T教頭先生 [<学校の話、子供たちの話>]
かつて信大附属中学校に末娘のM子が入学するというので、親の面接というのを受けた。
信大附属小の生徒は、もちろんこれで落とされるはずなどなかったので、結構気楽に受けた。
九子が子だくさん(^^;というのを知ってるお母さんには、「毎年どんな質問されるの?」と良く尋ねられたが、そんなこと九子がいちいち覚えてるわけがない。(^^;
その面接をして下さったのが、T教頭先生だった。T教頭先生と聞いて、知ってるお母さんみんなに緊張が走った。
T教頭先生の印象は、以前から鮮烈だった。
ステージに上がられる前、皆に向かって深々とお辞儀をされる。
角度のある、でも媚びるところの全く無いすがすがしいお辞儀だ。
ステージに上がられる時も、国旗に向かって一度、校章に向かって一度、ゆっくりと念入りにお辞儀され、演壇で再び鋭いまなざしを向けながら、右に一度、左に一度正確な礼をされる。(心なしか、ついでにお辞儀されるビーナス嬢も嬉しそうだ。(^^;)
もし制服姿であったなら、実に立派な自衛官のような威厳あるT教頭先生の姿は、もうそれだけで見ている者みんなを圧倒する。
さぞや厳しい先生なんだろうと、みんな思ってしまうわけだ。
すでに面接を終えたお母さんから、どうやら中学校に兄姉がいる子は、おにいちゃんおねえちゃんの話が出るよという情報がもたらされた。
そうか!N子だったら、さぞや先生の受けは良いに違いない!ほっ!( ^-^)
前の先生の机で面接されるお母さんのまわりを、他のお母さんが部屋の壁伝いにぐるっと取り囲む形で、名簿順に面接が進む。
九子の番がめぐってきた。
ゴクリ!これは九子が生つばを呑み込む音。(^^;
「おにいちゃん、どうしてます?N高校行ったおにいちゃん・・・。」
(くどい様だがN高校とは、次男Sが落ちた長野の名門N高校ではない。)
「ハア~?Yですか?元気に行ってますが・・・。」
「いやあ、彼は良い学校を選びましたねえ。おかあさん、ご存知ですか?あそこから国立Y大学の工学部へも推薦で行けるって話を・・・。」
「はい、聞いてます、彼は理系向きではないので無理ですが、でも先生、附属中で240人中230番だった彼が、N高行ったら90人中30番と聞いて、驚きました。世の中広いんだなって・・・・・。」
(後から考えたら、何もみんなに聞こえる所で順位まで言う事無かったのに・・・と思ったが、後の祭りであった。(^^;)
「そうですよ、このまま頑張れば推薦で好きな大学行けますよ。彼は良い趣味を持ってるし、得意な方を伸ばしてあげたらいいんじゃないですか?」
ええっ?先生ったら、Yがほとんど日本中の鉄道を乗りついで、一人旅して歩いてる話まで知ってるんだあ。
そういえば、Yの高校の家庭訪問で(高校で家庭訪問があるってんで、九子はびっくりしたものだ。)担任の先生からこんな話を聞いていた。
「いつも夏休みに各中学校をまわって、今年はどんな子が来るか様子を見に行くのですが、その時先生から『今年は良い子が行きますよ。』と言われていたんですよ。Y君はその通りのお子さんで、喜んでいます。」( ^-^)
皆さん、ここで喜んでいては九子と同レベルである。(^^;
N高校へは、いつも附属中で箸にも棒にもかからない子供だけが行くのである。
例年は、知能は高いのかもしれないが、素行が悪くて手に負えない奴らが行っていたのが、今年は、素行こそ悪くないが、点数の悪さにおいては箸にも棒にもかからないYが行ったというだけの話である。
そうかあ、T教頭先生がそんな事言って下さったんだあ。嬉しいなあ。( ^-^)
・・・・・そんな訳で、可哀想にM子のMの字も出ずに、面接が終わった。
