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負け犬の遠吠え [<九子の読書ドラマ映画音楽日記>]

負け犬の遠吠えという言葉が、ちまたに氾濫している。
負け犬というのは、30代の、結婚を夢見ながらまだ未婚の女性の事だと言う。

そしてこのほど、その負け犬の女王と言われていた女優のSさんが、財閥の御曹司と結ばれて、彼女はセレブの仲間入りだそうである。
(まあ彼女の場合、もともとセレブ(cereblity=有名人)であったわけだから、こういう言い方も変だが・・・。)

だけど、ちょっと待てよ!
Sさんって、本当に負け犬だったんだろうか?

天才子役と言われた子供時代から、その美貌は際立っていた。

大酒飲みで、時には暴言を吐いて、その挙句、華麗なる男性遍歴・・・。
確かに破天荒な生き方ではあるが、だからと言って、彼女が負け犬である証明にはならない。

むしろ好きなように生き、人生を謳歌しているように見える。

Sさんと言えば、昨年の24時間テレビの100キロマラソン。
毎年毎年、「えっ?あの人が?」という人々が選ばれて、強靭な精神力で完走する姿がテレビの前の観衆を釘付けにする。

ケロッとした顔で100キロを走り切り、笑顔でゴールするSさんの体力、精神力は人並みはずれていた。

そして、語録が本になるほどの頭の回転の良さ。

負け犬どころか、天は二物はおろか、三物も四物も彼女に与えていたのである。
そんな彼女がセレブの奥様になられても、なんら不思議は無いような気がする。

負け犬っていうのは、Sさん、あなたの事じゃあたぶんないのよ。
美貌っていうそれ一点のみを取っても、もうそれだけで充分人生の勝ち組だ。
悔しいけれど、それはそれは太古の昔から、この世の中の普遍的な事実なのだ。
(九子さん、そこんとこだけ、やけに力はいってません?(^^;)

第一、負け犬がそんなに簡単に勝ち組に変われる訳が無い。


・・・・・・・と、異論を唱え始めたら、酒井順子さんが書いた「負け犬の遠吠え」のさわり部分をネットで読めることがわかった。(扉絵下「立ち読み」からどちらかを選択。)

そして判ったことは、「負け犬」「勝ち犬」の定義であるが、負け犬とは「30代、未婚、子無し」女性と著者が勝手に定義したものであり、「勝ち犬」とはその対極にある「普通に結婚して、子供を生んでいる女性達」の事を指すのだという。

そして、負け犬になりやすいタイプというのがあって、それは、誰が見ても安全な道を選ぶより、面白さを求めて危険そうな道を選ぶタイプの女性だという。

なるほど!そうして見ると女優Sさんは定義にぴったりあてはまる訳ね。
( ^-^)

勝ち犬、負け犬というのは、片や専業主婦であり、片やOLであり、家庭か社会かどちらか一方の世界にしか住まない人という風にも定義づけられていて、共稼ぎ主婦のように、両方の世界を行き来している人は、どちらにも含まれないことになる。

そして勝ち犬と負け犬は、子供を生みだすか、経済力つまりお金を生みだすかにおいて決定的な差を生じ、高等生物である子供を生みだす専業主婦の方が「勝ち」、下品なお金しか生みださないOLの方は「負け」という論法になるらしい。


どちらにしても勝ち犬と負け犬は仲が悪くて悪口ばかりを言いあっているらしいのだが、お互いの価値観が違いすぎて同じ土俵で相撲が取れないのだそうだ。

だから敢えて彼女は「負け犬」を名乗り、弱い犬がそうするようにお腹を出して潔く負けを認める事により、少しでも生き易くなりたいというのが彼女独自の処世術であるらしい。

いわゆる適齢期で、初めての見合い相手と結婚した九子にはたぶん何事も語る資格はないのだろうが、女性に生まれて、子供を産むという経験をしないままで閉経期を迎えてしまうという事は、女性ならば誰でもが、宝の持ち腐れみたいで(^^;、やはり忸怩(じくじ)たる思いがあるだろうと言うのは想像に難くない。

ただし、一方でどうしても子供が出来ずに困っているご夫婦だってたくさんいらっしゃる。
そんなカップルを負け犬とは決して呼べないと思うから、子供のある無しはこの際定義からはずしてもいいのではないか?

