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しゃべりの魅力・笑いの効用 [<九子の万華鏡>]

大分前から九子がテレビを見ていてとても気になったのが、自分が「面白い」と思っている、つまり今風な言葉で言えば自分的にウケテイルと言う事を表現するために、大声で笑いながら、神社でかしわでを打つようなタイミングで大きく二拍手くらいしている出演者の姿だった。


誰か一人だけというのではなくて、猫もしゃくしもやっているって感じだった。


意地悪く言えば、自分にコメントする言葉が足りないのを動作で隠すためにそうしているように見えた。


今でも多くの番組で、依然として同様のタレントたちの姿が見える。


お笑い芸人と言われる人たちですらそうなのだから始末に終えない、と最初のうちは呆れて見ていた。


ところがこの頃では、それがあんまり当たり前になり過ぎて、こっちの方が毒気を抜かれてさほど気にならなくなってきた。


習慣と言うものは、かように恐ろしい。(^^;;



いつだったかテレビを見ていたらダウンタウンが出ていて、最初トーク番組かと思って見ていたら、れっきとした歌番組だった。
Hey! Hey! Hey!と言うんだそうだ。


テレビの申し子M子いわく(^^;;、「タモリさんのMステは、歌がメイン。だから、別に歌手はしゃべらなくてもいい。だけどHey!Hey!Hey!はしゃべりと歌と半々位かな・・・。だからしゃべれないと受けない。まあダウンタウンが相手だから、そこそこ自分で面白い事言わなくても、なんか面白おかしく突っ込んでくれるから、それでいいんじゃない?」という事らしい。



そして気が付いたのが、世の中にあふれている番組の中で占めるしゃべりの多さだ。


芸人さんが司会やニュースキャスターをするなんて今では当たり前!
それこそ今時芸人さんはひっぱりだこの大活躍だ。


これはひとえに、話が面白いから・・という事らしい。


つまらない番組でも、芸人さんにまかせておけばそこそこ笑いが取れて、視聴率が稼げるという安易な発想だ。


それにともなってフツーの芸能人にもしゃべりの面白さが要求される時代であるらしい。


受け答えひとつとっても、フツーと同じじゃなくてどこかひねりを入れる。
要するにウケを狙う。


少し前になるがKAT-TUNの赤西君の帰国会見で、「赤西君が渡米中に、六本木あたりで見かけたと言う人がたくさんいるんですが・・。」という問に、九子だったら「似た人はたくさんいるんでしょう・・。」くらいしか答えられないなあと思っていると、間髪を入れずに彼が「なら僕、一体何人いたらいいんでしょうねえ。」と答えているのを見て、さすが!と妙に感心してしまった。


もちろん彼のファンでも何でもない。(^^;


「しかし日本人も海外に行って帰ってくると、とたんに日本人のアイデンティティーを気にし始めて髪など黒い自然のままにしておきたくなるものなのかなあ・・・。」などと、どうでも良い事を気にしていたに過ぎない。(^^;;
そんな九子であっても、「おぬし、出来るな!」と言う目で見るようにさせた一言だったという訳である。


今はやりの数有る食べ歩き番組のレポ-ターの中でも彦摩呂さんと言う人は、料理を見た瞬間の第一印象や口に入れた時の味わいを、宝石箱やらIT革命やらというおよそ料理と関係のない単語と結び付けて表現することで有名になった。


これなんかも、フツーじゃない、インパクトのある表現というのが重要視されている一例だ。


そうかと思えば、行列の出来る法律相談所に出演している磯野貴理さんは、毎回面白い話を披露してくれるが、それがネタ、すなわちウケねらいの作り話であるかどうかがいつも問題になる。


これを見るまでもなく、ウケと言うのは多くの場合笑いである事が多い。


もちろんはぐらかすような事を言われて、あるいは予想外の答えにあった時のどよめきにも似た笑いと言う事もあるが、大いにウケるのはやはり、笑いのツボとでも言うものを刺激されたかのような関西弁で言うところの「オモロイ」答えのようである。


こうしてみると、今時の日本人は笑いに飢えているのかなあと思う。


そういえばいつだったか、わが家の学習障害の三男Yが「俺、この頃笑ってねえよ。」と言った。
彼いわく、週に何度かは心底笑えるテレビ番組を見て、強制的に?笑っとかないと、精神的にきつくなるらしい。


学習障害の彼からそんな言葉が出たことに正直驚いた。
Yも結構、人生真面目に考えてるんじゃん!(^^;;


それにしても笑うことってどんな効果があるのだろう。


最初に浮かんだのはカタルシスという言葉だった。


カタルシス・・すなわち浄化作用。


笑いによって嫌な事をみんな忘れてしまって、明日の元気を貰おうというのは、至極健全な作用のように感じた。


ところが!


