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佐渡裕が長野にやってきた! [<九子の読書ドラマ映画音楽日記>]

う〜ん、これを書こうか少々迷った。

だって「指揮者村中大祐氏いのち!」のブログを書いてから間が無いからだ。


Mu-ranさん! 例によって音楽のことはまったく良くわからない九子のことゆえ、中身に音楽的要素はさっぱり・・のブログですからどうかご安心を!(^^;;


佐渡裕が長野に来るのは十数年ぶり。そして、かつて高校の管弦楽部でトランペット奏者だったM氏が珍しく行きたがった。


タクシーの運転手さんがふるっていた。


「お客さん、どちらまで?」と聞かれて、文化会館までと答えると「今日は誰が来るんです〜?」


「あっ、佐渡裕です。」と答える九子に、微妙な間が待っていた。

中高年の夫婦連れが二人そろって一体何見に行くの?みたいな、いぶかしげな感じ。

だから九子は重ねていった。「佐渡裕。指揮者の佐渡裕と彼のオーケストラです。」


運転手さんはほっとしたような、あっ、そうか!とも思えるような答え方をした。

「あっ、佐渡裕!ああ、あの指揮者のね!」


もしかしたら佐渡裕と言う名前を聞いて、一瞬運転手さんは演歌歌手でも想像したのかしらん。

そうだよね。演歌歌手にはどんぴしゃりな名前だ。(^^;;


「それで演目は何です?」


「えっ?演目?」なんだっけ?佐渡裕、佐渡裕ばっかりで、演目なんか良く見なかった。(^^;;

あわてて広げたリーフレットにもクリスマススペシャルと書いてある他はようわからん。


運転手さんは続けてこんなことを言った。「日本のオーケストラの切符は高すぎるよね。二人分で一万4千円?ヨーロッパじゃあ2、3000円だってね。そのくらいじゃなきゃ行けないよね、庶民は。みんなで楽しめなきゃつまんないよね。」


良くご存知ですね、という九子に、彼はこう言った。


「僕はそんなに詳しいわけじゃないんだけど、テレビでね、BS見てると良く出てくるのよ、そんな話が。」


「BSですか?ずいぶんしぶい番組を見ていらっしゃるんですね?」と言うと、


「僕んとこ山の方なの。地上波の電波がうまく来ないから、地域によっちゃあ、BSしか映らないの。だからNHK受信料払わなくていいんだよ。」 あらまあ!


運転手さんの話を聞いていると、BSも今度見てみようかと言う気分にさせられた。



何度も書きたくないが、長野市は文化が不毛であると良く言われる。


そんな長野でも地元生まれ地元育ちのピアニスト山本貴志氏の世界的活躍や、隣の中野市出身だが、ジブリ映画の音楽監督として有名になり、今や世界的活躍の長野市民芸術館総監督・久石譲氏などの出現は、長野市民に希望を与えてくれる。


それでも佐渡裕ともなるとどこからともなく人が現れ、満席とは言わないまでも9割がた席は一杯になった。


佐渡裕氏もかつてブラスバンドをやっていたらしい。そのせいでか、彼のオーケストラ「シエナ」にはバイオリンが無くて、弦楽器はコントラバスひとつ。よりブラスバンドに近い構成になっている・・ということを、九子はM氏から教わった。


佐渡裕氏は長身で、ルパン三世と見間違うほどの細くて長い足を持っている。

あの細さで、時には1万人の合唱団の第九を指揮するのは荷が勝ちすぎないかと思うほどだ。


今日の演目はクリスマス特集で大曲は少なく軽めだったと思う。しかし韓国人歌手のキュウ・ウオン・ハンの歌は秀逸だった。佐渡氏と、彼がキュウちゃんと呼ぶキュウ氏は、パリ時代に同じ釜の飯を食った仲なのだそうだ。まあキュウコのキュウつながりでもあるし、彼の歌には★★★かな?(^-^)


さて、そろそろあの時間の到来だ。


そう。佐渡裕の真骨頂?

