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文友に会いにドイツへ行ってきました! [<その他>]

ずいぶん長いお休みを頂いてしまったのでまたうつ病を心配してくださった方もいらっしゃって、恐縮しながらこれを書いている。
タイトルのとおり、実は九子は遊び呆けていた。

元々が体力皆無の人間なので、帰った途端に眠り病がひどくなり、眠くて眠くて仕方ない有様。その上休んでいたツケが回って珍しく仕事が忙しく、なかなか日記もご無沙汰していたという訳だ。
ご心配下さった方々、本当に申し訳ありません。<(_ _)>

ドイツはものすごく楽しかった!


出来過ぎ母、ビンボー神М氏、という枕詞が何もない我が父だけれど、これからは預言者父と呼ぼうかと思うほど、よくぞ40数年前にスイスのケーブルカーの中で、よりにもよってA君の家族に話しかけてくれたものだ!
父はもしかしたら、A君が大きくなってビッグになることまで見抜いていたのかな?


それにしてもA君の家族と我が家には結構類似点がある。
A君のお母さんは薬剤師、お父さんはベンツの技術者だったが、今では九子とN子が薬剤師、次男Sはベンツに匹敵する日本の自動車会社の、技術者じゃないけどとりあえず開発にいる。(そう言っていられるのももあと何ヶ月のことだろうが・・。)

その上A君にも男の子三人、女の子二人の五人の子供がいた。子供の数まで、それに男女の比率まで同じなんて、これはどう考えても有り得ない一致だ。

ドイツは、末娘М子と行った。彼女だけがまだ学生で、時間が取れたからだ。
二人で一人分のビンボー旅行。でもカタール航空は快適だった!

中東カタール国のドーハなどという空港に舞い降りる日が来ようなどとは夢にも思わなかったが、サッカーファンには「ドーハの悲劇」の舞台として有名な場所だそうだ。
すれ違う黒い服を着た女性たちの、目だけ出している人たちも多いけれど、その目でわかる妖艶な美しさ。

黒一色と言えど、金糸銀糸の刺繍が入ったり、柔らかい生地、シッカリとした生地、ドレープ(ひだ)が美しい華奢な生地など。黒はマストアイテムだけれど、それに一色別の色をまとった女性もいて、中東の女性たちは世界中で一番美しい女性たちではないかとアラビアンナイトの世界に迷い込んだような夢見心地になる。

清潔な空港は最近新しくなったばかりと言い、中東というとすぐに思い浮かべるテロの生臭さなど微塵もない。
女性用の衣装を売る店の華やかさは、黒色が中心ということを忘れさせるほどの艶やかさだ。

カタール航空が出してくれる食事にもほぼ満足だった。
宗教上の理由で豚肉が使え無いので鶏肉、牛肉、魚から選ぶのだけれど、煮込み料理が多く、その大半がマッシュポテトなどと一緒に盛り込まれる。

機内食で出された割と塩分の多い日本人好みの味付けが、この旅行中ドイツでもずっと維持された感じだった。

うっかりしたことに本場ドイツのポテト料理を食べ忘れたので、機内食で食べた芋料理の味が図らずも今回のドイツ旅行の味になってしまった。


ミュンヘン空港には文友A君が車で迎えに来てくれることになっていた。
196センチのA君(・・などとはもうとても言えないが)、平日にミュンヘン空港に降り立つ日本人などそう多くはないから、すぐにわかってもらえた。

メールに書いておいたように九子は黒い日傘をさし、彼は九子の名前を書いた紙を持っていてくれたようだが、すぐにお互いを理解したその一瞬に、なんだかこの旅行がとてもうまく行きそうな気がした。

ミュンヘン空港から彼の家に車で向かう最中、音に聞くアウトバーンの凄まじさを感じる。
普段は普通に走っている車が、突然スピードメーターの針を押し上げて200キロ以上の猛スピードになる。

最後まではらはらドキドキしながら、これはドイツのすべての人々が交通法規を遵守しているという相互理解のもとでないと成り立たないシステムだと強く思う。
だって、一人がウインカーを出し忘れて車線変更したりしたら、後続車とすぐに衝突してしまう。絶対に前の車にウインカーの出し忘れはないと信じなければ、追い越しなど怖くてできない。

ドライブインでソーセージ中心の初めてのドイツ料理。ソーセージとマスタードの味わいは格別だ。
それにしてもさっきから、気が付くと誰か誰かの視線を感じる。無理もないか!ドイツの田舎の小さな町で、東洋人なんてほとんど見ないのだろう。
慣れてしまえば、却って快感・・!(^^;;


