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パフェの話 [<学校の話、子供たちの話>]

可哀想に、N子とM子は物心つくまでパフェというものに縁がなかった。

当然の事ながら男の子達などは、そんなものは食べるはずがないという親の思いこみの犠牲になっていた。

ファミレスに行くたびに「パフェって生まれてから一度も食べたことないよね。食べてみたいよね。」と言われるのは、あんまり格好の良いものではない。
その度に、「だってパフェ食べるお金で、ハンバーグ食べられるじゃない。もったいない!」と言うのも、もっと情けない。(^^;

友だちというのは有り難いもので、N子のパフェ初体験は、友人と一緒に行った喫茶店でだったらしい。そこではパフェの他、厚切りバタートーストに輪切りバナナを乗せ、生クリームとチョコレートシロップで飾ったものを500円位で出してくれるそうだ。かなりのボリュームだから、二人で分けてもOKだとか・・。

しっかり者の九子は(^^;、即、そのレシピを盗んで、日曜日の朝などに食卓にのせている。
4枚切りの厚切りパンを買ってきて、最初から大きさを二つに分けて二人分にする。
バターならぬバター風味マーガリンを、ケチな九子にしてはたっぷり・・・・。
この時点ですでに味がビミョーに違うわけだ。(^^;

トーストがこんがり狐いろになった頃、取出してバナナと生クリームとチョコレートクリームをのっける。
(あっ、ここはケチらず本物生クリームを使ってます。値段優先ではなく、味優先で行く数少ない例(^^;)

そういえば、このこんがり狐いろというのも、九子の場合微妙に仕上がりに差が生じる。
半生焼けの柴犬色(?)から、焦げつき過ぎの真っ黒色まで、千差万別の仕上がりだ。(^^;

でも一番の違いは、家で作ると生クリームがすぐに溶けてしまうこと。お店のは、あったかくてもだら~んと溶けずに、しっかり形が残ってのってるそうなのだ。

う~ん、そのあたりの企業秘密、教えて欲しいなあ。( ^-^)


N子はその時、パフェの上にのっかっていたバナナを食べるべく、右手に持っていたそうである。

九子には、言葉どおり彼女が右手に直接バナナの切り身?切片?、とにかく半分に切ったヤツを掴んで持っている光景が浮かんでくる。(一本まるごとじゃなくて、まだ良かったね(^^;)

彼女の場合、フォークをしなやかに使っている場面は、どうも想像しにくい。

ここは毎週土曜日の夜、T書店にレンタルCDを借りに行く時いつも気になっていた喫茶店である。
長野には不似合いなほど規模も大きく、中世の西洋のお城をイメージさせる洒落た作りの店である。

上記の理由で、いつもパフェというものに思い入れの強いN子は、ここでもパフェを頼んだ。いや、正確に言えば、パフェが食べたくてこの店に来たのである。

その時、店員さんが来て「あのうお客様、先ほどお客様のパフェに失礼がありましたので、新しいのをお持ちしました。」と言ったそうである。

失礼というのは、こういう事だったそうだ。パフェを持ってきた店員さんの指がわずかパフェにふれたのだそうだ。
えっ?それで丸ごとひとつ取りかえるの?それは結局捨てられるわけでしょ。もったいな~い! 

とっさに彼女はこう聞いたそうだ。
「あの、バナナ持ってるんですが・・・。(わざわざ言わなくても見りゃわかるだろうが・・・。)
これ、どうすればいいんでしょうか?」(おいおい、そんなこと聞くなって。(^^;)

それだけでも充分恥ずかしいのに、彼女はさらに言葉を続けた。
「これやっぱり、返した方がいいですかねえ。」

店員さんはこう言ったそうだ。
「いいえ、けっこうです。」

そりゃあ、そうだろう。
それにこの時の「けっこう」は、「いいですよ。」って優しい意味じゃなく、「誰が要るかい・・・!」って冷たい意味だったような気がする。(^^;

でも考えてみると、九子は3歳頃もうおじいちゃんに連れられて、その頃目新しかったデパートの食堂で(古い!)チョコレートパフェを食べさせてもらっていた。

いや、九子の記憶力がそんなに良いわけではない。
写真が残っているのである。
(おお、それにしても可愛かった九子ちゃん。( ^-^))

それに引換え、気の毒な我が家の子供たちよ。
よわい13歳になるまでパフェにご縁がなかったとは・・・。

子供たちの誰もが「(自分の)子供はたくさん要らない。」と言う。

うん十年前子供であった九子すら、3歳で食べたチョコレートパフェを、13歳になって始めて食べられる彼らである。

これひとつをとっても、彼らの、兄妹の多い不満が充分わかる気がする九子であった。(^^;
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