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九子の霍乱 [<薬のこと、ダメ薬剤師のこと、家のこと>]

「鬼の霍乱」と書いたら読んで頂き易かったと思うけど、知っての通り九子は断じて鬼ではない!
(仏と言うほど鉄面皮でもないが・・・。(^^;;)


いやあ、ただでさえご無沙汰の九子がここ10日以上病に倒れてしまいました。よってマイぷれすの皆様にもso-netの皆様にもこの上なく不義理をして居りまして大変申し訳ありません。この場を借りてお詫び申し上げます。m(_ _)m
えっ、計算が合わない? その後のお休みは生来の怠け病です。(^^;;

さてその病とは何か!タイトルどおりの「霍乱病(かくらんびょう)」でありました。

漢方薬のバイブル「傷寒論」のタイトルにはちゃんと「霍乱病」という項目があるのだけれど、まったく字の通り寒さに傷れて(やぶれて≒やられて)霍乱=吐いたり下したりしちゃった訳である。

これを現代の医学では「ウイルス性胃腸炎」とか、「おなかの風邪」とか言うそうな・・・。
今回の日記には一部尾籠(びろう)な表現が含まれますがお許しを・・。m(_ _)m

症状は突然起こった。
久しぶりにN子に長電話して、さてさてそろそろ寝ようかなと思った途端刺すような胃の痛み。
それが並大抵の痛みじゃないのだ。背中を丸めてただただ耐えているのだけれど痛みは衰えを知らず、そのうち吐き気も加わってトイレに駆け込む九子。

傷寒論の時代から腹痛にとりあえず有効なのは、原因とおぼしきものを吐いたり下したりして外に出してしまう事だ。
普通ならとりあえずはそれで良くなるはずだった。

まあ九子もなんとか落ち着いた。
ああ、良かった!なんか悪いもんでも食べたのかなあ?
ところが・・・。

朝方の5時頃に、再び激痛が襲った。
オシッコの後、急激に痛くなった。

後から思うと激痛の持続時間は毎回20分から30分位で、その間を必死に耐えているといつの間にか良くなるという経過だった。
良くなるといっても鈍痛はずっと続いていた。

それからも九子は4~5時間ごとに激痛に襲われた。不思議な事に激痛はいつもオシッコの後トイレで起きた。胃が痛いのと排尿はなんか関係あるんだろうか?

4度目の激痛で救急に飛び込んだ。
土曜の夕方の救急外来の窓口には「発熱のある人、下痢のある人、吐き気がある人は申し出てください。」と大書されており、結局インフルエンザの子供達と同じ待合室で待たされた。

M氏は待合室に決して近寄らなかった。君子危うきに近寄らず!(M氏が君子であるかどうかは知らない。(^^;;)

九子にはなんとなく先入観があった。ノロだかロタだか知らないが、得体の知れないウイルスが九子の身体の中で暴れ回っている間は、インフルエンザウイルスは近寄れないんじゃないのかなあ? だから平気で子供達がゴホゴホ咳してる中で待っていた。
とりあえず九子がインフルエンザにかかってないところを見ると(もちろん予防接種はやってあるけど)その理論は正しかったのかしら?(^^;;

九子は割合早く呼ばれた。インフルエンザじゃない可能性を感じ取ってもらえたのかな?
お医者さんは40代後半くらいのなかなか落ち着いた先生だった。

「たぶんウイルス性胃腸炎。俗に言うおなかの風邪ですね。この病気には対症療法しかありません。下痢はあまり止めるとよくないので整腸剤だけ出しますね。あとは痛み止め。まあ3日たてば良くなるでしょう。」
最後のお告げのような「3日」と言う言葉が後に災いを引き起こす。(^^;;

この場合の痛み止めとは九子でも知ってる古典的な鎮痙剤のブスコパン。ブチルスコポラミン臭化物というのが成分名で、セデスやバッファリンでは効き難い内臓痛を止めてくれる。要するにお腹の痛みを起こしてるところの臓器の痙攣を鎮めてくれる薬なのだ。

ブスコパンは実によく効いた。
ただし飲み方にはコツがあった。

要するに激痛が来た後に飲んだのでは間に合わない。
痛みは何もしなくても30分もすれば自然に良くなってしまうのだから、それとなぜだかオシッコに行った直後に痛くなると言うのも考え合わせて、少なくとも痛みが起こりそうな時間、オシッコに行きたくなりそうな時間を予想してそれより少なくとも1~2時間前位にはブスコパンを飲むようにする。

この飲み方を覚えて以来さしもの激痛も陰を鎮めた。

ところが先生が治るとおっしゃった期限の4日目の朝、ブスコパンを飲んでいたにも関わらず、激痛が再び九子を襲った。

えっ、なんで?!先生は3日で治ると言ったよねえ。だけど今日は4日目の朝で、今まで効いてたブスコパンも効かないなんて!
悪くなってるじゃん!

