遠しがちな九子です。(^^;

都会はそんななんですか!!
まあ、聞いてはいたものの、田舎とはかなり違うようです。

こっちの子は晩生みたいで、まあ、頭の良い県立N高校なんかだとそんな噂がある・・みたいなのは聞いたことありますが、家の子達は夜はみんな家でべったりでしたし、そんなもんかなあと思ってました。

親にとっては、田舎は天国です。
もちろんいづれ都会へ出る子もいるでしょうが、まあそうなった時はそうなった時に考えようと思っています。

村上さんの推薦本など、また聞かせてね。( ^-^)
by 九子 (2004-12-01 20:00) 

moko♪

[クロニクル=年代記です]
全然読書家ではないのですよ(^▽^;♪

ねじまき鳥がいろんな時代に現れる。。
実際にはいないんだけど
その音だけが残りそれを聞いた人の特別な能力云々
という話です

なかなかいいですよ
あたしは好きです
by moko♪ (2004-12-02 23:07) 

ツヨシ

[フォレスト・ガンプと村上春樹]
今日、久々に名作映画を見たくなって「フォレスト・ガンプ」を見ていたら、あれあれ、これは何か村上春樹の世界ではないか、と思ってインターネットを検索したら九子さんのこのページにヒットしました。

フォレストは知恵遅れの子供でストーリーがどこに展開していくかわかりません。村上春樹の小説もそうですよね。なんと、海辺のカフカでは知恵遅れの不思議な能力のナカタさんが出てきます。イデオロギーだとか、偉そうに語る人々は、みんなタダの見せ掛けで、これも春樹の世界かな?最後にジェーンに去られてしまってから、ガンプはひたすら走り始めます。ノルウェイの森の主人公も放浪するし、海辺のカフカ少年は夏目漱石の炭鉱?だったかをしきりに意識しています。そして極めつけは、チョコレート箱。日本語はクッキーの箱だったんですか?英訳は、もちろんチョコレート箱でした。緑の言葉とフォレスト・ママの言葉が重なって、驚きました。

お気に入りに登録するので何度かまたお邪魔しますね。しかし、5人は凄いですね。僕は2人でヘトヘトです。
by ツヨシ (2007-11-13 10:08) 

九子

[ツヨシさん、はじめまして!( ^-^)]
「フォレストガンプ 村上春樹」と検索して来てくださったのですね。ネットって本当に面白い出会いがありますね。( ^-^)

>日本語はクッキーの箱だったんですか?英訳は、もちろんチョコレート箱でした。

あっ、そうなんだ!
日本語は間違いなくクッキーだったと思います。
お察しの通り九子はとてもいい加減な人間ですが(^^;;、この感想文は読んだ直後に書いたものなので間違いないと思います。

英訳がチョコレートだとしたら、英訳も読んで見たいですね。まだほかにどこか違っているのでしょうか。

ブログのタイトル「軽井沢」なのに違ったんですね。( ^-^)
軽井沢なら少しは近くでしたが・・。

お子さんを連れてのアメリカ生活。
私も機会さえあれば海外生活夢でした。
もちろん楽しい事ばかりではないかもしれませんが・・。

永遠の英語学習者ですのでアメリカの事など教えて頂きにブログをまたお訪ねしたいと思います。( ^-^)

あっ、私は一人娘の家付き娘で、5人だろうが6人だろうが面倒を見てくれる出来すぎ父母にみんな子供を育ててもらった落第母です。

まだお子さん小さくて可愛らしいですね。楽しみ~。
by 九子 (2007-11-13 17:32) 

simplelife0530

「ノルウェイの森」は、1987年出版。
「フォレスト・ガンプ」は1995年の映画。
だから「フォレスト・ガンプ」が「ノルウェイの森」の影響を受けたのではないかと思います。
「ビスケット缶」が「チョコレートの箱」
「死は人生の一部」もそのまま。
だから、「フォレスト・ガンプ」は「ノルウェイの森」へのオマージュかもしれない。
by simplelife0530 (2019-02-20 08:35) 

九子

simplelife0530さま、こんなに古い記事を読んでいただき、心より感謝申し上げます。<(_ _)>

あら?フォレストガンプの方が後なのですか?となると村上春樹氏の影響力たるや凄いものがあるのですね。いやあ、日本人として喜ばしい限りです。

今近藤まりさんというお片付けの名人の本が欧米で大ヒットだそうで、印税だけで16億円も稼いでいるらしいですが、正直言って、村上春樹の本が売れる方が日本人としてずっと嬉しいです!!

simplelife0530さん、もしよかったら kasahara@mx1.avis.ne.jp
までメールを頂けませんか?
お待ちしております。(^-^)
by 九子 (2019-02-21 23:19) 

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