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本当は怖い日本人の笑い? [<九子の読書ドラマ映画音楽日記>]

テレビドラマが刑事物、推理物の花盛りになったのは昨日今日のことではあるまいが、それにしてもここ数週間は毎日見たい番組がてんこ盛りだった。

月曜日の「ハンチョウ」を皮切りに、火曜日は「ジョーカー」「逃亡弁護士」水曜日は 「警視庁新9係」
木曜日は「科捜査研の女」と「警視庁継続捜査官」。

謎解きものというのは人間の脳の知りたい欲求を刺激するからか、比較的年齢層に関係なく人気があると思う。
かく言う九子とM氏も、食後の腹ごなしを兼ねて(というほど一杯ごちそうが食卓に並ぶ訳ではないが(^^;;)いっしょに見ていることが多かった。

謎と言うならM氏の取捨選択も結構謎だった。
「ハンチョウ」は見る。「ジョーカー」と「逃亡弁護士」は決して見ない。「科捜研」は見る。「9係」と「継続」は途中で席を立つ。席を立って高尚な本でも読もうかというならわかる。席を立ってパソコンのバーチャルパチンコをするのである。う~ん、謎だ。(^^;;

まあ話の流れからお判りの通り、九子は基本的にそれらのすべてを見ていた。あ~、忙しかった!(^^;;

考えてみるとこれもテレビ局の戦略なのだろうけど、昔は一回完結型のストーリーがほとんどだったのに、この頃のドラマはとりあえず一回ずつは完結しているのだけれど、シリーズ通して大きな意味でのひとつのお話が出来あがっていて、一回見逃すと話が通じなくなる。

結局他愛ない視聴者はまんまと戦略に乗せられて、一度も見逃さぬようにして最後まで見続けると言う訳だ。

「ジョーカー」と「逃亡弁護士」が今週の火曜日で最終回を迎えた。
それぞれになかなかいいドラマだったし、うまい終わり方だった。
クライマックスという言葉どおりの見応えのある最後だった。

特に無実の罪で逃亡生活を送っていた弁護士役の上地雄輔が良かった。
失礼ながら彼がこんなに実力ある役者さんだったなんて、クイズヘキサゴンで初めて彼を見た九子にはちょっと信じられなかった。

いや、役者としての彼の姿は「ルーキーズ」で悪役の投手役の時に始めて見て、ヘキサゴンの時は終始笑顔でいい人満開の彼が、にこりともせずにワルを演じきるのを「ほお~っ」という思いで見た記憶がある。


でも投手役というのは、実際松坂大輔投手の女房役としてならしたという上地にとっては、地のままで出来る部分が多かったんじゃないかな。

今回はまったく違う知性派の熱血弁護士の役。法律用語もたくさん出てくるし、長い台詞ばかりの、おバカキャラで売ってる上地君とはとうてい思えない熱演だった。

特に最終回の法廷部分は圧巻だった。
上地演じる成田誠弁護士は、自分の一年半にわたる逃亡生活中、人間は法律によって救われることは決してないと学んだと言う。自分が会った誰もがみな、法律によって幸せを剥奪された人たちばかりで、彼らは皆、法律を憎んでさえいたと語気を強める。

「人間は法律によって救われるのではない。人間によって、人間のあったかい心によって救われるんです。」
成田はこぶしで左胸を叩きながら、目を涙で潤わせながら熱く説く。

そこにはヘキサゴンではしゃいでおバカをやってる上地雄輔はいない。
真剣な表情で、やっと無実が晴れて本来の弁護士として弱者を救っていくんだという意気込みに燃える若き弁護士の姿があるばかりだ。

「いつも笑ってばかりの上地君も、本気になると凄いんだ!」と九子は思った。
それと同時に、本気の時は人間って笑わないもんなんだなあって事にもなんとなく気づいた。


笑ってばかりと言えば、もう一つのドラマ「ジョーカー」の主人公伊達一義を演じた堺雅人も、いつも怒った顔を想像できないほど笑顔の似合う俳優さんだ。

その彼を今回の主役に抜擢した配役の人の才能には脱帽だ。

堺演じる伊達一義は、8才の時両親を殺した犯人にナイフを突きたてて大怪我をさせた過去を持つ。
そんな過去の痛みを隠すように、つねに微笑みをたたえて、普段はぱっとしない刑事を演じ続けている。

その伊達はバーのマスターである元警察官の三上とともに、法によって裁く事の出来ない凶悪犯を密かに社会から抹殺してしまうという役割を担っている。

夜の闇をついて起きる「神隠し」。つまり伊達と三上による裁かれない犯罪者狩りの際にも、伊達の顔には微笑が浮かんでいるように見える。そしてその笑顔は、いつもの伊達の笑顔と違い、皮肉で冷徹だ。

