SSブログ

アガリクスは本当に悪いのか? [<薬のこと、ダメ薬剤師のこと、家のこと>]

アガリクス 茸という健康食品 が癌に効くと言われてから久しいが、このところアガリクスに対する風あたりが滅法強くなった。

事の起こりはある出版社が「アガリクス体験本」を出して、その中で「私はアガリクスでこんなに癌が良くなりました。」という30人の証言を載せたのだが、それらのすべてが実はまったくのでたらめで、一人の著者がでっちあげた絵空事であったことがわかったからだ。

その上、その本に監修者として名前が出ている有名大学名誉教授は、「本は見たことも無い。そうやって名前を使われるのは良くあること。」と開き直り、反省の言葉も無い。


数ヶ月前も似たような事件が起こったが、すべてが捏造(ねつぞう)という訳ではなかったように思う。
考えてみるとその頃から、アガリクスの通信販売のCMを見かけないようになった。

それにしてもひどい話だ。
この本を信じて大枚をはたいて末期癌に苦しむ家族にアガリクスを飲ませ続けた人々の気持ちを思うといたたまれない。

いたたまれない理由は実はもうひとつある。
九子自身が、アガリクスを信じて売っていたからである。

幸か不幸か売れない薬局である。(^^;
限られたごく身近な人だけがアガリクスを買って下さって、「あの時はあれでしばらく良くなったのだから気にしなくていい。」と言って下さった。

アガリクスは御存知の通り高価である。
九子が仕入れたブラジル産の最高級アガリクスは、日本一有名な漢方薬原料メーカーのもので、500g数万円もした。

一日10g使うとして、50日分。なるべく安くお分けしていたとはいえ、一か月分でも相当の金額になる。
それが何の効果もなかったのかと言われると、返す言葉も無い。

ただ九子自身はまだアガリクスの効果を信じている。
免疫力を高めて、食欲を増し、抗癌剤と併用すると副作用が少なくなる。

そもそもアガリクスは1960年代に、国立癌センターの医師によりβグルカンという成分が免疫力を高めるというので使われ始めたそうだ。

もうざっと40年にもなる。それだけの時間生き残って来たものであるならば、何がしかの効果が期待できるのではないか?

その間に多くの「癌に効く」と言われた健康食品や薬が、注目され、やがて消えていった。
たとえば丸山ワクチン。

丸山ワクチンも最後はアガリクスのような経過をたどり、当時の厚生省から抗癌薬としての効果はないという手厳しい評価を受けた。

ところがその医薬品としては認められていない丸山ワクチンは、今でも多くの患者の熱烈な指示を得て使われていると言う。日本医科大学附属病院ワクチン療法施設HP

またこのサイトによると、丸山ワクチンを評価した当時の厚生省のありかたに鋭い疑問が投げかけられている。

なるほど、厚生労働省が現在、アガリクスを槍玉にあげているという感は否めない。最初に結果ありきで判断されれば、どんなに効く薬でも効かないことにされてしまう。

今年の夏「ガマの穂」から取った薬で糖尿病が治ると言って、血糖降下剤を飲まさずに少女を殺してしまった宗教団体の代表者が逮捕されたが、そんな怪しげなものよりはアガリクスの方がよほど良い。

捏造記事は許せないけれど、だからと言ってアガリクスそのものが評価を下げるのでは気の毒な気がする。

九子は余ったアガリクスを後生大事に取っておく。
取っておいて、家族のもしもの時に使うつもりだ。


先日、はとこのFさんに処方箋薬を届けた時、こんな話題になった。

「この薬も結構高いけど、サプリメントの値段を思えばどうってこと無いわよね。」
「えっ?Fさんサプリメント買ってるの?」
「そうねえ。一ヶ月1万円以上使ってるわよ。」
「だってそんなに効果ないでしょ?おんなじお金使うなら薬に使うほうが良くない?」
「薬は怖いじゃない。副作用が・・。食品だったら副作用も心配ないし、安心だから・・・。
どうせいいのよ。気休めで飲んでるんだから、効かなくたって・・・。」

は~っ?Fさんには悪いが、九子はため息が出た。

Fさんは有名女子大を出た才媛である。たぶん平均的な女性よりは賢い人だと思う。
そのFさんですら、薬よりもサプリメントに走るのだ。

( Fさん、許せ!Fさんの悪口を言いたい訳ではなく、標準的女性の代表として出演して頂いてます。m(_ _)m )