ウイキぺディア他で調べてみたところ、カタルシスという作用に相当するのは、笑いではなくて、むしろ悲劇である事が判明した。


自分の今置かれている状況よりも更に悲劇的な環境を見ることによって、「自分はまだまし」と、自分の心をなぐさめるというのがカタルシスであるらしい。


それならば「笑い」とはなんなのだ!


そして再びネット検索してみたところ、笑いと言うのはもっと積極的な心の治療法としての役割を持っているようだ。


ここにあるように、がん細胞も退治できるナチュラルキラー細胞が笑いで増えるそうだし、自律神経の働きもよくなるそうだ。


無理に笑う、すなわち作り笑いでも同等の効果があるという。


三男Yの言葉を見るまでもなく、現代人はそうまでして笑わなければならないほどストレスを溜め込んでいるのだろうかと、逆に切なくなった。



笑いと言えば、ウツのひどい時でも思わず九子が笑ってしまったテレビ番組があった。


紳助さんが司会をやってるクイズヘキサゴンと言うやつだ。
「オバカさん」を売りにする何人かのタレントが出てきて、普通に考えたらおよそ信じられない答えを出す。


その答えがあんまり突拍子もないので、うつ病の盛りの九子であっても思わず吹き出してしまう。


いやあ、あの番組は何回見ても面白い。( ^-^)



思えば九子がもっと若かったうん十年前(^^;;は、クイズ番組に出るタレントさんは、頭が良くてたくさん正解する事を暗黙のうちに要求されていたように思う。


九子の記憶に間違いがなければ、今も現役バリバリで活躍中の高橋英樹さんなどは、たしか当時NHKで人気絶大だった「連想ゲーム」だったと思うが、最初に出た頃、ほとんどうまく答えられなかった。


出来すぎ母と九子は「なあんだ、この人かっこいいけどそんなに頭よくないんだね。」と冷たい視線を浴びせたものだ。(^^;;


高橋英樹さんが偉大なのはその先だ。
たぶんすごい真面目人間であるはずの彼は、それを機に雑学の猛勉強をしたんだろう。


いつのまにか彼は、さまざまな知識も身につけて、イケメンの上に博学のタレントとして健在だ。



ところが今時、少なくともオバカさんタレントというジャンル?があるかどうかはともかく、クイズヘキサゴンに出てきて、一生懸命まじめに考えた挙げ句、毎回とんでもなくオバカな回答をする何人かのタレントさんを見ていると、自分のオバカをさらけだして笑いを稼いで居るみたいだ。


もちろんお勉強して賢くなってしまったらつまんなくなって困る訳だし(^^;;、素のオバカさんのままで人に笑ってもらえるというのが彼らの特権のようだ。


こうやって、素のままの自分をさらけ出すというのが、今時の芸能界であるらしい。


良くあるサバイバル生活番組でも、怒ったところ、泣いたところ、キレタところ、すべてがテレビカメラの前にさらけ出される。


考えてみると昔の芸人さんは、みんなネタで勝負した。
舞台の上のネタの善し悪しだけが人気のバロメーターだった。


ネタさえ完璧であれば、素顔がどんなでも(横山やすしほど破天荒じゃなければ(^^;;)芸人としてちゃんとやっていけた。


ところが今はみんなすっぴん勝負だ。


まあみんな結構下積みが長かった苦労人が多いせいか、何をやれと言われても果敢に挑戦して、なんとか最後までこなす。
(それにしても芸人さんというのはこうまで何でもさせられて大変な商売だと可哀想に思うこともたびたびだが・・。(^^;;)


そもそも肝心の舞台の上の漫才とかコントというのを見る機会が極端に減ってしまった。
その上漫才コンビでも、一人の顔は知ってるが、もう一人って、居たの?みたいな事もある。


素のままの自分勝負っていうのは、彼らにとって楽な事のか難しいことなのか、それは良くわからない。


でも、舞台の上の芸が廃れて、その人のしゃべり頼み、キャラ頼みの今の芸能界。


少なくとも彼らの芸をCDなどの音源に残したいと思った時、いったい何が残るのか、人事ながら心配になって来た。



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おみつ

[地震、大丈夫でしたか。]
九子さん、こんにちわ。

先ほど台風被害のコメントを書きましたが、今度は地震です。
被害はありませんか?大丈夫ですか?

