人は見た目が9割 [<九子の読書ドラマ映画音楽日記>]
長らくお蔵にしまっておいたこの本を手に取ったのは、あるテレビ番組を見たのがきっかけだった。
広島県のとある小さな市で、異色の講師を招いてあるセミナーが開かれていた。
対象は婚活中の、見るからに地味~な感じのする(^^;;男性諸氏。
その市では数年前から所謂「街コン」やらなにやらを毎年開いて、少しでも地域の既婚率を上げようと苦労していた。
ところがここへきて、カップル達成率が伸び悩んでいるという。
中には毎回来ている男性もいるが、どうも目新しさが薄れて手詰まり感が出始めた。
そこで市のスタッフは考えた。男性にもっと魅力的になってもらわないと女性が寄ってこない。
結論は魅力ある男になるためのセミナーを開くことだった。そして講師として呼ばれたのが、何年か前全国ナンバーワンホストに選ばれたことのあるホスト男性だった。
ホストナンバーワンと言うから、そりゃあ、カッコいい。
だけど九子は、もう少し整った比類なき美形を想像していた。
「あんまり整ってると近づき難いんだろ。」と出勤前のM氏。
ちゃっかり見てた!(^^;;
セミナーが始まるや否や、講師のホスト男性はきっぱり言った。
「男は見た目が一番!」
その言葉とともに重苦しい空気に包まれた会場だったが(^^;;、次の一言でその空気がふっ切れた。
「見た目と言うのは、見苦しくないということ。大事なことは清潔感です。」
市が講師として選んだこの男性は、なかなかいいことを言った。
「この一言で女を落とせる(嫌な言葉だ!)魔法の言葉なんてありません!あなたの誠実さが大切です。」
なんと!セミナーは婚活パーティーの直前に設定されていた。
これではそんなに極端には変われないんじゃないかと思ったが、知識が新しいうちに・・というメリットがあるのだろう。
中には女性の前で「さっきセミナーでいろいろ教わったんですよ。」と打ち明け話をしてしまう男性も居て、さすがの九子もびっくりした。いくらバカ正直の九子でも、あそこまでは言わない。(^^;;
結局セミナーが幸いしてか、市の目論見(もくろみ)の5組を超える6組のカップルが誕生してパーティーは大成功に終わったそうだ。
そして九子は、この本のことを思い出したのである。
- 作者: 竹内 一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/10
- メディア: 新書
見た目が肝心というのはわかる。だけど9割ですか?
これにはちゃんとデータの裏づけがあるそうで、アメリカの研究によれば、言葉による、つまりverbal communication はたった7%で、顔の表情が55%、声の質、大きさ、テンポが38%。つまり言葉以外のコミュニケーション nonverbal communicationが占める割合が93%と言う結果が出ているそうなのだ。
言葉を大事にする九子にとっては、ちょっと納得しがたい結論だ。
だけど作者は劇作家と漫画家の2足のわらじを履くマルチタレント。舞台監督みたいなこともしているから、役者の生かし方やら、客からの見栄えとか、細かいことまで知識がある。
申し訳ないけれど、最初九子はタイトルだけで人目を引こうとする、内容の伴わない本なのではないかと誤解していた。だからすぐには読まなかった。
でもこれは、立派な本だ。
タイトルから「美人とイケメンばかりが得をする」話ばかり書いてあるのかと思ったら、視覚的情報がどれだけ人間に影響を与えているのか、漫画の背景の描き方から表情の研究、ひいては日本人の特性に至るまで、詳細に観察して作者の経験から書かれた大した論文だった。
たとえば、日本は「わからせぬ文化」なのだという。
欧米人は手を変え品を変え、相手に自分の主張をわかってもらうために躍起になる。つまり彼らにとっては、自分の主張で相手の意見を変えさせることが大事なのだ。
ところが日本人は、腹を割って話すことにより、相手に「この人は信じられる人間である」と思い込ませることが大切であり、相手に主義主張を変えさせようとしているわけではない。
その結果、テレビの討論会では自分の考えを変えた人は一人もいない・・・・・のだそうだ。
それが果たして事実かどうかは置いといて、確かに「この人は信じるに足る人間である」と相手に認められることは、日本では交渉事の要である。
うん。これは文化人類学の講義みたいだよね。( ^-^)
本の紹介ということであればこの本についてもっと沢山のことを言わなければならないのだが、今回九子は「この本は面白い本なのでどうぞお読みください。」と言うに留めて、考えれば考えるほど興味が湧いて来る「ホスト」についてもう少し見てみることにする。
ホスト(host)とは、言うまでもなくホステス(hostess)と対を成す言葉である。主人、女主人と言うことだから、基本的にはパーティーを開く家の主人とその妻を指す。
欧米のパーティーとはそもそもカップルが単位である。だから洋食器は和食器のように5客10客が単位ではなく、偶数の6客12客という単位なのだ。
である以上、本来hostと hostessは、どちらか一方だけで存在するはずがない!
