言葉の力・・・その2 [<九子の万華鏡>]
言葉の力について何度も書いている九子は、もしかしたら言葉で失敗をしたことが無い・・などと思われているのだろうか?
まったくもってとんでもない勘違いである。
もちろんそうならないように、最大限の注意は払っているつもりではいる。
ところがこの九子と言う御仁、生まれながらの注意力散漫人間で、九子の注意力の網とやらは、まさしく網やらざるの類で、そこここに穴がいっぱい開いているのである。
一応は真面目で正直な日本人として、誰かを誹謗中傷するような言葉は決して使うまいと思ってはいる。
ところが時として、そういう言葉以外の、得てして感情も、気持ちも表さないはずの名詞が、時として誰かの感情を逆なでし、長年の友情にひびを入れてしまったりするのに気がつかない。
これは非常に怖い。
怒りの感情の中で投げかける一言は、たいていの場合、相手も自分も熟知していて発せられることが多い。
二人ともヒートアップして、ついつい売り言葉に買い言葉・・みたいな形だろうか。
そういう言葉は銃や刀。見るからに恐ろしげな目に見える武器である。
自分でも言葉を武器として使っている自覚がある。
ところが何気ない一言で相手を傷つけてしまう場合は、言う方はその一言の威力に全く気づかない。そもそもその一言が相手を傷つけているという自覚すらない。
そういう意味で、その一言は「地雷」である。見えない分だけ性質が悪い。
歯科医師国家試験には、今でも俗に「地雷」と言われる問題があるのだと言う。
その他の問題がいくら出来ても、その問題で間違えたら即、落第が決まる。
地雷はどこにあるかわからないから、尚更不気味である。
つい最近、九子ははからずも地雷を踏んでしまった。
うつ病持ちの反芻(はんすう)人間として、どうもその事が頭を離れず引っかかっている。
ずっと長い間親しくしていた彼女である。
悪いことにそれは、九子の不得手とするケータイメールで起こった。
九子はケータイメールが嫌いだ。
何度も言うが、どうして「おはよう」の「お」と書く時に、5回もボタンを押さねばならないのだろう?
その上、カタカナや数字を書くたびに、文字入力ボタンを押して設定し直さなければならない。
九子はおっちょこちょいなので、5回押すべきボタンが行き過ぎて、6回、7回押してしまう。
そうなるとまた、最初からやり直しではないか!
これでは九子の好きな長いメールなどどうやっても無理だ。
だから九子はケータイでも相手のEーメールアドレスを聞いておいて、パソコンからケータイに打つのを習慣としている。
ところが彼女はパソコンからのメールを受信しない設定にしてあって、いつもメールが戻ってきてしまう。
仕方が無いから彼女に限ってはauで言うところのCメール、要するにSMS(ショートメールサービス)というのを使っていた。
最近になって制限文字数がいくらか増えて、一行くらいは長く書けるようになった気がする。
ケータイメールに慣れている彼女からは、九子が1通書く間に3通も4通ものメールが来る。
つまり九子は少なからず焦ってしまうわけだ。
そういう中で事件は起こった。
今回九子に「自覚」が無かったかと言えば、そうではない。
もしかしたらこんなこと言ったら悪いかな?とは一瞬思った。
でもそれがいったい相手にどの程度の影響を与えるのかまではわからなかった。
軽いジョークのつもりで書いてしまった。
それまで言葉のラリーのように続いていたC-メールがぷっつり途切れた。
それでも最初はわからなかった。
彼女寝ちゃったのかな?くらいにしか考えなかった。
結局九子は寝る間際にお詫びのメールを入れることにした。「変なこと書いちゃってごめんね。」
でも返信は来なかった。それっきりである。
彼女は九子にとって大切な人なので、九子は謝り続けると思う。
そして彼女はさっぱりとした気性の持ち主なので、きっとしばらくしたらけろっとした顔で赦してくれると思う。
でもきっとこの事を忘れはしないだろうと思うけれど・・・。
こういう事って、きっと皆様も経験がおありだろう。
こういう時、言葉の強さ、言葉の威力をひしひしと感じさせられる。
短文で一言二言、その場の気持ちを伝えるツイッターというサイトで、得てして炎上が良く起こるというのはわかる気がする。
メールならば短いながらも読み直しをするから、後から自分で訂正が出来る。
ところが短文メールやツイッターであれば、そこまで考えることなしに送信ボタンを押してしまう。
長年の友達が言葉一つで別れてしまうということだってよくある話だ。
言葉は独り歩きする。これもまた事実だ。
たとえば誰かが一言「今私、○○さんとうまく言ってないの。」と言ったとしたら、その言葉は驚きとともにあなたの心に刻み付けられる。
もしもその後、○○さんとの仲が元通りに修復されようとも、言われた人間が驚きと共に心に刻んだ言葉はなかなか消えない。
「あの人と○○さんは、うまく行っていないんだ。」という印象ばかりが一人歩きする。
