人騒がせな病人 [<介護生活、そして父母の事>]
日頃ケータイを携帯する習慣のない九子であるが(^^;、その日は珍しくちゃんと持っていた。
車を運転していたら、珍しくそのケータイが鳴ったのである。
もちろんこの頃は、運転中に受話器を取ってはならない事は法律で明記されたが、九子の場合は法律が出来る以前から、こう言うときに電話に出ることはなかった。すすんでる~!( ^-^)
まあはっきり言えば、出たくても出られなかったのである。
まず、携帯が手元にある事はない。たいてい後部座席のかばんの中。
万が一助手席にかばんが転がっていたとしても、かばんを手繰り寄せて、ケータイのケースから出して、「え~と、どのボタンを押すんだっけ?これかな?」と受話器を切るボタンを押してしまう。(^^;
つまり大抵の場合、運転中にかかってきた電話に出ると言うことは、九子にとってはウルトラC級の難度の高い技なのであった。(^^;
だからその時も、いつも同様無視していた。
「まあいいや。家までもうあと2~3分だ。」
薬局の下にある坂をのぼりかけた頃、なぜか救急車のサイレン音が聞こえ、更に進むと暗くなりかけた空に、赤いライトの点滅もほの見える。
「えっ?まさか!うちじゃないでしょうね・・・・・・・。」
悪い予感は当たりであった。(^^;
実は父は、何度も救急車に乗っている。
そのうち、倒れたり、歩けなくなったり、どこかが動かなくなった・・・という緊急性のあった場合は、今から思うと3度か4度で、あとの数回は、はっきり言って、呼んでしまって後悔したというのが本当のところだった。(^^;
たぶん今回も、もしも九子がその場に居合わせていたならば、救急車は呼ばせなかったであろう。
九子はそれだけ賢い!と言いたいのではない。
さすがの九子も、人騒がせな父の病状を、何回も救急車を呼んでるうちにだんだんに学習したというだけのことだ。(^^;
出来すぎ母が騒ぐので、M氏もあわてて電話してしまったのだろう。
聞いてみると、具合が悪いからとベッドへ行って、ベッドに上がれずにう~う~唸っていたのだと言う。
九子が帰った時には、父は青い顔をしてあぶら汗をかいていたが、「大丈夫、大丈夫。」としきりに救命士さんに言いながら、担架に乗せられるところだった。
「ああ、あの時と同じだ。たぶん、一時的に貧血でも起こしたんだろう。」と九子は思ったが、救急車は後もどりと言うことが出来ない。(^^;
隣の八百屋さんのおじさんやらもやって来て、「大丈夫かい?」と騒がしい中、九子と病人を乗せて救急車は出発する。
「痛い所、苦しいところがあったら遠慮なく言ってくださいね。」救命士さんは優しい。
「どこも、なんともないよ。」とぶっきらぼうに父。
「今一応心電図とかチェックしてみますからね・・・。」
「う~ん。一応正常ですが、心電図に現れない不調も多いですから、油断は禁物です。」
「ここ押すと痛いですか?」
「痛くないよ。」
「ここはどうですか?」
「そこも痛くない。」
「こっちはどうですか?」
「あっ、ちょっと痛いような・・・。」
「痛いのここですよね。」
「あれっ、もう痛く無くなっちゃった。」
(救命士さんも、さすがに評子抜け・・・・。(^^;)
「救急車が通ります。申し訳ありませんが、道をあけてください。」大きな音を町中に轟かせて、父を乗せた救急車は赤信号もスイスイ走る。(^^;
救命士さんは最後まで、父を重病人かのごとくに扱って、病院へ届けて下さった。
「もうすぐですからね。頑張って下さいね。辛さや痛みは、本人にしかわかりませんから・・・。」
緊急外来の入り口から、担架ごと運び込まれる父。
CTとレントゲンを撮るのだと言う。
M氏と母もすぐにかけつけて、廊下の椅子で待機する。
いかにも熱のありそうな赤ちゃんを抱いた心配そうなお母さんや、青い顔で辛そうにしている妊婦さんに比べれば、至って気楽そうな様子がありありの我が家の3人である。(^^;
40分ほど待たされた後、中に呼ばれた。
今日の当直は、内科では結構名前の知られた中堅どころのN先生だ。
X線の画像を見ながら「う~ん。ここんところが、ひょっとすると腸閉塞のなりかかりのようでもあるんですが・・・。吐き気はあったのかな?最初はあったが、今はないんですね。じゃあ、たぶん違うとは思うんですが・・・・。」