笠原十兵衛薬局。雲切目薬一筋、医薬品一筋。だから健康食品、サプリメントの類いっさいやっておりません。
(って言うと聞こえは良いが、要するに面倒だから手を広げたくないってだけ。(^^;)

儲かるんだろうなあ、健康食品。

第一売って効果が無かった時でも、買うほうも「健康食品だから、まあ効かなくたって仕方ない。」と思ってくれるのだ。

今回の九子のように、効かなかったからと言って身につまされる事は決して無い。
売るほうも買うほうも「所詮サプリメント。」で済まされるなら、こんなに楽チンなことはない。

その上副作用もないと信じられているんだもの。(健康食品にだって副作用あるんです、本当は。)

だけどみんなそんなに怖いんだろうか、副作用。
1000人に一人か10000人に一人ってレベルの話でも?

副作用の話なんてしない方がいいんなら、九子は絶対しない。死んだってするもんか!
(って、副作用の知識が、さもあるみたいな言い方・・・。(^^;)
nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

nice! 0

コメント 2

MIYU

[お勧めのサイト]

読みに来たら興味深い話だったので、ひさしぶりにコメントしちゃいます(リンク付き)

昨年の事ですが、国立健康・栄養研究所が、健康食品安全性・有効性情報、というサイトを立ち上げています。(<a href="http://hfnet.nih.go.jp/contents/index2.html">http://hfnet.nih.go.jp/contents/index2.html</a>

> 食品だったら副作用も心配ないし
という事を本気で思っているお友達がいらっしゃるのなら、是非ともこのリンクを教えてあげて下さい。判定が行われていないに等しい健康食品と、きちんとした検証が行われ管理投薬が行われている「薬」の安全性の違いについて、多分自分で納得されると思いますよ。

Q&Aには、「健康食品の虚偽誇大な広告にだまされない方法を教えてください」という項目もあります。ともかく端から読むと良いかも、です。合い言葉は「気を付けよう、甘い言葉の健康食品」

年齢が高くなって食品から摂取できない状態の場合は別ですが、私は、人間が通常自然の食品から摂取可能な量を遙かに超えたサプリメントは危険だと思っています。日本ではあまり「過剰による害」は報道されませんけれど、海外では問題視されていますね。


自然食品も医薬品も、実は「その個人がもっている体質(遺伝情報)」の違いによって、効果が違うので、いちがいに何とも言えませんが、<BLOCKQUOTE>ただ九子自身はまだアガリクスの効果を信じている。免疫力を高めて、食欲を増し、抗癌剤と併用すると副作用が少なくなる。</BLOCKQUOTE>という状況は、丸山ワクチンもアガリスクでも、存在していてなんら奇妙な事ではありません。まあ、逆に「全員に効果がある」わけでもないのですがね。

医療の現場では、個人の持つ特徴によって影響が異なる、という事に関しては検証が始まったばかりですが、それは現実に存在しています。むやみに疑うことも、無条件に信じることも、どちらも根は同じです。新しい情報を吸収しながら、自分の理解の幅を広げていくことが大事かな、と思っています。

まあ、私は自分の身体が維持できる範囲でよいので、九子さんほど真剣にみていたりしないんですけどね :-)
by MIYU (2005-10-25 01:24) 

九子

[MIYUさん!!]
いつもいつもためになるお話を書いて頂いて有難うございます。
m(_ _)m
MIYUさんは本当の意味で科学者(化学者?)ですよね。本当に論理的に、世の中の流れにむやみに動かされずに、ご自分の頭で判断しようと心がけていらっしゃいますもん。

それにしてもためになるサイトをいろいろご存知なんですね。確かにこういうサイトがあるなら、はとこに見るように伝えます。
(知らない私が恥ずかしい・・・。(^^;)

最後の、人によって薬の効き方が違う件ね、漢方薬なら当たり前のことですよね、考えて見れば・・。1人1人の証と呼ばれるまあ体質みたいな事を全身的に問診していって、その人に一番合う薬を選ぶのですから・・・。

考えて見たら6000年も前の中国でこういう薬の投与の方法が編み出されたと言うのは驚きです。

それから、サプリメントの取り過ぎ、確かに文明社会の病かもしれませんね。食品で同じ量取ろうとしたらえらいことですもんね。

何事も自然に反する事は良くないと言う事をMIYUさんの口から改めて聞くと、説得力があります。

それにしても、癌が不治の病気でなくなる日はいつ来るのでしょうか?
癌になっても20年30年と共存出来るのであればそれでいいのですが・・・。
by 九子 (2005-10-25 18:19) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。