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叶わなかった武勇伝 前編 [<正統、明るいダメ母編>]

少々間が開いたので、もしかしたらウツの心配をして下さった方もおいでになるかもしれないが、どっこい!九子は元気です。( ^-^)
このところ、確定申告の書類整理やら何やら、九子にしたら煩わしい事が重なって、少し忙しくしてました。(ご存知のように九子の忙しい!は、たぶん皆さまにとっては至って日常程度。)

実は煩わしいことばかりではなく、非常に忌々しい事体も生じていたのであります。まったく考えるだけでハラワタが煮えくり返る!


話は1月の末に遡る。

九子の「裏の家」は、かつて若かりし頃に両親が建ててくれ、最初の頃は夕食も家族揃ってここでしていたのだが、子供の数が増えるに従って薬局を兼ねた母屋の方が何かと便利で、ただただ寝に帰るだけの家になっていた。

それから後もさほど使われず、特に両親が亡くなってからは九子とM氏の住まいは専ら母屋となり、たまに子供たちが友人を連れてきて一晩か二晩過ごすことはあっても、風呂場も台所もほとんど使われることは無かった。

九子はごくたまにその家の台所にある冷蔵庫に、入りきらない冷凍食品などを出し入れしに行っていた。と言っても、せいぜい一ヶ月に一度あるかないか・・・位のもんである。

1月の末も末、いつものように冷蔵庫に用事があって裏の家のドアを開けた九子はのけぞった!
なんと!床一面が水浸し。それがかろうじて玄関マットが身を挺してそれ以上水が外に流れるのを防いでいた。

原因は一本の蛇口。それも、洗濯機に給水するためだけに取り付けられた蛇口がほとんど全開になっていて、それはそれは勢いよく水が流れていた。(洗濯機はすでに取り外し済み)

さっき言った玄関マットのところで水が止まってしまっていたというのが、身を挺してくれた玄関マットには悪いが、有難迷惑な話だったのだ!

普通あの勢いで水が流れていれば、早晩玄関のドアを越えて表の通りに溢れ、九子が気づかないまでも隣の八百屋のおじさんが必ず気づいて九子に連絡してくれたはずだった。

ところが幸か不幸か(絶対に不幸だ!)、蛇口の直下には排水口があって、水のほとんどはただただ何の仕事もしないまま(九子みたい(^^;;)、排水口に取り込まれてしまっていたのだ。
それを超えた分の水だけが、玄関マットの助けもあり、床に平衡を保って留まっていたということらしい。

九子は急いで蛇口を閉めた。いや、閉めようとした。
だけど、あと三分の一くらいのところで蛇口が九子の力では回らなくなり、水はまだ出たままだ。

仕方が無いので元栓を締めにかかった。
雪が積もって氷になってる下に蓋がある。何時もの九子なら蓋が凍って動かない時点で開けるのはとっくに諦めてるところだが、非常事態ゆえ、裏の家にあった工具箱から重い釘抜きみたいなものを取り出し、凍っている蓋にお湯をかけて溶かし、蓋の穴に釘抜きをねじ込んでなんとか開けることに成功した。
元栓自体は九子でも割合簡単に締まった。


九子は3日ほど前に母屋の水道が凍り、水が出なくなったのを直してくれた水道やさんを呼ぼうとした。
その時九子は考えた。
「いや、待てよ!蛇口が全開になっていて水が出たのは理屈上至極当たり前のことだ。水道やさんが来てくれたって、水も普通に出るし、今現在は止まっている訳だから、してもらうことは何も無い。来てもらうのだってタダじゃないんだから・・。」

そして話だけでも聞いてもらおうと水道やさんの会社に電話したら、恐ろしいことを言われた。

「あ~、そういう場合はねえ、お金は戻ってこない可能性が高いです。もしも水道管が漏れていて工事会社が修理したと言う証明があれば、漏れた分の水の代金は戻ってくるんですけどねえ・・。」

一週間後くらいに、メーターの検針の人が来てこう言った。

「すみません。水、どうされましたか?いつもよりかなり多いんですが・・。」

どうされましたなんて話じゃないわよ!と思いながら、九子は一部始終を話した。

「ああ、と言うことは、漏水ではないんですね。蛇口から出てるんですね。すると大変申し訳ないんですが、お客様にご負担していただく事になります。たぶん4万から5万くらいの金額になってしまうと思うのですが・・。」


