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善光寺と御開帳その2 [<坐禅、仏教、お寺の話>]


善光寺で一番偉い尼和尚様が鷹司誓玉上人(たかつかさせいぎょくしょうにん)さまです。

無宗派、あるいはどの宗派でも受け入れると言われる善光寺ですが、天台宗の「大勧進(だいかんじん)」と浄土宗の「大本願(だいほんがん)」とに別れ、浄土宗大本願のトップを代々女性が勤められています。



鷹司というご苗字からもお判りの通り、天皇家にも通ずる高貴なご身分の方がお勤めになる事が多いのです。



善光寺は昔から女性や、差別された者や、あらゆる弱者や、異なる宗教さえ受け入れてきた寛容な寺として有名ですが、その象徴のような存在が内陣におわします本田善光(ほんだよしみつ)親子の像でしょう。



他の寺ならまさにご本尊様が安置されているはずの本堂の真ん中にその像はあります。

現在ならともかく、女性の社会的地位が認められていなかった時代に本田善光の妻である弥生の像が夫、息子と同格に安置されているのは、ちょっと考えると不思議な光景です。



実は曹洞宗の修証義(しゅしょうぎ)というお経の中には「仏の教えを伝える者はたとえ7歳の女の子であろうと偉大な師である。」という一文もあり、当時から女性や子供を平等に扱っていた事が窺えます。



浄土宗のトップがいつも女性である背景には仏教のそんな懐の深さもあるのかもしれません。



善光寺には宿坊という泊まれるお寺が40箇所ほどありますが、○○院とつく名の宿坊は「大勧進」に、○○坊と言う名の宿坊は「大本願」に属しています。



特に○○坊というお寺はすべて「若麻績(わかおみ)」さんという苗字で、ずっと昔に大陸から仏様と一緒においでになった方々のようですが、男の子が居ないと若麻績姓のお寺からしか養子をもらえないという厳しい決まりがあり、男の子を産むのが若いお嫁さんたちの念願のようです。



○○院の方はどこから養子をもらっても自由です。考えてみると「若麻績」さんは大陸から来た自分達の血筋をこうやって代々ずっと守っているのかもしれません。もちろん若麻績さんも今では私達と同じ普通の日本人ですよ。( ^-^)



信濃毎日新聞善光寺御開帳特集号に載った鷹司誓玉御上人の次の言葉にはっとしました。



「七年に一度づつ御開帳が行われるという事は惜しい欲しい憎らしい等の煩悩におぼれ、とかく怠けがちな私どもの心に反省や信仰増進を促す警索(けいさく)をあてられる機会ではないでしょうか。」



警索とは、坐禅中見回りの和尚さんが姿勢の悪い人の肩をびしっと叩かれるあの棒のことです。



仏教の言葉にはとかく難しくて訳の分からない言葉がたくさんあります。私にとって貪瞋痴(とんじんち)という言葉、これは貪る(むさぼる)心、怒りの心、無知、の三悪の事と教えられましたが、どうもはっきりとしませんでした。

「惜しい、欲しい、憎らしい」と言われるとすっと納得がいきました。このあたりがやさしい言葉を使われる尼和尚様の真骨頂でしょうか。



「我昔諸造諸悪業(がしゃくしょぞうしょあくごう) 皆由無始貪瞋痴(かいゆうむしとんじんち)従身口意之所生(じゅうしんくいししょしょう)一切我今皆懺悔(いっさいがこんかいさんげ)」これは仏教のたいていの宗派で真っ先に唱える懺悔文(ざんげもん)というお経です。

「私が作ったもろもろの悪業縁はすべて貪瞋痴によるもので、わが身や口や意志のなすままに行動した結果であり、ここに私は今までのそれらの一切を懺悔します。」という意味です。



活禅寺の無形大師も「懺悔は仏教で一番大切なもの。懺悔の無い宗教は宗教ではない。」と言っておられました。

あっ、また少し善光寺から脱線しましたか。(^^;;



脱線ついでに信濃毎日新聞善光寺御開帳特集号にも連動して載せて頂いた善光寺御開帳公式ガイドブック雲切目薬の広告をお披露目しておきますね。( ^-^)





さて長野市民、特に商工観光業の人々の間でいつも問題になるのが、善光寺から長野駅までの距離の長さです。

約2キロメートル。普通に歩いて30分の、しかも坂道。若い人にはともかく、お年寄りには結構な距離です。



その上、20年以上も前に善光寺の裏側に駐車場が出来てしまいました。当時市会議員だった父たちはかなり反対したのですが、善光寺でお土産屋を持っていた強力な市会議員さんがごり押しして通してしまいました。



