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がんばろう!ニッポン! [<九子の万華鏡>]

世界中から「地震には備えがある」と評された日本でも、マグニチュード9.0という破壊力は誰も想像できなかった。
そしてそれに続く津波と原発事故の恐怖。

被災者の数がこのまま増え続けていくと、市が一つ出来るくらいの人々が亡くなったり行方不明となり、中核都市ひとつぶん位の人々が避難所で不自由極まりない生活を強いられていることになる。

mu-ranさんも書かれているとおり、ざっくり言って日本中の人々の200人に一人が被災されている勘定になる。


まずは亡くなられた方、大切な肉親を失われた方、家や職場を失われた方々に心からお見舞い申し上げます。

あなた方はずっと長いあいだ厳しく寒い冬を耐え、その粘り強さを評価され、素朴で情が深いと定評のある東北地方の方々です。

今回の災害の耐え難い不幸の中、避難所における不自由な生活を持ち前の忍耐力で耐え、助け合い、譲り合い、海外メディアに日本人のモラルの高さと心意気を知らしめ、長期に渡るであろうこれからの苦難の生活にも希望を持って前に進もうとする素晴らしい方々です。

でも私は、賞賛の気持ちの片隅でこうも思ってしまいます。
私たちは被災されて苦しんでいらっしゃる方々にそこまで背負ってもらっていいのだろうかと。

他国ではしばしば暴力と混乱が支配すると言われる避難生活を、日本では礼節と秩序が支配しています。

「日本では誰もが冷静に行動し、秩序を重んじ、暴動が起きないのは素晴らしい。」と海外で賞賛されていると聞けば、それは日本人としては大変嬉しい言葉だけれど、それを聞いたら心根の優しい被災者の方々は、言いたい事も言えなくなってしまうのではないでしょうか。

こういうのって、良くわからないまま使えないでいた「誉め殺し」っていう言葉と同じなのではないでしょうか?

心の海の底に溜めている怒りとか無念とか悲しみとか、そういう物を思いっきり吐き出して、時には言い争いや喧嘩が起こったりするほうが心の衛生上は健全なのではないかと思ってしまうのですが・・・・。

また我慢強い国民が声を発する事がないのを良い事に、なすべき事を怠っていた政府や当事者の責任も小さくないと思います。
特に原発事故に関してはそう思います。
もちろん不眠不休で指揮を取っている菅首相その他の悪口は、今は言いたくありませんが・・。


こんな事を書きながら、実際にはテレビに映る一人一人の被災者の方々の、どんなにかお辛いだろうに他人の心配ばかりしている朴訥とした東北弁に胸が熱くなって、却って勇気を貰ってばかりいる私です。

先日も、車に何でも積めたはずなのに、津波が来た瞬間に私なら数限りなく思いつく「貴重品」には目もくれず、迷わず愛犬とドッグフードだけを掴んで逃げたお年寄りの話に涙が止まりませんでした。


これからもささやかな日常が戻って来るには途方も無く長い時間が必要かもしれません。
私に出来ることがあまりにも少なくて歯がゆいです。

でも、信じてください。
あなた方の頑張りを無駄にするような事は決してしません。
あなた方が生まれて以来当たり前のように他人に示して来られた情、なさけに、被災者にならずに済んだ者達が報いる番だと思います。

スーパーやコンビニの方々、「あなたが一つ余計に買われると被災された方々の命が一つ無くなるかもしれません。」と書いた紙を店頭に張り出して頂けませんか?

義援金が一番有り難いそうですから、出来る範囲でいいから継続して送り続けましょう。
私はなんでも継続という事が大変苦手な人間ですが、今回だけは心がけようと思います。

あなた方がまた今までどおり幸せになれないなら、この国の未来は無いと思います。

うつ病持ち人間ですが、敢えて言わせて下さい。

がんばろう!ニッポン!




今回の震災直後アメリカで「日本ではなぜ災害時、略奪が起こらないのか?」という討論会が行われたそうだが、九子にはひとつだけ答えがある。
それは九子の古いアメリカ人の友人が言っていた'communal mind'という言葉だ。

彼は実は、なにかと曰くつきの「神の子供達」というキリスト教徒で、調子がよくていつもジョークばかりしか言わないような人だったが、物事を見抜く鋭い目を持っていた。
「日本人はイデオロギーではなくて友情で投票する」と言って九子を感心させたのも彼だった。

その彼の口から'communal mind'という言葉が始めて出た時、九子は何の事かよくわからなかった。

'community'という言葉も知っていたけど、何か遠い国の出来事みたいに響いていた。

今になればわかる。辞書を引けば「共同体の、コミュニティーの(一体感)」と出てくるけれど、要するに「地域のつながり」ということだ。それが日本では強いという事を彼は感じていたのだ。