九子は頭がくらくらした。
え~っ!だっていつも基本料金くらいしか使わないのに、その軽く10倍だ! 1、2万なら仕方ないと思えるけど、5万円なんて!!!
結局正式な請求金額は51000円位。


なんてったって九子が一番許せないもの、それは理不尽なことだ!
普段は温厚と思われてる九子が、満月の夜の狼男のごとく豹変する(^^;;のは、いつもそんな目に遭った時だ。

もしかしたら曽祖父、祖父、父と流れているはずの政治家の血筋なのか、躁病の無い軽症躁うつ病のせいなのか、単なるAB型の二面性なのか良くわからないが、九子はその時密かに長野市役所水道局営業課に乗り込んでいく計画を心の中で立てていた。

今となっては「妄想」に終わってしまった事になるが、確かにその時九子は、市役所で課長を呼び出し、これは不可抗力であり、漏水が知らない間に起こると同じように、九子が与(あずか)り知らない間に起きた事故なのだと主張し、誰がいったい普段は不要の蛇口を全開にするだろうか、全開にしてそのままその場を離れるだろうか?いや、あり得ない!

もしも誰かのいたずらで故意に蛇口、あるいは元栓を回した人間がいる場合であっても、こちらが負担しなければならないものなのか?等々

考え付くありとあらゆる可能性を駆使してなんとか相手を説得し、たぶん結局はこちらが払わなければならない場合であっても、きっといつでも市役所の奥のほうに居て書類にハンコを突いてるだけで外にも出ないような課長相手に一矢を報いるべく、九子はこう言ってるはずだった。

「あなたねえ、5万円稼ぐってどんなに大変かわかる?四月から消費税が8%になるけど、5万円って100万円売り上げてやっと出て来る金額よ!だからわからせてあげる。この場で5万円、現金であなたが立替えて!そうしたら、集金の度に集金の人に1万円ずつ返してあげる。2ヶ月に一度の集金なら10ヶ月で返せるわ。利息はマケといてよね。」

そして捨て台詞はこれだ。「九子家の女を甘く見ないでね。市長さんに聞いてごらん。彼が一番九子家の女の怖さを知ってるはずだから・・!」(何しろ市長夫人は九子のハトコで、九子一族の中で一番威勢のよい女性なのだから(^^;;)

仕上げは今日のこの日記。タイトルは「九子の武勇伝~長野市水道局営業課にもの申す~」になるはずだった!!(^^;;


オオ、怖ー!

ところが、実際にはそうはならなかった。

理由の一つは九子の健康問題。

幸か不幸か(今回はきっと幸なのだと思う。)、ここ一年ほどで顕在化した母譲りの甲状腺疾患で、症状は良くなっているのに急に腫れがひどくなり、精密検査を薦められてしまった。
精密検査すなわちガンの疑い。甲状腺のガンはほとんどが良性とわかってはいても、気持ちのいいものではない。

心配事が起こると途端に他のことなどどうでも良くなる九子のことだ。市役所に乗り込んでく話など、考えるだけでエネルギーの無駄使いという気がしてきた。「今そんな事に神経すり減らしてる時じゃないわ!」

でもお陰様で、専門医は「ああ、これは普通の腫れの範囲内。心配ありませんよ。」とあっさり言ってくれた。


元気になると、やっぱり気懸かりな市役所行き!(^^;;

まあ、その前に一度電話でもかけてみますか・・。


「必ず責任を取って下さる方に繋いでくださいね!」という九子の電話に取り継がれて出て来たのは、K課長だった。
声の印象は極めて穏やかで、誠実な感じ。

う~ん。実はこういう人が一番やりにくい!

相手が高飛車なほど、こちらも元気が出ると言うものなのだ。(^^;;

「一度うちに見に来て頂く訳には行きませんか?」という九子。まさか課長さんがこんな電話の一人一人んとこに出て来るはずが無いと思っていると、「わかりました!これから伺います!」
という返事。

えっ?来てくれちゃうの?あらまっ!じゃあ、九子が乗り込んでく必要がなくなっちゃうよ。(^^;;


果たして!玄関に顔を出したのはK課長と新人らしき白いマスクの彼。あら!二人も?
それに、K課長って、年の頃なら40前後。九子好みのイケメンじゃないの!((^^;;)


え~、まだお話は続くのですが、長くなりますので今回はこの辺で・・。


次回に続く


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