食器洗い機の話 [<介護生活、そして父母の事>]
思えば去年の今頃から、父は入退院を繰り返すようになっっていた。
そして父を見舞いに行った母までもが入院してしまう騒ぎが起こったのである。
だからその二人が相次いで退院して来た今年の正月、ただでさえ体力のない 九子はロタウイルス騒動なんかもあって肉体的にぎりぎりのところまで追い詰められていた。
優しいのが取り得のM氏は、良く家事を手伝ってくれた。
日頃は何もしたことの無い彼が、わざわざLサイズのゴム手袋を買ってきて、台所に山のように積みあがっている食器を、深夜、黙々と洗い続けてくれる姿には頭がさがった。
そういう状況下、皿洗い機、食器洗い機、もしくは食洗機は、我が家にとって必需品に思えた。
たとえ独立したガス湯沸器が必要になって、配管等工事費込みで20万円もかかったとしても・・・。
そう。当時我が家にはまだ打出の小槌があったのだ。
父である。( ^-^)
「パパあ、食器洗い機買いたいんだけどいいよねえ。パパたちのためでもあるしさあ。お金出してもらっていいかなあ?(猫なで声で・・)」(^^;;
「ああ、好きにしろ。」
この頃になると父は、もう何を言っても「いけない。」とは言わなくなっていた。
もともと一人娘の九子は、我が家じゃあ敵無しだったのであるが・・・。(^^;;
食器洗い機そのものは5万円も出せば買えるのだ。そんなに高い訳ではない。
最初から独立してお湯の出る水栓があれば、そこからお湯を分岐すればそれだけでOKであるらしいのだが、我が家のように台所用の湯沸かし器を使ってるところは、専用の結構大容量の新たな湯沸かし器が必要になる。
寒い最中に頼んでおいたのだが、何しろ雪の多い長野市のことである。
「雪が消えなくちゃあ何も始まらないねえ。」という訳で、ガス屋さんが配管工事にやって来たのはもう3月も末の事だった。
食洗機のほうはもう届いていた。
ネットであれこれ探した挙句、一番汚れが良く落ちそうなN社のものを選んだ。
低温コースと言うのがあって、プラスチックの弁当箱も洗えるのも決め手だった。
3月29日、食洗機のある夢のような生活がはじまった。
まっさらの食洗機に、始めて普段の洗いものを入れた時は正直「まあこんなもんか。」という感じだったが、圧巻は久しく使われずに戸棚にしまい込まれてるうちに油っぽくなってしまった皿や茶碗だった。
手でこするとなんとなく黒っぽくなって手がべたべたするあの嫌らしい油汚れが、放り込んでおくだけであっという間にぴかぴかになるのである!
九子は叫びそうになった。
「どうしてこんなに便利なものを、人は贅沢品と言うのか!食洗機のない生活なんて考えられない!」
考えてみれば、洗濯機というのはもう50年も前から使われているのに、食器洗い機だけが
なぜだか贅沢品扱いを受けてほとんど普及していないと言うのがおかしな話だった。
しかも5万円で買える!洗濯機なんかよりずっと安いのだ!
洗ってるとこを覗いて見ると、使われてる水はちょろちょろ流れてるだけ。
九子みたいに盛大に流しっぱなしはしない。(^^;;
さすが!省エネ!
宣伝文によると、手洗いよりもずっと経済的だそうである。
食洗機の得意は油汚れである。
魚焼きグリルのベタベタも宣伝みたいにきれいになった時はびっくりした。
それに反してこびりついたご飯なんかは苦手のようである。
だからこういうものには予備洗いが必要だ。
予備洗いでおおまかに汚れを取っておいた方が仕上がりがいい。
これをしないと汚れが皿にに残ることもある。
その後、機械の中にきれいに並べるという作業が待っている。
最初九子が尻ごみしていた理由がこれだった。
「えっ?予洗なんて必要なの?そんな質面倒くさいことするなんて。
その上、機械にお皿をきれいに並べて入れるだなんて、そこまでするなら手で洗った方が楽じゃん!」
何しろ整理整頓なんて、大の苦手の九子である。(^^;;
ところがこの作業、慣れて来ると意外とどうってことない。
スクレーパー(scraper)と言う汚れこすり取り器具も売ってるみたいだが、水を流しながらゴム手袋で軽くこすってやればそれでOK。(水はごく細めでね。もちろん、たらいの中なら更に良い。( ^-^))
並べる方も、ラックに沿って重ねていけばそこそこ終わってしまう。
こうやって一手間かけるのとかけないのとでは仕上がりに歴然と差が出るのだから、やらなきゃ仕方がない。
残念ながら我が家では「低温コース」は使えなかった。
「耐熱温度60度の弁当箱も洗える」低温コースは、湯沸かし器の水温を60度以下に下げないといけない。残念ながら我が家の専用湯沸かし器は家の外に出ていて、やすやすと動かす訳にはいかなかったのだ。
始めの頃水温設定もせずに「低温コース」で何度も洗っていたら、そのせいかどうか弁当箱のふたが延びてうまくしまらなくなった。
しかし以前からその兆候はすでにあったのである。
今やカリスマ主婦の君島十和子さんが、「やっと触れるくらいの熱いお湯で洗うと、すすいだものをふせておくだけですぐに乾いて、ふきんで拭う必要がありませんから・・。」と言っていたのを聞いて「なるほど!」と思った九子は、いつでも湯沸かしを最高温にして食器を洗っていた。
もしかしたらそのせいだったかもしれない。(^^;;
弁当箱は手洗いにするとしても、とにかく食洗機というのは我が家の必需品!
