SSブログ

人をだますということ [<九子の万華鏡>]

ショーンというちょっと品の良い響きのある名前を持つ人は、ジョン・レノンとオノ・ヨーコの息子のショーンレノンくらいしか思い浮かばなかった。
それがこの頃この人の事が連日マスコミに取り上げられている。ショーンさん。いや川上氏と呼ぼうか。

ショーン・マクアードル・川上氏。まあ男前の、声はとってもセクシーな男性で、その上問われたことに対して的確に答えることが出来る。
あんまり見た目ぱっとしない評論家さんに出てもらうよりもお茶の間受けするということで、彼の出場回数は増えて行ったのだと思う。

そもそもこういう事が問題になるのは、テレビに出てる有名人に限られる。
九子が、実は東大卒なのよなどと言ってみても、誰も信じないし、間違って信じてくれる人が居ても世の中にはなんの影響も無い。
たぶん大多数の人は、権威ある人の言葉の方をより信じる。
たとえばテレビで芸人さんが言う意見よりも、大学教授が言った意見のほうが真実に近いとほとんどの人が思うだろう。
川上氏がしてしまった学歴のウソで(英語では’academic fraud’と言うそうだ。)彼の責任を追及したい人たちが一番怒っているのはそこだと思う。

アメリカの大学を出て、ハーフのイケメンで、たくさん勉強して物事を良く知ってると思ったから彼のいう事を信じて聞いていたのよ。
大学も中退で一般人と同じレベルの人なら、全然説得力無いじゃない!

こうしてみると学歴というのは案外いろいろなことを左右するようだ。
学歴の高い人の言葉を信用する風潮は、学歴の高い人そのものを崇め、無批判に賞賛することにも通じているのかもしれない。

上でショーンさんと書いたが、日本語は良く出来ていて、さんづけするという事は、九子の中で川上氏の印象がさほど悪くないという事を示している。

じつはこれには理由があった。
騒動の最初の頃は九子も「えっ?そんなことしたの?」と川上氏のことをさげすむように眺めていた。

ところがある日、この人が登場したのだ。脳生理学者の茂木健一郎先生だ。
茂木教授は「僕は学歴なんかにこだわらない。」と言い、川上氏の事を尊敬を込めて
「お仕事でご一緒した時、その素敵なお人柄に魅せられましたし、そのさまざまな問題についての見識も、素晴らしいと思いました.」と評価した。
この一言で、九子はすっかり茂木教授が大好きになってしまった。
「人は偉くなればなるほど自分の現在の地位に固執して事なかれ主義に陥っていくのに、矢面に立たされている川上氏を擁護するなんて、なんて男らしい人だろう!」
人と同じ意見に安住したがる日本人の中で、人と違う意見を言う。それも、叩かれてる人の肩を持つなんて。

茂木教授は自分の目の確かさに自信があるのだろう。
その反面自分の目に、つまり自分の判断に自信の無い日本人があまりにも多い。
だから右といわれれば右へ、左といわれれば左に流されてしまう。
茂木教授の友人になれたらどんなに幸せだろう。
一旦彼の信用を勝ち得たなら、彼はどこまでもあなたを信じてくれる。
そしてあなたが苦境に立った時、きっとあなたに手を差し伸べてくれる。

茂木先生が信じてる人なら、九子も信じる!
(大多数の日本人と同様に、唯々諾々と権威にひれ伏す九子。(^^;;)

川上氏が長年やってたラジオ番組を降板する時に、こんな時にも自分を励ましてくれる多くの友人たちに感謝の言葉を涙ながらに語ったというのも九子の琴線に触れた。

 
そもそもウソって何だろう。良くないことは知っている。だけど世の中からウソが無くなることはない。
だって仏さまだって「嘘も方便」って言っているんだから。
結局は性質(たち)の良いウソか、悪いウソか、もっと言えば許せるウソか許せないウソかという事になる。
許せる、許せないは結局のところ、ウソをついたのは誰なのかという事にも大いに関係する。
友だちだから許せるのか、友だちだからこそ許せないのか。