日本人はあまり怒りの感情を面に表さないから、笑顔で受け答えしている言葉の中にどんな爆弾が潜んでいるかわからない。
たまにごく親しい仲だと、「あの時あなたにこう言われて、実は私傷ついたのよ。」と言ってくれる人もいて、そうしてその言葉が、「えっ?そんなことが?」と思うほど自分にとっては思いがけない言葉であったのに愕然としたりする。
それでもそういう事を言ってくれる人は、友人であれ身内であれ、本当に有難い。
あなたが傷ついたのが、その人の言葉の根幹であるのか、それとも人づてに聞いたニュアンスの部分なのかを見極めるのも大事なことだ。
たとえば「・・つける」という言葉。
「言う」よりも「言いつける」の方が、「叱る」よりも「叱りつける」の方が、「送る」より「送りつける」の方が、強い意志、それもやや否定的な意志を感じさせる。
当の本人は単純な意味で使ったのに、その言葉を仲介した人が悪気も無く否定的なニュアンスを含んだ言葉に翻訳してしまう場合だってある。
だけどそれが誰の意志なのか、そもそも意志などあったのか、見極めるのは本当に難しい。
九子はこういう事があると自分の言葉が不安になる。
たまに誰かが「九子さんが書く文章にはエネルギーがある。」などと言ってくれる。
ふだんはとても嬉しい一言なのだが、こんな一件があると、自分の言葉は人を傷つけやすいのかしら?と心配になってくる。
「どうしたら人を傷つけずにすむか?」この大問題を解決するのに、身近に大変良いお手本がいたのに気がついた。
M氏である。(^^;;
M氏には、そのいつもにこにこした風貌からか、あまり敵が居ない。
その上、あまりNo!をいう事も無い。
会の役員やら、町の役員やら、お金にならない用事ばかりを引き受けて本業がおろそかになっても、九子から言わせるとどうでもいいような用事にいそいそと出かけていく。
休みが出来て喜ぶのは彼の職場の女の子たちだけだ。
本業がおろそかになるって事は、お金が入ってこないということだ。
彼はそういう事には頓着しない。彼は生まれてからずっとビンボーだったからだ。(^^;;
そんな彼の言葉がどんなかと言えば・・・・。
まあ、とりあえずは温厚この上ない。
基本的にはおしゃべりなので、九子が怖い「話の間」とか、沈黙とかいうものを上手に埋めてくれる。これは有難い。
だけど九子に言わせると、「えっ?なんでこの展開でそんな話を持ち出すの?」という事も多い。
まあ、九子のように「これ、言っていいかな?悪いかな?」と考えてるうちに沈黙がやってくるよりもそりゃあずっといいのだが、言ってしまえばくだらない、つまらない話もかなりの部分を占める。(^^;;
でも、彼の言葉で傷つく人間は少ない。
う~ん。人を傷つけなくなかったら、どうでもいいくだらない話をすればいいのかな?
そうすればみんな、話半分にしか聞いて居ない訳だから、傷つきようが無い。
M氏の話は、どうでもいい話と、少しばかりのうんちくと、自信たっぷりに話すのでついつい信じてしまう持論から出来ている。あっ、彼の名誉のために付け加えると、たまに高尚な話もある。(^^;;
それともう一つ、九子が感じてることがある。
自分が傷ついたと感じる言葉を思い出すと、それは自分の中のコンプレックスと無縁ではないことが多い。
コンプレックスを無くすこと!それが傷つかなくなる近道かもしれない。
おっと!傷つかない方じゃなくて、人を傷つけない言葉の話はどこに行った?
それは、凄く難しい。とっても難しいと思う。
なぜなら、言葉と言うものは、人によってその意味するところが僅かずつ違っているからだ。
今までその人の人生の中でこういう風に使ってきたその言葉を、人によって僅かずつだが受け取り方に差があるその言葉を、どういう場面で、どういう意図で、どういう強さで使うのか。
それを瞬時に計算して、的確な言葉を選べるほど人間は利口ではないと思う。
とりあえずは注意すること。送信ボタンを押す前にもう一度読み返すこと。
それでも地雷は排除できない。
地雷を踏んだら詫びること。相手にとってどうするのが一番良いのかを考えること。
時期もある。相手の怒りの強さもある。
だけど、言葉で傷ついた相手の心を癒すのも、また言葉なんだろうなと思うと、少しだけ灯りが見えて来る気がする。
( ^-^)
お久しぶりです。
言葉の地雷…ありますよね。
私もときどきやってしまうことがあります。
でも、逆に自分がそういう思いをするときもあります。
相手の何気ない一言で傷つくこと…
けど、それっていつまでも恨みに思ったりしませんよね
相手に悪意がない以上…
時間が気持ちを静めてくれます。
少し時間がかかっても
きっとお友達も気持ちが収まって
また、以前のようにお付き合いが復活されることを
祈っております。
by ようこ(よぽぽ) (2014-09-27 15:17)
よぽぽさん、コメント有難うございました。お返事遅れちゃったけど、とても嬉しいです。
よぽぽさん、気に懸けてくださって有難う!
