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アメリカのドラッグ事情 [<薬のこと、ダメ薬剤師のこと、家のこと>]

九子はご存知のとおり落第薬剤師である。
まず、自分はADD(注意欠陥障害)ではないかと危惧しているほど、まったく考えられないドジな間違いをする。

ADDを疑い始めたのは実は事情がある。
軽い学習障害を持つYを通じて知り合った発達障害の子をお持ちのお母様方の何人かが、実は自分もなんらかの障害があるのではと心配していらっしゃる事が多いことがわかったのだ。

発達障害も遺伝子が関与するものであろうか?

まあそれはともかく九子の場合、一応笠原十兵衛薬局、雀の涙とはいえ(^^;処方箋が来る。

たとえば、大病院から28日分の処方箋が出たとしよう。
粉が3種類組み合わされている。
○○○が2g、△△△が2g、×××が2g。
3種類あわせて分3毎食後という指示である。

それを九子は、並んでいる2という数字を眺めているだけで、「そうか、朝夕分2だ!」と思ってしまう。

つまり処方箋では合計6gの薬を3回分、つまり一回2gに分けなければならないのに、2回分、つまり一回3gにわけてしまったりするのである。

やっと全部出来上がってほっとした頃に、それに気がつくのである。(それでも気がつけば良いほう。(^^;)
そして、最初から分包やり直しになる訳だ。

これが自動分包機でもある大きな調剤薬局ならいざしらず、笠原十兵衛薬局には残念ながらそんなもん、ありません!

万が一それが麻薬処方箋だったりしたら、分包し直しは効かないからすべて帳簿に記載の上、保健所立会いのもと破棄しなければならない。

膨大な時間と手間とお金の無駄になる訳である。

九子は効率を重んじる人間である。
だから、九子が毎日祈ること、それは・・・。

「どうか変な(ややこしい、まぎらわしい、難しい)処方箋が来ませんように!」

祈りはたいていかなえられ、笠原十兵衛薬局は今日も無事で平和で閑散としている。(^^;


そんな落ちこぼれ薬剤師九子であっても「これって変じゃないの?」と思うことが アメリカ では日常的に起こっているらしいというのを教えてくれたのが、The way to EMTMariaさんの日記だった。

Mariaさんはアメリカで救急隊員として活躍されている。アメリカ人と結婚されて、たぶんアメリカに骨を埋める覚悟でいらっしゃるのだろう。

とにかくすべてはADHDについて書かれたMariaさんの記事から始まった。

ADHD(注意欠陥多動障害)の子供たちや大人たちに、日本ではリタリンという薬が使われる。
リタリンは他にナルコプレプシーという症状にも使われる。

ナルコレプシーとは、突然猛烈な眠気に襲われる病気で、職場で眠りこけて怠け者のレッテルを貼られたりする。

そう。眠りを覚ます作用のあるリタリン。
実は覚醒剤=ドラッグに非常に近い構造をもった薬なのである。
そのせいかその作用もかなり覚醒剤に近くて、要するに気分がハイになるのだそうだ。

日本ではこのリタリンが、なぜかうつ病の治療薬として承認されている。
一度リタリンで気分が良くなったことのある患者は、だから医者のはしごをしてでも、このリタリンを欲しがるようになる。
要するに耽溺性(たんできせい)という精神的肉体的依存状態が生じるわけである。

はっきり言って、現在うつ病の治療でリタリンを出してくれる医者は怪しいと思う。
SSRIをはじめ他に良い抗うつ薬がいくらでもある時代に、リタリンを敢えて出さなければならない必要がどこにあるのか?
患者にとって都合の良い医者が、本当に良い医者とは限らないのだ。

なぜならリタリンを飲んでいたら、一生それなしにはいられない身体になる事は見えているからだ。 そしてそれはもう最低限の危険であって、そうすることによってどのように身体が蝕まれていくのかは誰も知らない。 どうしても欲しいと言う人は、自分の身体を人体実験に供してリタリンの毒性を示し、人類に貢献しているというくらいの覚悟で飲み続けるなら、意味はあるかもしれない。


そのリタリンがアメリカでどんな風に使われているのかを知りたくて、九子はコメントを書いた。
そうしたら、お話に加わって下さったNanaさんという方が信じられない情報を下さった。

「小学生の子がADDで、A○○○lという薬を飲んでいるのを近所の高校生の子が知り、その子から盗み取ることをしているとのこと。 なんでもない人には、逆にその薬で“ハイ”になれるそうなことを言っていました。」

そしてそこに書かれていた薬の名前を頼りに成分を調べてみたら、なんと「アンフェタミン複合物」

一番古くからある覚せい剤の成分は「アンフェタミン」と「メタンフェタミン」の2種類。
九子でも覚えている薬剤師の常識中の常識である。(^^;

つまり小学生に出されていた薬は覚醒剤そのものだったのだ!!!

