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1リットルの涙 [<九子の読書ドラマ映画音楽日記>]


「1リットルの涙」の単行本を母親文庫で借りたのはもう15年以上も前のことだ。

いわゆる難病ものシリーズのひとつで、主人公亜也さんの頑張りやさんぶりが際立っていた。



数年前、沢尻えりかが何かとお騒がせの「えりか様」になる以前、麻生遥斗(あそうはると)役の錦戸亮君が関ジャニ∞のメンバーだとも知らずに、九子はたまにテレビでドラマ化された「1リットルの涙」を見ていた。

もちろん本を読んだ記憶がそうさせただけであってそんなに一生懸命見ていた訳ではない。



美人の亜也に比べて、医者のぼんぼんの麻生君役ならもっとイケメンの子を選んだらよかったんじゃないの?と勝手な事考えたり、でもレミオロメンの「粉雪」は悲しいお話にぴったりの美しい曲だよねと心動かされたりはしていた。



とっかかりがその程度だったから、結局最後までは見なかった。



それがこのほど、九子得意のフジテレビ夕方4時からのヒットドラマシリーズ再放送枠で全編流されることになった。(放送は終了しています。m(_ _)m)


この時間帯の何が良いかといって、まず薬局が暇になる頃なのだ。

(と言うと薬局はいかにもそれまで忙しいように聞こえるが・・。(^^;;)


夕食の支度をしがてら、テレビをつける。

(言うまでもないがテレビを見てるあいだに、九子の手が動く事はない。そんな器用なことは出来ない九子である。(^^;;)



本番の放送では次回は一週間先であるが、再放送だと次回は明日だ。とにかく2週間くらいでひとつのドラマが完結する訳で、だんだん記憶力に支障をきたしつつある九子にとっては有難いなりゆきなのだ。(^^;;



今回最後まで通して見てみて、さまざまな問題を問いかけるドラマであったことがわかった。

そして残念な事に、それに対する答えというのはほとんど出ては来なかった。



まずは原作にはない亜也の恋であるが、これは原作者の亜也さんのお母様の「恋くらいさせてやりたかった。」と言う言葉で実現したそうである。



亜也の病気がわかる前に何度かデートしたバスケ部の先輩。配役を見てはじめて知ったが松山ケンイチが演じていた。彼は亜也の見てくれに惹かれていた訳で、発病とともに亜也の元を去っていく。



亜也の病気は脊椎小脳変性症という進行性の病で、残念ながら原因も治療法もわからない。

心もとない事に、原作が書かれた25年前と事情はあんまり変わっていないらしい。



初恋の人に去られる亜也は本当に気の毒だとは思うが、心身ともに健康な人と付き合いたいと思うのはごく自然な感情だから、彼を打算的だと言って一方的に責める気分にはならない。



そして亜也を守る騎士として登場するのが最初に書いた医者の息子の麻生君だ。



麻生遥斗役に錦戸亮が抜擢されたのは、たぶん彼の持つ翳りの部分だ。

とても関ジャニ∞とは思えない笑顔の似合わなさを錦戸亮は持っている。



麻生遥斗がいつも暗い顔をしているのには実は訳があった。

父の跡を継ぐべく医大に通う兄と共に川へ魚釣りに出かけ、兄が川に落ちて死んでしまう。



優秀な兄に期待をかけていた父親は、兄の遺体にすがりつき「なんでお前なんだ!」と泣き叫ぶ。



もちろん「なぜお前みたいな優秀な子が死ななければならないのだ。」という絶叫に違いなかったはずだが、弟の遥斗にすれば、「自分が兄の代わりに死んでいたらよかったのか・・。」と感じ、打ちのめされる。



亜也は美人で聡明で頑張りやでスポーツが出来る非の打ち所のない女の子だった。

その亜也が突然原因もわからない難病に蝕まれる。



亜也の日記の原作にも「なぜ病気は私を選んだの?」という問いかけが出てくる。

どうしてこういう過酷な運命を他の誰かではなくて自分が背負わねばならなかったのか。



その真剣な亜也の問いかけに対する答えを、兄の死にも重ね合わせて、麻生遥斗は突き詰めたかったのだろうか。



もちろん答えは出てこない。



麻生家は麻生太郎さんちまでとは言わないが(^^;;、医師である父親に敬語を使い、食事はナイフとフォークで摂るような上流家庭という設定だ。



それに対し亜也の家の方は卓袱台(ちゃぶだい)で食事する人情味豊かな下町の豆腐屋さんということになっている。(実際の亜也さんのうちはサラリーマン家庭だったそうだけど・・。)



そこまで両極端な筋立てにしなくてもいいんじゃないのとも思うのだが、これも二人の違いを際立たせる意図があるのだろうか。



医師である遥斗の父親は亜也の母親にやんわりと「苦労知らずの未熟な息子が最後までお嬢さんの面倒を見続けられるとは思えないので、お嬢さんが傷つく前に別れさせたい。」と言う。

これも大事な息子の将来を思うあまりの父親のひとりよがりな愛情表現と思えばまあ、青筋立てて怒るような話ではない。



亜也のクラスの亜也の世話をする女の子たちの母親が、今で言えばモンスター・ペアレントぶりを存分に発揮して、亜也と亜也の母親を追い詰める。

「亜也さんがいるせいで、娘の成績が落ちる。お母さんが仕事をやめてつきっきりで亜也さんの世話をしたらどうか。」と。



これもいかにも理不尽な要求だけれど、自分の子供を思う余りの狭量とすればまったくわからない話ではない。



誰の言う事も面と向かって言われると「それってどうよ!」と思うのだけれど、でも実際わが身にふりかかって来た時の事を考えたら誰も責められない気がしてしまうのがこの物語の特徴だろうか。