初日の夜に出会ったA君の家族たち。一番心配していた奥さんのМさんはとても癌で闘病中などと思えない笑顔とエネルギー。脳腫瘍の手術の後遺症が残ってしまったP君も、白血病を克服したSちゃんも、元気そうで安心した。
М子と一番年が近いDは語学を学ぶことが大好きな学生で、家族一上手な英語を話す。

その後、後遺症のために噛むのが苦手なP君の大好きなアイスクリーム屋さんへ。
アイスも、形がまるでスパゲティーのイタリア風スパゲッティーアイス。その後どこへ行ってもピザとパスタの店ばかりで、どうやらドイツ国内はイタリア料理に席捲されているらしい。

A君以外の家族も英語がわかってほっとする。そして彼らの温かさに、M子ともども心より感謝。

fromthesky.jpg二日目にサプライズが待っていた。
ローテンブルグRothenburgという空襲を免れた古い街に連れて行ってくれるというので車に乗ったら、着いたところはなんと!小さな飛行場!
A君は二十歳くらいの若い頃にパイロットのライセンスを取って、二人乗りと六人乗りの自家用飛行機を持っていたのだ!

「こっちの大きい方にはビジネスの客以外では君たちが初めてだよ。」と、六人乗りの方に奥さんのMさんと4人で乗り込む。
「私、彼の飛行機に乗るといつでも眠くなるのよ。」というМさんに、彼への厚い信頼を感じる。
ちなみに彼とМさんは終始手をつなぎながら歩いていた。


まったく物怖じしないМ子が副操縦士よろしくA君の隣に乗り込み、飛行機が時速270キロ以上出るなどということを聞き込んでくる。
ああ、だから彼は道路で220キロ出しても、ちっとも怖くないんだ!

秋の紅葉が始まったばかりの山々を真下に見下ろしながら、25分ほどの飛行を楽しむ。
(ちなみにドイツの紅葉もほとんど日本と同じくらい美しいものらしい。今回はまだ少し早めで、紅い紅葉にはなかなかお目にかかれなかった。)

飛行場から町までは、地元のタクシーに乗る。
びっくりしたのは初対面のはずの運転手さんにA君が気さくに話しかけていたこと。

そう言えばレストランの店員さんにもそうだった。

日本人だとなかなかこうは行かない。
タクシーの運転手さんと必要以上の話をする人などそんなにいないのじゃないのかな?

寡黙な印象が強かったドイツ人の、ちょっと意外な一面だった。

ローテンブルグでは通称クリスマスショップと言って、一年中クリスマスの飾りつけを売っている店が有名だ。
こういう店が商売になってしまうというのも凄いと思う。

中では現地の日本人の奥さんが販売員をやっていて、他の店員さんのような愛想の良さは少ないが、誠実な受け答えが信頼出来る。
ドイツ人の日本人像も、おおむね彼女のような感じらしい。

ここでもМ子は受付のおじさんに可愛がられて一緒に写真を撮ってもらった。

彼女の笑顔は愛らしい。しかもいつも心の底からの満面の笑みだ。

日本人は若く見えるというから、きっと彼女は中学生くらいに見られているのだろう。
そして物を尋ねる時も、何かを頼む時も精一杯の笑顔でExcuse me. と Thank you.を言い、そして生来の勘の良さで重要な一単語を聞き逃さないので、なんとなく答えがわかってしまう。

こういう時、親としては、やっぱりあなたは小さい時に英語幼稚園で2年間カナダ人の先生に英語を浴び続けたのが良かったのよ!と言いたいところだが、彼女は決してそうではないと否定する。

そうでないとしても、やっぱり彼女は出来過ぎ母にそっくりだ。(彼女はもっと必死で否定するだろうが・・。(^^;;) 


ローテンブルグにはクリミナルミュージアム、要するに犯罪博物館があり、中世からの拷問の器具などが並べられている。
広島長崎と何が違うかといえば、日本のは被害者の視点の展示ばかりだが、ドイツのは自分の国がこういう蛮行を行ったと認めて、それを繰り返さないようにというスタンスだ。
そこが凄いと思う。


三日目はA君の家族全員がブランチでもてなしてくれた。
近くに住む長男のМAも、もう結婚して娘もある次男のМIも、A君夫妻と同居しているМIの奥さんのSAも、彼らの娘4歳のDIも、家族全員がわざわざ九子たちのために一同に会してくれた。