「先生、お騒がせして申し訳ありませんが、お酒も少し過ぎたようです。空腹にお酒が入って具合が悪くなったのじゃあないかと思うのですが・・・。」
「でもまあこのレントゲンの所見はね、腸閉塞を疑っても不思議はないんですよ。まあどっちにしても、今日はこのまま帰って様子を見てください。吐き気が現れるようだったら、すぐに連れてきて下さいね。」
救急車で運び込まれた以上、もっともらしい病名をつけなきゃいけないのかもしれないが、救命士さんと言い、ドクターと言い、ちょっと大げさ過ぎるんじゃないの?(^^;
もっとも救急車の一件は、すぐに父の主治医の知れるところとなり、先日2ヶ月ぶりで診察してもらった時に、先生はすぐにこう言われた。
「先日の救急車の騒ぎは、結局飲み過ぎ、食べ過ぎが原因ということで良いですかね。」(^^;
もう、まったく~、人騒がせなんだからあ。
いい加減にしてよね・・・・・。
そしたら父が、ポソッと言った。
「なあ、九子。後生だからもう救急車なんか呼ばないでくれ。オレは家で死ねたら本望なんだ。病院なんかへ行かなくてもいい。オレは家で死ぬ。救急車で運ばれるなんて、オレもう恥ずかしくてご免だ!」
可哀想に、一番の被害者は父だったのだ。
そんなら一番悪かったのは、一体誰・・・・?(^^;
車を運転していたら、珍しくそのケータイが鳴ったのである。
もちろんこの頃は、運転中に受話器を取ってはならない事は法律で明記されたが、九子の場合は法律が出来る以前から、こう言うときに電話に出ることはなかった。すすんでる~!( ^-^)
まあはっきり言えば、出たくても出られなかったのである。
まず、携帯が手元にある事はない。たいてい後部座席のかばんの中。
万が一助手席にかばんが転がっていたとしても、かばんを手繰り寄せて、ケータイのケースから出して、「え~と、どのボタンを押すんだっけ?これかな?」と受話器を切るボタンを押してしまう。(^^;
つまり大抵の場合、運転中にかかってきた電話に出ると言うことは、九子にとってはウルトラC級の難度の高い技なのであった。(^^;
だからその時も、いつも同様無視していた。
「まあいいや。家までもうあと2~3分だ。」
薬局の下にある坂をのぼりかけた頃、なぜか救急車のサイレン音が聞こえ、更に進むと暗くなりかけた空に、赤いライトの点滅もほの見える。
「えっ?まさか!うちじゃないでしょうね・・・・・・・。」
悪い予感は当たりであった。(^^;
実は父は、何度も救急車に乗っている。
そのうち、倒れたり、歩けなくなったり、どこかが動かなくなった・・・という緊急性のあった場合は、今から思うと3度か4度で、あとの数回は、はっきり言って、呼んでしまって後悔したというのが本当のところだった。(^^;
たぶん今回も、もしも九子がその場に居合わせていたならば、救急車は呼ばせなかったであろう。
九子はそれだけ賢い!と言いたいのではない。
さすがの九子も、人騒がせな父の病状を、何回も救急車を呼んでるうちにだんだんに学習したというだけのことだ。(^^;
出来すぎ母が騒ぐので、M氏もあわてて電話してしまったのだろう。
聞いてみると、具合が悪いからとベッドへ行って、ベッドに上がれずにう~う~唸っていたのだと言う。
九子が帰った時には、父は青い顔をしてあぶら汗をかいていたが、「大丈夫、大丈夫。」としきりに救命士さんに言いながら、担架に乗せられるところだった。
「ああ、あの時と同じだ。たぶん、一時的に貧血でも起こしたんだろう。」と九子は思ったが、救急車は後もどりと言うことが出来ない。(^^;
隣の八百屋さんのおじさんやらもやって来て、「大丈夫かい?」と騒がしい中、九子と病人を乗せて救急車は出発する。
「痛い所、苦しいところがあったら遠慮なく言ってくださいね。」救命士さんは優しい。
「どこも、なんともないよ。」とぶっきらぼうに父。
「今一応心電図とかチェックしてみますからね・・・。」
「う~ん。一応正常ですが、心電図に現れない不調も多いですから、油断は禁物です。」
「ここ押すと痛いですか?」
「痛くないよ。」
「ここはどうですか?」
「そこも痛くない。」
「こっちはどうですか?」
