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ダメ!ゼッタイ! [<薬のこと、ダメ薬剤師のこと、家のこと>]


日本薬剤師会が毎年やってる違法薬物撲滅キャンペーンの標語が「ダメ!ゼッタイ!」で、これはもう九子が若い頃からずっと変わっていない。

毎年新人女優さんがポスターの顔となって笠原十兵衛薬局にも一枚ずつ配布されて来るけれど、たしか酒井法子の顔もずっと前に見たような記憶がある。



矢田亜希子の夫でやんちゃで定評のある押尾学が薬物中毒により死亡したと見られる女性を置き去りにし、その後薬物使用の疑いで逮捕されたのと、酒井法子の夫高相祐一氏が薬物所持で現行犯逮捕されたのはほとんど一緒の頃だったと思う。



芸能界はもとより、都会ではどれだけ薬物が身近にあるのだろうかと思っていたら、こんなド田舎の長野市あたりでも「駅の近く辺りで売ってるらしいよ。」と子供が言ってたのにはびっくりした。



九子さんは薬剤師だから、きっと薬物の事に詳しいに違いない!と思ってるあなた。いつもの事ながらとんだ誤解であります。(^^;;



だいぶ前の事だけど、学校薬剤師会主催の違法薬物講習会が開かれて、九子は質問の時間に開口一番「『ダメ!ゼッタイ!』なんて言いますけど、本当は一度くらいならだいじょうぶなんじゃあないですか?」と質問した恥知らずなんである。(^^;;



そこに出席していたのが元麻薬Gメンだったという薬剤師さんで、「絶対にダメです。大人もダメだけど、ましてや未成年だったら、未成熟な身体や脳が薬物に侵されて完璧に悲惨な人生を送ります!」と鋭い口調で言われ、はじめて九子はその恐ろしさを認識した次第。



今、学校薬剤師を中心にどこの県でも薬物防止の授業が一年に一度位づつ中学高校を中心に開催されているはずだ。

学校薬剤師やってた時にそのビデオを見とくべきだったなあ。



九子の手元にあるのは精神科医の吉川武彦先生監修の本だけだ。「恐ろしい薬物乱用」

少年写真新聞社と言うところから出ている子供向けに書かれた本だから誰でも読める。体も心もぼろぼろにする 恐ろしい薬物乱用 (写真を見ながら学べるビジュアル版・新健康教育シリーズ)の画像



そこには本物の薬物中毒者の臓器が写っている。

脳が、心臓が、身体中が、これだけ悲惨な事になっているんだなあ。

それ以上に、この臓器を提供した人物は薬物中毒のためにもうすでに死んでしまっているのだという事実が重くのしかかる。15歳で乱用をはじめ18歳で死んだ青年の死体の写真も載っている。



薬物には実は軽重があって、大麻や有機溶剤(シンナー、トルエンなど)は比較的依存による害が少ないが、しかしより有害な覚醒剤(アンフェタミン、メタンフェタミン)やLSD、更には麻薬への入門薬物(ゲートウェイ)になるので気をつけろとよく言われる。



でも本当は、更にその前段階にあたる青少年の飲酒喫煙が薬物依存の第一歩となるのだ。



なるほどアルコール依存は深刻な問題だし、薬剤師会ではこのところ禁煙運動が盛んである。ニコチンパッチなどの禁煙商品も健康保険でたやすく手に入るようになった。



だけれども、まずは依存に陥らない、出来れば飲まない、吸わないが一番良いことは言うまでも無い。





ウィキペディアによると覚醒剤というのは悲しい歴史を持っていた。



戦中戦後の日本で当たり前のように使われていたヒロポンという薬。これはメタンフェタミンという覚醒剤なのだけれども、日本人の長井長義と三浦謹之介によって開発された薬なのだそうだ。



