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ビンボー神 [<正統、明るいダメ母編>]

振り込め詐欺事件が九子に与えた影響は大きい。

いつになく気が大きくなって、食材が10円100円高かろうとかまわず買ってしまう。

家庭内の合言葉は、「あの時○百万を振り込んで居たと思えばなんでも買える。」である。(^^;



あれだけ思いっきりのバカ騒ぎを演じてしまうと、続きに書こうと思っていた受難物語など、はっきり言ってどうでもよくなる。



こう言うのを毒気に当てられたと言うのか、はたまた、宝くじやギャンブルで大儲けした後千円や一万円儲けても儲かった気がしないっていうのと同じなのかどうか、とにかく刺激を求めている九子がいる。



っていう訳で、今日は衝撃的なタイトルというだけで、この話を書くことにした。( ^-^)







ニックネームにはいろいろあって、たいていは言われて本人が喜ぶものでなければいけないのだろうが、肉体の欠陥の特徴であるハゲ、デブ、ブスなどは面と向かって言うのはタブーであり、特に今時は裁判沙汰にもなってセクハラ(sexual harassment)で訴えられたりすると言う。



ところがここに、「ハゲ」と言われて喜び、「ビンボー神」などという誰が考えても愉快ではないあだ名までもをおおらかに笑い飛ばしている人がいる。



M氏である。(^^;



M氏のすごいところはそれだけではない。

それが事実に鑑(かんが)みてまったくの図星であるにも関わらず、従容(しょうよう)として受け流しているのである。(^^;



M氏が生まれたN家は、何代も続く大地主であった。

歴史にその名も残すK地区のN家と言えば、一時はK駅に行くのに他家の土地を踏まないで行く事が出来たと言う。



その豊富な資金力で先々代のご先祖が銀行を初めたのであるが、銀行の取りつけ騒ぎで田地田畑の大半を手放し、戦後の農地開放などもあって苦境に立った。



だから・・と言う訳でもあるまいが、彼の兄姉たちはみんな満州生まれである。

すぐ上の姉と末っ子のM氏だけが引き揚げてきてからこちらで生まれた。



彼は苦学した。

長野の名門N高校の現役時代は鳴かず飛ばずであったらしいが(^^;、毎日田んぼや畑の草むしりで鍛えた持ち前の根性で、浪人時代は国立大を充分望める成績を維持し、しかし試験で名前を書き忘れる大失敗の挙句、学費免除で某私立大に進学する。



当時跡取り息子の兄は結婚し、やりくり上手、もてなし上手の天下一の嫁である義姉にM氏はいろいろとお世話になる。



考えてみるとN家の家運が上昇して来たのは、M氏がN家を出て大学へ進んだあたりからである。



大学時代のM氏の暮らしぶりも、聞く限りにおいては大変つましいものであった。

当時のM氏の写真はどれを見ても今からは想像もつかないやせ細った姿。そして身に付けているのはどこで見つけたのか500円のブレザーだそうな。



今でこそどこかのバーゲンへ行けば「500円のブレザー」など見つけるのはたやすいかもしれないが、当時始めて聞いた九子は驚愕した。



そして、仕送りの不足を補うためにM氏がやったのがパチンコなんだそうだ。

「あの時は絶対負けなかったなあ。何しろ生活かかってたからなあ。」(^^;



そう。M氏は生まれてからこの方、いつも貧乏であった。

まあ仕方ない。ビンボー神なのだから・・。(^^;



一方M氏の去った現在のN家は、地元の優良企業の重役をしている義兄の給料と、それでも残る膨大な土地とで裕福に暮らしている。





M氏と結婚した頃、今から思うとわが九子家の家計は絶好調であった。



父は現役の市会議員だった。

母は持ち前の押しの良さで、薬局は潤っていた。



一人娘の九子は、今から思うとN子の生まれ変わりかと思うほど(^^;倹約にこれ勤め、贅沢品はすべて、せめて可愛い一人娘が少しでも見栄え良くなるのであればと、株で儲けたお金で、やれ着物だ、やれスーツだと出来すぎ母が買い漁った。



何にせよ、子供は一人なのだ。五人に比べればただみたいなもんである。( ^-^)



そこへやってきたのがM氏であった。

三国一の花婿と呼び声の高かった彼が、実はビンボー神であったなどと誰が信じよう。(^^;



何度も海外旅行もし、週末ともなれば毎週のように外食する習慣は、九子に子供が出来るまで続いた。

(つまり可愛そうな九子の子供達は、物心つくまで外食もままならなかったという訳だ。)





以前父はM氏の事を評してこう言った。

「Mさんは実業家だなあ。平気で借金をする。オレなんか借金嫌いだからとても実業家にはなれないよ。」



だがしかし、本当の実業家というものを九子は知っていた。

九子が若い頃お世話になったU市のS薬局社長K先生などは、恐らく極めつけの実業家であった。



K先生は良く言っていたものだ。

「借金なんかでびくびくするな!一億や二億の金でがたがたするな!」



そう。事業を大きくするためなら多額の借金もいとわないのが本当の実業家なのである。



しかしM氏の場合、事情は明らかに違っていた。



彼からのお昼過ぎの電話には要注意である。

「おい九子、また頼む。必ずすぐ返すから20貸してくれ!」



この20が、20円や20億でないことはおわかりであろう。

そしてM氏の名誉のために言っておくが、確かにその20は、返って来る事が多いのである。

(まあ、いつもとは言わないが・・・。(^^;)



こういう金の借り方をするのが実業家であるとは、九子は決して思わない。

はっきり言ってしまえば、こういうのを自転車操業と言うのだろう。(^^;



こんな状態であるからして、金食い虫の長男の学費などはおじいちゃんの年金頼みである。



父だってさぞや「あ~あ、こんなはずじゃあなかった!」と言いたいところだろうが、嫁にいかせるつもりで育てた訳じゃない(^^;不出来な一人娘をもらってくれた大事な婿殿の手前、(いくら腹の中ではなんと思おうと(^^;)そんな事は口が裂けても言えない。



と言う訳で、M氏のことを「ビンボー神」などと不届きな事を言うのは、もっぱら子供達、そして、当の御本人である。(^^;



N子とM子が可愛らしい小学生だった頃、彼はフケをまき散らすしぐさをしながら良くこう言ったものだった。 

「お~い、こっちへ来るなよ~。ハゲ菌とビンボー菌がくっつくぞ~!」



あの頃キャーキャー言って逃げまわっていた娘達も今や高校生になり、さすがにバカにされると思ってか、M氏がハゲ菌やビンボー菌の話をすることはなくなった。



しかし九子は年々薄くなっていくM氏の頭を眺めながら、この分ではまき散らしたくたってフケも出ないんじゃあないのかな?と勘ぐっているのであるが・・・。(^^;





☆こういう不思議なM氏ですが、正体はもうすぐわかります。ですからM氏を実際にご存知のみなさん、もう少し秘密にしておいて下さいね。( ^-^)



ビンボー神その2はこちら
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