ここでも九子は学んだ。
日頃笑ってばかり居る人間が別の、強靭で時には暴力的な裏の顔を見せる時、その笑顔すらが武器になる。


「日本人の笑い」という本もあり、失敗したり、困ったり、世界の国の普通の人が笑わない場面でもついつい笑ってしまうと言われる我々だけれど、この日本人の照れ笑いやら愛想笑いというのをすぐにやめろと言われても、それはそれは難しい。誰に教えられた訳ではなく、この国の中でみんながそうしているのを見て育つうちに、自然に身に付いてしまった笑いだからだ。そう、これは変えようったって変わらない日本の文化なのだ。


かつて日本の国の首相が、外国でにこりともせずにその国の代表に会い、大きな仕事を成し遂げたことがあったのを覚えておられるだろうか?

そう。小泉元総理大臣が北朝鮮へ行って金正日(キム・ジョンイル)に会い、蓮池さんら三家族を連れ帰るのに成功した時だ。

小泉さんと言う人がやったことはみんながみんな評価できる訳ではないけれど、少なくてもこの一件は大成功だった。小泉さんが行かなかったら三家族はまだ北朝鮮に残されたままだったかもしれない。

小泉純一郎という人は「小泉劇場」と言われるくらい芝居がかった事が好きな人だったのかもしれないが、あの時の彼の金正日とのにこりともしない握手の様子は九子の記憶にしっかりと残った。
へらへらと無意味な愛想笑いをしながら握手するよりもずっとずっと、彼らに「あれっ?ちょっといつもと様子が違うぞ!」という重圧をかけるのには極めて有効だったのではないか。

そうなのだ。九子が言いたいことはそれなのだ。
いつも怪し気に笑ってる日本人がたまに真剣な顔をする。怒ってみせる。

日本人がいつも笑顔を絶やさない温和な民族である事を逆手にとって、芝居でもいいから怒りを見せる。上手に怒る訓練をする。
と言ってもあまり頻繁では効果がなかろうから、あくまでいざと言う時だ。


文藝春秋十月号の「真相 未解決事件35」でザ・タイムス紙の東京支局長リチャード・ロイド・パリー氏が例の市橋達也事件に関して論評を載せていてその中で、

「日本人の男性が、男性特有の敵意をむき出しにすることはきわめて稀だ。これは、欧米人をときに感心させ、ときには畏怖させてきた。」と書いている。

彼の15年間の日本滞在中、殴り合いの喧嘩を目撃したのはたった3回で、そのどれもが不穏を予期させるような怒鳴り声、小突き合い、にらみ合いも無く突如として始まったように思え、こうした日本の特徴は、多くの外国人が母国で培ってきた危険察知能力を無効化するものだそうだ。
こうして日本人の静なる怒りを好意的に評価してくれるのは、彼が紳士の国イギリスの出身だからだろうか・。


まあでもこう考えてみれば草食日本人だって立派に戦える。訓練次第では・・・。


実は次男Sが大学6年目(医学部でも修士でもないぞ(^^;;)の時にたった一ヶ月だがオーストラリアに短期留学した事がある。そこでたまたま韓国の男の子と同室になったんだそうだ。

何がきっかけだったか知らないが、彼らは喧嘩を始め、挙句の果てに決して言ってはいけないタブーのあの問題で大喧嘩になったそうなのだ。そう、{{竹島}}問題である。

言っておくが彼の英語はまったく大したことない。
「英語で喧嘩した。」というその事実に長男なんかは「スゲエ!」と目を丸くしていたが、九子が想像するところで言えば、
"Takeshima is Japan. ”"NO, It's Korea."  程度のレベルだと思う。(^^;;

彼らの仲は最後まで険悪で、ホストファミリーのママさんに迷惑かけて悪かったと彼はしきりに反省していた。

すると1年ほどしてから、例の韓国人から彼に電話がかかってきたそうだ。喧嘩のことなどまったく忘れた風に「元気?何してる?」ってな調子だったようだ。

韓国人もまた日本人と別な意味で熱しやすく冷めやすいお国柄のようだ。
喧嘩も回数やり慣れるといちいち覚えちゃいられないから、根に持ったりしないで案外さっぱりするのかな?(^^;;


尖閣諸島問題でまた中国がどうのこうのとうるさいことを言っている。
前原大臣が言うように「日本の南に領土問題は存在しない。」のだから、民主党政権には、菅さんには、日本人のきっぱりとした怒りを見せて欲しい。いつも温厚な日本人も、怒る時は怒るんだよってとこを示して欲しい!