もともと日本では先祖代々が住んできた自分が生まれた場所にずっと住み続ける人々が多い。
外国の人々は住みやすい場所を求めて引越しをくり返すのが当たり前だそうだ。


今回の地震に見舞われた東北地方などは、特にそういう傾向があるのかもしれない。
同じ苗字の人々も多いだろうから、小さい頃の呼び名で「○○ちゃん」と名前で呼び合っている人たちも多いだろう。

彼らの心の中にいつもあるのは「みんな一緒に」という思いだと思う。
「私ばかりが助かって申し訳ない。」という被災者の方々の言葉にもそれを感じる。

「出る杭は打たれる」やら「村八分」やら否定的な側面もあるのは事実だけれど、この意識こそが戦後の焼け野原から日本が復興し、「一億総中流」と呼ばれる社会を作りあげたおおもとではなかったか。


今回被災された人々は、多くが復興してからも元通りのふるさとに住み続けたいと願っていらっしゃる。そういう地域意識の強い中では、暴動やら略奪やらは起き難いと思う。
もちろん最終的には彼らの道徳心の高さに負っているのだと思うが、良くも悪くも後ろ指さされる様な事をして「村八分」にされたら生きていけないという側面も垣間見られよう。

それから、よく言われる「恥」の意識。
「誰に見られても恥ずかしくない生き方をせよ!」という小学校の校長先生に習ったような一言が、結構日本人のその後の一生を左右しているような気もする。


突然とんでもない話を始めて申し訳ないが、九子のうちの家伝薬、昭和57年まで売っていた、つけると目が開けていられないくらいしみた元祖「雲切目薬」の箱には、商標を取っていた「善光寺」の文字とともに、小さく「ホモ」と書いてあった。 oldkumohako.JPG

考えてみたら当時は牛乳だとか、いろんなものに「ホモ」という字が書かれていたように思う。

九子もそうだったが九子の子供達もみな、夏休みの自由研究に困ると最後は必ず「雲切目薬の歴史を調べる」というのにたどり着く。
その中で誰が研究したのか忘れたけれど「ホモ」というのはヤラしい意味じゃなくて'homogenized'=「均一化された」という意味だったらしいというのがわかった。

これなんかを見てもわかるとおり、昔から日本人は「どこをとってもみんな同じ」というのに価値を置いていたんだと思う。


避難所の中というのは、良く考えると原始共同体というのに近いのかもしれない。
お金持ちだからたくさんもらえる訳でもないし、貧乏だからと差別される訳でもない。
みんな同じ地震や津波の被害を受けた仲間として、一個の人間として平等に扱われる。

日本人が苦手だと言われる「リーダー」だって、こういう中で育つかもしれない。


寡黙な東北の被災者の人々の心の中にある癒えがたい悲しみを、日本中の人々の心の中にhomogenize=均一化する手立てはないものか。
そうすれば彼らの心も幾分かは楽になり、買占めなんていう浅はかな行動をする人はいなくなると思うのに・・・。

 風紋さんのブログに震災に対するさまざまな情報が載っています。参考になさってください。


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風紋

♪要するに「地域のつながり」ということだ。

 これは見事な「翻訳」ですね。
 この場合の地域は、向こう三軒両隣でも、自治会の下部組織の14~15軒の班でもよいでしょうね。14~15というのは、人がまとまるのにちょうどよい単位です。
by 風紋 (2011-03-23 00:13) 

九子

風紋さん、こんにちわ。

過分なお言葉有難うございます。下手な横好きで英語を習ってきて、自分の才能の無さも良くわかっているのですが、それでも誉めていただくのは嬉しい事です。

本当に申し訳ない事ながら長いこと風紋さんのサイトを拝見しておりませんでした。さきほど久しぶりに拝見させて頂きましたらきめ細やかな情報が満載でしたので、上記のようにリンクさせて頂きました。

注意力の足りない人間なので風紋さんのサイトにある情報は本当に役に立ちます。有難うございました。m(_ _)m
by 九子 (2011-03-23 14:57) 

youzi

お邪魔するのが遅くなりましたが、
ご無事でよかったです。
by youzi (2011-03-26 20:22) 

九子

youziさん、こちらこそ、ご無沙汰すみません。

長野の地震は新潟県境の栄村というところに被害が集中しており、おかげさまで長野は最大で震度4くらいで全然大丈夫です。

それにしても東北の被災者の人々は本当に素晴らしいですね。
こちらが却って元気を貰います。

でも頑張りすぎて疲れてしまわれないか心配です。
by 九子 (2011-03-26 21:27) 

あき

突然失礼します

私は宮城県石巻市に住む者です

当初とある事件の記事等を何気なく検索していて

こちらにお邪魔しました

しかしこちらのブログの様々な記事がとても興味深く

勝手に色々読ませて頂いて
この記事にたどり着きました

あの当時情報は一切入って来ない状況だったので

今あの当時こんな風に私達被災者を思い
案じて居てくれてた方々が沢山いた事を感じ
改めて有り難く思っています

勿論
その後の全国いや様々な国の方々も含め
沢山のご支援やお心遣いを頂き

数え切れない程感謝となんだか申し訳ない様な
そして心強さを感じて来ましたが

また改めて涙が出ました
悲しさじゃなくて嬉しさと感動でですよ!

