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親鸞に学ぶ生と死 [<坐禅、仏教、お寺の話>]

文芸春秋一冊を読み通した事はほとんど無いが、ちょっとした隙間時間に拾い読みするには格好の雑誌だといつも思う。

特に九子のような怠惰な主婦がお昼寝前の数分間に、あちこちに散乱している(^^;;文芸春秋の中から無造作に一冊を選び、数行読み始めてみたらお昼寝を忘れるくらい面白い記事だった!なんて事があると、その日一日が、さも充実していたかのごとき錯覚に陥ったりする。(^^;;

今回のは文芸春秋2011年7月号だった。( ^-^)

野村萬斎がこの頃久しぶりにテレビの車のCMに出ている。
NHKの朝ドラ『あぐり』で吉行淳之介氏のお父上エイスケ役を演じていた頃から、もう15年ほど経つらしい。
いい年月を重ねて味のある役者さんになったんだろうなあと思う。

その彼が今回の対談の片割れだったとしても、お相手が本願寺文化財団の大谷暢順(ちょうじゅん)氏というので最初は食指が動かなかった。

大谷暢順って人がどんな人か九子はよく知らないよ。でも、たぶん十数年前に本願寺に お家騒動があって連日新聞を賑わせた、確かその時の大谷さんに連なる人だよね、きっと。一応仏教徒のはしくれの九子として、仏教宗派のお家騒動ってのは頂けないでしょう。

ところがちょっと読んでみると、この大谷さんの原作、監督の舞台「六道輪廻」で、野村万作、萬斎親子が演出出演したのが二人の御縁の始まりだそうだ。

へえ~っ、舞台監督も勤める大谷暢順っていったい何者?九子はがぜん興味を持った。

調べてみると大谷暢順氏は親鸞聖人より続く血筋大谷家の次男で、東京大学印度哲学科を出た後、パリのソルボンヌ大学を卒業、第七大学の大学院で博士号を取ったインテリだった事がわかった。


狂言には「悪人」が出てこないのだそうだ。小悪党はたくさん出てきても、悪人に終始する人は出てこない。どんなに敵対しても最後には和し、どれほど愚かな人間にも何らかの光が差し込む物語になっているのが狂言なんだそうだ。

善はどこまでいっても善で、悪はどこまで行っても悪とするキリスト教的な善悪二元論とは一線を画している。

 

「悪は輪廻していつか善となるという思想は、和合していく世界観、いわば神仏習合の日本ならではの「和の精神」と言えるかもしれません。」
と、大谷氏。

なるほどね。狂言って、日本文化そのものなんだね。

また親鸞の教えの中に他力と自力というのがあるが、今この他力という考え方が大切だと萬斎さんは言う。

現代は「個」「我」が強い時代であるが、これはまさに自力本位の時代である。

ところが西洋でも中世以前、個人主義や自我が芽生える以前には、まさに神や自然というもっと大きな存在の中に自分は生かされているという世界観が一方にあった。
それこそがまさに「他力」の自然観である。

「人間の力ではどうしようもない事が在る。」と思い続けていく人間の存在の仕方があったのに、それを、つまり「他力」を忘れてしまって、私は、人間は何をしてもいいんだ、万能なのだという驕り高ぶった気持ちが今回の大震災を引き起こしたと、萬斎さんは語る。

それに対し大谷氏も
「人間があまりに強大な力によって何かに圧力を加えると、必ず自然からしっぺ返しがくる。」と応じている。

そう言えば対談の途中に大谷氏がこんな事を言っている。
「長く続く文化を発展させていくためには、日本の外の反応を謙虚に受けとめて、摂取していく精神が必要です。それで私は親鸞聖人の和讃や連如上人の御文を、フランス語に訳し、現地で出版されました。」

充分に時間をかけて丹念に仕上げたはずだったが、「(フランス語にするには)文の中で何が主語で何が動詞であるか、またそれが欠落している場合は、本来どういう主語が必要であるか考えなければなりません。そうなると私は元々この文の意味を充分理解していなかったのではなかろうかと、急に自信がぐらついてしまったりしました。反語的な言い方かもしれませんが、翻訳の仕事によってこそ、本当に仏法を学ぶことができるという気持ちになりました。」

この件(くだり)を読んで、九子は急に大谷氏を身近に感じた。

実は九子もほんの一時ではあったが、間違って(^^;;活禅寺の無形大師の御提唱を英訳する仕事に加わらせて頂けた事があった。その時に、大谷氏と似たような思いを抱いたものだった。

もちろん大谷氏は東大出の、しかもフランスの大学で学んだフランス語の大家であり、しかもい親鸞聖人のDNAを継ぐ、天皇家と並び賞されるほどの家柄の方だ。
九子の体験などとは比べるまでも無かったことは言うまでも無い。(^^;;

その大谷氏みたいな人でも自分の先祖に当たる親鸞聖人の言葉を翻訳をされた時、自分が今まで仏教を充分理解していなかったような気持ちになられたというのは、なんて謙虚な言葉だろうかと思った。


「日本語とフランス語が文法的に全く違うというのは、つまりは日本人とフランス人の思惟方法が違うということなのだと今更ながら感じています。日本の伝統を世界に伝えるためには、結局日本の思惟方法を世界に理解させなければならないと思います。これは大変大きな難しい問題です。」


ほらほら!おいでなさった!
九子がいつも言ってること、大谷暢順氏が代弁してくれちゃってるよ!(^^;;
ますます読むのに熱が入るよねえ。( ^-^)

