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美人とイケメン [<九子の万華鏡>]

九子が通ってるスイミングのメニューににアクアビクスという水中体操があることは前にも書いたけど、そのクラスのインストラクターの一人が若い男性で、ずいぶんのイケメンであるらしい。


近視の九子のことゆえはっきりとは見えないのだが、色白でしゅっとした顔の、岡田将生くんタイプ!!


気の毒にねえ。彼がもしも都会のジムのインストラクターであったなら、派手なマダムからいろいろプレゼントされてちやほやされていただろうに・・。


もちろん九子はそんな軽々しくもイケメン先生の授業なんてとらないよ。

そもそも足が腫れてから、エアロビクスみたいな運動量の多いものは避けてひたすら水中ウオーキングに専念しているのだから・・。


だけども気になってちらちらっとは見ているよ。

プールの隣のジャグジーに浸りながら、何気なく横顔を眺めたり・・。


このあいだなんかスケジュール表をしげしげと見てしまった。

あの先生は週末以外はほとんど授業がない!

もしかしたら信州大学の学生アルバイトさんだろうか?

プールだけじゃなくてジムでも教えてるんだあ、エアロビクス!

へえ~っ!


と、まあ、かなりの熱の入れようで・・。(^^;;


人間どう考えても美しく生まれてきたほうが得だ!


このあいだの北朝鮮の金与正キムヨジョンだってそうだ。

北朝鮮のイバンカトランプなんて持ち上げられてたけど、彼女たちが月並みな容貌であったならば、きっと誰も注目しなかっただろう。


彼らは書記長、大統領のメッセンジャーだから、別にそれはそれでよい。

麗しい女性たちに与えられた歴史的な役割であり、別に珍しくもなんともない。


九子は安倍晋三首相が首相になった当初、なんて美男子な政治家だろうと思った。

背も高いし、品のいい顔立ちで、さすが家柄の良さを感じさせる。


それと同様に文在寅ムンジェインという人が韓国大統領になった時も、近年の中ではなかなかりりしい顔立ちの韓国大統領だと思った。


ただ国を背負って立つ人の場合は、顔の美醜などすぐにどうでもよくなってしまう事に思い至った。


そもそも美しい人間を人々はなぜ尊び敬うのだろうか?


そう言ってしまえば実もふたもないが、美しいものは極めて珍しいからだと思う。


珍しいと言えば奇形の動物もまた珍しい。

白いトラ、白いライオン、白いカラス、ピンクのイルカ、青いカエル、などなど。

それらは突然変異で生じた個体だから、子供が生まれる確率は低いし、目立つので敵の餌食になって長生き出来ない可能性も高い。


美しい人間だけが正常の範疇であり、かつそばに置いてめでるのにはふさわしい状態を長年保っている。


美しい物、人を見るというのは、快楽につながるのだと思う。

おぞましいものは見たくない。生理的に不快になるからだと言うのと同じ理由で、

人間は本能的に美しいものを見たい、触れたい、そばに近づきたいのだと思う。



九子は今日、その先生の顔をジャグジーからだけじゃなくて、隣のプールから、かにさん歩きしてまじまじと見た。(まじまじとではあっても、近視ではある。)

あれっ?と思った。

こんな顔だっけ?

岡田将生くんとは似ていない。頬骨が出すぎている。これじゃあ岡田将生というより、どっかの芸人さんみたい!


気持ちがスーッと引いていった。

なあんだ!ときめいて損した!!(^^;;



これが美男美女が持つ宿命!!

いつか飽きられ、絶望される運命!



それでもやっぱり、どうぜ生まれるなら美男美女に生まれたかったわねえ。(^-^)


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薬剤師のピンキリ [<薬のこと、ダメ薬剤師のこと、家のこと>]

薬剤師会からのファックスが入る前に最初に気づいたのはM氏だった。

彼にはお悔やみ欄をつぶさに見る癖がある。


 

「おい、薬剤師さんがえらい若くして亡くなってるぞ!知ってるか?」


彼が告げた名前は、私の薬大の同級生で、同じく同級生の小、中と九子と同窓だった彼と結婚して、遠くから嫁いできた彼女だった。


 

彼女は一人っ子。さぞやご両親様は寂しい思いをなさっただろうと思う。薬剤師にまでした一人娘が遠くへ嫁に行ってしまうのだから・・・。


 

何度も言うけれど、大学時代の九子は友達もいないどころか、他人が怖くて仕方の無い未熟な娘だった。だから彼女とも、後に彼女のご主人になる彼とも、そんなに深く話したことはない。


 

ただ彼らはクラスの中でとても目立った。


彼はウエーブのかかった長髪にバンダナ、そしてタンクトップにジーンズの出で立ち。いかにも自動車部という風体だった。軽音(軽音楽部)と掛け持ちもしていたんじゃないのかな?


 

彼女の方はそんなに派手な身なりではなかったけれど、九子の記憶の中で彼女は細長い指で器用にタバコを吸っていた。


 

そんな二人が卒業し、結婚して長野へ戻って来て、彼が長野市薬剤師会に取り込まれて保険部長になった時はびっくりした。


あの時の長髪やタンクトップの挑発的な彼はまったく影を潜め、きちんとした身なりの老成した薬剤師然としてしまったからだ。


 

彼の家はもともと薬局で、お母上さまは私の母と薬専同級生だ。


薬局はもともと日赤の目の前に立っていたのだが、日赤移転に伴って新しい日赤のそばに新店舗を作った。


 

そして、新たに薬剤師も数人雇って、大きな調剤薬局をしていた。


 

その頃からか、彼女が度々薬剤師会で発言したり、プレゼンテーションをしたりする姿をみかけるようになった。


実は九子は、彼女がまだ九子に毛が生えた程度の薬剤師さんだと思い込んでいた。


子供だって小さいし、まだまだでしょ!