それにしても、日本の首相が笑ったらその笑いに世界中がぞっとして畏怖を感じてくれるなんて時代は、一体いつになったら来るのかな?(^^;;


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mu-ran

ブログが笑顔のことでシンクロしておりました。
おもしろいこともあるものですね。
僕はたまたまローマ法王の英国訪問のことで
笑顔と外交について触れたのですが、
今この話を読んでちょっと驚きました。

上地さんは凄い人ですね。存在自体が凄いと思います。

そういえば小泉さんに先日たまたまあるレストランでお会いしました。
ロイヤルオペラ公演の帰りに
僕はスポンサーのご夫妻と食事だったのですが
そこで小泉さんと隣り合わせになりました。

あの方は体中から楽しいオーラがきらきら輝いているような感じ。
言葉にはならない力があるのではないでしょうか。
9月17日でしたよね。北にいかれたのは。

選んだのはわたしたち。
選ばせたのは、あの光でしょうか。

僕の祖母はミステリーが好きで、
特にアガサ・クリステイが好きだったようですが
その影響で大分昔は推理小説なるものを読みました。

そこで憧れをもったものがある。
それは「予知能力」あるいは「透視能力」のような
エルキュール・ポアロやシャーロック・ホームズが持つ
例のスーパー・パワーです。

謎解きより、謎解きに至るプロセスで発揮される
超人的なパワー。
それを欲しいと思いましたね。
関東も過ごしやすくなりました。
お元気でお過ごしください。
by mu-ran (2010-09-17 21:03) 

九子

mu-ranさん、すっかりお返事が遅くなり申し訳ありません。

>そういえば小泉さんに先日たまたまあるレストランでお会いしました。
おお、mu-ranさんの人脈をたどると、とてつもない方々に行き当たるんですね!

確かにオーラというか、カリスマ性のある人でしたね。
ブレないところは民主党政権にも真似して欲しいですね。

>僕の祖母はミステリーが好きで、特にアガサ・クリステイが好きだったようですが・・

わあ、モダンなおばあちゃまですね。( ^-^)
ミス・マープルみたいな感じでいらっしゃったのでしょうか?( ^-^)

「予知能力」や「透視能力」はある一握りの才能のある方が持っていればいいと思います。庶民の九子はそんなのがあったら怖くて怖くて・・。

mu-ranさんがこれからもいいお仕事を続けられるためにはきっと必要なものなのでしょうね。そしてそれは、小さい頃から超能力に憧れていた少年には、きっと知らないうちに与えられているものなのだと思いますよ。( ^-^)
by 九子 (2010-09-20 12:02) 

seiji

すっかりコメントした気になっていましたが、初めてですね、失礼いたしました。
私も警察モノはドラマも本も好きですね。ついつい夢中になっちゃいます。
こっちではタイムリーにドラマを見られないのですが、ちょっとずつ季節遅れのような感じで見ています。やっぱり相棒ですかね~、踊る大捜査線も一番最初のドラマの頃からのファンですが。
対中国関係のことは。。。いろいろと問題があるのであまり個人的な見解はしませんが、完全にナメられている感じはしますよね。
なんとかして欲しいものですが・・・

by seiji (2010-09-24 13:51) 

matcha

九子さん、初めまして。ご訪問頂きそれにコメントまで有難うございます。

少しでも、当時を思い出して頂いたこと
歌う冥利に尽きます。
こちらこそ、有難うございます。

今後とも、宜しくお願い致します。
by matcha (2010-09-24 15:00) 

九子

seijiさん、こんばんわ。
コメント有難うございます。( ^-^)

アメリカ、しかもニューヨークなんて夢のまた夢。
一応若い頃新婚旅行に近い形でナイアガラの滝をアメリカ側から見てカナダのバンフに飛んでバンクーバーへ行くだったかな?ツアーに参加した事はありますが、東海岸の諸都市は皆目わかりません。

洞窟ならなにやら、アメリカと言っても広いんですねえ。
若いうちにお仕事の都合で?海外生活を送れるっていう事は本当に得がたいことですよね。うらやましい。( ^-^)

アメリカの生活で身につけた対話術で、中国をガツンと言ってやってください。(^^;;
日本は簡単に違法営業の船長を釈放しちゃうことにしたそうですが・・。



by 九子 (2010-09-24 18:54) 

九子

seijiさん、中国に苛立って大事なお話を忘れました。(^^;;

プロフィール欄を参考に私にメールを頂けますか?
大事なお話がありますので・・。( ^-^)
by 九子 (2010-09-24 18:56) 

九子

matchaさん、こんばんわ。
コメント有難うございました。( ^-^)

そういえばあの加山雄三のレコードは両面A版くらいに中身が濃くて、私はB面の夜空の星の方がずっと好きでした。( ^-^)
これからも懐かしい音楽の話題、楽しみにしています。

え~、コメントを下さった皆様にお願いしているのですが、プロフィールを見て頂いてそこに書いてある方法で九子にメール頂けませんか?
お待ちしております。m(_ _)m
by 九子 (2010-09-24 19:01) 

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