たしか少し前に、カナダかどこかで覚醒剤が合法的に処方箋薬として承認されたという記事を読んだことがあった。アメリカでも正式に承認されたのだろうか?

あまりにも多過ぎる覚醒剤乱用者に、北欧のどこかの国で、政府が合法的に配布する事によって、裏組織に流れるお金を減らそうと考えたというような話もあった。
(すみません。九子、数字と地名には滅法弱いので、いつも情報源があいまいです。m(_ _)m )

まあ北欧とアメリカでは事情が違いそうだが、確かな事は覚醒剤が病気の治療に使われていて、そしてその薬がネットで堂々と売られているのである。

さっそくネットで薬の解説を見てみた。
なるほど確かに最初に人目を引くように「この薬を飲むとこういう副作用がでます。」というのが書いてはある。

だがそれはほとんど催眠剤でも見られるような穏やかな表現で、確かに「医者の指示なしに使うと依存の危険があります。」とか「指示どおり使わないと止めるのが困難になります。」程度の事は書いてあるが、
「これは覚醒剤ですよ、続けて使うと体がぼろぼろになりますよ。薬が切れると禁断症状に苦しみますよ。」などという強い表現は、これっぽっちも使われていなかった。

さらに驚くべき事にはペンシルベニア大学健康教育事務所HPでは、「これは魔法の薬?」と題して、学生達がいかにこの薬を安易に使って集中力を高め試験を上手にやりすごしているかが述べられていて、まるで使わない学生が損をしていると言わんばかり・・・。

「私はたまに使うだけだけど、私、依存なんかありません。」とか、
「吸引したり注射したりは確かに早く吸収されるので危ないかもしれないけど、飲んじゃう分には平気。」みたいな発言があったりして、もうこれはどういう世界だ!と我が目を疑ってしまった。


別のあるサイトではこんな文字が人目を引くように書かれていた。
「処方箋薬を、処方箋無しに手に入れることが出来ます!」

これは日本では信じられない話である。
もし薬局に、たとえば催眠剤を欲しがる人がきて、九子が処方箋なしに売ってしまったら、そしてそれが発覚してしまったら、九子は間違い無く新聞に大見出しで載ることになる。

たとえそれが、近くの歯医者さんから出ている痛み止めで、「この間処方箋でもらった薬が切れてしまって、夜痛くてたまらないのだけれど・・。」とおばあさんが遅くに入って来られたとしても、それが劇薬に類する痛み止めであった場合、非情なようだけれどもお売りすることは出来ないのである。

これは実は実際にあった話で、その方は、実は高齢ではあるが車の運転をされるのだ。
だから九子は、夜間救急をやっている病院を紹介してそちらに行くように説得したのだが、結局とても憤慨されて帰ってしまわれた。

笠原十兵衛薬局はまた一人、ただでさえ少ないお客を失うことになった訳だが、致し方ないと思っている。

処方箋の薬は、処方箋がないと手に入らないという日本では極めて当たり前のことが、アメリカでは当たり前でなくなってしまっているという現実。

その上、覚醒剤そのものの薬が処方箋薬として使われていて、しかも「処方箋薬が処方箋なしに手に入る」サイトを利用する事によって、極めて簡単に手に入ってしまうという現実に、驚きを通り越してうすら寒い感じがした。

(・・・依存症の国アメリカへつづく)

なお、リタリンに興味のある人は「リタリンをADHDのお子さんに・・」もご覧下さい。

★A○○○Lは、あるサイトによると、アンフェタミンの低濃度含有物であり、比較的安全であるということでした。 しかしこの「比較的安全」は、薬と比べてというよりは、他の覚せい剤と比べてという意味合いのようです。 とにかく、この薬の安全性をまだ誰も実証したことがなく、そのため「研究用薬」という分類になっています。 しかし現実に依存を示す人が多くて、「やせ薬」としてや「集中力を増すため」(本当に短時間しか効かないそうです。)の安易な使用を慎むように書かれている健全なサイトも見受けられました。 安全だと言い張る人は、下のような現実をどう考えるのでしょうか?

