男の沽券(こけん) [<九子の万華鏡>]
日曜日のお昼ごろ、M氏から電話がかかる。
この時間帯の電話は珍しいのだが、この手の電話はほとんど毎日のようにかかる。
「おい、今日はなんか買ってく物あるかあ?」
まあ、我が家の買物係は現在M氏なのだ。(^^;;
M氏が買ってくれる分、九子が出す食材費は半減するし、スーパーに行くガソリン代も随分減った。( ^-^)
M氏の電話はたいてい一度では終わらない。
5分か10分するとまたかかってきて「え~と、卵と牛乳と・・、あとなんだっけ?」となる。
時には更に5分後に、「最初に言われたのなんだっけ?」って事も・・。(^^;;
日曜日の電話が少々違っていたのは、頼んでた品物が見当たらないというものだった。
日曜日はその店でだししょうゆの1.5リットル入ペットボトルが安いはずだった。
「1.5リットルでこの値段は他に無いし、個数制限あるから急いで買って来て!」と言って、のんびりテレビを見ていたM氏を急き立てて(^^;;頼んだのは九子だった。
えっ?なんで九子が行かないのかって?
もちろん九子が行きたいのはやまやまなのですが、ここんとこ信州DC(ディスティネーションキャンペーン)とかで吉永小百合さんが戸隠奥社の杉並木を歩くCMのお陰でか、九子の薬局にもたまに雲切目薬を買いにお客さんがあるので、日曜日でも九子は薬局を留守に出来ないのです。
まあそれはともかく、そのだししょうゆのペットボトルが見当たらないとM氏は言う訳。
「おかしいなあ。山積みになってるはずなんだけど・・。でももしかしたらもう終わっちゃったのかなあ?
なんだったら店員さんにちょっと聞いて見て!」
その後M氏から何度も電話が来て、この「店員さんに聞いて見て!」を九子は何度もくり返すはめに・・。
結局最後はどうなっちゃったかと言うと・・・。
その日、その店でだししょうゆの特売は無かった事が判明したのでした。あれっ、変だなあ。
M氏、赦せ!(^^;;
もちろん九子がおっちょこちょいなのが悪いんだけれども(^^;;、そういえば男の人ってあんまりスーパーで店員さんに物を聞かないんじゃないのかな?って思ったわけ・・・。
M氏に限ればそうだ。あくまでも自分で探そうとする。
まるで店員さんに聞くのは恥だとか、負けだとか思ってるみたい。
特に特売品みたいな場合は、プライドが邪魔して聞きにくいのかも・・。(^^;;
そのM氏が最後に困ってとうとう店員さんに聞いた挙句が、店員さんがちらしを大きく広げながら「そんな特売はありませんよ~。」と答えたとしたら・・。
M氏も、そうとう恥ずかしかったかもなあ。まあM氏は人間が出来てるから、そんなことじゃあ怒らないが。
(いちいち怒ってたら九子とは暮らせない。(^^;;)
世代かな・・・とも思う。
スーパーに勤めた三男なんか、昔からわからない事は人に聞くのが当たり前みたいに、誰でもそばに居る人つかまえてすぐに聞いていた。
旅好きだったから、困った時にすぐに答えが出ないと次の電車に間に合わなかったからかもしれない。
世代と言えば、九子の父親世代は買物なんかとんでもなかった。横のものを縦にもしない、男子厨房に入らずという時代だった。
母みたいな手早で気の効くお嫁さんなら困りもしなかっただろうが、九子みたいなお嫁さんだったらその日から困る。(^^;;
自分のことで手一杯で、とてもじゃないが夫の事まで手が回らない。
今でも手が回らないのはおんなじだが、M氏がうるさく言わないので助かっている。
そういうまあ、女性にとっては生きるのがやかましかった時代、妻達はさぞや大変だったろうなあと思いきや、実はそうでもなかったみたいだ。
亭主関白を絵に書いたようなダンナ様を持っていても、妻は「まあ、それで八方まるく収まるならばいいじゃないの。」と涼しげだった。日本女性は昔から懐が深かったようだ。( ^-^)
父はそれでもデパート通いは大好きだった。晩年はよくスーパーにも楽しげに入っていた。
「男の料理」という言葉が市民権を得て、男性向けの料理教室なんかが盛んだと聞く。
男の料理の特徴は、シンプルで、大胆で、とことん味を追求する結果、おいしいものを作るためには手間もお金も惜しまないという感じだが、特に素材にはかなりお金をかけるようだ。とにかく味がよければいいとなれば、結局は素材だよね。
女性達はいかにして10円でも安く素材を手に入れるか・・というのに躍起になるが、男性はうまいものを食べるためには高い材料でも惜しみなく使おうと考えるようだ。
だから時々M氏が買って帰るものの中にも、日頃のケチケチ生活に似合わない高級素材が入っていてびっくりする事がある。そもそも食材の相場なんてわからないんだろうし、面倒くさくて値段の比較なんてあんまりしないんだよね、きっと。
そうやってうまいものを食べたいと思う時、見栄や世間体って気持ちが彼らの中にどの程度働くかはわからない。たぶん8割がたは食欲に突き動かされて高い材料を買うのだろうが、きっと男たるもの、値段の事でちまちま言うな!女々しいぞ!みたいな気持ちは彼らの根底にあるような気がする。
それこそが男の沽券!
