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サマランチさんの通訳氏 [<学校の話、子供たちの話>]

M子が、公文を止めた。一月のことだ。
もともと家のはす向かいの、そうKOさんの奥さんであるF先生が開いていた公文教室に、4年生だったN子が通い始めた時、何でもお姉ちゃんのまねをしたがるM子も一緒に始めた。

ちなみに上3人の男の子は、誘われたが長続きしなかった。
公文は勉強の習慣をつけさせることが第一の関門である。
それには親の努力が不可欠であったと痛感した。
親の努力の足りない我が家では、とうてい進歩は望めないはずであった。(^^;

しかしN子は違った。もともと友達に誘われて通いだした教室である。親のフォローなど全く無しに、自ら進んで宿題をした。

さすが、我が娘!
一体誰に似たんだろ~。(^^;

M子がつられて今まで続いていたのが、まあ不思議みたいなもんだ。
こっちの方は、誰に似たのか良くわかる。(^^;

とにかくM子に、新しい塾を探さなければならない。
M子のやつ、プライドだけは人一倍で、バカにだけはなりたくないと、塾だけは行きたがる。(なら止めなきゃいいのに・・。(^^;)

テレビのゴールデンタイムの狭間に行けて、小人数制、できれば個別学習で、近まにあって、先生が厳しくなくて、小学生がピ一チクパーチクうるさく無いところ・・・・なんていう条件をクリアするところがそんじょそこらにあろうはずがない。

ところが!その学校からダイレクトメールが届いたのである。
それは九子には懐かしい名前だった。

思えば8年前、長男Rを始めて塾に入れる時、M学習室というのが近くに出来ましたからと、当時の室長だったFさんがやって来て、一時間もかけて丁寧に説明をされた。

半分そこに決めかけたが、当時先生をしていた義兄が、地元の有名塾の方が信用おけるよと言うので、ほとんどキャンセルするような形で地元塾に決めた。

そんな訳で、そのダイレクトメールには因縁めいたものを感じていた。

中を開いてみると、びっしりと細かい字で埋め尽くされた中に、現室長の紹介として「冬季長野五輪IOCサマランチ会長通訳」という一文があった。
面白いぞ!と九子は思った。

早速電話してみた。
後から思うと、電話に出たのが現室長K先生のようだった。

「ああ、お子さん附属中学校ですか。それで小学校は?あ~あ、附属小から・・・・。なるほど、わかります。お困りでしょう。(^^; じゃあ今度、お母様と体験学習に来てください。前回のテスト結果を持って・・・。」

最後の一言はM子をぎょっとさせたが、とにかく親子で一緒に出かけた。

看板も何も無いそっけないビルの2階の一室。長方形の折りたたみ机が20個ほどただ並んでいる部屋に、先生とおぼしき学生さんっぽい人々が6~7人と、生徒が10数名。

しきりも何も無い部屋の中だから、隣の机の声が届いてがやがやした雰囲気だ。

何でも大学受験生まで教えている塾だから、試験追い込みの昨今、忙しくて忙しくて先生が二人ダウンしてしまい、連絡不行き届きでM子の予約が忘れ去られていたらしい。

それでも室長は(一目でそれとわかったのは、彼だけが他の先生より明らかに年かさだったからだ。もっとも九子より年上と思っていたのに、6歳も年下とわかった時は唖然としたが・・・(^^;)、一人の先生をM子に紹介し、九子は少々待たされた後話を聞いた。

一通り話を終えた後、九子は思いきって聞いてみた。
「先生は、冬季五輪の時サマランチさんの通訳をなさったそうですね。」

「はい、そうですよ。いやあ、イヤなじいさんでした。二度とやりたくないです。もっと嫌だったのは、奥さんの方でしたが・・・。」
(サマランチ氏がこの日記を読む可能性はほぼ100%無いと判断してこの日記を書いている。(^^;)

何でもK先生はイギリス生活が長く、向こうでビジネスをしていらしたと言うことだ。

彼はもともと英検1級と国連英語検定1級を持ち、(これだけでも充分凄い!英検1級は一年間に百数十人しか受からないはずだし、国連検定の方はもっと難しい!)その後、英語好きなら誰でも憧れる松本道弘先生の塾生となり、なんと!一ヶ月間先生と二人だけで日本語一切禁止の生活をしたそうだ。

「一応資格あるわけだから、自信持って入ったわけですよ。そしたら最初に言われたことが『君はインプットが足りない!』 

それで、先生の特別指導になって・・・。いやあ、苦労しましたよ。一番何が嫌だったって、頭に二本角みたいに懐中電灯つけて、シナリオ持って映画館へ入るの。入る時は『お願いします~。』出る時は『有難うございました~。』って叫んでね。いやあ、恥ずかしかった。

それで、映画は一切見ずに、とにかく耳から聞き取った事だけをシナリオに書き取っていく。その訓練を、これでもかこれでもかと毎日繰り返す。いやあ、参りましたよ。」

そしてK先生の得た結論は・・・・・。
英語を話そうとするのは、最後でよい。
まずは英語の情報を耳から目から浴びるように入れ続ける。
出すこと、つまり話すことはその後に自然に付いてくるものである。

ふん、ふん。好きな英語の事だから、九子は聞き耳を立てて聞いている。
なるほど!インプットか!インプットね。

そのうち1時間半が過ぎてM子が戻ってくる。

「どうでしたか?先生の説明わかったかなあ?」
「いえ、難しすぎて・・・。」
「そうか。実は今の先生普段高校生教えてるんだよ。君を教える事になってた先生、休みなんだよ。悪かったね。ところで君は、将来何がやりたいの?どんな高校ねらってるのかな?」
「別に~。楽に行ける高校行って、たとえばN高校とかあ。それで、短大でも行って、アリバイトやりたい。フリーターでもいいかなあ。」

先生の顔色が変わった。
「君ね、そんなこと考えてるなら、別に勉強する必要ないじゃない。中途半端に勉強するのはお金の無駄だからよしなさい。うちは、やる気のある生徒しか入れないんだから・・・。決心するのは今だよ。勉強やらなきゃやらないでもいいけど、1年後きっと後悔するからね。」

九子はハラハラした。M子が今にもキレルんじゃないかって。
でも、あいつは普通にしていた。
大人になったなあ。(とんだ親バカである。(^^;)

あちらも言い過ぎたと思ってか、「今日は中学生の先生お休みだったから、もう一度来てもいいんだよ。」とか何とか、精一杯のフォローに努める。

帰り道、M子からさんざん悪口を聞かされた。
いわく、いかに室長の脂ぎった顔がキモかったか。
いかに、先生の説明が下手だったか。
いかに部屋の空気が悪くて吐き気を催しそうだったか・・・。

あ~あ、また塾探しが振り出しに戻った。
でもインプットの話、役に立ったなあ。
良し!明日から例の英語週刊誌また読み始めるぞ~。


その後、英語週刊誌は一行も読まれていない。(^^;
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