原料になるのはエフェドリンという咳止め薬だ。エフェドリンは一般的な咳止めの風邪薬によく入っている。

さらにこのエフェドリンは漢方薬の葛根湯だとか小青龍湯だとかの風邪薬の原料の「麻黄(まおう)」という生薬の主成分なのだ。



ついでに言えばリン酸コデインという麻薬も、100倍以下に薄めて一般的な咳止め薬に入っていたりする。

一時期騒がれたブロンのシロップにはエフェドリンもコデインも入っているから、たくさん飲めばそれなりの効果が得られるだろう事は想像に難く無い。



漢方の煎じ薬の原料のなかでツンと鼻をつく匂いと畳の切り屑みたいな外観は一風変わっていて、一度覚えると二度と間違えることが無いのがこの麻黄だろう。

匂いはそのまま覚醒作用をうかがわせるようだし、試しに口に含んでみると少し苦味があり、口の中がしびれるような感じがいつまでも留まって、眠気が吹き飛ぶような気持ちがする。



漢方薬が中心だった日本の医療の伝統の中で、麻黄からヒロポンが作られたというのはもしかしたらごく自然の成り行きだったかもしれない。



ヒロポンは最初咳止めの目的で使用されたが、そのうち疲労回復に優れた効果があると評判になった。



戦時中になると軍が生産性を上げるため積極的に使うようになった。兵隊さんや軍需工場の作業員が寝ずに働けるように、つまりは戦争に勝つために使われたのである。



特攻隊員は飛び立つ直前に、より即効的なヒロポンのドリンクを飲んで任務についたのだそうだ。(こちらの方はヒロポンの純度が高かったと思われる。)他の兵隊もヒロポンにお茶の葉を混ぜた錠剤を常用していたらしい。(カフェインとの相乗作用を期待したというよりも、高いヒロポンを安いお茶の葉でごまかしたのかも。)



九子の出来すぎ母も学徒動員といって女学校から(今の高校生位か?)名古屋の軍事工場に送られた時、朝から晩まで働きづめでもヒロポンを飲むと疲れが取れたと言っていた。



そうやって覚醒剤でも飲んでハイにならなけりゃあ、やってられないもんなんだろうなあ、戦争なんて!



だから戦中から戦後の混乱期まで、ヒロポンは良きにせよ悪しきにせよ日本人の気持ちを支えた薬だったんだろうと思う。



戦中にヒロポンを使ったという母には、中毒や依存は見られなかった。

たぶん粗悪な物で、飲む回数も含有量もわずかだったのかもしれない。



しかし戦後になって中毒者が増えてきて、ヒロポンはその使命を終えた。



そう。薬物は平和な時代にはそぐわないものなのだ。





このあいだテレビドラマにもなった水谷修先生の「夜回り先生と夜眠れない子供たち」には、『ドラッグは人を三度殺す』という言葉が出てくる。夜回り先生と夜眠れない子どもたちの画像


最初は「心」です。優しさ、意欲、気力、友情、思いやり、愛・・など人にとって最も大切な心を殺されてしまいます。
次に殺されるのは「頭」です。普通の人は、同時にいろいろなことが考えられます。勉強をしているときでも、今日のお昼ごはんのことを考えられます。先生に怒られている時でも、放課後何をして遊ぶか考えられます。でもドラッグは、その頭を奪います。
ドラッグを使い始めると、ドラッグのことしか考えられなくなるんです。「いつ使うか」「どうやって手に入れるか」「どこで使うか」「誰と使うか」を考える事で頭の中はいっぱいになります。
最後に殺されるのは「体」つまりその人は死ぬことになります。
これがドラッグの恐怖です。