だって介護老人が二人もいるんだもん!
そんな訳で九子は、胸を張って食洗機を使っていた。
ところがそれも長くは続かなかった。
肝心の世話がかかる筆頭老人であった父が、それから2週間もしないうちにポックリ逝ってしまったからである。
残った母は、まだ70代。手のかかり方が父とは格段に違うのである。
つまり九子は、どうしても食洗機が必要なほどには忙しくなくなってしまったのだ。
あの時は九子と一緒に偉そうにしていた食洗機が、なんとなく居心地悪そうに大きな図体を小さくしている様に見えてくる。
いやいや食洗機よ、そんなに肩身を狭くすることはない。
食洗機に慣れた九子は、プラスティックや鍋釜その他大物以外はもうとっくに自分で手洗いすることなど忘れてしまっている。
その上娘どもがこうのたまうのだ。
「ママ、洗い方が悪い!しっかり食洗機で洗ってる?」
彼女達にとって、九子の手になるものはすべてよろしくないという事なのである。
文明の利器なる食洗機。
九子の仕事はますます機械にとって代わられ、九子はもはや口も手も出す必要がなくなって、そのうち退化して行くんじゃないかと心配になるくらいだ。
それにしても、浮いた時間で何をしよう。
そんなに考えるまでもない。
お昼寝に決まってる!(^^;;(^^;;
そして父を見舞いに行った母までもが入院してしまう騒ぎが起こったのである。
だからその二人が相次いで退院して来た今年の正月、ただでさえ体力のない 九子はロタウイルス騒動なんかもあって肉体的にぎりぎりのところまで追い詰められていた。
優しいのが取り得のM氏は、良く家事を手伝ってくれた。
日頃は何もしたことの無い彼が、わざわざLサイズのゴム手袋を買ってきて、台所に山のように積みあがっている食器を、深夜、黙々と洗い続けてくれる姿には頭がさがった。
そういう状況下、皿洗い機、食器洗い機、もしくは食洗機は、我が家にとって必需品に思えた。
たとえ独立したガス湯沸器が必要になって、配管等工事費込みで20万円もかかったとしても・・・。
そう。当時我が家にはまだ打出の小槌があったのだ。
父である。( ^-^)
「パパあ、食器洗い機買いたいんだけどいいよねえ。パパたちのためでもあるしさあ。お金出してもらっていいかなあ?(猫なで声で・・)」(^^;;
「ああ、好きにしろ。」
この頃になると父は、もう何を言っても「いけない。」とは言わなくなっていた。
もともと一人娘の九子は、我が家じゃあ敵無しだったのであるが・・・。(^^;;
食器洗い機そのものは5万円も出せば買えるのだ。そんなに高い訳ではない。
最初から独立してお湯の出る水栓があれば、そこからお湯を分岐すればそれだけでOKであるらしいのだが、我が家のように台所用の湯沸かし器を使ってるところは、専用の結構大容量の新たな湯沸かし器が必要になる。
寒い最中に頼んでおいたのだが、何しろ雪の多い長野市のことである。
「雪が消えなくちゃあ何も始まらないねえ。」という訳で、ガス屋さんが配管工事にやって来たのはもう3月も末の事だった。
食洗機のほうはもう届いていた。
ネットであれこれ探した挙句、一番汚れが良く落ちそうなN社のものを選んだ。
低温コースと言うのがあって、プラスチックの弁当箱も洗えるのも決め手だった。
3月29日、食洗機のある夢のような生活がはじまった。
まっさらの食洗機に、始めて普段の洗いものを入れた時は正直「まあこんなもんか。」という感じだったが、圧巻は久しく使われずに戸棚にしまい込まれてるうちに油っぽくなってしまった皿や茶碗だった。
手でこするとなんとなく黒っぽくなって手がべたべたするあの嫌らしい油汚れが、放り込んでおくだけであっという間にぴかぴかになるのである!
九子は叫びそうになった。
「どうしてこんなに便利なものを、人は贅沢品と言うのか!食洗機のない生活なんて考えられない!」
考えてみれば、洗濯機というのはもう50年も前から使われているのに、食器洗い機だけが
なぜだか贅沢品扱いを受けてほとんど普及していないと言うのがおかしな話だった。
しかも5万円で買える!洗濯機なんかよりずっと安いのだ!
