とんでもない話…後編 [<介護生活、そして父母の事>]
月曜日どころか、木曜日にラガーマンはノコノコ現れた。
「お待たせしました。今日はいよいよ株券を引き取らせてもらいます。このあいだ目録だけ作って見たのですが、時価でまるまる円くらいですねえ。」
まるまる円!なんと!M氏の借金の総額と同じ位・・・・・。
ひょっえ~!!(^^;
九子はおもむろに金庫を開けた。
「えっ!何これ!いつの間にこんなにきれいになってるの?!!」
株券の束があった場所には、見なれない箱が二つあり、母の字で「古い目薬資料」「コイン」と書かれてあった。
「肝腎の株券の束はいったいどこなのよ!!」
むろん九子は、金庫の中をくまなく探した。
確かに袋に入れてあったのよね。ほら、ここんんとこへ・・・。
すぐさま九子は母に尋ねた。「ねえ、ママ!株券の束どこへやったの?」
「えっ?そんなの知らないよ。株券なんてどこに入ってたの?」
「金庫だよ、金庫。きれいに整理したのママでしょ!!」
ことの重大さをやっと理解した出来すぎ母は、九子があとで探すように取っておいたごみ袋をひっくり返して探している。
そんなとこに入ってる訳ないと思うけど・・・。まあだめもとで探してみてよね。
10分近くああでもないこうでもないと二人で探した後、思い余って九子はラガーマンにこう切りだす。
「ねえAさん、とんでもない事がおこっちゃったの。株券がごっそり無いの。母がごみと一緒に捨てちゃったらしいの・・。株券って無くしちゃうとそれっきりになっちゃうの?どこかで、誰が持ってたって証明とかしてくれないの?」
ああ、その時のラガーマンの声!!
九子にゃあ、天使に聞こえたよ。
「いえ、大丈夫です。たぶん信託銀行が証明してくれるはずですから・・・。」
ほっと胸をなでおろすと言うか、その時の九子は胸をなでおろすどころではない。
胸をなでおろし過ぎて、やがて胸がえぐれた・・・・・みたいな。
(^^;(^^;
とにかく一応もう一度探してみると言ってラガーマンを帰したのだが、当人たちは探す気など毛頭失せている。
あるわきゃないっしょ。ごみに出しちゃったんだもの。
再発行してくれるなら、そうしてもらえばいいんだから・・・。( ^-^)
それにしても耳に残る母のあの言葉・・・。
「株券なんて、なくしたらそれっきりよ。あってナンボのものだもの。
二足三文どころか、再発行なんかどこでも出来やしないわよ。」
・・そう思ってたんだったら、もっと注意深く扱って欲しかったよね。(^^;
それにしても出来すぎ母の立ち直りの早さときたら、勲章もんだった。
青い顔してごみ袋あさって、無い無いどうしよう!って騒いでからわずか30分後には、話題は今のフライパンの話になっていた。
「今のフライパンってさあ、黒くこげないように出来ているのかねえ。」
さっきの今でしょ。九子ならもっと済まなそうな顔してるとこだよ。
いや、一晩くらいは、株券無くしたショックから立ち直れずにいる、きっと。
さすが出来すぎ母!九子は言ってやりたかった。
「出来すぎ母ってさあ、絶対落ちこまないように出来ているのかねえ。」(^^;
まあ何はともあれ、やれやれだ。
株券は再発行してもらえるのだから・・・。( ^-^)
夕食の後、ほっと一息つく九子。
目の前に、さっき母がひっくり返して株券を探したごみ袋が二つ。
いっけな~い。明日はごみの日。
今日中身を確かめなくちゃ、無形大師のハガキやらなんやらが、株券と運命を共にしてしまう!
うん!良かったね。やっぱ探してみるもんだ。
これはおばあちゃんの書いた古いハガキでしょ。
あっ、これは昔の選挙の陣中見舞いの控え。
おじいちゃんの頃のかなあ?
5円とか10円とか、そういう時代だったんだねえ。
えっ?何?何?
これってなんかの権利書って書いてある!大事なもんじゃないのかな?
そしてごみの中からどさっと勢い良く落ちてきた見覚えのある袋!
あっ、あったあ!!株券の束だよ~。うっそ~!信じられない!