水谷先生はご自身も家庭環境に恵まれず、若い頃夜の街で過ごしていた時期がおありなのだという。

ああ、だから夜の街に入り込むのが怖くなかったのかと思い込むのは早計だ。



何度も何度も身の危険を味わって、それでも子供達の事が気がかりで夜の街に立ち続け、一人の子を助けるために朝が来るまで何時間でも話し込む。

そういう毎日毎日の血のにじむような努力の果てでも、関わった子供たちのうち20人をドラッグで失ったと書かかれている。



脳は一度味わった薬物の快楽を一生覚えていると言われる。

先生のような大人に巡り合った幸せな子供であっても、薬物を絶つことはそんなにも難しいのだ。



夜の街を徘徊する子供達は、まず家庭での居場所を失った子供達ばかりだ。家庭が温かくて居心地が良ければ、子供達は決して夜の街などをうろつかない・・と水谷先生は言う。



薬物から子供達を守るのは、結局は家庭の愛情ということになるのだろう。





ところで高相祐一氏が保釈された時、まさに帰ろうとするその瞬間「タカソウ~!家族マモレ~!」という声が聞こえて、九子は胸が熱くなった。



声をかけたのはいったいどんな人なんだろう。たぶん彼の友人だろうな。親友と言える人なのかもしれない。

いや、もしかしたら単に酒井法子のファンの一人だったかもしれないが・・・。



そう叫んだ彼が自分の家族を大切にしてないはずはない。家族を養うために身を粉にして一生懸命働く標準的な日本人男性に違いない。



日本のほとんどの家族は皆、彼のような大黒柱を中心にほどほどに幸せな生活を営んでいる。



もし彼が高相祐一氏の友人であったとしたなら、若い頃には高相氏らとともに遊び回った経験もあるのだろう。危ない橋だって一緒に渡った仲なのかもしれない。



「だけどオレ、今は違うんだ、昔とは。だって護んなきゃならない家族が居るんだから・・。だからお前もさ、いつまでもバカな事やってないで、家族を幸せにしてやれよ。頼むからさあ。」



こんなセリフがあの一言に続いていそうで、九子はなんだか幸せな気持ちになった。こういう男達がこの国を支えているんだなと思えた。



そういう仲間に支えられた幸せな高相祐一氏であったとしても、彼と彼の家族のこれからは苦難の道だ。



何しろ薬物中毒で逮捕されたり、専門の病院に入院したり、ダルクという自助グループに入った人々の中で、その後一生にわたって薬物を摂取しなかった人の割合はたった1%、100人に1人いるかいないかなのだそうだ。



たった一度でも手を染めた薬物の快感が脳の中に永遠に刻み付けられて、何年、何十年と経った後でも一度誘惑に駆られるとそれを意志の力で拒む事は絶対に出来ない。



だから、もう一度言おう。ダメ!ゼッタイ!



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コメント 8

eiko

[怖いです]
脳の中に永遠に刻み付けられる薬物は怖いです。
九子さんが警告にと書かれた大文字が
さらに一層に怖さを感じましたよ。

九子さん、私は大丈夫ヨ。安心してね(^^)
by eiko (2009-10-05 21:43) 

eiko

[怖いです]
脳の中に永遠に刻み付けられる薬物は怖いです。
九子さんが警告にと書かれた大文字が
さらに一層に怖さを感じましたよ。

九子さん、私は大丈夫ヨ。安心してね(^^)
by eiko (2009-10-05 21:44) 

eiko

[あらら(@@]
間違えて2度も投稿しちゃいました!
スミマセン(^^;
by eiko (2009-10-05 21:45) 

九子

[eikoさん!( ^-^)]
今日はお返事素早いでしょう。( ^-^)
実はパソコンの調子が悪くて明日になったら立ち上がって無いかもしれないので急いで書きました。

>九子さん、私は大丈夫ヨ。安心してね(^^)

まさか!eikoさんは一番薬物なんかから遠い人ですよ。
とにかく趣味が広くて友達も多いし、何より生きがいがあるでしょ?

これから世の中が悪くなるにつれて、実際の生活に幸せを見出せずに薬物に手を出す人が多くなるのではないかと心配しています。

投稿する時、時間帯によってすごく重いんだよね。私もよくやるので、ぜんぜん気にしないでね。( ^-^)
by 九子 (2009-10-05 22:50) 

よぽぽ

[家族の心も壊しますよね。]
 夏中、大騒ぎだったニュースも
二人が保釈されたことでだいぶ下火になりました。

家は、酒井法子の実父が昔住んでいた家から
結構近いところなんですよ。
(ここにも報道の方が、いらっしゃったようです。
 もう20年以上も前に借りていた家なのにね (^^; )
夫が引越業なので、(もちろん当時は私も同じ職場でしたが)
2度そのお父さん宅の引越しの作業をしています。

余談が長くなりましたが…
薬物を使った本人もですが、
その家族もまた、大変な思いをすることを
気にとめてほしいと思っています。

酒井法子の薬物の使用方法が
注射ではなく、吸引だったと聞いて
一緒に住んでいた子供にはなにも影響がなかったのか
とても気になっています。
薬物に侵された脳が
一番大切であった子どもの心まで壊してしまう
そのことにもっと早く気づいてほしかったですよね。