「あっ、ちょっと痛いような・・・。」
「痛いのここですよね。」
「あれっ、もう痛く無くなっちゃった。」
(救命士さんも、さすがに評子抜け・・・・。(^^;)
「救急車が通ります。申し訳ありませんが、道をあけてください。」大きな音を町中に轟かせて、父を乗せた救急車は赤信号もスイスイ走る。(^^;
救命士さんは最後まで、父を重病人かのごとくに扱って、病院へ届けて下さった。
「もうすぐですからね。頑張って下さいね。辛さや痛みは、本人にしかわかりませんから・・・。」
緊急外来の入り口から、担架ごと運び込まれる父。
CTとレントゲンを撮るのだと言う。
M氏と母もすぐにかけつけて、廊下の椅子で待機する。
いかにも熱のありそうな赤ちゃんを抱いた心配そうなお母さんや、青い顔で辛そうにしている妊婦さんに比べれば、至って気楽そうな様子がありありの我が家の3人である。(^^;
40分ほど待たされた後、中に呼ばれた。
今日の当直は、内科では結構名前の知られた中堅どころのN先生だ。
X線の画像を見ながら「う~ん。ここんところが、ひょっとすると腸閉塞のなりかかりのようでもあるんですが・・・。吐き気はあったのかな?最初はあったが、今はないんですね。じゃあ、たぶん違うとは思うんですが・・・・。」
「先生、お騒がせして申し訳ありませんが、お酒も少し過ぎたようです。空腹にお酒が入って具合が悪くなったのじゃあないかと思うのですが・・・。」
「でもまあこのレントゲンの所見はね、腸閉塞を疑っても不思議はないんですよ。まあどっちにしても、今日はこのまま帰って様子を見てください。吐き気が現れるようだったら、すぐに連れてきて下さいね。」
救急車で運び込まれた以上、もっともらしい病名をつけなきゃいけないのかもしれないが、救命士さんと言い、ドクターと言い、ちょっと大げさ過ぎるんじゃないの?(^^;
もっとも救急車の一件は、すぐに父の主治医の知れるところとなり、先日2ヶ月ぶりで診察してもらった時に、先生はすぐにこう言われた。
「先日の救急車の騒ぎは、結局飲み過ぎ、食べ過ぎが原因ということで良いですかね。」(^^;
もう、まったく~、人騒がせなんだからあ。
いい加減にしてよね・・・・・。
そしたら父が、ポソッと言った。
「なあ、九子。後生だからもう救急車なんか呼ばないでくれ。オレは家で死ねたら本望なんだ。病院なんかへ行かなくてもいい。オレは家で死ぬ。救急車で運ばれるなんて、オレもう恥ずかしくてご免だ!」
可哀想に、一番の被害者は父だったのだ。
そんなら一番悪かったのは、一体誰・・・・?(^^;
2005-02-10 22:49
nice!(0)
コメント(4)
トラックバック(0)
[大したことなかったからよかったんですよ…。]
お父様、なんともなくて良かったですね。
救急車を呼んだけれど間に合わなかったというのよりは
良かったと思いましょう。(^^;
by よぽぽ (2005-02-11 21:55)
[よぽぽさん!]
>救急車を呼んだけれど間に合わなかったというのよりは
良かったと思いましょう。(^^;
そうそう。それが最悪のパターンですもんね。
救命士さんたちは皆優しくて、「いつでも遠慮しないで救急車を呼んで下さいね。」と言って下さいます。なんだかその優しさにつけいってるみたいで・・・(^^;
たぶんうちなんかブラックリストに載ってるクチです・・・。(^^;
by 九子 (2005-02-12 22:04)
[悪いけれど・・・]
笑ってしまうような話デスねぇ。
でも
後で後悔するよりは 無駄でも先手は打っておきたいし。
お父様
長生きされるんじゃないですか。
ねっ (^。^)
by のりP (2005-02-14 06:13)
[のりPさん!]
そう言えばフランスでは救急車呼んじゃうと高いのでしょうか?
長野市の場合、その日はまったくお金はかからないのですが、次回の診察の時に前回分というので2000円位払いました。ただ、これは診察料も含むので、ひょっとすると無料かもしれません。
もっと高くすれば呼ばないのかな?
なんか、本末顛倒のような・・・。(^^;
はい。父には最低あと2年間は頑張っててもらわないと、子供の学費が
・・・(^^;
by 九子 (2005-02-14 16:25)