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適材適所 [<九子の万華鏡>]

東日本大震災が起きて以降、なんとなくみんな高価なものを買うのは控えて出来るだけ被災地に義援金を送ろうと言う機運が高まっている。確かに今までの災害の時とは違う。日本中の心が被災地に向かっている。これは良いことだと思うし、なるべく長期的に続けて行かなければとも思う。

だからこういう時にこういう無くてもいい物の話はいかがなものかとは思うのだけれど、九子が買ったのは大震災以前の話だし、まあこういうものもあるんだという事でお許し頂きたいと思う。

九子は昔から電子辞書という物に興味があった。
英語を習っていたから、ジョン先生がわからない単語を使った時に手元にあってすぐに引けたら便利だなあと思った。

当時持っていた電子辞書がそういう場合に役立っていたかと言うとさにあらず・・。(^^;;
まず九子は手先が不器用で、キーボード操作がもたつく。その上スペルがあやふやなので目指す単語が出てこない。
結局なんでも達人のミキさんの方がいつの場合でも九子よりもずっと早く、正確にその単語に行き着くと言う訳だ。
だから九子は、ミキさんが探してくれた単語をミキさんの電子辞書で確かめていただけだった。(^^;;

ミキさんの使ってる電子辞書はいつも目いっぱい使われた後何年かして寿命によってダメになり、新しい電子辞書に切り替えられた。

九子の方はなぜかそんなに使ってないのにどこ行ったんでしょ?という事が多い。

最初に「電子辞書の話」を書いた時、よせばいいのにフランクリン社というアメリカ製の電子辞書を買った。この辞書の売りは、九子のいいかげんなスペリングでも、辞書が賢く判断してよく似た単語を探し出してくれるというものだ。

アメリカは移民が多いから、いろいろな国籍の人の思っても見ないようなスペリングにも対応しているのだろう。

確かにその機能は悪くなかった。英語の発音をひらがなに直して、それをローマ字にしたものをそのまま書いても目指す単語が候補の中にちゃんと入っていた。

ただやっぱりアメリカ製なのだ。英英辞典なのだ。遊びに眺めるにはいいけれど、いざという時にはなんとなく心細かった。

その次確か、当時鳴り物入りで売り出したリーダース英和の他にジーニアス英和大辞典とコウビルト英英辞典、英和活用大辞典とブリタニカ百科事典が入った最強と思われる電子辞書を買った。

待てよ!その前にドイツ語が入った大学生協でしか買えない辞書を息子に買ってもらった記憶がある。(^^;;

探してみたらそのどちらもの分厚いマニュアルが箱ごと見つかったが、肝心の御本体が無い!

ひとつは息子がオーストラリアに持って行って壊して帰ってきた。それは報告があったから確かなのだが、もう一台はいったいどこに消えてしまったのか?

ただひとつ確かな事は、九子の手元でほとんど役にたってくれないうちに誰かの手に渡り、その誰かもあんまり使わないうちに壊れてしまった無くなってしまったという訳だ。

いやこれは断じてメーカーさんのせいではなく九子の物に投げやりな血筋が子供達に遺伝したせいだとは思うが、それにしても短命に終わった電子辞書があまりにも気の毒だった。


もう電子辞書はもったいないから買うまい!と思っていたのに、今しか買えない電子辞書があることがわかって心変わりした。セイコー社の医療用電子辞書だ。

なぜ今だけかと言う話だが、セイコー社では次のモデルをもう出している。
次期モデルではパソコンに電子辞書をつなぐ事が出来るので、パソコン上の書類を読む時いちいちスペルを入力しないでコピーペーストで電子辞書で調べられるというのが売りなのだ。

確かに便利だとは思うが、次期モデルは最安ショップでも7万円近くもする。今一社だけに残っている旧タイプは4万5000円ほどなのだ。

おんなじこと出来るなら、別にパソコンにつながなくても・・というのが九子の理屈だ。


一昔前の医療用の電子辞書は、医学辞典は入っていても英和辞典が高校生用の小さいものしか入っていなくて役に立たなかったり、英語の文献を読むには使いにくくて値段ばかり高いものでしかなかったが、このモデルにはジーニアス英和大辞典やオックスフォード英英辞典、ブリタニカ百科事典などが入って、その上にステッドマン医学大辞典、医学書院医学大辞典、治療薬マニュアル2008などが入っている。それで4万円代はまあ高いけれど許せないほどではない。いや、辞書を紙で揃える事を思えばずっと安い!

九子はもちろん自分の無知を補うために買った。(^^;;
治療薬マニュアルは少々古いけれど、最新の薬でなければほとんど網羅されている。九子がおぼつかない手で分厚い書籍版のページを手繰るよりははるかに早く目的の薬が出てくる。

その上薬剤師ならば当然知っていなければならない添付文書上の医療用語を医学大辞典やステッドマン大辞典が丁寧に説明してくれる。

百科事典も入っているので、テレビで聞いたわからない言葉や地名を探すにも大変便利だった。

もうこれは毎日決して手元から離すまいぞ!と九子は思った。
そして英文の医学書を読む講座に入っているというN子にも真っ先にプレゼントした。
多大な出費だったが娘のためだ。
(自分に買う分には決して高いと思わないが、娘とは言え買ってやる時は高いと思うのはなぜだろう?(^^;;)

ところが彼女の反応は意外だった。
彼女にはこの電子辞書はあんまり役に立たないというのだ。

まず治療薬マニュアルは最新版を学校で買わされたそうだ。(^^;;

その上なんでも医学部の学生さんなんかは'year note' という分厚い本を使っていて、それに比べると電子辞書はあまりにも説明が簡単すぎて理解できないそうだのだ。