いや、考えるにそれはM子に取っては却って好都合かもしれなかった。(^^;
帰ってから早速Yに聞いた。
「今日さあ、M子の面接の時、T教頭先生ったら君の話ばっかりだったんだけど、どうしてT先生と仲良くなったわけ~?」
「ああ、なんだったかなあ。そうだ!オレ、ガラス割ったんだ。それで教頭室へ呼ばれて・・・・。」(^^;
M氏がいみじくも言っていた。
「先生の記憶に残る生徒ってのは、えっらい出来るヤツか、とことん出来ないヤツ、それとうんと手のかかったヤツかそのどれかで、中間はないんだってさ。」
なるほど!(^^;
ところで、子供達の口から話されるT教頭先生像は意外であった。
「今日、教頭先生に声かけられたんだよ。『背が大きくなりましたね。』って。びっくりしちゃった。ってことは、N子のこと前から知ってたのかなあ。」
「教頭先生って、良く一人で掃除してるんだよ。掃除が好きみたいだよ。今日もやってた。」
Yの卒業式後の謝恩会で、T教頭先生の人気がいかに高いかを目の当たりにした。
お母さん方が先生にお酌をしようと長蛇の列であった。
T教頭先生は、一人一人のお母さんに学校での息子や娘の様子をつぶさに話されていた。
教頭先生なのに、教科を担任している訳じゃないのに、どうしてこんなに一人一人を良くご存知なんだろう。きっと子供たち一人一人を、自分のかけがえの無い生徒として本当に良く見ていて下さるに違いない。
こんな凄い先生が、まだ信州にはいるんだぞ!( ^-^)
もうすぐN子の卒業式がやってくる。
T教頭先生のところへお酌に行けば、きっとN子の話題で盛りあがる。
M子のことは、T先生の事だから、気の毒がって触れようとなさらないかもしれない。(^^;
だけど人間誰しも、怖いもの見たさという感情があるのだ。
T教頭先生の心眼にM子がどう映っているのか、少々伺ってみたいような気もしてくる。(^^;
信大附属小の生徒は、もちろんこれで落とされるはずなどなかったので、結構気楽に受けた。
九子が子だくさん(^^;というのを知ってるお母さんには、「毎年どんな質問されるの?」と良く尋ねられたが、そんなこと九子がいちいち覚えてるわけがない。(^^;
その面接をして下さったのが、T教頭先生だった。T教頭先生と聞いて、知ってるお母さんみんなに緊張が走った。
T教頭先生の印象は、以前から鮮烈だった。
ステージに上がられる前、皆に向かって深々とお辞儀をされる。
角度のある、でも媚びるところの全く無いすがすがしいお辞儀だ。
ステージに上がられる時も、国旗に向かって一度、校章に向かって一度、ゆっくりと念入りにお辞儀され、演壇で再び鋭いまなざしを向けながら、右に一度、左に一度正確な礼をされる。(心なしか、ついでにお辞儀されるビーナス嬢も嬉しそうだ。(^^;)
もし制服姿であったなら、実に立派な自衛官のような威厳あるT教頭先生の姿は、もうそれだけで見ている者みんなを圧倒する。
さぞや厳しい先生なんだろうと、みんな思ってしまうわけだ。
すでに面接を終えたお母さんから、どうやら中学校に兄姉がいる子は、おにいちゃんおねえちゃんの話が出るよという情報がもたらされた。
そうか!N子だったら、さぞや先生の受けは良いに違いない!ほっ!( ^-^)
前の先生の机で面接されるお母さんのまわりを、他のお母さんが部屋の壁伝いにぐるっと取り囲む形で、名簿順に面接が進む。
九子の番がめぐってきた。
ゴクリ!これは九子が生つばを呑み込む音。(^^;
「おにいちゃん、どうしてます?N高校行ったおにいちゃん・・・。」
(くどい様だがN高校とは、次男Sが落ちた長野の名門N高校ではない。)
「ハア~?Yですか?元気に行ってますが・・・。」
