グレタさんの演説 [<学習障害(LD)の話>]
環境活動家のグレタ・トウーンベリさんと言えば、世界中ほとんどの人が「ああ、あの娘ね!」とわかるほど有名になってしまった。
国連環境会議での演説を、テレビニュースやネットでご覧になっただろうか?
最初に思ったのは彼女の言葉の強さ。それと、芝居がかったようなゆっくりとした抑揚の効いた発音。
たまたま英国議会でボリスジョンソン首相を糾弾する演説をしていた議員が使っていた英語も、まさにこれだった。
まるでここが劇場で、主人公の告白を観客たちが固唾をのんで見守らなければいけない状況が作り出されたかのようだ。
彼女、女優になるといいんじゃない?と、ふと思ってしまった。
翌日の新聞には「グレタさん、怒りの演説」という見出しが踊っていた。
たまたますれ違ったトランプ大統領をにらみつけている写真とともに、何をしでかすかわからない怖い少女という印象も多くの人に刻まれてしまったかもしれない。
なかには、ここまでの主張をこの年で出来ることに疑問を呈し、両親が一方的に押し付けた知識や情報が彼女の考え方をゆがめているのかも・・と考えた人もいるようだ。
でもこの記事を見る限り、彼女は自分の考えに忠実に行動しているらしい。
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-49874304
それにしてもわずか9歳で世界の気候変動に関心を持ち、物が食べられなくなるほど
悩むというのは凄い!
その上スエーデン議会前の「学校スト」だ。
それでも家族との関係も良好で、何の問題も見つからないようだ。
彼女がスエーデンからニューヨークまでCo2を排出しないヨットで2週間かかって渡ってきたことは有名だが、父親が付き添っていたのだそうだ。
そりゃあそうだ!親としては心配だろう。
こういうところに、「普通のお嬢さん」を感じる。
ただ、彼女も自身で告白しているアスペルガー症候群の影響は小さくないかもしれない。
普通なら、例えば何年も真面目に研究を続けている気象学者や、努力を続けている多方面の人々に、彼女の言葉がどういうふうに届くかの検証がなされるはずだ。そして、強い言葉は少しだけ弱い調子に変わったり、そういう方々には申し訳ないが・・という前置きが入ったりするはずだ。
ところが彼女の言葉には全くそれが無い。
そしてそこが、彼女のスピーチを快く思わない人々のかっこうの非難の的となっているはずだ。
アスペルガー症候群。高機能自閉症とも言われ、知能や言語の習得には問題ないが、人間関係の構築に問題を生じやすいと言われる。
発達障害のほとんどは現在「自閉症スペクトラム」と言い換えられている。
軽い学習障害の息子も、集中力は凄かった。好きなことにはとことん興味を持つ。そして集中してそれを極める。その上いわゆる「空気を読めない人」なので、周りに対する配慮が足りない。
これらの特徴はアスペルガー症候群の彼女にも共通だろうし、それを考えると彼女のスピーチは、地球の気候環境に非常なる興味と怖れを持ったアスペルガー症候群の少女の物として齟齬はない。
彼女が25歳になった時、35際になった時のスピーチを聞いてみたい。
「大人の対応」は出来るようになるのか。
あっ、その時はもうこっちが生きていないか?(^^;;