そうなるとせっかくの参道を歩いて善光寺にお参りする人の数は激減してしまいました。それが長野市の中央商店街の空洞化にもつながる一大事だったのです。



ところが、これも最近知ったことなのですが(^^;;、長い長い坂道を登って善光寺参りをすることにはちゃんと意義があったのです。



その昔、法蔵菩薩さまが修行の第一番目に48願の御誓願をたてられ、それを成就なさって阿弥陀如来さまになられました。その中で一番大事な王誓願と呼ばれる誓願が第18番めの誓願でした。それは「阿弥陀如来の名を唱えた者は必ず救われる。」というものでした。



それになぞらえて善光寺から18丁離れたところに長野駅が作られたのです。一丁は109メートルですから、十八丁はほぼ2キロになります。



つまり長野駅を降りて善光寺までの参道を歩いて始めて、法蔵菩薩さまの修行の道をたどる事が出来る訳です。



今年の御開帳ではこの故事にならって、長野駅から善光寺まで48基の燈篭が建ちました。奇数燈には大勧進の小松玄澄貫主さまの、偶数燈には鷹司誓玉御上人さまの手による誓願がそれぞれ書かれているそうです。



どうぞこの機会に本来のやり方で長野駅で降り、バスも乗らずに歩いて燈篭に触れながら善光寺を目指されるのはいかがでしょうか?



足のお悪い方や時間がない方には、ぐるりん号という小さなバスが長野駅から善光寺まで動いています。



終点のひとつ手前「大門町南」というアナウンスが聞こえたら耳を澄まして下さいね。雲切目薬の宣伝広告が入っていますから・・・。( ^-^)



ついでにもう一つコマーシャルを。

今回雲切目薬は「蘇った善光寺七名物」というのが謳い文句です。



善光寺には昔七つの名物があってたぶんそのうち現存しているのは4つだと思いますが、十数年前に出版された善光寺七名物を解説した本には雲切目薬はもう無い事になっていました。

だから雲切目薬が新しい処方で蘇ったことを多くの方々に知って頂きたかったのです。



あの有名な八幡屋磯五郎さんの七味唐辛子も、もちろん七名物のひとつです。



九子はいつもお客さんでごった返しているいかにもお金のかかった八幡屋磯五郎さんの新店舗の前を通る時、なぜか意識しないのに胸をそらしがちにして歩いています。



「そりゃあ、売れる金額や、お客さんの数や、店のきれいさや、従業員さんの数じゃあオタクに勝てないわよ。(何しろ笠原十兵衛薬局は一応十八代店主の九子が一人でお昼寝しながらやってる店だもの。(^^;;)だけどね、古さと心意気じゃあ負けないわよ!!(何しろそれしかありません。(^^;;)」



いつの日か、八幡屋磯五郎さんに肩を並べる店になる!!

(どう転んだってそりゃあ無理!(^^;;)



いいんです。何しろ我が家の家訓は「細く長く」ですから・・。( ^-^)



善光寺御開帳その1はこちら


よかったらこちらも( ^-^)
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おみつ。

[こんにちわ。]
九子さん、お久しぶりで失礼していました。

開店休業中のような我がブログの久しぶりの更新に、早々にコメントして頂いて有難うございました。

2月にここにお邪魔した時には、体調が下降気味のようでしたが、毎月数回コンスタントに更新されていて流石だなと思いました。

数日前、善光寺御開帳で朝早くから参拝者が引きもきらず賑わっている様子をTVで見ましました。七年ぶりの御開帳の時期には不思議に日本経済が低調な時が多いと言う事でしたね。

長野ではこの御開帳での経済効果が数百億とか。「未曾有の経済危機」という言葉に慣れて来たこの頃、最近では「不況は底を打った」「日経平均株価9000円回復」という話もチラホラ出てきて、このまま明るい方向へ進んでくれればありがたいですね。まあ、我が家には全くそういう兆候はないのですが。

善光寺から離れて建っていても何百年と言う歴史を刻んで商いをしてきた「笠原十兵衛薬局」を守っている九子さん。平和で穏やかが一番幸せですね。
by おみつ。 (2009-04-13 14:30) 