欧米の社会では、結婚前は割合自由に恋愛が認められるが、いざ結婚をしてしまうと、四六時中パートナーと一緒にいることを求められる。
そういうのって、結構煩わしくないだろうか?
けんかしてる時に一緒に出かけなくちゃいけないっていうのは、かなりストレスが溜まると思うのだが・・。
ところで長いこと日本では、バーに居て客に酒を注いだり、タバコの火をつけてくれたりする女性のことをホステスと称した。もちろん彼女たちは、気の置けない相談に乗ってくれたりもする。
ホストというのは、このバーのホステスに対をなすものではなかろうか?
とすれば、欧米にはもともとホステスなる女性は存在しないそうだから、ホストというのも日本独自の現象・・と言えるのではないだろうか?
ホストに入れあげる女性たちは、一体ホストに何を求めるのだろう?
優しくしてくれる。お姫様になったような気分にしてくれる。癒してくれる。相談に乗ってくれる。ただ、そばに居てくれる。
もちろん彼女たちは、お金を払って、楽しい時間を買っている訳だ。つまりは、一昔前、男性がホステスに求めたものと同じ事を求めている。
これは女性が経済力を持ち、強くなった証なのだろうか?
考えてみると昔、酒と女を目当てに夜な夜なバーに通った男性たちは、今は昼間に食事とデザートを求めてメード喫茶に通っている。
いや、同じ「男性」と十羽一絡げで言い切っていいのかどうかわからない。前者は肉食系で、後者は草食系と言い換えなければいけないのかもしれないが・・。
とにかく、かつては男性だけが求めることの出来た「お金を払うことによって享受出来る異性による個人的なサービス」を、女性も同等に受けられるようになったということだ。
考えてみると、「優しくしてくれる」「四六時中愛しているよと言ってくれる」「こまごまとしたことを、男性が気が付いてやってくれる」などということは、Ladies first(レディーファースト)の国では、どんな男でも当たり前にやってくれる事であって、かの国の女性たちはそんなことをお金を払ってまで男に望みやしない。
欧米にもしもホストが居たとしたら、彼女たちは彼らに何を望むのか・・?
考えてみると、ボディーガードのような、それこそ中世の騎士たちのような、彼女一人を守ってくれるような強靭な男性を望むのではないか?
日本は平和だから、そこまで強い男は必要とされないのかもしれない。
それにしても年々身にしみてわかってくることだけれど(^^;;、若いっていうことは、もうそれだけで、男も女も美しい。
結婚適齢期というのが人生の最初の方に設定されているというのは、なるほど経験則なんだなあと思う。
若さは、夜の闇に紛らわす必要なんてない!
昼間の太陽の下でも、若さは弾けるほどに美しい!
酒とネオンと人工照明に照らされたホストクラブに、あなたの若さは似合わない。
誠実にあなた一人を護ってくれる渋~いいい男に恋をして、若さはいかに美しいか!なんて事に気が付く前に、早めに嫁にお行きなさい。( ^-^)
確かに、第一印象って大切ですね。いわく、9割っていうのも分かります。
印象が良くなければ、その後の付き合いもないのかもしれません。ただ、一番大切なのは、九子さんが書かれている通り、清潔感かなって思います。
女性だけでなく、男性でもそうだと思います。 ^^
飾る必要はないけれど、こぎれいにしているのはやはり必要なんでしょうね。
若さも、大切。でも、誰でも今が一番若いのですよね。今を大切にしないといけないなと思ったりもします 笑
by moz (2013-11-17 18:22)
こんばんは。
動物の世界でもオスはディスプレイによってメスの気を
引いているわけですから、人間も同じ部分があって当然
と思いますね。
> 食器は和食器のように5客10客が単位ではなく、
> 偶数の6客12客という単位なのだ。
これは知りませんでした。
勉強になりました、笑。
by away (2013-11-17 20:21)
mozさん、こんばんわ。( ^-^)
mozさんも見た目9割に賛成なんですね。ただし、清潔感に一票!って事ですね。
なるほどね。どんなに美男美女であっても、肩にフケがあったら台無しだし、年寄りになるとそうそういつもおしゃればかりに気を遣えませんよね。というか、おしゃれする気力もなくなる。
人に好かれるように気遣いするってことだとすると、それこそ社会性でしょうね。
>若さも、大切。でも、誰でも今が一番若いのですよね。今を大切にしないといけないなと思ったりもします 笑
本当ですね!まったくその通り!
