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役立たず その2 知力 人の顔が覚えられない

人の顔を覚えるのが、大の苦手である。
つらつら考えるに、これは九子の性格から来る問題点かもしれない・・・という結論に達した。

なにせ、人見知りである。(ご異論のある向きもおられようが・・・)
気がついてみると、人の顔を見て話していないのだ。欧米人は、小さい頃から人の目を見て話すようにしつけられると聞くが、生来気の小さい私(文句ある?)は、すぐに相手の首より下あたりに視線をずらし、あちこちおどおど周囲を見回しながら会話を続けている。顔を見ていないのだから、覚えられるはずがないのである。

性格は、買い物の時にも表れる。声の大きい人は大抵、肝っ玉かあさん風の底力のある熟年主婦である。ニッポンの元気を一人で支えてきたような威勢の良い声で、「ありがと~。今日の大根安くて助かるねえ。これから漬物にしようと思ってさあ。」などと、レジのおねえさんと気安く話している。九子がレジでおつりを受取る時、下を向いて「すみません。」と言う声のなんと弱々しいことよ。まあこれは、主婦業に対する自信のなさから来るものかもね。(^^;

今は図々しく開き直っているが、若い頃はこれでも結構悩んだ。

今考えてみると、冬から春にかかる頃だったし、持病の鬱病の波の影響が多分にあったのだとは思う。もちろん自分の病気のことなど、その頃は知る由もなかった。とにかく理由も無く、自分が嫌で嫌でたまらなくなった。新婚の1年半を東京で過ごし、長野へ帰ってきて薬局を手伝い始めた頃であったと記憶している。

ありとあらゆる自分の欠点が頭に浮かんできて押しつぶされそうだった。その中で特に、薬局へ来るお客さんの顔がすぐに覚えられないのが許せなかった。

M氏にはその頃まだ、自分の気分が理由もなく沈んでいるのを必死になって隠し続けていた。

ある日、いつもより早く帰ってきたM氏は、電気もつけずに暗い部屋で膝を抱えて泣いていた私にびっくりしたらしい。

「おい、どうしたんだよう。」

「自分が嫌なのよ。いいとこなんて何もない。人の顔だって全然覚えられないんだもの。」

「な~にバカなこと言ってるんだ。人の顔を覚えられないって?俺なんぞ、さっき会った人の顔、もう忘れてらあ。この前も『どなたでっしたっけ?』と尋ねたら、『先ほどうかがったものです。』と言われて焦ったぜ・・・。」

がんじがらめになっていた心が、ほっと緩んだ一瞬だった。

え~っ?世の中にそんな人っているの~?私よりまだダメがいるなんて・・・。

人は優越感を感じた瞬間に、幸せになれるのである。
私はこの人と結婚して、幸せだったとしみじみ思った。(どう言う意味じゃ?(^^;)

ダメ母は、きっと誰かを幸せにする。( ^-^)
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