 
最近、こんな事があった。
facebookで名前占いを紹介された。
九子も早速やってみた。

結果はと言うと。
えっ?マジで?
なんだか凄いことになっている。

結果そのものよりも欄外にあったこの言葉が九子を有頂天にさせた。
「あなたは高度に発達した素晴らしい人格を持っています。こんなに多くのポジティブな要素があるのはめずらしいことです。最もダメな要素さえもあなたをとても魅力的に見せ、格別で勇ましい人生を生きているように見受けられます。あなたを模範にしている人は多いので、今のままでましょう。結果をすぐにシェアして、みんなも自分の長所と短所のナンバーワンはどれか分かるようにしましょう!(原文のまま)」

ね?これだけ見れば、九子がいかに特別な人間なのか、九子が天にも昇る気になったってのもわかるでしょう?
ところがここにウソがあった!
九子はM氏をはじめ、家族全員の名前を次々と入れてみた。
枠の中の性格は、それぞれそれらしいものが出て来たけれど、九子が喜んだ枠外の言葉は、全員同じだった。
つまり九子は「高度に発達した素晴らしい人格を持っていて、こんなに多くのポジティブな要素があるのはめずらしい」という言葉で、自分は特別な人間だと言われたと思った。
ところが誰がやってもその言葉が必ず出てくるのであれば、それはもう特別でもなんでもない。 九子は騙されたのだ。
だけどこの事実を知らない限り、この占いは人を傷つけるものでもなく、むしろ人に勇気を与え、幸せな気持にさせるものだ。

ウソの怖さがここにある。

川上氏の学歴詐称騒動はそろそろ下火だろうと思う。
次のターゲットの乙武洋匡氏が躍り出て来たからだ。
サンキュー、センテンススプリング! 
川上伸一郎氏の再出発を祈る。

nice!(18)  コメント(8) 
共通テーマ:テレビ

nice! 18

コメント 8

U3

人を何の疑いもなく信用するからその信用が崩れた時に裏切られたと感じるのだろう。
だがそのような事態にならないように人を信用しないというのも寂しい。
そもそも好き嫌いとか信用できる出来ないといった感情や直感に何ら根拠はない。
裏切られたり裏切ったりは実は人は無意識に常日頃している。
実に日常的な事なのだという認識があればそのような事でいちいち目くじらを立ててもしょうがない。
まあ刑法や民法に抵触するような詐欺行為というならば別だろうが。
人を騙す行為は良くない。
だが、その行為を批判することはあっても今までその人に悪感情を持ったことはありません。
要は批判された後その人物がどう対応するか、それで評価は変わっていくということなのだと思う。
いくら擁護する人物が現れても本人が批判に応えなければ信用を回復することはないだろう。
by U3 (2016-03-29 12:29) 

九子

U3さん、コメント有難うございました。
>人を何の疑いもなく信用する
日本はそれが通用する良い国のはずでした。この頃だんだん変わって来たとはいえ、とりあえずよその国と比べるとましのようです。

>要は批判された後その人物がどう対応するか、それで評価は変わっていくということなのだと思う。
本当にそのとおりですね。日本人は人を信じる美徳は持っているけれど、打たれ弱い!
それとも、少しの事で叩きすぎなのでしょうか?
一度の失敗を糧にして、何度でも立ち直れるチャンスのある国にして欲しいですね。

前もお願いしたかもしれませんが、kasahara@mx1.avis.ne.jp へメールをお願いします。
有難うございました。( ^-^)
by 九子 (2016-03-29 21:24) 

伊閣蝶

学歴というものは、一種の「値札」なのでしょう。
その人の本来的な価値を判断できない側が、とりあえずどの程度の価値があるのかをみるために学歴という「値札」を判断材料にする。
つまり、「騙された」と騒いでいる人たち(マスコミなど)が、いったいどのような基準で相手方を判断してきたのかを、今回の騒ぎで端無くも露呈させてしまった、ということなのではないでしょうか。
恥じるべきは、その学歴や職歴を鵜呑みにして、ショーン氏の発言の重みを測ってきた己の不明にあるのではないかと私は思います。

私は高卒ですから、彼が必死に知識を求めて勉強してきた気持ちがとてもよくわかります。
高卒以下の低学歴の人間は、何かの話題に当たって「知らない」と表明することをかなりおそれます。つまり、それが「無知」につながると評価される可能性があると思うから。
高学歴の人たちが、知らないことは知らないと、はっきり言えるのは、専門分野について自分はきちんと学んできた、それ故に自分の専門から外れている話題について「知らない」ことは決して恥ずべきことではない、と考えられる余裕があるからではないでしょうか。
彼の並々ならぬ語学力や深く広い知識は、そうした血と汗と涙のもとにつくられてきたのでしょうね。
by 伊閣蝶 (2016-04-02 17:53) 