それを敢えて「子無し」と定義したところに、美人で仕事が出来てバリバリのキャリアウーマンであっても、「負け」意識にさせられるほどの、生物学上のメスになれない、(いや、ならない)事に対する、著者のコンプレックスにも似た切ない思いが感じられる。

思えば戦後の社会で、女たちは強くなった。
男女平等はもはやスローガンではなく、男の職場へ女性達はどんどん進出し、その能力を思いきり発揮して来た。

女性がなれない職業なんて、今やお相撲さんくらいではないだろうか?

そうやって大活躍しているはずの女性達が、30代になると急に結婚したくなるのはなぜか?
20代の時はあんなに毛嫌いしていたはずなのに・・・。

もう、高齢出産の年齢制限に限りなく近づきつつあるからだろうか?
それにしても、勝ち取ったはずのキャリアを捨ててまで、そんなに勝ち犬つまり、専業主婦になりたいのか?

自称負け犬の彼女達がなりたいのが、勝ち犬ではなくて、会社も子育ても両立している一部のOLさん・・・・・というのならまだわかる。

それが、イギリス英語でmarriage upと言われるところの、玉の輿結婚を夢見るというのがよくわからない。

そんなに結婚がしたいのなら、独身の男性たちなど掃いて捨てるほどいるではないか?

ところがそんな男性たちは、彼女達がもっと若い頃、ばったばったとなぎ倒してきたはずの「難あり男」たちばかり・・・と言うことになるんだろうか?

そんなら、年下を探せばよい。

結婚において男性が年上でなくてはならないという古い社会の常識は、もはや通用しない。
あり余る包容力で年下亭主を包み込み、養っていけばそれでいいのではないか?

「結婚したい!」と思う時が適齢期。別にあせる話ではない。
とは言うものの、子供を産む事も視野に入れるとなると、確かに彼女達の焦りもわかる気がする。

負け犬は日本社会に大量発生してしまったそうである。そうなの?

もしかしたら、男社会の中でしゃにむに頑張ってきた彼女達が、ここへ来てにわかに疲れを見せ始めたって言う事?

頑張っても頑張っても男社会の壁に阻まれ、身動き取れなくなってるところへある日突然「頑張らなくてもいいよ!僕が養ってあげるから・・。」と言ってくれる男たちの分厚い大きな胸が欲しくなったと、そういう事なのかも知れない。

そうか。そう言う事なら辻褄(つじつま)が合う。

さあ、大変だ、男達よ!
負け犬ったってそんじょそこらの負け犬ではないぞ。花も実もあるキャリアウーマンだ。

さあ勇気ある男達よ、早く名乗り出よう。
そうやって、伸びる芽は早く摘んでしまえば、あなたの身は安泰だ。
うちの上司は僕の妻・・・なんて心配は皆無になる。
そして、安心して元通りの男社会に戻れるのだ。

ううっ。思えば1年前、九子は「ダメ薬剤師の遠吠え」という日記を書いて、男性薬剤師諸氏のヒンシュクを買った。(あえてリンクしないのが、トラウマの深さ・・・なあんちゃって。(^^;)

その舌の根も乾かぬうちに、こんどはキャリアウーマンの女性達から総スカンを食って恐れているアクセス数の大幅ダウンになりそうである。

お許し頂きたい。
あまのじゃくな九子は皮肉な書き方しか出来ないのである。

「そこまで高めたキャリアをみすみす棒に振るなんて、もったいないじゃないですか!」と、言いたい事はこの一言!

疲れたら、ちょっと休める場所があったらいい。
広い男の胸が恋しくなったら、しばらく休んでいるがいい。

だけど、ここまで頑張ってきたキャリアを捨て去ってしまうのは、社会にとっても貴女にとっても莫大な損失のはず。

負け犬から脱出しようなんて考えないで、少しだけ休憩してみよう。
貴女はきっと、今とても疲れているだけ。
明日になって、元気が出たら、また良い考えが浮かぶかもしれないから・・・。


ちなみに、余はいかにして負け犬になりし乎、負け犬発生の原因、負け犬の特徴、負け犬の処世術、負け犬と敗北、負け犬にならないための10カ条、、負け犬になってしまってからの10カ条、これが酒井順子著「負け犬の遠吠え」の目次のすべてである。

面白そうだね。読みたくなるね。
しかし、現在在庫切れで読めないのだそうです。
最初の7ページまでしか読まなかった本を九子が日記に書くのは、これが初めてです。(^^;
そのため、多大な行き違いがあるかも知れないことをお断りしておきます。
m(_ _)m

それにしても酒井順子さん、儲けたわねえ。( ^-^)

これであなたの負け犬脱出!、女優Sさんに次ぐセレブの玉の輿婚!は、時間の問題じゃあありませんか?(^^;