山盛りのドイツパン!ドイツのパンの美味しさは予想外・・と言ったら失礼だが、ライ麦パンや黒パンといった素朴なイメージのものもとても洗練されていて、プレッツェルと言う大昔流行ったピースマークのような・・と言ってもわからない方が大半と思うが、とにかくパン種を搾り出し袋に入れて丸く絞り出して焼いたようなパンの美味しさが際立っていた。しかも、日本人が食べてもしょっぱい上に、周りに粗塩の結晶がまぶられているという念の入れよう。

でもこのパンの厚さを半分にして本バターを塗りこみ、ハムなど詰めたサンドイッチの味は秀逸だった。


いつでもどこでも必ず出て来て一番美味しいと思った白いソーセージはパセリなどが練りこまれていて、唯一皮を剥いて食べるものであることを教えられた。
九子とМ子が今までずっと皮ごと食べていたと言ったら、一同大笑いだった。(でも、十分食べられるくらい柔らかい皮だった。)

チーズの皿、ハムの皿、ソーセージの皿、サラダの皿、フルーツの皿、などなど。シンプルだけれど美しく盛り合わされた心のこもったもてなし。

パンなどは「手作り?」と聞くと、「まさかあ」というような表情が返ってきて、餅は餅屋!ではないが、パン屋で買うのが当たり前なのだろう。

A君とМさんは、豆やナッツを中心にした別料理を食べていた。これも彼女の体を思い、有機野菜や免疫力のつく食物を好んで選んでいるらしい。
そのせいか、A家で飲んだ牛乳がどこのよりも一番美味しかった。

庭を案内してもらった時に見たこざっぱりとした小屋は、子供達が小さい時に中で遊べるように彼が建てた子供たちの家だそうだ。彼らの表札もしっかりと付いていて、大人たちの生活を真似ながら遊んだのだと思う。
彼の家が豊かだから出来たことなのか、それともどこの家でもするのかは聞き漏らしたが、ドイツ人の子育ての原点がそこにあるような気がした。

庭で拾ってもらった小さな胡桃は捨てられずに日本に持ち帰った。

実はA君は今、癌の新しい療法を経済的に支援する会社を立ち上げていて、新しい療法をМさんやP君の癌に試そうとしている。
人間に試すにはまだまだ課題が多いらしいが、愛する家族を守るため、彼はとても意欲的だ。

Мさんがきっと元気になって、とりあえずA君と二人で日本へ、長野へ来てくれたら、その日までこの胡桃を大事に持っておこう。
「ほら、あの時の!」と言って見せたら、びっくりしてくれるかもしれない。


A君に駅まで送り届けてもらって、贈り物分が減って軽くなった二人分のトランクも着いたばかりの電車に運び込んでもらい、発車間際に大慌てで飛び出すのを車中の人たちに大声で笑われながらも(これも初対面の人にもフランクなドイツ人ならではか?)ホームで大きく手を振って見送ってくれたA君とその家族に最大限の感謝をして、九子とМ子を乗せた電車は一路またミュンヘンへと向かう。

(つづく)


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伊閣蝶

素晴らしい行動力に、大感動です。
ドイツは憧れの地ですが、私は仕事での出張で、フランクフルトとミュンヘンに行っただけです。もう20年くらい前のことです。
その後、是非ともプライベートで再訪したいと思っておりましたが、未だに果たせずにいます。
それでも、空き時間を利用して出かけた、アルテ・ピナコテークやノイエ・ピナコテークの絵画などは、今でも思い出しますし、一人で飛び込みで入った居酒屋でのことを懐かしく思い返します。
Aさんの、本当に心温まるご対応など、拝読していて本当に心が温かくなりました。
続編、楽しみにしております。

by 伊閣蝶 (2014-10-22 23:35) 

九子

伊閣蝶さん、こんばんわ。コメントありがとうございます。( ^-^)

アルテ・ピナコテークやノイエピナコティークは第一候補に最後まで入っていました。私一人だったら行っていたかもしれません。それが今回は娘と一緒ですから、彼女がどうせ時間があるなら街をぶらつく方がいいと言い出しまして・・。結局結果的には正解だったと思います。

行動力・・というのとは違うのですが、なんとなく流れでそうなったというのでしょうか。
私の場合、いつもそんな感じです。(^^;;

伊閣蝶さんも是非行って居らしてください。
クラシック音楽の知識も才能もおありの伊閣蝶さんですから、もしかしたらドイツよりもオーストリアの方がいいかもしれませんね。( ^-^)
by 九子 (2014-10-23 00:07) 

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