九子

伊閣蝶さんこんばんわ。本当に私自身も含めて人を学歴で十把ひとからげにする習慣はなんとかしなければと思います。たしかに値札ですね。わかりやすいから、みんな判断の材料にします。

確かに誰もが難関大学へ入れる訳では無いからそれだけの努力をした証にはなるでしょう。
でも伊閣蝶さんのような深い知識と旺盛な知識欲を持たれた人ならば、難関大学を出られた人となんら遜色ないということを、会社の同僚の方や上司の方はよくおわかりですよね。だから定年になってもまた新たなお仕事が舞い込む訳です。

「知らない」は私はいつも言っていますが、それは物を知らない人間だからであって、本来知らなければいけないことを知らない場合はたくさんあります。 知らなくて許されているから知らないと言えるのかもしれません。

伊閣蝶さんが「知らないとは言えない。」と思ってずっと勉強されたことが今に至っておられるのでしょう。本当に信州人の鑑のような方ですね。( ^-^)
私は信州人の風上にも置けないってほうですが。(^^;;
by 九子 (2016-04-03 22:02) 

mu-ran

僕も経歴詐称について、マネージャーから随分念を押されました。当時大手の音楽事務所に居ましたが、担当のアシスタントが変わる度に、「村中さん、これは本当のことですか?」と訊かれるのでした。僕は昔から殆ど全ての事実をオープンにする質でしたから、新聞記事やその他の証拠と言われるものも含め、全部自分で取って置いたのですね。人任せにすると、海外ではやっていけないので、自分の歴史は自分で管理していたのが幸いしました。実際に指揮者という職業で経歴の詐称で問題になる人が何人かいましたから、その度に✔が入りましたね。でも思うんですよ。他人に一生懸命な人が本当に多いと。ほっとけば良いのに。
自分の人生を歩くわけで、他人は別の人生ですからね。競争は狂想です。本来共創しなければならないわけです。ミスを一つすると、吊し上げは全国に及ぶ。
でも誰でもミスはあるわけで、そこから再生する必要があり、それを励ますのは他でもない、自分自身を守ることに繋がりますね。だって、いつ自分がやられるか、わかったもんじゃないですよ。こうやって個人で発信していれば。ですから皆さん、気を付けましょうね。ミスをしても、別にどうってことない、って社会、嫉妬や競争に狂うバカは、放っておいて、素敵な社会を実現しましょう。
by mu-ran (2016-04-19 10:32) 

九子

mu-ranさん、こんばんわ。
久しぶりのコメント、有難うございます。( ^-^)

ふむふむ、そうなんですね。なんでもお一人で、セルフプロデュースが当たり前の社会なのですね。
確かにお一人で活動される訳だから、その気になれば経歴詐称は割合簡単に出来てしまうのかもしれません。だから周りも用心深くなるのでしょう。

いつも思いますが、私と言う人間はつくづくこの店でしかやっていけない。奥から出てきていらっしゃいというだけで、周りの人は信用してくれますから。

>でも思うんですよ。他人に一生懸命な人が本当に多いと。ほっとけば良いのに。
本当にそのとおり!おせっかいって言うんでしょうか?
それからネットニュースを作る人たちの責任もありますよね。
彼らが取り上げなければ、事はここまで大きくならなかった。

Mu-ranさん、ビッグになればなるほど注目されていろんなことが起こるでしょうから、どうぞご用心下さい。
そして、ミスしてもなんとも無い社会、作りたいですね。
イタリア、イギリス、ウイーン。おいでになったところには、こんなことはなかったのでしょうか?
by 九子 (2016-04-19 20:20) 

いっぷく

人の評価を自分ですることを怠りたい人に
学歴は便利なんでしょうね。
by いっぷく (2016-06-18 00:54) 

九子

おっしゃるとおりです。私も含めて日本人は白黒つけるのが苦手ですから、評価というのもついつい好き嫌いという感情に捉われてしまいがち。
いっぷくさんのように善悪をすっきりとおっしゃる方は少ないかもしれません。
貴重な存在です。
by 九子 (2016-06-18 23:47) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。