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「中田英寿」という生き方 [<九子の万華鏡>]

スポーツ音痴の九子が唯一、フルネームで名前が言えるサッカー選手、中田英寿が引退した。

彼が自分のホームページに書いた引退声明が話題になり、国語の教科書に使われる動きもあるやに聞く。

彼が文章上手であると言うことに、別段不思議はない。

彼は十中八九文系人間である。
彼の語学の才能がそれを物語る。

イタリアセリエAペルージャに移籍してほどなく、堪能なイタリア語を披露する彼の姿に、「一年やそこらでこんなにしゃべれるなんて、この人、語学の天才かもしれない!」と九子は思った。

以来彼のどんな活躍も、彼の天性の能力の高さによるものであろうとなんとなく思うようになった。
つまり彼は努力家というよりもむしろ天才肌であるのだろうと・・・。

ところが今回の突然の引退報道で、実は彼のイタリア語は、高校生の頃から彼がこつこつと努力してきた賜物であったことがわかった。

「えっ!すごい!!」
九子は改めて中田英寿と言う人を尊敬した。

何しろ、語学と言えば九子!・・・はないが(^^;、文系と言えば九子である。
その文系人間九子が第二外国語として取っていたドイツ語・・・・。

それでもこれでも大学時代は、へこんでる理数系を必死で持ちあげてる立役者であったはずなのだが、すっかり忘れていたのを長野オリンピックの前に3年ほどまた1からやり直した結果・・・・・。
現在はまた1に逆戻りである。(^^;;

それほど、ふだんまったくと言っていいほど使わない外国語を習得するのは難しいのである。

えっ?中田英寿と九子とをいっしょにしないでくれって?
ごもっとも。(^^;

中田英寿の場合幸運だったと思うのは、イタリア語習得が彼のサッカー人生の究極の実現であるところのイタリア留学と切っても切れない関係であったと言うことだ。

以前から九子は、「語学留学」というものに疑問を持っている。
語学というのは、外国人とコミュニケーションをとるための手段にすぎない。

いわば道具にすぎないものを学ぶだけのために外国に行くというのは、本末転倒ではないか。

別の目的があって海外で生活する時に、話が出来ないと困るからその国の言葉を習うというのが本来の姿ではないのか。

その上道具を学ぶ事だけが目的だった場合には挫折した時にすぐに諦めやすいが、他に大きな目標があればそこに留まる事が出来る。

(もちろんこんなことを公言してしまうと、他に得手とするものが何もない九子自身の首をしめることになることは言うまでもないのだが・・・。(^^;)

高校生だった中田英寿は、自分がサッカーの選手になってイタリアに旅立つ姿をいつも心に描いていたに違いない。

イタリアの選手といっしょにプレーをするならば、イタリア語が出来た方がよいと考えるのは至極当然である。

ただし夢を持つのは誰でも出来るのだが、その夢に向かってこつこつと努力する事が出来る人は多くはないのが現状だろう。

中田英寿はきっと、夢に向かってありとあらゆる努力をする能力にも恵まれた天才だったのだろう。

その上サッカーで養った集中力もある。


日本が負け続けた今回のワールドカップで、選手たちの何人かが移動バスの中でゲームに興じていた姿を報じていた新聞があった。

スポーツ選手というのは、こういう人種がごくごく普通なのだろうと九子は常日頃思っていた。

勝つか負けるかしかない勝負の世界にいて、勝つか負けるかしかないゲームが大好きなのはむしろ当然である。

中田みたいに、試合が終われば一人、語学の勉強に没頭するほうが不思議なんである。

「孤高の人」と形容された中田だが、なるほど付き合いはよくなかったかもしれない。
移動時間の大半を自分の殻にこもって語学の習得に費やしていたとすれば、「つきあいを重んじる日本人としてどうよ!」って事になるのもわかる気はする。

それを敢えてするところが、出来るところが、中田の中田らしい所なんではないだろうか。
「叩かれても、オレはオレ。」


彼の引退声明の全文を読んだ。

彼は何よりサッカーが大好きなのだと言うことが痛切に伝わってきた。

好きであるということ。好きな何かがあるということ。
これは幸せなことであると同時に、とても大事な事だ。

努力や忍耐という言葉におよそ関係のない人生を送っている九子ですら、まあ長年続けているものがあると言えば英語である。

下手ではあるが、好きだから、なんとなく続いてしまっている。

努力出来ない人間でも、好きなことなら続くのである。


最近の奈良医師宅放火事件と言い、阪大生による母親殺害事件と言い、またしてもと思うような事件が繰り返される。

犯行そのものは憎むべきだが、犯人の心情を思うと同情を禁じえないところもある。

父に、あるいは母によって、自分の意思を無視されて、敷かれたレールに沿った人生を歩み続かねばならなかった悲劇。

「人生をリセットしたかった。」という放火犯16歳少年の言葉がすべてを物語る。

好き嫌いというのは、たぶん一番単純で原始的な物事の判断基準であろう。
自己主張に乏しく、あいまいと言われる日本人であるが、せめて最低限の自己主張として何が好きで何が嫌いかくらいははっきりとしておきたい。