実は、本文の後ろに書こうと思っていてまだ書けていないのですが、お陰様で今回は九子の独り相撲だったことがわかりました。彼女はそんなことちっとも気にしていなくて・・・。
旅行中だったんです、彼女!
旅行が終わって楽しかったという長い報告メールが届きました!
九子はそのあとすぐ彼女に電話して、もちろん彼女は全く気にしていませんでした。
おっちょこちょいの九子は、こんなことばかりしています。
ですからどうぞ、ご心配なく!
よぽぽさんのコメントで、よぽぽさんもそんな経験がおありだったり、その反対だったり・・という事もわかったし、ちょっとほっとしました!( ^-^)
本当に有難う!そして、ごめんね。(^^;;
by 九子 (2014-09-29 23:41)
記事を拝見していて、私自身の同じ経験を思い返しておりました。
面と向かって話をしているときは、相手の表情で推し量ることが出来、うまく取り繕うことも可能ですが、文字に残すと後のフォローが非常に大変です。
しかも、相手方がどのような言葉に対してそうした反応を示すのか分からないわけですから、全くの無意識下でトリガーを引いてしまうこともあるのです。
誤解であることは明らかですから、とにかく誠意をもって今後もおつきあいをなさることが大切だろうと考えます。
長期間にわたって良いご関係を築いてこられたお二人です。
和解はそう遠くないおりになされるものと存じます。
それから大きなお世話とは思いますが、ケータイでの文字入力のこと。
オーバーランしてしまった場合は、「#」を押すと一つ戻ります。
「う」と入力しようと思って「え」まで行ってしまったら「#」を一回押して下さい。「う」に戻ると思います。
それから、数字やアルファベットの場合は、日本語入力でそのまま押していき、アクティブの状況で、文字種選択キー(通話キーの上にあるメールキー)を押すと、数字やアルファベットに変わります。
一度、お試し下さい。
by 伊閣蝶 (2014-10-02 23:25)
九子さん こんばんは。ご無沙汰しております。雲切目薬の注文メールが何だか送れないもようです。なのでこちらへ来てしまいましたが(^^;
お元気でしょうか。
by アルテミス (2014-10-08 23:42)
アルテミスさん、こんにちわ。( ^-^)
ごめんなさいね。メールの容量がいっぱいになっていたらしくて・・。
さきほどお電話したのだけれど通じないのでこちらに書きます。
ちょっと留守にしていまして(詳細は次のブログに)心配おかけしちゃいましたが、いたって元気でおります!!
メール、今なら大丈夫ですのでご注文くださいね。( ^-^)
by 九子 (2014-10-11 11:07)
あっ、すみません、伊閣蝶さん!順番が後先になっちゃって・・!
伊閣蝶さんのような温厚を絵に描いたような方でもそういうご経験をお持ちなのだから、九子のような粗忽者がいろいろやってしまうのは仕方がないなあと改めて思いました。
でもお陰様で今回は、こちらの一方的な勘違いで、彼女は全然気にしていなくて、ただ、旅行でメールが来なかっただけ・・でした。ほっとしました。
今でさえこうですから、昔々の平安時代、男と女の恋心のすれ違いはいろいろな物語を生んだのでしょう。
ケータイの裏技! もしかしたらみんな知っていて裏技ですらないのかしれませんが、とにかく本当に有難うございました! ♯の方は早速試してうまく行きました!
もうひとつもすごく便利そう!いちいち文字種選択するのが本当に面倒だったので・・・。
こんどから駆使してみます!というほどケータイメールに慣れてないのですが。(^^;;
by 九子 (2014-10-11 11:17)
物言えば、、、というのはしゃべることでも人を傷つけるのは同じ。ただ文字が厄介なのは後に残るってことですね。私も難しい話はできるだけ直接話すようにしているけど、何気ない言葉が相手を傷つけるってこと、わたしの場合はしょっちゅうのようです。救われないのはそのことに長いこと気が付かないということ。つれの病状が好転しないのはそれが原因かと悩むこの頃。
by さきしなのてるりん (2014-10-14 18:49)
てるりんさん、こんばんわ。
確かに文字は後に残りますね。直接話すのがもしかしたら一番かもしれないけれど、私は結構相手に面と向かうのが怖かったり嫌だったりするので、文字も使っちゃうかも知れない。
相手を傷つけているのに自分が気がつかないってやっぱりどこでもあるんですよね。
私も何十年も前に言われた一言に傷ついて嫌っている人がいるんですが、その人は自分が言った事すら覚えてないんですよね。
気のおけない仲間同士って言葉がありますが、そういう言葉の棘は、棘として感じない同士、感じる同士が仲良くなるのが賢明なのかもしれませんね。
こういう言い方もいけないかもしれませんが、ある程度のお年になるとウツはややこしくなり、治りにくくなるもののようです。
絶対にてるりんさんのせいではありませんから、どうかご主人様を持ち前の元気で支えて差し上げてください。
by 九子 (2014-10-14 20:30)
てるりんさんに追伸!
てるりんさんのメルアドをどうぞ薬局宛にお知らせ下さい。m(_)m
by 九子 (2014-10-14 20:43)