家を継ぐって凄い事だ。
野村萬斎さんにせよ大谷暢順氏にせよ、もちろん選び抜かれたDNAを持ち合わせていたからだろうが、優秀な大学を出て(萬斎さんは東京芸大卒だそうだ。)、知恵のありったけを使って何十年何百年続く伝統を国内ばかりではなく海外にも広げようとしている。

東大出たばかりが偉い人じゃないことは天下り官僚たちの生き方をみるとよくわかるけれど、東大出るだけの知識と知恵がある人は、やっぱり凄いよねえ。

DNAって言えば萬斎さんがこんな事を言っている。

「代々の芸のDNAは「個人」をどこかに捨てないと身体の中に入ってこないと思っています。落語家さんもよくおっしゃいますけれども、まず内弟子修行をするとか、師匠と生活を共にしてはじめて芸のDNAが共有される素地が出来るんだと思います。もちろん血縁があれば当然一緒に暮らすわけですから、DNAは血とともに入ってきやすいでしょうが、たとえ他人の弟子であっても、寝食を共にすれば芸のDNAの浸透力は高くなるはずです。」

それに対し大谷氏がこう応じる。


「やはりそうですか。室町の時代には、本願寺のお寺に弟子たち何十人かが連如上人と一緒に住んで、直々に教えを受けました。仏教ではこうしたDNAの継承を「血脈相承」といいます。血脈と言っても必ずしも親から子へを言っているのではありません。むしろ師匠と弟子、一対一の関係を指しています。
弟子は個を捨て無我になって師の教えを仰ぎ、伝統を受け継いでいくのです。」

こういう師のことは「善知識」と呼ばれ、親鸞聖人の和讃には

善知識に会うことも 教うることもまた難し
よく聞くことも難ければ信ずることもなお難し

とあり、守るべき芸なり教えの神髄を受け継いでいく事は大変なことだと説いている。

芸も教えも、身を捨てて無我にならなければ身に付かないっていうところが凄いよね。

対談の最後をしめくくった二人の言葉を記してみよう。

野村萬斎

僕のような狂言師ができることは、生きることの素晴らしさを教えてあげたり、「生きていれば笑うということがあるんだ」ということを伝えることだと思っています。生きる気力がなくなったり、精神的なダメージがあるときにも、狂言は人間を肯定してくれる。「まあ、大変なこともあるけど、小さないいこともたくさんあるだろう」と。つらい状況にあっても、どうか生きることに一生懸命になってほしいと思っています。

大谷暢順

この世という「しゃば」は、人が耐えていかなければならない苦しみの世界。しかし、すべては移ろいゆく「無常」であるがゆえに、決して悪いことばかりではありません。どうか希望を持って生きてほしい。
この世にはどうしても「死」がある。だからこそ「生」があるのだということを、おぼえておいてほしいと思います。


九子は今度、萬斎さんの狂言を見に行くよ。善光寺の近くに「北野文芸座」という小さな劇場があって、たまに落語や地味な歌手のコンサートや、時には狂言もかかる。

九子だって少しは自国の文化を勉強しなくちゃね。
だから皆さんも、狂言や仏教、是非興味をもって下さいね。( ^-^)


人ごとじゃないぞ、九子!
おまえもいつも怠けてばっかりいないで、もっと修行して仏教徒らしくしろよ!!
(無形大師の声)(^^;;(^^;;


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扶侶夢

いや~、怠惰な主婦とは思えぬ深い洞察で感心しています^^)

今回もたまたま「西洋と東洋の宗教観の違い」みたいな部分でかぶっちゃいました。(苦笑)
by 扶侶夢 (2011-10-21 23:33) 

機械音痴


初心者です><
iphone4のauとsoftbankは、どっちがいいんですか!?
http://wf15u0d.ip.au-vs-softbank.com/wf15u0d/
by 機械音痴 (2011-10-22 07:36) 

九子

扶侶夢 さん、こんばんわ。( ^-^)
コメント有難うございました。

え~、怠惰な主婦と書きましたが、怠惰な主婦というレベルにさえなり切れず、かと言って家伝薬の売り子をしているだけなので薬剤師と言うのもおこがましく、いつも表現に窮しています。

扶侶夢 さんとかぶるなんて、なんという光栄でしょうか。( ^-^)
これからそちらに書き込みに参りますね。( ^-^)

ところで扶侶夢さん、良かったらプロフィールにあるメールアドレスにメールを頂戴できませんでしょうか。
お待ちしております。m(_ _)m

by 九子 (2011-10-22 21:08) 

扶侶夢

こんばんわ、九子さん。

何度かメールを試みましたが、何故かエラーで届かないようです。
プロフィールのメルアドをクリックして出すのですが…原因不明です。

また時をみて、改めてトライします。
by 扶侶夢 (2011-10-25 22:41) 

ポルン

こんばんわ。
コメントありがとうございました。
米粒がこびりつかない茶碗の大人用ですが、カインズホームに売っていて買いました。どこにでもあると思います。
by ポルン (2011-10-25 23:15) 

九子

扶侶夢 さん、こんばんわ。( ^-^)
それでしたら同じくプロフィールの左端下に薬局のURLが書いてあります。
それをクリックして表紙ページをスクロールするとメルアドが出てきますのでそちらでやって見て頂けますか?

ダメだったら最後はこのコメント欄に直接書きますから大丈夫です。( ^-^)
by 九子 (2011-10-26 22:29) 

九子

ポルンさん、こんばんわ。( ^-^)

そうでしたか。ではどこでも簡単に買えちゃう訳ですね。
茶碗が割れた時に試してみますね。( ^-^)

有難うございました。
by 九子 (2011-10-26 22:31) 

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