同時に子供の好き嫌いにも関心を寄せたい。

親があまりしゃしゃり出過ぎると、自分の好きなことのわからない子供が出来上がってしまう。
そしてそれは子供にとって大変不幸な事なのだという事を、親は肝に銘じて欲しい。


子供たちよ。自分が何が好きで何が嫌いかをはっきり知ってほしい。
そして、自分の好きな事を大切にしながら、大きな夢をもって欲しい。
そしてそのために毎日する努力を惜しまないで欲しい。

そうすれば中田英寿のように、一粒で二度おいしい人生を送れるようになるかもよ。( ^-^)

おっとっと、またもやいつも読んでいて下さる方々には耳たこの方向へ脱線するところだった。(^^;;



中田英寿のHP上の引退声明を読んだだけではわからなかった引退の理由が語られているビデオを見つけた。

ビデオには、ヨーロッパのさんざめく英雄たちの中で共に活躍した中田の姿と、引退を語るさばさばした表情の中田が収められていた。

彼は言った。
「『感動を有難う。』と言うメールをたくさんもらったが、自分がみんなの期待に100%応えられる、結果を出していけるというところで始めてプロとしてやっていけると思う。それが100%持てなくなった時点で、僕の中でのプロとしては終わりだなと思った。ただ単にプロと言う名前でやると言うのでは、自分では納得しない。みんなが納得出来る結果を出せて始めてプロとしてやっていく意味があると思う。そこに一度ただお金もらってやればいいやというような感情、一度そう言う妥協を許してしまったら、人生においてずっと妥協してしまいそうだ。一つのことを本気でやるなら100%自分の納得した形でやりたい。」

このビデオと彼の引退声明、そしてヨーロッパ時代の華やかな活躍のビデオも重ね合わせて彼が言いたかったことを推測してみた。門外漢の深読みは勘忍して頂きたい。

「僕はいつも一流を求める。もしも最強と言われたこの日本チームが本当の意味で一流であったなら、僕はまだサッカーを続けていた事だろう。僕はチームのみんなに自分の持っている力に気づいて欲しくて精一杯伝えようといろいろ努力して来たつもりだったが、彼らには伝わらなかった。僕はヨーロッパの一流選手の中でプレーが出来たし、それなりの評価も得た。もう僕はそれで満足だ。だから今度は更なる一流を求めて自分探しの旅に出る。
僕に誇りを持たせてくれたたくさんのサポーターの皆さんには本当に感謝をしている。」

中田英寿はチームの中で浮いてしまっていたと言われたが、彼の目指す「一流」を理解出来ずに中田一人を浮かせてしまったチーム全体にも責任があるのかもしれない。

言葉は悪いが中田が見限った日本チームを、オシム監督がどう育てるのか。

ワールドカップだけしか見ないこの九子が(^^;、果たして4年後何を見ているのだろうか?
「4年後九子はもう○○才だよ。」という恐怖とともに(^^;、出来る事ならワールドカップで日の丸を背負った新しい選手達を見てみたいと思う。
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ねこまにあ

[100%の納得]
はじめまして(^^)ワールドカップカテゴリから遊びに来ました。
ナカタさんのサッカー、生き方って、やっぱり日本人離れしてるなと
思いながら、今回のワールドカップをわたしも見ていました。
100%の納得、なにものにも妥協しない、そういうヒトだけが一流になれるんですね。
今年はトリノ五輪といいワールドカップといい、
ホンモノの人間ドラマを見られる機会に多く恵まれたなって思っています。
by ねこまにあ (2006-07-12 10:14) 

あずーる

[日本人の潔さ]
九子さん、おひさです♪毎日あつくなりましたね。
中田ヒデさんの引き際のかっこよさにサムライ的日本人をみました。
100%いつも完全燃焼で自分らしく生きる彼に、特に中途半端な私としては尊敬してしまいます。(まぁ、九子さんのかかれているように 偉大な彼と比べること事態おかしいけど。)

今、100%仕事してなくても、しがみついている政治家、天下り役人などなど多いので能力のあるヒデさんが、本人はそうは思っていなくても、新しい道に進むっていうのは後輩にチャンスを譲ると言う意味で今後のサッカー会の活力にもつながると思います。

>語学というのは、外国人とコミュニケーションをとるための手段にすぎない。

そう、勉強すればするほど、コミュニケーションの中身が大切なのに、今だにそれに気づかない語学おたくが多いです。

>いわば道具にすぎないものを学ぶだけのために外国に行くというのは、本末転倒ではないか。

そうです!私も若いときは道具だけを学びにいって、帰国してそれから英語も日本のことも勉強しました。
今は昔とちがい、ネットやTVで日本にいながら情報は英語で得れるので、それで勉強してから目的を持って留学するのが一番だと思います。目的がないと、日本で普通の暮らししててもそうですが、無為に時間はすぎていくものです。