洗ってるとこを覗いて見ると、使われてる水はちょろちょろ流れてるだけ。
九子みたいに盛大に流しっぱなしはしない。(^^;;
さすが!省エネ!
宣伝文によると、手洗いよりもずっと経済的だそうである。
食洗機の得意は油汚れである。
魚焼きグリルのベタベタも宣伝みたいにきれいになった時はびっくりした。
それに反してこびりついたご飯なんかは苦手のようである。
だからこういうものには予備洗いが必要だ。
予備洗いでおおまかに汚れを取っておいた方が仕上がりがいい。
これをしないと汚れが皿にに残ることもある。
その後、機械の中にきれいに並べるという作業が待っている。
最初九子が尻ごみしていた理由がこれだった。
「えっ?予洗なんて必要なの?そんな質面倒くさいことするなんて。
その上、機械にお皿をきれいに並べて入れるだなんて、そこまでするなら手で洗った方が楽じゃん!」
何しろ整理整頓なんて、大の苦手の九子である。(^^;;
ところがこの作業、慣れて来ると意外とどうってことない。
スクレーパー(scraper)と言う汚れこすり取り器具も売ってるみたいだが、水を流しながらゴム手袋で軽くこすってやればそれでOK。(水はごく細めでね。もちろん、たらいの中なら更に良い。( ^-^))
並べる方も、ラックに沿って重ねていけばそこそこ終わってしまう。
こうやって一手間かけるのとかけないのとでは仕上がりに歴然と差が出るのだから、やらなきゃ仕方がない。
残念ながら我が家では「低温コース」は使えなかった。
「耐熱温度60度の弁当箱も洗える」低温コースは、湯沸かし器の水温を60度以下に下げないといけない。残念ながら我が家の専用湯沸かし器は家の外に出ていて、やすやすと動かす訳にはいかなかったのだ。
始めの頃水温設定もせずに「低温コース」で何度も洗っていたら、そのせいかどうか弁当箱のふたが延びてうまくしまらなくなった。
しかし以前からその兆候はすでにあったのである。
今やカリスマ主婦の君島十和子さんが、「やっと触れるくらいの熱いお湯で洗うと、すすいだものをふせておくだけですぐに乾いて、ふきんで拭う必要がありませんから・・。」と言っていたのを聞いて「なるほど!」と思った九子は、いつでも湯沸かしを最高温にして食器を洗っていた。
もしかしたらそのせいだったかもしれない。(^^;;
弁当箱は手洗いにするとしても、とにかく食洗機というのは我が家の必需品!
だって介護老人が二人もいるんだもん!
そんな訳で九子は、胸を張って食洗機を使っていた。
ところがそれも長くは続かなかった。
肝心の世話がかかる筆頭老人であった父が、それから2週間もしないうちにポックリ逝ってしまったからである。
残った母は、まだ70代。手のかかり方が父とは格段に違うのである。
つまり九子は、どうしても食洗機が必要なほどには忙しくなくなってしまったのだ。
あの時は九子と一緒に偉そうにしていた食洗機が、なんとなく居心地悪そうに大きな図体を小さくしている様に見えてくる。
いやいや食洗機よ、そんなに肩身を狭くすることはない。
食洗機に慣れた九子は、プラスティックや鍋釜その他大物以外はもうとっくに自分で手洗いすることなど忘れてしまっている。
その上娘どもがこうのたまうのだ。
「ママ、洗い方が悪い!しっかり食洗機で洗ってる?」
彼女達にとって、九子の手になるものはすべてよろしくないという事なのである。
文明の利器なる食洗機。
九子の仕事はますます機械にとって代わられ、九子はもはや口も手も出す必要がなくなって、そのうち退化して行くんじゃないかと心配になるくらいだ。
それにしても、浮いた時間で何をしよう。
そんなに考えるまでもない。
お昼寝に決まってる!(^^;;(^^;;
楽しい話題でした。
私も食洗機欲しいです。
実は我が家は給湯関係はすべて灯油なんです。借家なのですがもともとそうでした。冬場は灯油代が嵩んで大変。
でも食洗機、手間隙かかるのですね~。やっぱり私には向かないかも?
by Cecilia (2011-11-24 10:55)
Ceciliaさん、こんばんわ。( ^-^)
こんな古い記事を読んで下さって有難うございました。m(_)m
食洗機、便利ですよお。今でも毎日無くてはならない便利グッズです。
当時予備洗いのことを書きましたが、今ではほとんどやっていません。
でも私的には十分に感じるのですが・・。
(その代わり、家族には不評ですが・・。(^^;;)
給湯が灯油だと設置は難しいのでしょうか?
手が命のピアノ奏者のceciliaさんには最適のように思えるのですが・・。
ああ、それと、左側のお知らせにあるとおり、どうか九子にメールを下さい。
よろしくお願いします。m(_)m
by 九子 (2011-11-24 20:53)