今を大切にしないでお昼寝ばっかりしてる九子には、イタイ一言でした。(^^;;
by 九子 (2013-11-18 23:37)
わあっ、awayさん!久しぶりのコメント有難うございます。( ^-^)
ああ、オスが派手派手な羽を逆立てたりしてする求愛行動のことをディスプレイというのですか。私はこっちを知らなかった。(^^;;
知識の塊のawayさんでもご存じないのは当然ですね。お客様がいらっしゃる時のお皿の用意は一番女性の得意とするところですから・・。
そうなんです。だから3組のご夫婦をお招きしたりすると、和食器は5コしかないから困っちゃうんです。なかなか2セットは買わないものなので・・。
(ああ、昔はたまにお客様をお招きすることもあったっけ。(遠い目))
偉くなられるとご自宅にどなたかいらっしゃる機会も増えたりもなさるのでしょうか?
でもawayさんなら、お料理でもなんでもお得意だから、心配ありませんね。( ^-^)
by 九子 (2013-11-18 23:49)
見た目が9割 あっしは納得できやす。
顔立ちが9割ということではなく 話し方や表情など、その力は大きいと思いやす。
モテない男性というのは、ボソボソ何を言ってるか解らなかったり 早口すぎて相手を置いてきぼりにしてる場合が多いんでやすよね。
by ぼんぼちぼちぼち (2013-11-19 12:00)
ぼんぼちさん、こんばんわ。( ^-^)
9割肯定派でいらっしゃるんですね。
まあ確かに、話し方や表情も見た目に含めると、その人の人間性とか、心の安定度とか、そんなものまで含まれてしまいますよね。
早口かどうか、声が大きいか小さいかなんかも、自信のある無しとか、器が大きいかどうかとか、そんなことまで見透かされますね。
コメントをお寄せ下さる方々に「見た目重視派」が意外に多いのにちょっとびっくりしています。
by 九子 (2013-11-19 23:48)
『それにしても年々身にしみてわかってくることだけれど(^^;;、若いっていうことは、もうそれだけで、男も女も美しい。』ーーーそのとおりですね。
でも若いだけが青春ではない。
“青春”とは人生のある時期のことではなく、「心のありよう」をいう。
強い意志、豊かな想像力、燃え上がる情熱、怯まない勇気、あくなき冒険心。
そういうありようが青春なのだ。
年を重ねるだけで人は老いない。
夢を失ったとき初めて老いる。
歳月は皮膚の皺を増すが、情熱を失ったとき精神は萎びる。
ーーーサミエルマン
「物をなくせば 小さなものを失う。
信用をなくせば 大きなものを失う。
しかしーーー、
勇気をなくせばすべてを失う」
(ケネディ大統領演説の一部より)
子女、大使に期待や切。
九子さんのブログ、いつも感心させられます。
久方ぶりにコメントしました。
by 北のほたる (2013-11-24 12:15)
北のほたるさん、こちらこそご無沙汰すみません。
私こそ社交性のない人間なのでブログ回りにまでそれが現れて、いろいろなところにご無沙汰しております。ごめんなさい。
素晴らしい偉人の方々のお言葉をたくさん教えていただき、心より感謝申し上げます。
皆さん、偉人になるつもりで生まれてこられた訳じゃないのに、遺された言葉は「さすが偉人!」というものばかりですね!本当に素晴らしいと思います。
ケネディの言葉、面白いですね。
実は我が家の家訓では「信用」が一番と言うことになっています。
商家とケネディ家と比べるのも変ですが、「勇気」は我が家のご先祖の頭の中には無かったみたいです。(^^;;
過分なお言葉、有難うございます。
私もこれからお訪ねします。( ^-^)
by 九子 (2013-11-24 21:25)