最後ですみませんが、アマゾンのページも覗いて見てください。負け犬の遠吠えの画像
↑絵をクリック。400人近い方の感想が載っています
これだけ読むと、本を買わなくてもいい気になっちゃうかも。(^^;
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MIYU

[面白い物を見つけました]
なんで「負け犬」を自認する女性が増えたのかが良く納得出来なかったり … で「見合い相手と結婚した」を此処で読んでそうか、と妙に納得しました。

「自分と同じ結婚望まぬ」 同居娘を持つ母親の55%
<a href="http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=GIF&PG=STORY&NGID=home&NWID=2005011801002945">http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=GIF&PG=STORY&NGID=home&NWID=2005011801002945</a>
の背中を見て育った娘達は、結婚をせずに年月をすごし、20~24歳で15%、25~29歳で34%、30~34歳で40%、35~39歳で40%の未婚者が、自分を「負け犬、もしくは予備軍だ」と思う、と答えるようになったわけです。

負け犬になった理由トップ3は
1位は「出会いがなかった」(37%)
2位は「相手はいたが、結婚に踏み切るタイミングを逃した」(32%)
3位は「理想が高すぎて妥協できなかった」(29%)

日本の女性の未婚率は、戦前は2%未満。昔は出会いが多かった、わけじゃなくて見合いをして結婚してたのですよね。で、そのマッチングシステムが消えてしまっても、それに変わる出会いの場が有ったわけじゃないので、未婚率は上がったのではないのでしょうか?

なんでそう思ったか、という部分なのですが、
人間の性質なんてそんなに急激に変わるもんじゃなくて、結婚したくないという独身主義者は増えていない、という数字が有るのです。(昔は「結婚したくないわけじゃないんだけど…」という娘さんが放っておかれる事なんてなかったのにね)


各年代で、「自分は負け犬だ」と思っている人達が結婚していた場合には、25~29歳の未婚率は39%(現実54.0%)、30~34歳が15.4%(現実26.4%)、35~39歳が8.3%(現実13.9%)に低下するのです。これって、ほぼ10~15年前の同じ年齢層の未婚率と同じです … つまり「負け犬だ、と自分を捉えている層」は見合いシステムが健在だったならば結婚してしまっていて、未婚率なんか上がっていなかった可能性が有るのでは? と思えるような数字だったりするわけで … 。


私は一人で人生を生きるのが「負け」だとはちっとも思いませんが、「精神的・肉体的強さ、友人知人の輪、貯蓄を含む経済力」が無いと、一人で老後まで過ごすのはなかなか大変だと思います。男性でも同じなんですが、特に女性が中年で正社員の仕事を失うと、絶望的に待遇が悪い仕事にしか就けなくなる可能性が大きいですから、不安は大きいと思います。

そういう意味で、WEB上のお見合いシステム(コンピューター・マッチング)が人気を博すのは当然なのかもしれません。でも、コンピューターは、負け犬になった理由の2位と3位の部分、「ぐずぐずしてるといき遅れるよ」、「ちょっとは鏡をみて考えなさい」という昔の世話焼きさん達のような働きはしてくれなくて、本質的に、「自分で自分の背中を押す」しかないのです。
自分で自分の背中を押せる人は、さっさと結婚してしまっているという話は … 有るかもしれないですよね。
by MIYU (2005-01-23 00:07) 

九子

[なるほど!すごいですねえ。( ^-^)]
なるほど!
考えてみる見れば、昔はどこの誰でも、そういうお世話をするのが得意ななんとかおばさんが親戚の中に一人くらいは居て、その人が親戚中の適齢期の男女の世話役を引きうけてくれたものでした。

だけど、この世話焼きというのは割の悪い立場なんですよね。
上手くいって当たり前。上手く行かないと恨まれる。

そんなこんなで、そういう世話をする人がだんだん居なくなってしまったのかも知れません。

確かにMIYUさんのおっしゃる事、当たってるかもしれません。
コンピューターはその半分くらい世話してくれても、残り半分は自分の努力ですものね。

<a href="http://www.mypress.jp/v2_writers/kasaharajubei/story/?story_id=638748">「なれそめ」</a>にも書きましたが、世話をしてくれたおばさんに、お互い、「相手があなたにのぼせ上がってて可哀想!」なんて言われてダマされて東京にお見舞いに行ったりしなければ、M氏と結婚する事も無かったと思えば、なるほど!とうなずけます。

それにしてもMIYUさん、科学系統ばかりではなく、いろんな情報にお詳しいんですね。尊敬しちゃいます。( ^-^)
by 九子 (2005-01-23 22:57) 

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