へえ~っ、そういうもんなんだ!
考えてみるとN子は効率ということをまったく度外視する娘だった。
彼女にとっちゃあ電子辞書より図書館で借りた腰が抜けそうに重い本の方がはるかに役に立つのだろう。

そんなら効率の権化M子ならきっと喜ぶよね、電子辞書。
もうちょっとお金溜まったら買ってやろう。( ^-^)

適材適所というか、機械は人を選ぶと言うか、まあそれが一つ目のお話。


その効率の権化M子であるが、このところ少なからず考え込んでいるように見える。

事もあろうに彼女の高校時代の同級生が、それもとびきり頭の良かった男の子二人が、よりにもよって今年彼女の大学の一年生に入ってくると言うのだ。

もちろん彼女の大学を目指していた訳では決してない。
二人とも医者になるべく、医学部目指して東京で2浪を続けていたのだと言う。

「モチベーション下がるよねえ。」とM子。
うん。それはよくわかる。

なんでも先輩にも何人か医学部落ちがいるらしくて、「一人はまあAランカーで頑張ってるけど、あと二人はほとんど勉強してない。それでも頭いいから試験は通るんだけどね。」との事。

彼らは就職先に医者と接点の在るMRなんかは決して選ばず、ほとんどが製薬会社の研究室を希望するらしい。
うん。それもわかる。

いつもM氏と語り合うが、今回のような災害時に一番必要とされるのは医師と看護師で、歯科医師と薬剤師はどうでもいいよねっていう話。我が家はそのどうでもいい者同士のカップルである。
(その上九子は薬剤師であるかどうかも怪しいもんだし・・・。(^^;;)

それでも今回のような大災害だと、歯科医師も遺体の歯型鑑定に駆り出されたり、薬剤師も病院に残って名前のわからなくなった薬の仕分けなんかに忙しかったらしい。


世の中で医師を目指そうという心ある若者達は貴重である。
頭がよければ必ず出来るって言うもんじゃない。

肉体の強靭さ、精神のたくましさ、相手の痛みを思いやる優しさ、瞬時の判断力、そして外科なんかでは手先の器用さ、そして何より人の命を救いたい、誰かのためになりたいという献身の気持ち。

こういう素晴らしいものをもった若者達をこんな風にわずかな点数の違いで切り捨ててしまっていいものだろうか。
しかも彼らは3年も我慢した。中には4年も5年も頑張ってずっと医者になるために勉強を続けている若者達だっているはずだ。

そういう彼らが泣く泣く薬学部に来る。医療の担い手の中心を目指していたのに、6年かかって成れるのは現場で目立たない薬剤師だ。

もちろん九子以外の薬剤師さんは頑張っている。本当に立派な仕事をしている人がたくさんいる、いやほとんどだろう。
それであっても、ずっと医者を目指してきた彼らに取ったらどうだろうか。

うまく気持ちを切り替えられるならまだ良い。
今までは4年間を、これからは6年間を、自分はこれでよかったのだろうかと悶々としながら学生生活を送るのであれば、あまりにも気の毒だしもったいない気がする。

医者の絶対数はまだまだ少ないと言われる。小児科や産婦人科に至っては医者不足で過労死される先生もいらっしゃるほどだ。

医学部は何年間も辛い受験勉強を続けた学生達をなぜ入学させてやらないのだろう?
少しくらい点数が足りなくても、入れてだけやるって事は出来ないものか。
机が足りないくらい、実験器具が足りないくらいはなんとかすればどうにでもなるのではないか?

点数がわずか低かった学生の中にも、立派な素質をもった学生は沢山いるだろう。
医者になって人を助けたいという強い意思を持った学生がほとんどだと思う。

だって医者というのはそれほど過酷な仕事なのだから。

薬剤師や歯医者でも医者になりたかった人は沢山いるけれど、結局体力的に無理だとか、命を担う重責を負う自信が無いとか、最終的に医学部を諦めている。

多くが諦めるのに、最後まで諦めなかったのが彼らなのだ。なぜその高い志がくみあげられないのだろう。

もちろん人の命の最後の砦のお医者さんになるのにバカでは困るだろうが、試験ばかりを難しくしてふるい落とすだけの入試方法で果たしていいのだろうか。

まだまだ医者が足りないと言うこの時代、長い間浪人して医学部を目指している若者は医者としての適材であると思う。いや逸材と言うべきか。
これらの適材に適所を与えてくれる医学部があればどんなに彼らは報われるだろうし、日本のためにもなるだろうに・・・。


最後に適材適所と言ったら九子を忘れちゃならない。
こんなに怠け者のダメ薬剤師の居場所は、笠原十兵衛薬局をおいて他には無い。
何しろ雲切目薬だけ売ってれば用は足りるんだから・・・。

あっ、この場合の適材適所はテキトーな人間にテキトー(頃合い)な場所という意味。(^^;;

感謝!感謝!( ^-^)


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伊閣蝶

九子さん、こんばんは。
コメント、ありがとうございました。
私も電子辞書は所持していますが、ROMの進化などのタイミングで買い替えたりしております。
ちょっと調べるのには大変重宝ですが、調べたい語句の周辺を漁るのには、やはり紙の辞書に勝るものはないようですね。
用途によって使い分け、というような状況です。
by 伊閣蝶 (2011-04-15 23:46) 

九子

伊閣蝶さん、こんばんわ。( ^-^)
電子辞書は私のように手が不器用でとろい人間には必需品なんですが、音楽をなさるような手の器用そうな伊閣蝶さんにはそんなには必要ないかもしれませんね。( ^-^)

あの伊閣蝶さん、私のプロフィールをクリックして頂くとメールを頂きたい旨のお願いがあります。決してご迷惑はおかけしませんので頂戴できませんでしょうか?よろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
by 九子 (2011-04-16 21:31) 

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