 

ところが彼女はその頃から、確実に実力を溜め込んでいたのだった。


我が家の何十倍、いや何百倍もの処方箋を扱い、たくさんの患者さんに接することによって、本来の薬剤師が身に着けなければならないスキルと患者さんへの心遣いを。


 

残念ながらその後彼と彼女は別れてしまう。ちょうどお子さんが独立するのを待っていたように。


 

そんな頃、九子は偶然彼女に出会った。薬剤師会の会合以外、卒業してから口を利くのは初めてだったかもしれない。あれは確か、どこかのスーパーの入り口の階段のあたり。


 

どんな話をしたのかつぶさに覚えているわけではないが、彼女のこんな言葉が印象に残った。


「私はねえ、この仕事をしたことが自分が成長出来た原因だと思ってるの。私を変えてくれたのは今の薬剤師の仕事ね。」


 

凄い!凄すぎる!


薬大で同じ時間を過ごしてから30年で、人生ここまで差がついてしまうのだろうか?


 

かく言う私は雲切目薬の売り子。たまに処方箋は来るけれど、薬の用意も少ないし、出来たら処方箋など来て欲しくないのが本音!


 

ところが彼女は処方箋調剤が生きがいなのだ!






薬大の同級生という立場上、彼女のお通夜に行ってみた。


やつれた感じのしない穏やかなお顔だった。


 

先輩薬剤師の話を聞く限り、事情はこんな風だった。


 

ある薬剤師さんが、もう年でもあるので、自分の薬局をすべて居抜きで買ってくれる人は無いかと探していた。そこに手を上げたのが彼女だった。


彼女はきっと薬剤師生活の最後に自分だけの店を持ちたかったのだと思う。


 

その薬剤師さんもいい人に買ってもらえると喜んでいたそうだ、


話が本決まりになって、さあいよいよというところで、突然彼女の側からキャンセルがはいったのだそうだ。それが3ヶ月ほど前。


 

何が起きたのかさっぱり知らされないまま、その人は落胆していた。せっかくよい条件で薬局が譲渡できると喜んでいたのだから・・。


 

そして1月のはじめ、彼女の訃報が届いたというわけだ。


 

彼女は肺がんだったのだという。


大学時代にタバコを吸っていた彼女を思い出した。


その後も吸っていたのだろうか?


 

すぐに失礼するつもりが、先輩薬剤師さんと話し込んでいて中座の機会を失ったまま納棺式に立ち会うことになった。


 

彼女の家は浄土真宗で、亡くなると同時に極楽に行けるという教えなので、お棺の中に旅支度と言われる装束を入れなくても良いのだという。


 

そして最後に故人の一番好きだったものを入れる段になり、お嬢さんが大切そうに入れたもの。


それはきれいにたたまれた白衣と、薬剤師のIDカードだった。


 

A子さん、あなたの人生を顕すものは、たった一つ。


薬剤師の仕事着は、燦然と光り輝くあなたの勲章!


 

 


正反対のものを表す言葉にいくつかある。


ピンとキリは良く使われるが、どちらが良くてどちらが悪いのかいまひとつ釈然としない。


 

では月とスッポンならわかりやすいだろうか。これもまあ、今の世の中ならスッポンも高級品だから、昔ほどの差は無い気がする。


とにかく同じ丸いものでも天井の月と泥の中のスッポンということで比べられたみたいだ。


 

同じ薬剤師免許を持っていても月はA子さんで、九子はスッポンだ。


スッポンの証拠に、九子は泥のように眠るのが何より大好き!(^^;;


 

泥の中のスッポン九子は、月を見上げて語りかける。


 

「ねえ、Aさん。あなたのことなんか全然羨ましく無いわ。(負け惜しみ(^^;;)


 出来る薬剤師ってさぞや忙しい人生だったでしょう。


 あなたはそれが生きがいだったのね。


 でも私は違う。


 

 不器用で、そそっかしくて、調剤薬局じゃあ使い物にならなかった薬剤師だから、調剤なんか最小限で、一枚の処方箋すごく時間かかって調剤して、それでもまだ間違えたりして・・。


 

でも出来すぎ母は、きっとそんな私のために雲切目薬遺して行ってくれたんだと思う。


これがあるおかげで、そんなに一生懸命調剤しなくてもそこそこお金は入ってくる。


 

知ってるわ。私が特別運が強いということ。


それをわかった上で、敢えて言いたい。


 

Aさんが薬剤師の仕事によって成長したように、九子だって少しは成長したんだから。


成長がまったく見えないって?


まあまあ・・。(^^;;


 

九子はね、あなたと机を並べていた頃、とっても不幸だったの。


無理やりにこにこしていたの。自分の不幸を悟られないように。


 

そして坐禅(座禅)に幸せをもらったの!!


今は本当に明るくなったわ。」


 

坐禅(座禅)のブログも御覧くださいね。(^-^)


 


彼女に心よりのお悔やみをもうしあげます。


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