だってさあ、ここ、さっき出来すぎ母がひっくり返して探してたところだよ。
もっとも捨てる時だってわかんなかったんだから、拾う時わかんないのも無理無いのかも・・・。
仏教徒九子は、思わず仏に祈った。
「仏様 ! 無形大師の手紙を探すために収集に出さずに取っておいたごみ袋の中から、なんと!我が家の大事な株券が出て参りました。そうでなければ、今ごろごみ処理場の中で灰になっているところでありました。
これぞまさしく、仏様のご加護でございます。はっは~あ。(ひれ伏すさま)(^^;」
普通の人が「ラッキー!」と思うときに、「仏様に守って頂いた。」と思うくらいが関の山の情けない仏教徒の九子であるが、今回は、というか、今回もと言うか、とにかく我が強運には舌を巻いた。
本来なら、おとといの火曜日の朝にはゴミトラックに積まれてしまっていたはずのゴミ袋。
成り行きが成り行きゆえに、今度こそ本当に、無形大師が直接九子を助けてくださったと思うのだった。
お空の上では、無形大師が祖父16代笠原十兵衛と何やらひそひそ話をしている。
(無形大師)「やれやれ、あなたには随分世話になりましたから、お孫さんが入門された時には、こりゃあひとつ守ってやらなきゃなるまいと心に決めておりましたが、それにしても世話の焼ける家族ですなあ。私もだんだん胃が痛くなって参りましたわい。」
(祖父十兵衛)「まあそんなことおっしゃらず、ここはひとつ、我が家の善光寺百草丸でも飲んで、これからもよろしくお願い申し上げます。」
大本山活禅寺(←ここ)の開祖に、「善光寺百草丸」を薦めるというのも、いかがなものか・・。(^^;
まっ、仏様は寛大だから、ぜ~んぜん問題ありませんって。( ^-^)
「お待たせしました。今日はいよいよ株券を引き取らせてもらいます。このあいだ目録だけ作って見たのですが、時価でまるまる円くらいですねえ。」
まるまる円!なんと!M氏の借金の総額と同じ位・・・・・。
ひょっえ~!!(^^;
九子はおもむろに金庫を開けた。
「えっ!何これ!いつの間にこんなにきれいになってるの?!!」
株券の束があった場所には、見なれない箱が二つあり、母の字で「古い目薬資料」「コイン」と書かれてあった。
「肝腎の株券の束はいったいどこなのよ!!」
むろん九子は、金庫の中をくまなく探した。
確かに袋に入れてあったのよね。ほら、ここんんとこへ・・・。
すぐさま九子は母に尋ねた。「ねえ、ママ!株券の束どこへやったの?」
「えっ?そんなの知らないよ。株券なんてどこに入ってたの?」
「金庫だよ、金庫。きれいに整理したのママでしょ!!」
ことの重大さをやっと理解した出来すぎ母は、九子があとで探すように取っておいたごみ袋をひっくり返して探している。
そんなとこに入ってる訳ないと思うけど・・・。まあだめもとで探してみてよね。
10分近くああでもないこうでもないと二人で探した後、思い余って九子はラガーマンにこう切りだす。
「ねえAさん、とんでもない事がおこっちゃったの。株券がごっそり無いの。母がごみと一緒に捨てちゃったらしいの・・。株券って無くしちゃうとそれっきりになっちゃうの?どこかで、誰が持ってたって証明とかしてくれないの?」
ああ、その時のラガーマンの声!!
九子にゃあ、天使に聞こえたよ。
「いえ、大丈夫です。たぶん信託銀行が証明してくれるはずですから・・・。」
ほっと胸をなでおろすと言うか、その時の九子は胸をなでおろすどころではない。
胸をなでおろし過ぎて、やがて胸がえぐれた・・・・・みたいな。
(^^;(^^;
とにかく一応もう一度探してみると言ってラガーマンを帰したのだが、当人たちは探す気など毛頭失せている。
あるわきゃないっしょ。ごみに出しちゃったんだもの。
再発行してくれるなら、そうしてもらえばいいんだから・・・。( ^-^)
それにしても耳に残る母のあの言葉・・・。
「株券なんて、なくしたらそれっきりよ。あってナンボのものだもの。
二足三文どころか、再発行なんかどこでも出来やしないわよ。」
・・そう思ってたんだったら、もっと注意深く扱って欲しかったよね。(^^;
それにしても出来すぎ母の立ち直りの早さときたら、勲章もんだった。
青い顔してごみ袋あさって、無い無いどうしよう!って騒いでからわずか30分後には、話題は今のフライパンの話になっていた。
「今のフライパンってさあ、黒くこげないように出来ているのかねえ。」
さっきの今でしょ。九子ならもっと済まなそうな顔してるとこだよ。
いや、一晩くらいは、株券無くしたショックから立ち直れずにいる、きっと。
さすが出来すぎ母!九子は言ってやりたかった。
「出来すぎ母ってさあ、絶対落ちこまないように出来ているのかねえ。」(^^;
まあ何はともあれ、やれやれだ。
株券は再発行してもらえるのだから・・・。( ^-^)
夕食の後、ほっと一息つく九子。
目の前に、さっき母がひっくり返して株券を探したごみ袋が二つ。
いっけな~い。明日はごみの日。
今日中身を確かめなくちゃ、無形大師のハガキやらなんやらが、株券と運命を共にしてしまう!