九子

[おみつさん、こんばんわ。( ^-^)]
お返事遅れてすみません。m(_ _)m

あっ、たまたまMIXIの定期メールが来て、店が暇だったから(^^;;開いてみたらおみつさんの更新通知があったので・・。

そうだったんです。2月はちょっと安静にしていたい時期でした。
3月4月忙しくなりそうだったので・・。
でもお陰様で必死で薬を飲んだのが良かったのか(結構薬が良く効いてくれて有難いんです。)事なきを得ました。ウツだったら更新はしないつもりでした。

>数日前、善光寺御開帳で朝早くから参拝者が引きもきらず賑わっている様子をTVで見ましました。

本当に凄いみたいですよ。でも参道近くのおみやげやさんの話だと、混んでる割には物を買う人が少ないとか・・。

>七年ぶりの御開帳の時期には不思議に日本経済が低調な時が多いと言う事でしたね。
あっ、そうなんですか。でも確かにバブル崩壊の1990年も御開帳の年だったはず。(七年に一度と言うけど数え年だから実際は6年に一度。18年前だものね。)

本当にこのまま経済が明るい方向になってくれないかしらね。
東京にオリンピックでも来たらまたみんな元気になるかしらね。
( ^-^)
by 九子 (2009-04-14 22:25) 

eiko

[婦女子平等!!]
 オドロキですね。
明治時代からやっと女子の地位が上がったと思いきや
すでに
『曹洞宗の修証義(しゅしょうぎ)というお経の中には「仏の教えを伝える者はたとえ7歳の女の子であろうと偉大な師である。」という一文もあり、当時から女性や子供を平等に扱っていた事が窺えます。 』なんて文章に目が(@@

曹洞宗といえば、浄土真宗のような金きら金の派手な
仏壇ではなく、黒檀・紫檀と良い材質を用いてますよね。

やはり、教えと同じで、人そのものを重要視する、つまり
性差別がなく平等という考えも、この仏壇から想像できます。

勉強になりますよ~九子さん!(○^^○)
by eiko (2009-04-18 09:30) 

九子

[eikoさん!( ^-^)]
オーストラリアから無事お帰りなさい!!( ^-^)
楽しそうでいいわねえ。

こちらは子供達の卒業式、引越し、入学式と続いて、その後は善光寺御開帳なので日曜日も祭日も無く開店しています。
(まっ、お昼寝はたまにするけどね。(^^;;)


>曹洞宗といえば、浄土真宗のような金きら金の派手な
仏壇ではなく、黒檀・紫檀と良い材質を用いてますよね。

さすが!eikoさん、良くご存知!
仏教徒の私からすると、やっぱり仏教って奥が深いなと思います。
葬式仏教にしちゃったのは、誰の責任なのかな?

eikoさん、身軽なところで御開帳にいらっしゃいませんか?
すごい人だけどね、参道は。(うちの前は閑散。(^^;;)
by 九子 (2009-04-18 14:20) 

eiko

[あはは~^^]
御開帳はちょっと....(^^;

身軽に信州・長野へ行きたいのですが
広島からのアクセスは、乗り継ぎが多く遠いですねぇ~

オーストラリアのケアンズは、海が綺麗で
スキューバーダイビングが一番の思い出になりました。
旅行は遊びだから、楽しいです。 笑
by eiko (2009-04-19 22:18) 

九子

[eikoさん!( ^-^)]
確かに気楽に・・という距離じゃありませんよね。(^^;; 
ごめん。でもさ、オーストラリアに比べたら近いから・・。(^^;;

>スキューバーダイビングが一番の思い出になりました。
いいわねえ。うちのYもいろんなとこの海でもぐってるらしいけど、一度やると病みつきになるみたいね。( ^-^)

私も一生に一度くらいはやってみたくなりました。( ^-^)
いつのことやら・・。(^^;;
by 九子 (2009-04-20 15:48) 

やむやむ

[はじめまして。]
九子さま、こんばんは。

秋に善光寺さんへお参りしようと思い
色々と調べておりましたら、
こちらのページにたどり着きました。

とっても詳しく説明してくださってたので、
すごく参考になりました。
有り難うございます。

今からお参りが楽しみになってきましたw
by やむやむ (2009-08-09 22:43) 

九子

[やむやむさん!( ^-^)]
はじめまして。コメント有り難うございました。m(_ _)m

秋に善光寺おいでになるのですね。是非是非薬局に足をお伸ばし下さい。きっとですよ。そして必ずやむやむさんと名乗って下さいね。( ^-^)