長野も震度強のところがあったそうですね。

被害が無かった事をお祈りしております。
by おみつ (2007-07-16 11:19) 

九子

[おみつさん、ご心配ありがとう!大丈夫です。( ^-^)]
私にとっては四十年ぶりくらいの震度5というので若干焦りましたが、古い我が家はなんとか持ちこたえてくれました。

と言うか、物が倒れたりもせず、全然大丈夫でした。

でも、思いましたよ。
耐震偽装のマンションでは、このくらいので倒壊しちゃうのかなあと。

そんなマンションに住んでたら、生きてる心地しないでしょうね。

新潟の柏崎市辺りが一番被害が出たようです。
長野もごく一部で6強だったらしいですが、市内はどこも問題ありません。

早速にお見舞い、有り難うございました。

そして、被害を受けられた地域の皆様、改めてお見舞い申し上げます。
by 九子 (2007-07-16 13:28) 

轟 拳一狼

[芸人ってのは・・・]
かつて島田紳助さんが、「なぜ大阪の芸人はしゃべりが面白いのか」と聞かれて、こう答えていました。

「金がないからです。」

つまり、大阪のテレビ、それも深夜の番組になると、東京とは桁違いに予算がない。東京の深夜番組をそのまま流している他の地方のテレビ局とは違い、大阪人は東京のお笑いでは満足できないんです。そこで独自の番組を作らなければならない。そのときトーク番組が一番金がかからないそうなんです。
だから大阪の芸人はしゃべりが鍛えられる。そしてそういう大阪のしゃべくり文化が現在日本のお笑い界を席巻しているということではないでしょうか。今は東京の芸人でも、芸風は完全に大阪風になっていますね。あくまで私の推測ですが。

大阪では、まだネタが重視されています。それになんと言っても、ギャラが安いです。特に吉本は、冗談みたいに安いそうです。だから次々と良質の芸人が供給されてくるのではないでしょうか。
それに実はすっぴんに見えても、それが「芸」だったりするのですね。その「すっぴん」と「芸」のぎりぎりのところで、芸人は勝負しているのだと思います。自分の地をどこまで出すか、それを「芸」でどれだけ膨らませるか。そのあいまいさを逆手に取っているのが、磯野貴理子さんだと思います。

個人的には、かつてのレーザーラモンのネタが好きだったので、住谷がHGとして受けているのは嬉しいと言えば嬉しいですが、でも昔のレーザーラモンとしてのほうが、私は絶対に面白かったと思うのですが。
そういう芸人さんはたくさんいます。あんた大阪におった時のほうが面白かったやん。東京に行って何でそんなにおもんなくなったんや。って言う芸人さん。たとえば、山田花子、藤井隆・・・

たまに関西に帰ると、関西人がうらやましくなります。深夜番組の面白いこと・・・私自身、何の希望も持てなかった時期に、よく深夜のお笑い番組を観てアホみたいに笑っていました。

地震のほう、ご無事で幸いでした。
私も神戸で大震災を経験しました。今回の地震で、そのときのことをブログで書こうと思いつつ、書きそびれてしまいました。この地震に関しては、私の中でまだどこか吹っ切れていないところがあるのかもしれません。
いつかどうしても書きたくなったら、自然に言葉が浮かんでくるかもしれません。それを待ちたいと思います。
とりあえず今は、被災地の方々にお見舞い申し上げたいと思います。
by 轟 拳一狼 (2007-07-22 23:12) 

九子

[拳一狼さん!( ^-^)]
長文のコメント有り難うございます。

拳一狼さんは関西人でいらっしゃいましたよね。

大阪の芸人さんが東京に出て面白くなくなるというのは初耳でした。それから、大阪の深夜番組がそんなに面白いと言うのも・・・。

ヨシモトって、そんなにギャラ安いんですか。まあ、みんな言ってますけど、それもネタかと思ってました。(^^;;