★カナダにおいてA○○○Lを使っていたADHDの患者に 20人もの死亡者が出たため、最近カナダ政府はこの薬を使用するのを中止させました。イギリスとアメリカはこの処置にオカンムリです。 A○○○Lはイギリスの製薬会社のドル箱だからだそうです。アメリカは一番のお得意さんで「我々が使っているものをなぜ禁止にするんだ!」と怒りをあらわにしているそうです。 ε-(ーдー)ハァ?
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近くの住人

[薬の禁断症状]
九子さん 先日はありがとうございました。

私は神経症です。抗不安薬と眠剤を飲んでいます。多い年で10種くらい飲みました。
抗うつ薬は今は止めちゃいました。あれは副作用が強くて医者に断ったんです。

ある年のことでした。薬の副作用でトイレは行けなくなっちゃう。鼻は詰まる。ろれつはまわらない。頭はボーとしてくる。食べすぎて過食症になって89㎏になってしまいました。

そこで薬を中断しちゃったんです。独断で。そうしたら大変なことになってしまいました。
眠れないのが半年続き、高熱39度となり、不定愁訴が心身を襲いました。

まるで麻薬の禁断症状(?)のようでした。あの苦しみは忘れられません。

私もSSRIを処方して下さいって医者に言ったら「そんなに変わらないよ」と剣もほろろでした。

ということで皆さんお薬は正しく飲みましょう。
by 近くの住人 (2005-09-24 22:18) 

九子

[近くの住人さん!]
>薬の副作用でトイレは行けなくなっちゃう。鼻は詰まる。ろれつはまわらない。頭はボーとしてくる。食べすぎて過食症になって89㎏になってしまいました。

これは三環系と言われていた古いタイプの坑ウツ薬ですね。たぶん副作用の方が先に出て、効き目が出るのに2週間もかかると言われていた薬ですから、なかなか飲みにくかったと思います。

今のSSRIは、これほど飲みにくくは無いと思います。一番は吐き気とか食欲不振ですが、慣れると平気になることも良くあります。

>そこで薬を中断しちゃったんです。独断で。そうしたら大変なことになってしまいました。
眠れないのが半年続き、高熱39度となり、不定愁訴が心身を襲いました。

近所の住人さん!それは、あまりにも無謀というもの!!
でも、それにしてもひどい副作用でしたね。ちょっと考えられないくらい過激な副作用です。

無謀と言いながら、私もSSRIを勝手に飲んだり止めたり(一応T先生には事後承諾で(^^;)しておりますが、そんな目には合わずにすんでいます。

いずれにしても、薬の飲み方はお医者さんに相談してというのが基本ですね。処方箋で出してある薬で事故が起きたら、その責任はお医者さんとあるいは調剤した薬剤師とで責任を取れますが、決められたとおり飲まないで事故が起きたら患者さんの責任ですから・・・。


と言いながら、そんならあんたはどうなのさ?と言われるとあんまり大きな顔も出来ない私ですけれど・・・。(^^;
by 九子 (2005-09-25 23:27) 

みい

[こんにちは]
九子さん、るるさんのところでレスいただきありがとうございます。
改めましてご挨拶に伺いました。

実は、るるさんのマイアンテナから、こちらの方へは
時々、こっそりお邪魔させていただいておりました。
重い話題のところに、横やり申し訳ありません。

以前、村上春樹のことを書いて下さっていて
とても嬉しく拝見しました(^^)
また、こそこそっと読みに来させていただきますね。
by みい (2005-09-26 13:30) 

春の雪。

[リタリンについて。]
初めまして。
ある掲示板から紹介されて(大学進学を果たした息子さんの話)以来、ロムさせて頂いてました。多分、息子さんの大学最寄り駅は、我が家の沿線上だと思われます。いやしかし、ずっと先の事とは云え、励みにさせてもらいましたm(_ _)m…。あと、息子さんの行かれた小学校に転校しようか、とも考えたくらいです(汗)。
…うちの息子は今、小学校二年生。
学習障害?と思い始めてからはや一年過ぎ、その間、怒涛の辛酸台風(日本語変ですが)、広汎性発達障害かも…?と又『獏』っとした診断名が付いてしまったわけなんですが。
最近、リタリンを飲み始め、よくあるらしい「不眠」が始まり、口渇き水をたくさん飲むせいなのか?物凄い下痢で、先だって学校を休みました。
悲願のお友達を早速作れたり、お勉強も落ち着き集中して出来たり、と効果もあるんで、そりゃ断腸の思いで飲ませてはおりますが…正直複雑です。効いてる時は、やや我が子じゃない感じがし、薬が切れるとやっぱりいつもの我が子に戻る感じがします。
(頼みのはずの)担任が特に理解が薄く、リタリンのドラッグホリデーの土日に飲むよう勧めてきたり、と神経を逆撫でされたりもあります。単純に、落ち着きが持続すれば、担任ご自身の対処が楽になるから、という事らしいです。
実は、勧められたのは又別の親御さんなわけで…そうなんです、結構飲む子が多くなってきてるようなのです(又別の子は、それこそ抗うつ剤飲んでます…)。
確かに安全の実証があるから、藁にもすがるつもりで、皆さん服用させるのでしょうが、万能の薬なんてあるわけもない、と疑い深い(慎重とも云う)私は、いつも多少の「?」を持って飲ませています。
皆さん、考え方はそれぞれで、良くなるんだから助かる!と全幅好意的な方も居るし、日本もクラスに何人も、普通に飲む時代になったのか…と憂う方も居たりします。
私は、安易な服用が怖いというのも正直ありますし、何より、そういう子供らが服用した時に、教育側からどう働きかけたらより効果的かってところで、もっと真摯に真剣に、実は対応してもらいたい、と考えます。
ほとんど期待をしちゃいけない世界みたいなので、こう恒常的に息子を気にかけており、おちおち仕事も手につかないでいるのですが…。だんだん愚痴になってきましたね…。
九子さんの、リタリンについての考えなどお聞かせ願えたら、と思い図々しくも書き子しました。ペコリ。
by 春の雪。 (2005-09-26 15:47) 