「いやあ、彼は良い学校を選びましたねえ。おかあさん、ご存知ですか?あそこから国立Y大学の工学部へも推薦で行けるって話を・・・。」
「はい、聞いてます、彼は理系向きではないので無理ですが、でも先生、附属中で240人中230番だった彼が、N高行ったら90人中30番と聞いて、驚きました。世の中広いんだなって・・・・・。」
(後から考えたら、何もみんなに聞こえる所で順位まで言う事無かったのに・・・と思ったが、後の祭りであった。(^^;)
「そうですよ、このまま頑張れば推薦で好きな大学行けますよ。彼は良い趣味を持ってるし、得意な方を伸ばしてあげたらいいんじゃないですか?」
ええっ?先生ったら、Yがほとんど日本中の鉄道を乗りついで、一人旅して歩いてる話まで知ってるんだあ。
そういえば、Yの高校の家庭訪問で(高校で家庭訪問があるってんで、九子はびっくりしたものだ。)担任の先生からこんな話を聞いていた。
「いつも夏休みに各中学校をまわって、今年はどんな子が来るか様子を見に行くのですが、その時先生から『今年は良い子が行きますよ。』と言われていたんですよ。Y君はその通りのお子さんで、喜んでいます。」( ^-^)
皆さん、ここで喜んでいては九子と同レベルである。(^^;
N高校へは、いつも附属中で箸にも棒にもかからない子供だけが行くのである。
例年は、知能は高いのかもしれないが、素行が悪くて手に負えない奴らが行っていたのが、今年は、素行こそ悪くないが、点数の悪さにおいては箸にも棒にもかからないYが行ったというだけの話である。
そうかあ、T教頭先生がそんな事言って下さったんだあ。嬉しいなあ。( ^-^)
・・・・・そんな訳で、可哀想にM子のMの字も出ずに、面接が終わった。
いや、考えるにそれはM子に取っては却って好都合かもしれなかった。(^^;
帰ってから早速Yに聞いた。
「今日さあ、M子の面接の時、T教頭先生ったら君の話ばっかりだったんだけど、どうしてT先生と仲良くなったわけ~?」
「ああ、なんだったかなあ。そうだ!オレ、ガラス割ったんだ。それで教頭室へ呼ばれて・・・・。」(^^;
M氏がいみじくも言っていた。
「先生の記憶に残る生徒ってのは、えっらい出来るヤツか、とことん出来ないヤツ、それとうんと手のかかったヤツかそのどれかで、中間はないんだってさ。」
なるほど!(^^;
ところで、子供達の口から話されるT教頭先生像は意外であった。
「今日、教頭先生に声かけられたんだよ。『背が大きくなりましたね。』って。びっくりしちゃった。ってことは、N子のこと前から知ってたのかなあ。」
「教頭先生って、良く一人で掃除してるんだよ。掃除が好きみたいだよ。今日もやってた。」
Yの卒業式後の謝恩会で、T教頭先生の人気がいかに高いかを目の当たりにした。
お母さん方が先生にお酌をしようと長蛇の列であった。
T教頭先生は、一人一人のお母さんに学校での息子や娘の様子をつぶさに話されていた。
教頭先生なのに、教科を担任している訳じゃないのに、どうしてこんなに一人一人を良くご存知なんだろう。きっと子供たち一人一人を、自分のかけがえの無い生徒として本当に良く見ていて下さるに違いない。
こんな凄い先生が、まだ信州にはいるんだぞ!( ^-^)
もうすぐN子の卒業式がやってくる。
T教頭先生のところへお酌に行けば、きっとN子の話題で盛りあがる。
M子のことは、T先生の事だから、気の毒がって触れようとなさらないかもしれない。(^^;
だけど人間誰しも、怖いもの見たさという感情があるのだ。
T教頭先生の心眼にM子がどう映っているのか、少々伺ってみたいような気もしてくる。(^^;
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