 話は変わりますが、おかげ様で
息子が、東京の専門学校へ合格しました。
ただ、学校の場所が場所なので…
くれぐれも、わけのわからない薬を
騙されて使わないように…
と言い聞かせましたが…
大きくなったら大きくなったで心配の種はつきないのだと
思っている今日この頃です。(^^;
by よぽぽ (2009-10-06 12:41) 

九子

[ター坊君、おめでとうございます。( ^-^)]
やったー!頑張りましたね!( ^-^)
東京の繁華街というと、あそこの駅の西の方でしょうか・・。

でも大丈夫!やっぱり悪い仲間は仲間をかぎつけるものだと思いますから、立派なお母さんがついてるター坊君なら大丈夫!( ^-^)

そうか。山梨は一時期大変だったでしょう。そんなに近いの?

酒井法子さんと言う人も生い立ちも生い立ちだし、気の毒な面があるのかもしれません。なんてったって家庭ですよ!

>注射ではなく、吸引だったと聞いて
一緒に住んでいた子供にはなにも影響がなかったのか
とても気になっています。

さすが!よぽぽさん。そういうところまでよく気が回りますね。
確かに影響は無いとはいえないでしょう。
そうやって輪廻のように、世代から世代へと悪しき習慣が受け継がれていくとしたら、のりぴーさんがした事は無責任としか言えませんね。余命いくばくも無いと伝えられる継母にもしもの事があったら、彼女はいったいどうなってしまうのか、甚だ心配です。

本当にこうしてみると家庭の役割ってものすごく重要ですね。考えさせられます。
by 九子 (2009-10-06 16:29) 

あずーる

[ダメ!絶対ダメ!ですよね~]
九子さんのお母様が学徒動員で働かれていたときにヒロポンなんて、そのころは社会に蔓延していたのでしょうね。

昔よんだ藤川なんとかいうひとの小説「さらば・・・なんとか」
(いいかげんですいません)闇市(設定は大阪)でヒロポンうってたくましく生きていく戦争孤児のことを思い出しました。

疲れにくくなって仕事や勉強ができるといいますが、一度はまってしまったらどんどん体を蝕んでいって脳まで破壊していくのですよね。
軽い気持ちで友達からというのも多いようですね。
そんな誘惑に誘われて人生だいなしにしないために、普段からの家族の愛情がうけられる社会にしないとダメだと思います。

今、生活するのにせいいっぱいの親も多いみたいなので、鳩ちゃん政権で住みよくなるのを期待しています。

大麻もだけど、安い値段でより手にはいりやすいタバコとアルコールの健康被害のほうが全体の割合として大きな問題なので、そのへんもちゃんとしてほしいですね。酒税、タバコ税あげるべきです。
by あずーる (2009-10-20 21:56) 

九子

[あずーるさん!( ^-^)]
こちらの方までコメント頂き、感謝です。m(_ _)m

>九子さんのお母様が学徒動員で働かれていたときにヒロポンなんて、そのころは社会に蔓延していたのでしょうね。

そうなんでしょうね。戦争に勝つためなら副作用などお構い無しに使われてたのだと思います。戦争が終って、やっと副作用の怖さに
目が向いてきたのかもしれませんね。

こんな事言うとまた薬剤師会に怒られそうだけど(^^;;、戦中戦後かなりの数の服用者が居たはずだけれど、その割りに中毒者の問題ってあんまり表に出ませんよね。もちろん粗製のものだったという可能性はあるけど、ちょっと不思議な気がします。

>大麻もだけど、安い値段でより手にはいりやすいタバコとアルコールの健康被害のほうが全体の割合として大きな問題なので、そのへんもちゃんとしてほしいですね。酒税、タバコ税あげるべきです。

あずーるさんに全面的に賛成!!
タバコもアルコールも本当に身近にある恐怖ですよね。
タバコ、300円くらいになって、昔の倍くらいになったなあと驚いたけど、1000円位にしてもいいかもね。
本人だけじゃなく回りも迷惑するんだから、罰金も含めて・・。
by 九子 (2009-10-21 00:11) 

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