こんなに遅れてしまったけれど
どうしても書きたかったです

九子さんそして皆様本当にありがとうございます

石巻市はもうすっかり肌寒くなって来ました

皆様のご支援のお陰で少しずつではありますが
我が港町も落ち着きを取り戻しつつあります

子供達は悲しいあの惨状や別れも乗り越え
昔より殺風景になってしまったこの町の
失くしてしまった情景や
奪わてしまった尊い幾つもの大切なものを
まるで補ってくれるかの様に
元気に前を向いて目一杯笑顔です!

子供達は凄いです!
我々おばちゃんも負けていらなれない!って思わせてくれます

こんな風に私達被災者
いえ東北人を思い案じてくれた皆さんに
恩返しにすらならないだろうけど

まだ悩み悲しむ人達も現実少なくはありません
でもみんな前を向こうとする気持ちを無くしては居ない筈なんです

もう一度前を向きたいけれど
まだそのやり方を思い出せないだけです
前を向く事の出来た世代や環境の者達が
まだ思い出せないでいる同士と寄り添います

無理矢理手を取り進むのではなく

いつか自分自身で思い出せるまで
その人その人のスピードに合わせて
ちゃんと思い出せるまで!
立ち上がれるまで!
そしていつか皆さんが案じてくれた東北は
皆さんのお力添えでこんなに逞しく生まれ変わりましたよ!見て下さい!
って言える様にがんばっぺ!

本当に皆さんありがとうございます
長々と失礼致しました
by あき (2014-10-09 20:09) 

九子

あきさん、はじめまして!
お返事が遅れて大変申し訳ありませんでした。
少々店を留守にして、その分の仕事がたまってしまって・・。

こんなに昔の日記にコメントして下さったのが、石巻の被災者のあきさんだったことを心の底から嬉しく思います。本当に有難うございました。

実は石巻の薬剤師会で被災当時から活躍されていらした方と今でも親交があります。
地震の前年全国薬剤師会が長野で開かれて、その時に目薬を買いに来て下さってご縁が出来た方です。

彼が、見慣れた古いものがすべて新しく変わってしまって、母校も何も懐かしい感じがしないのが寂しいと言っていらっしゃいました。

私の母校も建て替えられて、その気持ち少しはわかりますが、町全体となるといかばかりかと思います。
でも、ゼロからの出発ですものね。殺風景に写っても、皆様の努力でそこまでになったものたちですものね。尊いと思います!

そうでしたか。子供たちが元気と言うのは何よりです。女性と子供はいつでも逞しいですね。( ^-^)

なるほど。その人のスピード・・なのですね。立ち直れないでいらっしゃる方々もまだ少なからずおいでになるけれど、いつかは、少しずつ、立ち直ろうとする気持ちの方々が支えてあげて、無理やりじゃなく・・。

ああ、すごく大事なことですね。そして、東北の方々はちゃんとそのやり方をわかっていらっしゃる。賢いですね、みなさん。そして、とっても優しいです。

あきさんはじめ被災された方々のような強さはとても自分の中には無いと思いながら、もしかしたら人間には極限状態に追い込まれて、涙が枯れた時に、いろいろな事を諦めた時にしか出てこない力が備わっているのかもしれない・・と思ったりしています。

そしてそういう力を、日本人の被災者の方々が見せて下さる事に、誇りと勇気を感じさせられます。

こんな事を申し上げて、また負担に感じさせてしまったらごめんなさいね。
強いからと言って泣かない訳じゃないし、泣くからと言って弱いわけじゃない。

やるべきことはたくさんたくさんあるのでしょうが、どうぞ
がんばっぺ!の時も、そうじゃない時も、どんな時でもすごい力を持ったすごい人たちに変わりありませんから、いつでもご自分を褒めてあげてくださいね!

あきさん、もしよければブログトップの左側にメールアドレスありますので、そちらに一本メールを下さいませんか?あきさんからのメールを心待ちにしています。( ^-^)
by 九子 (2014-10-11 12:05) 

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