>別の目的があって海外で生活する時に、話が出来ないと困るからその国の言葉を習うというのが本来の姿ではないのか。

今は、「住んでみたいから」という理由だけで海外に滞在するひとも多いです。それも、ひとつの生き方かもしれません。
でも、住むだけで日本人と集まって日本と同じような暮らしして、その土地のことを知って、そこで友達を作る努力をしない人っていうのは、せっかくの貴重な住むという体験を充分にいかしていないと思います。

そうそ、ワールドカップの勝敗で負けたチームに対して、日本はやっぱり「プロ」が育ちにくい土壌なのかもしれないなぁと思いました。
ブラジルでは、帰国した選手たちに ひどいブーイングでしたが、日本ではそれほどでもない。勝っても負けても応援しつづけるのもファンですが、厳しいコメントや態度をとらないと、プロという人材は育たないでしょう。(これはスポーツ界に限らず)

ごめんなさい。また、長々と書いてしまいました。
by あずーる (2006-07-12 13:39) 

九子

[ねこまにあさん!( ^-^)]
ようこそおいで下さいました!( ^-^)

あの、もしかして、以前どこかでお名前をお見受けした感じがするのですが・・。
やまねこさんとか、ご存知ないでしょうか?

それから、そちらに早速遊びに行ってみましたら、るるさんのサイトがアンテナされていて、実は彼女がしばらくお休みなさっていたため、なぜかこちらのアンテナから抜けてしまっていて、また元気に再開されていたのを知らなかったため失礼してしまいました。そちらに伺って良かったと思っています。( ^-^)

そんなこんなで初対面という気がしないねこまにあさんですが、コメント本当に有難うございました。

>100%の納得、なにものにも妥協しない、そういうヒトだけが一流になれるんですね。
今年はトリノ五輪といいワールドカップといい、
ホンモノの人間ドラマを見られる機会に多く恵まれたなって思っています。

そうそう、言われて思い出しましたが、荒川静香選手も直前にコーチを変えたんでしたよね。なかなか出来ないことです。

一流になることはなかなか出来ないけれど、一流を見ることはたくさんさせてもらいたいですよね。( ^-^)
by 九子 (2006-07-13 00:25) 

九子

[あずーるさん!( ^-^)]
いつもいつも長いコメント有難うございます。( ^-^)

しばらく読むのがご無沙汰になっておりましてそちらにも伺えず申し訳ありませんでした。言い訳ですが、そちらだけに伺わなかった訳ではなく、どこにも伺って居なかったのです。何かバイオリズムみたいなものがあるみたいで、ごめんなさい。

>能力のあるヒデさんが、本人はそうは思っていなくても、新しい道に進むっていうのは後輩にチャンスを譲ると言う意味で今後のサッカー会の活力にもつながると思います。

これ、その通りですね!若干早い気はしますが、ヒデを目指す素晴らしい後輩たちがたくさん育ってくれたらヒデも満足でしょうね。( ^-^)

語学留学のこと、一応それは理想論だと思うのですが、実際にはあずーるさんみたいに着実に英語をものにして帰って来られる優秀な人々も多いわけだし、ごたごた言ってたらうちの子供たちなども誰一人留学などさせられなくなっちゃう訳で・・。(^^;;

>勝っても負けても応援しつづけるのもファンですが、厳しいコメントや態度をとらないと、プロという人材は育たないでしょう。(これはスポーツ界に限らず)

これもなるほど!でした。
ブーイングって、言われてみると日本人あんまりしませんよね。
基本的に優しいというか、甘いと言うか、そういう国民性なのかもしれませんね。

それが悪いことではないとは思うけれども、勝負の世界やら外交やらではイマイチぱっとしませんよね。う~ん。
by 九子 (2006-07-13 00:39) 

ねこまにあ

[九子さんへ]
こんにちは。
実はわたしは九子さんのお名前、以前から時々お見受けしてました。
確か、覆面駐在員さんのところ、そして、るるさんのところだったような気がします。

やまねこさん、ってブログじゃなくて猫の本関連のサイトのオーナーさんがいらした気がするのですが、そちらではないですよね。

昨日こちらへ初めてお邪魔してびっくりしました。
お寺とか薬とか、わたしの興味津々なカテゴリがたくさん♪

これからもどうぞよろしくお願いいたします(^^)
by ねこまにあ (2006-07-13 10:53) 

九子

[ねこまにあさん、そうでしたか!]
やまねこさんは「デプロメール25mg」かな?抗ウツ薬の名前のブログを書いていらっしゃった病気仲間ですが、猫の大好きな人でした。じゃあ違いますね。

どちらにしても、今日は少々遅くなったので明日にでもそちらにお邪魔しようと思っています。

中国にいらしたんですね。( ^-^)
日本人は中国がみんな嫌いになりかけてる時だから、ねこまにあさんのお話いろいろ伺えるのを楽しみにしています。

こちらこそよろしく!( ^-^)
by 九子 (2006-07-14 01:09) 

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