不幸が突然忍び寄ってきた時、結局はその人とその家族だけの問題にして、まわりの人間は腫れ物を扱うように寄らず触らず、極力自分にとばっちりが及ばぬようにして、不幸がその家庭だけで完結するのをじっと見ている。



残念ながらそれが今までの私たちのやり方だったように思う。



それを打ち破ってくれそうだったのが、麻生遥斗君だった。

生物班に属していた彼は「オレは一旦面倒見ると決めたもんは最後まで面倒見る。」と言い切った。



親の職業を継ぐためではなく、亜也の病気を治すために医大に進んだ。

医大へ行ってからも病室の亜也を見舞う場面があった。



彼はこれからどのように亜也に関わって行くのだろうかと期待した。



それなのにドラマは突然5年後の話になり、亜也は呼吸が出来なくなって死んでしまう。麻生君のあの字も出て来ないで終ってしまった。余りにもあっけない幕切れに思わず「何よ、それ!」という言葉が出た。



まあ実在の人物じゃないんだし、麻生君一人を活躍させる訳にも行かなかったのかも・・。

(亜也の死後医者になった麻生君が・・と言う話は特別編で放送されたそうですが、再放送はありませんでした。)





原作の文庫化されたものを読み返してみた。

1リットルの涙―難病と闘い続ける少女亜也の日記の画像 ああ、お母さんが偉い!

いつだって偉いのはお母さんだ!(例外もあるけど・・。(^^;;)


亜也の苦しみも辛さも痛いほどわかるから、(悲しい時には一緒に悲しみ、泣きたい時には一緒に泣いた。)それが自然の形であり母親の姿だと思った。しかし、大人として、親として他の健康な弟妹と差別はしなかった。
 病気だから仕方ないという言葉は極力口にせず、身体障害者として無理な事以外は、きちんとやっていくよう小言もよく言った。違った事は、病気が故に一つ余分な荷物を背負っている事、それを一緒に背負ってやらねばならなかっただけである。


悲しい時には一緒に悲しみ、泣きたい時には一緒に泣く。

それひとつとっても本当に難しいと思う。



亜也さんの唯一の幸せは、お母さんはじめ家族の愛情に恵まれていたことかな?



「私はいったい何のために生きているの?」という亜也さんの答え難い疑問に対しては、月並みなようでも「かけがえのない命をつむぐため」と答えたい。



もちろん聡明な彼女は、とっくに答えを見つけていたに違いないけれど・・・。



そして万が一、九子の身の上に同じ不幸が降りかかって来たとしたら、そんな答えじゃ絶対に受け入れられないに決まっているのだけれど・・・。



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コメント 5

なな

[九子さん(^^)]
こんばんわ(^^)
アドレスありがとうございましたm(__)m
昨日メール送りましたが届きましたか??
ちょっと前に、1リットルの涙、再放送してましたね(^^)
観てました♪
by なな (2008-11-06 21:41) 

九子

[ななさん、ごめん。m(_ _)m]
すみません、メールは明日には必ず書きます。

>ちょっと前に、1リットルの涙、再放送してましたね(^^)
そうそう。同県人は話が早い。( ^-^)

「14才の母」もそうでしたが、この時間帯に見て日記に書くこと多いです。

小学生のお嬢さんがいらっしゃると学校の帰りが早いから、テレビ見てゆったりはちょっと難しいかもしれませんね。( ^-^)
by 九子 (2008-11-07 11:01) 

eiko

[10万人に対して5~10人]
「亜也は美人で聡明で頑張りやでスポーツが出来る非の打ち所のない女の子だった。」

こうしてみると、「美人薄命」とも言われるように
少々、出来が悪い方が難病を背負わなくてもいいのかもね。

私も原作を読みたくなりましたよ~ <img src='/image/hammy/m030.gif'>
by eiko (2008-11-13 15:59) 

九子

[eikoさん!( ^-^)]
>こうしてみると、「美人薄命」とも言われるように
少々、出来が悪い方が難病を背負わなくてもいいのかもね。

そうかもねえ。でも、みんながみんなそうじゃなくて、美人で幸せな人もいっぱいいるもんねえ。

運命ってどうやって決まるのでしょうか。神様に聞いてみたいよね。
by 九子 (2008-11-13 22:58) 

鎌倉霊園正門前太刀洗

1リットルの涙は、次からはTBSで「金曜ドラマ1リットルの涙」として放送するそうですが、TBSの金曜ドラマでの1リットルの涙はリメイク版のため、納得がいかない点があります。主演の人が沢尻エリカさんではなく、北川景子さんになっていることと、錦戸亮さんが染谷将太さんに、薬師丸ひろこさんが宮地雅子さんになっているためです(成海璃子さん、真田佑真さん、陣内孝則さん、藤木直人さんはTBSリメイク版もそのまま続投)。TBSで1リットルの涙を放送する場合、錦戸亮さんでは流星の絆やオルトロスの犬のイメージが強いとかでそぐわないことと、薬師丸ひろこさんではセーラー服と機関銃(この3作品はどれも金曜ドラマで放送)のイメージが強いことと、もう沢尻エリカさんも数年後に離婚騒動を引き起こしてしまったとかで意味もなくなってしまったためです。
by 鎌倉霊園正門前太刀洗 (2013-06-03 19:47) 

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