メンツとか、プライドとかの外来語もあるが、体面とか沽券とか言った方がより品格があると思っていた。
特に「沽券に関わる」なんて言うと、いかにも武士の口から出てきそうな言葉じゃない!( ^-^)
ところが沽券とはもともと土地・山林・家屋などの売り渡しの証文の事で、それから「売値」という意味が生まれ、転じて「人の価値、品位」となったものだそうだ。
な~んか、がっかりだね。命に関わるものくらいの重い意味だと思ってたのに・・・。
まあ命に関わろうが関わるまいが、とりあえず昔から日本男子はそういう矜持みたいなものをDNAに乗っけて持っていた・・と思ってたんだけど・・。
昨今の草食男子に至っては、どうやらそうでもないらしい。
まずは 沽券という言葉がわからない。(^^;;
以前聞いた話では、言いつけられてカノジョの下着を買いに走る男子までいる始末。
でもまあ上記のリンクでは、そういう草食男子は「(下手にプライドが無い分)誉めれば頑張るし、ギャランティーも多くは求めないし、人の足を引っ張らない。上手に使えば女子の役に立つ」と評されているようだ。
う~ん、女性は強し。(^^;;
沽券という言葉自体を知らない草食男子がプライドが無いのは仕方ないとしても、民主党政権になってからの日本の首相たちの不甲斐なさはどうだ!
言葉の重みを知らずに言う事がころころ変わり、内外の信用を失ってしまった鳩山元首相。
言うべき時に言わず、やるべき時にやらずして、一番大事な日本の領土を亡くしかけている菅首相。
ロシア大統領が北方領土を訪問した際、首相がした事は駐ロ大使を帰国させた事だけだ。
なぜ帰すのか、それを言葉にして世界に発表して初めて意味があるというのに・・・。
尖閣諸島問題の時だってそうだった。百歩譲って船長を釈放するのであれば、なぜ日本の見解をきちっと中国に向けて、世界に向けて発信しなかったのか。
あ・うんの呼吸で分かり合えるのは日本人同士だけなのに、それがいつになったらわかるのだろうか。
流出ビデオの話題がひとしきりだが、政府が本来はもっと早く出すべきだったこのビデオをこの状況で出したくなかったのも、菅さんだか仙石さんだかがAPECを成功させるまではなんとか事を荒立てたくないという一念だったと言う話を洩れ聞いた。
大事なのは自分の評判ですか、それが男の沽券なんですか!そんな男の沽券なら、股間をチョンギッテやりたい!(^^;;
本当に大切なのは、日本の首相として日本の土地、山、家等、まさに沽券を死守することではなかったのか?
伸子夫人が書かれた本のタイトルが「あなたが総理になって、いったい日本の何が変わるの」だった。
せめて日本の領土の面積はお願いだから変えないで欲しいと、切に祈る。
あなたが総理になって、いったい日本の何が変わるの (幻冬舎新書)
- 作者: 菅 伸子
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2010/07/21
- メディア: 新書
男子、厨房に入らぬのは、厨房では二流、いや、十流か二十流だからですね。
スーパーで見栄を張るかどうか、詳らかにしませんが、見栄を張るとしたら、買うものに無知蒙昧なせいです。
したがって、一流の・・・・とは謂いませんが、三流か四流の得意な料理が何かあれば、それに関する買物も目利きになって、見栄を張らなくて済むんじゃないでしょうか。
焼き飯なら一流・・・・いや、三流であるとか。カレーライスなら任せとき、とか。
キャンプの経験があると、一品や二品の料理は作れます。味は保証しませんが。
ということで、男にスーパーで見栄を張らせないためには、ガキの頃からどんどんキャンプに送りだしましょう。
by 男子厨房に入らず (2010-11-19 23:30)
御返事遅れてすみません。m(_ _)m
男子厨房に入らず・・。リンクをたどれば風紋さんでしたか!
さすが切れ味鋭いお言葉!
風紋さんもかなりの包丁の使い手でいらっしゃるのですね。( ^-^)
私はその三流四流の方でして(^^;;、得意料理というのも何も思いつかず・・。
あっ、あくまで男性の場合ですよね。
でも料理のうまい人は男性でも女性でも頭がいいと思います。
もちろんなんでも一流となれば、なんにおいても大したものだと思いますが・・。
うちはみんな育ってしまってもう遅し・・ですが、キャンプは確かにいいですよねえ。( ^-^)
by 九子 (2010-11-21 15:56)