でもそうやって、鍛えられていくんですね、関西の芸人さんは。

すっぴんに見えるのもネタかも・・というのも、鋭い指摘でした。

関東人はまだまだ甘いですね。(^^;;

神戸の大震災を経験された拳一狼さん。どんなにか心の傷は深くていらっしゃるかと思います。

そんなに無理される事ありませんから、ゆっくりと心のエネルギーがたまるまで待ってから書き進められますように。
by 九子 (2007-07-23 10:04) 

あずーる

[笑うかどには福来る★]
地震、長野も被害にあったかたもおられるんですね。
でも、九子さんは、なんだか大丈夫と思ってたので(日ごろの座禅修行でまもられておられるし)・・・・^^

九子さんの息子さん、好きなことしている時は笑顔なんじゃないかしら?
おもしろくなければ笑わなくていいと思います。

私は、子供のころ、愛嬌がある子に育てられたので、
べつにおもしろくなくてもニタァとしていました。
でも、それって外国にいくとヘンなんですよね。
「何がおかしいの?」って聞かれること多くて、
それからじょじょに愛想笑いはしなくなりました。

でも、本当に楽しいときやおもしろい時に笑うんですよ。

私は最近のお笑いは嫌い!
イジメのようだし、私たちが友達としゃべっているような事しかしゃべらなくて、ぜんぜん、おもしろくないんです。
でも、ドランクン・ドラゴンは好きです。

子供のころみた藤山寛美、岡八郎、花木京、山田スミコ。原哲夫の吉本の笑いや、漫才ではいとし・こいしさんのような笑いが芸人好きだなぁ。。。
by あずーる (2007-07-23 21:58) 

九子

[あずーるさん!( ^-^)]
>でも、九子さんは、なんだか大丈夫と思ってたので(日ごろの座禅修行でまもられておられるし)・・・・^^

これ言われると弱いです。(^^;;

>私は、子供のころ、愛嬌がある子に育てられたので、
べつにおもしろくなくてもニタァとしていました。

あずーるさんも?
私もおんなじ。

ただ、たぶん理由は違ってたわね。

私は自分がネクラなのを見透かされたくなくていつもニコニコしてたと思います。
すごく疲れました。特にウツの時は・・。(たぶん大学に入る前からあったと思ったから・・。)

微笑みウツってやつですよね。考えてみるとよく頑張ってたなと思います。知らないって怖いよね。


今もまあ店があるんで、平気な顔して店に出てますが、以前に比べれば楽になりました。

あっ、っていうウツの時を除いても、昔、つまり、坐禅に出会う前は、他人が怖くてニコニコしてました。

確かに欧米では変に思われるかもしれませんね。

>子供のころみた藤山寛美、岡八郎、花木京、山田スミコ。原哲夫の吉本の笑いや、漫才ではいとし・こいしさんのような笑いが芸人好きだなぁ。。。

知ってる人も知らない人もいるけれど、なんだか懐かしい感じです。みんなあったかい感じがしますよね。( ^-^)

そうか。あずーるさんも関西人だから、笑いにはシビアなんでしょうね。

三男Yは、お陰様でこの頃では至って健全なようです。( ^-^)
by 九子 (2007-07-24 12:30) 

あずーる

[関東系のお笑いのほうがしゃれているような気が・・・]
爆笑問題やくりぃむしちゅー好きですよ。

今は、関東系のほうが、笑いの中身が濃いような
気がします。

やっぱり芸人はサラリーマン化しては
おもしろくないと思います。
by あずーる (2007-07-26 16:25) 

九子

[爆笑問題は・・。]
センスありますよね。関東系の横綱ってところでしょうか。
信州人の藤森さんのいるオリエンタルラジオにも頑張って欲しいところですが・・。

>やっぱり芸人はサラリーマン化しては
おもしろくないと思います。

関西の芸人さんは独特のアクの強い感じがありましたよね。藤山寛美さんにしろ誰にしろ・・。この人芸人さんだから勤まるけど、サラリーマンはできない・・みたいな。(^^;;

そういうのがなくなると、確かにつまらないかもしれませんね。

( ^-^)
by 九子 (2007-07-26 21:13) 

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