そこでまた救急外来に電話して状況を説明。痛みに耐えながら電話してるんだからそりゃあ迫力あるよね。(^^;;
「大丈夫ですか?一人でここまで来られますか?」と応対してくださった看護師さんの優しい声に力を得て、タクシーを頼んで長野市民病院へ。

長野は県庁所在地でありながら、長い間大きい病院と言えば長野日赤病院しかなかった。
信州大学医学部附属病院やスピードスケートの小平奈緒選手で有名になった相澤病院など大病院を抱える松本には到底勝てなかった。

でも平成7年に長野市民病院が出来て、ホテルみたいにきれいな建物や立派な施設、流行り出した「患者様」という呼びかけが評判を呼び、一躍長野日赤の対抗馬に躍り出た。

実は現在でも黒字を続ける数少ない病院の一つだそうで、今では増床して1.5倍くらいに大きくなったのだけれど、清潔さも「患者様」という呼びかけも昔のまま、今では院内にコンビニも入り(長野では珍しいと思う)、レストランもどうやら東京の業者さんが入ったとかで、本当にこれが病院の中?と言う様なおしゃれなたたずまいである。

自分が市会議員時代、一応医療関係者という事で(^^;;建設に携わった病院がこんなに盛っているのを見て、きっと父は鼻高々な事だろう。
そうなのです。我が家は父と娘二代に渡って、本業の方はさっぱり・・という薬剤師一家。
娘たちよ!せめて三代目はまともな薬剤師になってね。(^^;;

そうそう。救急の待合室には研修医さんと思われる白衣のドクターが苦しそうにうずくまっていた。インフルエンザにでもかかったらしい。なぜ彼が研修医さんとわかったかというと、患者ならば必ず「○○さま」と呼ばれるはずが、「○○君」と呼ばれていたからだ。(^^;;


ほどなく九子も呼ばれて、その頃にはさすがに背中を丸めなくても普通に歩けるようになり、30代の前半らしい若い間○マ○先生に経緯を説明する。

ひっかかったのは「ふ~ん。今日来られたのはどうしてですか?」と言う一言。

父がお騒がせな病人だった頃、救急車でかけつけるたびに「十兵衛さん、どうしてまた救急車なんか乗っちゃったんですか?」と当時の父の主治医の先生によく言われたっけ。
この場合父は知らないうちに乗っけられてただけだから、全ての責任は救急車を呼んだ九子にあったのだが・・。(^^;;

まあ○マ○先生の言い方にそれとおんなじニュアンスを感じたわけなのだ。
だって3日で治るって言われたのに、4日目の朝になっても余計悪くなってるんだよ。これでも随分我慢したんだから・・。

「そんなら血液とX線見てみましょうかね。」

○マ○先生は言葉は優しいがやることは荒っぽい。なにもわざわざ肘の内側の一番血管の出やすいところをはずして、先っぽの方のわけわかんない血管に針刺すことないと思う。案の定うまくいかないらしくて格闘すること数分間!
まあいいよ。九子がこの若い医師の実験台になってやってるんだと思えば・・・。(^^;;

○マ○先生は初志貫徹、肘の内側の誰でもそこへ打つだろうという血管には目もくれず、最後まで細い血管にこだわった。
そしてその針を通して1時間くらいかけて輸液が身体に入っていく。

点滴ってやっぱり身体がしゃんとする。
昔よくブドウ糖の注射というのがあって、九子のおじいちゃんが近所のお医者さんに往診してもらっては200cc位もあるような太い注射を打ってもらっていた。

補充するのは今ではブドウ糖だけじゃなくて電解質と呼ばれるさまざまな金属イオンの類だと思うが、食塩水だとか、言ってみればどうでもいいようなものが人間の身体をこんなに元気にしてくれるのが不思議だ。
生命の源は海にあったというのがわかるような気がした。

X線の結果も問題なしだった。(考えてみればウイルスってX線に映るはずないよね。まあ腸捻転とかの可能性を排除したのかとは思うけど。)

○マ○先生の最後通告が待っていた。
「だいぶ宿便が溜まってますねえ。便秘の薬だけ出しときますね。」

何よ!それ!
九子は死ぬ思いして病院へやってきたのよ。便秘でこんなにお腹が痛いはずないでしょうが!
しかもわざわざ他の患者さんがいっぱいいる中で聞こえるように言わなくたって!

怒り心頭に達しても最低限のマナーを守りつつ○マ○先生に軽く会釈して処置室を出る九子。
大人だねえ。(^^;;

結局丸一週間がたって、さしもの激痛は影を潜めた。
ブスコパンには助けられた。1錠10円もしない安い薬だ。
もちろん救急外来でもらった分はとっくに終って、問屋さんに100錠頼んだ。
こういう時だけはうちが薬局で良かったなあと思う。

あとからわかった事だが、例の針刺し痕は見るも無残な内出血を形成していて20日経った今でも紫色が消えない。

本当は九子は知っている。
桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)という漢方薬を飲めば、驚くほど早く内出血が消えてしまう事を・・。
だけど九子は敢えてそれをしない。

まったくいまいましい○マ○のヤツめ!この恨み忘れてなるものかあ~。(^^;;(^^;;


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youzi

お大事にしてくださいね。

by youzi (2011-03-05 00:29) 

九子

お返事遅れてすみません。
有難うございました。もうすっかり大丈夫です。
youziさんも気をつけて!
by 九子 (2011-03-05 21:57) 

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