善光寺のお話参考になりましたら幸いです。

雲切目薬の古い店の写真が載せてあるこちらの日記も是非ご覧下さい。
<a href="http://www.mypress.jp/v2_writers/kasaharajubei/story/?story_id=1831231">http://www.mypress.jp/v2_writers/kasaharajubei/story/?story_id=1831231</a>

お目にかかるのを楽しみにしています。日曜日は休日ですが、お電話頂ければシャッター開けますよ。
( ^-^)
by 九子 (2009-08-10 10:24) 

やむやむ

[有り難うございます。]
九子さん、有り難うございます。

伝統あるお店を守っていくのはとっても
大変なこととお察しします~。

善光寺さんへは我が家からどのくらいかかるのかも
まだ全く見当がついていませんが、
叶うならば、ぜひぜひお邪魔させてくださいね。
by やむやむ (2009-08-11 19:05) 

九子

[やむやむさん!( ^-^)]
伝統あるお店・・・などというほどのものでは・・。(^^;;

苦労したのは母と祖母で、私は家付き娘なので気楽にのんびりやっています。

善光寺参り、思い立った時が吉日ですよ。
でももう少し涼しくなってからの方がいいかもしれませんね。
( ^-^)
by 九子 (2009-08-12 22:26) 

mu-ran

仏縁という言葉
大好きなんです。
理由はわかりませんが。

ある市会議員がごり押ししてできた
裏側の駐車場の話。
これフカーイいい話ですね。

よくあるんですよ。
一見強引に見える人の行動に嫌気が差したあと
結果的にはそれが一番いい選択だということが。
その経験を思い出させてくれる逸話でした。

本人は欲得で動く場合もあるかもしれないし
こちらとしてはそれをみて
「なんだあいつ」なんですよね。
でもどういうわけだか
それでいいんですね。
物事は収まるとこに収まる。
それはなぜなんでしょうかね?

不思議ですね。
By Mu-ran

追伸:八幡様のご加護ってあるんですよ。きっと。。。
by mu-ran (2010-08-18 18:20) 

九子

mu-ranさん、こんばんわ。( ^-^)

仏縁とか、ご縁があってとか、本当に良い言葉ですよね。( ^-^)

何か大切な事を諦めなくちゃならない時に使う「ご縁がなかったと思って」というのも好きな言葉です。英語だとdestinyと言うのでしょうか?
でも少しニュアンスが違う気がします。
「ご縁がなかった」と言う一言で、誰をも傷つけずに手放す覚悟が出来る気がしませんか?そういうのがちゃんとわかるのが日本人なのかなと思ったりします。( ^-^)

ごり押しの市会議員さん、父より20才も若かったのに父より半年ほど先に死んでしまいました。一時はあんなにいがみ合った二人でしたが、今頃似たような場所に居て何やってるかと思うとちょっと笑いたくなります。( ^-^)

仏の教えはつくづく大きな教えだなあと思います。
by 九子 (2010-08-18 23:15) 

mu-ran

九子さんとご主人とのお話
すごく感激して読ませていただきましたが
そのときにこの「ご縁」という言葉出ませんでしたね。
でもきっとそうでしょうね。
僕はどういうわけでしょうか
いわゆる仏縁を感じることが多いです。
「ご縁」という言葉。
シンクロかな。Syncと使うみたいですが
これ、近いかもしれませんね。
By Mu-ran
by mu-ran (2010-08-19 03:11) 

九子

mu-ranさん、こんばんわ。( ^-^)

>九子さんとご主人とのお話
すごく感激して読ませていただきましたが
そのときにこの「ご縁」という言葉出ませんでしたね。

あっ、そんなに感激して頂くようなものではないですが・・。(^^;;
そうですね。「ご縁」とは書かなかったかもしれません。

なにかその時のこと思い出してみると、駅で巡り合ったのはやっぱり運命で、と言うのは、もともと一度お互い無かった事にしようと言い合ったお見合いだった訳で、お見合いは「ご縁」ですが、駅で会ったのはやっぱり「ご縁」と言う感じよりももう少し強いつながりを感じて運命だったんじゃないかな?
と思うわけです。でも今は、やっぱりM氏と私は縁があったんだろうな・と思ってますし・・。

すみません。判りにくくて。

こう考えると、ご縁というのは、穏やかで細く長く続くもので、運命というのはもう少しその場限りで強烈な感じがしませんか?

>シンクロかな。Syncと使うみたいですが
これ、近いかもしれませんね。

なるほど。英語では「同時に起こる」みたいな意味でしょうか。
言い得て妙かもしれません。( ^-^)
by 九子 (2010-08-19 21:59) 

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