九子

[みいさん!( ^-^)]
>実は、るるさんのマイアンテナから、こちらの方へは
時々、こっそりお邪魔させていただいておりました。
それはそれは有難うございます。こちらからも見に行かせてくださいね。( ^-^)

そう言えばこの頃読書日記が少ないですね。って言うかあんまり読んでない。(^^;

村上春樹、凄い才能ありますよね。
「半島を出でよ」でしたっけ。読みたいんですが、上下というのはなかなか手が出なくて・・。(それにまだ安売り本屋にもないし・・。(^^;)

また良い本いろいろ教えてくださいね。( ^-^)
by 九子 (2005-09-27 11:03) 

九子

[春の雪さん!( ^-^)]
こちらこそはじめまして。
>ある掲示板から紹介されて(大学進学を果たした息子さんの話)以来、ロムさせて頂いてました。

有難うございます。こうやって私が知らないうちにどこかで読んで下さる方がいらっしゃるんですね。本当に有難いです。

もし良かったら「ある掲示板」というのを教えていただけませんか・
お礼に伺いたいので・・。

それから息子の大学の沿線にお住まいなんですね。それも何かのご縁ですね、きっと。

うん。信大附属小学校、とても良い小学校だったと思います。信州大学教育学部の初等教育の伝統が一番色濃く残っている学校のような気がします。
でも、転勤族の方々には、次の学校へ行った時の不安やら心配(勉強大丈夫かなあ?)があったみたいですよ。(^^;

リタリンを息子さんに最近服用させ始めたところなんですね。

>悲願のお友達を早速作れたり、お勉強も落ち着き集中して出来たり、と効果もあるんで、そりゃ断腸の思いで飲ませてはおりますが…正直複雑です。

私が書いたのはあくまでも安易にリタリンを使わないようにという意味で、実際にこうしてADHDのお子さんの症状に良い変化が現れているのだとすると、やはり必要な薬なのかと私も正直お答えに窮します。

春の雪さん(素敵なハンドルネームですね。( ^-^))を始め、きっとリタリンをADHDのお子さんにに使おうかどうしようか迷っていらっしゃる方も多いと思いますので、次回は緊急に「リタリン特集」を組む事にします。

今日は一応更新日(2の日と7の日)ですが間に合いそうにないので、
出来たらその間にでも挟めたら良いと思っています。

一応製造会社から資料もらったりしてますので(そういう点は薬局やってるメリットかな?)一応九子なりに考えた事をまとめられたらと思っています。

春の雪さんの御心配は、ADHDのお子さんをお持ちのお母様方すべてのご心配だと思います。

今手元にあるリタリンの添付文書を見てびっくりした事の一つは、リタリンが製造されたのはもう50年近く前であると言う事実。

英語サイトによると、50年前からADHDの子供達に一部適応されていたみたいです。

その子達が今どうなったかが一番知れたいところなのですが、それが見つかりません。

でも、こんなに長い間消えずに残っていた薬であると言う事実には、重みもあるような気もしますよね。

いづれにしても、ADHDのお子さんと向き合うと言う事は、お母さん方にとって私なんかが想像つかないほどしんどい事なのだと思います。

そうやって毎日頑張っているお母様方が少しでも楽になるようにリタリンが使われているのならいいのですけれど・・。
by 九子 (2005-09-27 12:30) 

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