うん!良かったね。やっぱ探してみるもんだ。
これはおばあちゃんの書いた古いハガキでしょ。
あっ、これは昔の選挙の陣中見舞いの控え。
おじいちゃんの頃のかなあ?
5円とか10円とか、そういう時代だったんだねえ。
えっ?何?何?
これってなんかの権利書って書いてある!大事なもんじゃないのかな?
そしてごみの中からどさっと勢い良く落ちてきた見覚えのある袋!
あっ、あったあ!!株券の束だよ~。うっそ~!信じられない!
だってさあ、ここ、さっき出来すぎ母がひっくり返して探してたところだよ。
もっとも捨てる時だってわかんなかったんだから、拾う時わかんないのも無理無いのかも・・・。
仏教徒九子は、思わず仏に祈った。
「仏様 ! 無形大師の手紙を探すために収集に出さずに取っておいたごみ袋の中から、なんと!我が家の大事な株券が出て参りました。そうでなければ、今ごろごみ処理場の中で灰になっているところでありました。
これぞまさしく、仏様のご加護でございます。はっは~あ。(ひれ伏すさま)(^^;」
普通の人が「ラッキー!」と思うときに、「仏様に守って頂いた。」と思うくらいが関の山の情けない仏教徒の九子であるが、今回は、というか、今回もと言うか、とにかく我が強運には舌を巻いた。
本来なら、おとといの火曜日の朝にはゴミトラックに積まれてしまっていたはずのゴミ袋。
成り行きが成り行きゆえに、今度こそ本当に、無形大師が直接九子を助けてくださったと思うのだった。
お空の上では、無形大師が祖父16代笠原十兵衛と何やらひそひそ話をしている。
(無形大師)「やれやれ、あなたには随分世話になりましたから、お孫さんが入門された時には、こりゃあひとつ守ってやらなきゃなるまいと心に決めておりましたが、それにしても世話の焼ける家族ですなあ。私もだんだん胃が痛くなって参りましたわい。」
(祖父十兵衛)「まあそんなことおっしゃらず、ここはひとつ、我が家の善光寺百草丸でも飲んで、これからもよろしくお願い申し上げます。」
大本山活禅寺(←ここ)の開祖に、「善光寺百草丸」を薦めるというのも、いかがなものか・・。(^^;
まっ、仏様は寛大だから、ぜ~んぜん問題ありませんって。( ^-^)
タグ:株券
[ほっとしました~(^o^)]
よかったですね~株券みつかって。他人事ながらホントホッとしました。
私ならショックでそのまま寝込んで、逆にみつからなかったかも…。
by よぽぽ (2004-11-19 23:40)
[よぽぽさん、有難う!( ^-^)]
はい。
さすがの私も、一時はどうなる事かと思いましたが・・。
老人は恐るべしであります。
よぽぽさんもあと10年くらいしたら、ご両親様がなさる事に注意しとかないと大変なことになるかも・・・。
まあ、でも、自分のことは基本的に自分でやってくれるし、手がかからない分有り難いです。
親はいつまでも同じように若いと思い込んじゃいますが、そうじゃないんだって事を思い知らせてもらいました。(^^;
by 九子 (2004-11-20 23:40)
[こういうことってあるかもね。]
うちの実家の母は、しっかりしているので、こういう風に
物を捨てると言うことになったときはかなり危ない状態か
もしれません。(まず物は捨てません)
今同居中の夫の義父母はこういうことありますね。
先日も夫に保険証書を預かってくれって、持ってきました。
ちょうど私が留守中だったのですが、あとで、私にも
聞いたかねって言ってきました。
なんでも、保険の保証書を持っていて、お葬式代にして
くれって。私たちはいつどこへおいたかわからなくなる
かもしれないからって。
聞いて欲しいことは聞かずにやっちゃうし、聞かなくても
いいことをくどくどと聞いてきたり、年代の違いとか
価値観て違うものですよね。
私たちが捨ててたものを探し出して、着ていたり、使って
いることもありますよ。
そうそう、親はいつまでも若いわけじゃないですね。
by チョッコ (2004-11-22 17:17)
[チョッコさん!]
うん。母は、やっぱり5年前の大病の手術以降、年とったなあと感じます。それまでは、年より10歳は若い感じだったし、体力もあったしね・・。
いずれにせよ70代も後半になると、どっかどっか老いが目立ちますよね。仕方ないんだわ。きっと。
チョッコさんは立派なお嫁さんなんですね。同居で暮らしていらっしゃると聞くだけで、尊敬しちゃうもの。
でも子ども達のためには、年よりの姿を見せてやることも大事かもしれません。
少し前の両親は、二人とも私より体力あって、どっちが年より・・(^^;みたいな感じて、労わるなんて言う言葉自体に無理がある気がしましたが、年相応になってくると、子ども達もそれなりに気を遣うようになったみたいです。
by 九子 (2004-11-23 23:40)