会場に集まった観客たちがそれぞれもち寄った楽器をかかえてステージに登る。


九子はちょっと心配になった。ここは恥ずかしながら文化不毛の長野市である。

クラシックコンサートにこれだけの人数が集まったことだけでも驚きなのに、

楽器を持ってステージに上がる人なんて、何人居るんだろう?

ちょぼちょぼとしか集まらずに佐渡さん困るんじゃないだろうか?


ところがそんな心配は無用だった。

まあ一体彼らはどこにあんな楽器を隠し持っていたんだろう。

中には巨大なチューバを持ってる人もいる。


来るわ、来るわ。九子の心配をよそに、ステージは立錐の余地もないほどに。   

その上なんと!中学生くらいの男の子と女の子は、指揮棒を持って佐渡裕に迫る。

「あっ、指揮者もいるのかあ。オレここに居たらじゃまね。」と、すごすごと指揮台を降りる佐渡裕氏。


演奏が始まった。「星条旗よ永遠なれ」。急ごしらえの素人合奏団が奏でる誰もが知ってる佐渡とシエナの代表曲。もちろん指揮者は中学生カップルた。 


演奏だって大したものだ。何より彼らの熱気が凄い。夢の舞台で一世一代の瞬間だ。

この音を記憶に残して欲しいと、一人一人の上気した顔が輝く。


わあ、すごいよ~。長野市だってやるもんだねえ。あんなにたくさんのクラシック人口が育っていたとはねえ・・。


九子とM氏も熱い思いで聴き入る。



うん?その考えは突然稲妻の如く去来した。

ああ、思いつかなきゃ良かった!そうしたらもっと幸せでいられたのに・・。

でも一度気づいてしまったことを気づかなかったことにはもはや出来ない。


果たして、このステージ上の人々は長野市民ばかりであろうか?

もしかしたら、上田!いや、松本!!


クラシックの、いや文化の先進地として鳴り響く松本や上田。

佐渡裕のためならどこへでも足を運ぶ面々がたくさん居るはずだ。


そういう人がほとんどなら、わかる!この熱気!この活気!


九子は係りの人に聞きたかった。今日来た人たちは、いったいどこから来てますか?

長野市の人は何割ですか?もちろんそんなことに答えてくれる人は居ない。


長野市民よ。せめて半分、いや、三分の一、いや四分の一でいい。

満員の客席を埋め、楽器を持ってステージに立っていて欲しかった!


いや、せめて祈ろう!

佐渡裕を聴き、ステージに上る人々にあこがれて、音楽の海に漕ぎ出す人々が僅かずつでも

増えることを!


Mu-ranさんこと、指揮者の村中大祐氏は言った。


「響きを愉しむ」いうのは誰にでもできるようだが

これが日本人にとっては意外に難しいのではないのか?

 

愉しむためには

「自分に合った」言葉の響きを

選び取る作業が必要になる。

 

多分この辺りで差が出るのだろうが

日本人は自分だけの選択をすることが

異常なくらい下手くそ。

 

他人のフリを見てから動く体質は

こういうところにも表れると思うのだが

やはり「自分だけの価値を選び取る」ための教育が

そもそもできていないようなのだ。

 

じゃあ、自分に正直になるにはどうすりゃいいか、って?

 

そりゃあ、音楽を聴くことさ。


これなら出来る!これから始めよう、長野市民よ


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伊閣蝶

明けましておめでとうございます。
いつもnice!と温かなコメントをありがとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
佐渡裕、実に魅力的な指揮者ですね。
武満徹さんを高く評価しておられたことから、前々からファンでしたが、実演を聴いてからますます惹き付けられました。
by 伊閣蝶 (2018-01-06 16:37) 

九子

伊閣蝶さん、こちらこそまめにおいで頂き、心より感謝申し上げます。
伊閣蝶さんのように音楽が本当にお分かりになる方が聴くとそれこそいろいろなことがおわかりなのでしょうが、こちらはにわかファンですから、もう「いい!」「悪い!」だけです。もっとも「悪い!」がわかったら凄いのでしょうが・・・。
とりあえず楽しんで聴いています。今のところそれだけで満足しています!
今年もよろしくお願いします。<(_ _)>
by 九子 (2018-01-06 21:21) 

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